魔女伝説
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1976年7月号~1978年6月号の「婦人公論」に連載されたものである。そのこともあってか、内容は、タイトルほど禍々しいものではない。語り手は、まず夫の野川邦彦が務める。彼の前から妻の瑤子[ようこ]が突然失踪する。もちろん二人は結婚3年目とは思えないほど仲睦まじい夫婦だった。それなのになぜ―?…最初の1章[最終章と同じタイトル]は、妻の不在の空っぽさを淡々と描く。2章「描きかけの夜空」で、初めて邦彦は瑤子が画を描いていたことを知る。そういえば、彼女は“苔”を大切に育てていた…。自分の知らない妻の姿に初めて触れていくのだ。義父の久衛から、瑤子は京都にいる可能性があることを知る。彼女は誰かに追われているようなのだ。 謎とその解への導きが出揃いはじめた頃、5章「絵の中の風も冷たく」の中途から、いよいよ語り手が瑤子にスウィッチする。8章「玉露のかおり」では、ついに追手の正体が判明する。ここらあたりから、この話がSFだったことに思いいたるのだが、それでも、物語じたいは、それほどの飛躍は感じさせない。なぜなら、テレパスを“魔女”と呼び、彼女の動向を“伝説”と呼ぼうと、さらに瑤子がテレパスだろうと、この小説の、しっかりと日常に根ざしたリアリズムは微動だにしないからだ。瑤子はいたって善良な―だけでなく、透明感のある美女であり、きわめて常識人でもある。 ところが、彼女はこの“常識”に搦めとられていると指摘する女性が現れる。伸子だ。まさに“伸びしろ”に溢れた女性である。“物質的な不自由というものを、生れてから一度も味わったことがなく、それだけに何かしら不自由に憧れている”という女性だ。伸子には自然と自分の正体をバラしてしまう瑤子。すると、伸子は、もうご主人に隠す必要はない、いや、むしろテレパスであることを積極的に活かすべきよ!と瑤子を励ますのだ。 岡崎唯士、田辺清次郎、田辺圭介、お兼さん、柴崎ふじとその一家…そして谷村伸子。瑤子は、逃亡劇の間に様々な人たちの人情の機微に触れていく。ここらあたりは、同じテレパスものの<七瀬シリーズ>とは違い、性善説にしたがって物語は進んでいく。これをもの足りないと感じる読者もいるかも知れない。タイトルに偽りあり、とか。もしそう思いそうなら、スルーすればいいと思う。しかし、これは、負い目をそうでないものに代えていくこともできるはずと―殊に女性に対して励ますような“やさしい”小説だと思う。作者に代わって伸子が、そう力強く言ってくれているのだと受け取った。 | ||||
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角川から出版されている半村良氏の○○伝説シリーズは、不思議な事件の起こる冒頭から、謎を巡ってのめまぐるしい展開、中盤での価値観の逆転、思い切りの良い皮肉に満ちた終わり方、とストーリーはそれぞれ独立していますが。構成上は類似点の多い作品群で、どれも高レベルの物語ばかりです。 さて、この作品はその中でも異色作で、不思議な事件(妻の失踪)~妻を捜す夫の探索行を描く序盤は形式上、他のシリーズ作品に近いと思いますが、読んだ印象はまったく異なります。 全体を通して、あまり悪人の出てこない、どちらかというと清清しい感じの登場人物が多く出てきて、ストーリー、読後感とも、半村良氏の伝奇作品には珍しく?さわやかな印象を残します。 個人的には、ほかの○○伝説のほうが、はったりが効いて面白いと思いますが、こちらのほうが名作と思う人も多いと思います。 | ||||
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半村良の小説では珍しく(?)エロがなく、女性の内面的な部分にも触れた作品。 失踪した妻の立ち寄った場所には真珠色に光る苔が残されている。 京都苔寺、箱根、金沢、能登、米沢、宮崎・・・苔に関連する場所を転々と移りつつ、謎が明らかになっていく。 失踪の原因とは?苔との関係は?妻は夫のもとに帰ることはできるのか? 苔の緑、冬の真っ白な金沢、米沢の紅花などの色彩など、視覚的に美しくロマンチックな印象を与える作品となっています。 平凡な日常生活から非日常へといった、半村作品のよくある手ですが、女性が主役のためかコンパクトな展開。 ものたりないかもしれません。 でもどぎつくなくキレイにまとまっており、私は好きです。 半村良を初めて読む女性にオススメの一冊。 | ||||
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半村良は家にあった『妖星伝』の醜悪な美に感動し、この本も何かしら私を震撼させてくれるものがあるだろうと期待して買ったんですが見事ハズレました・・・・・・。 『妖星伝』がひたすら『淫』に徹したのに対し、こっちは純愛一直線でしたがそのようなものはどうでもよろしい。 話がグダグダして単調。 登場人物は泣いてるけど読者は泣けない。 悪の組織との一騎討ちを期待させる流れがあったにも関わらずラストは平和に『めでたしめでたし』。 結末に至る過程も、異能ゆえの苦しみと聞いたときのイメージとは程遠いものでした。 主人公が授かった能力については『妖星伝』に通じるところがありましたが、特筆すべきとこはほんとそれぐらいでしょうか。 残念ながら何かを望めるような本ではありません。 | ||||
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主人公の妻が逃避行を始める原因となったことがなかなか明かされないが、全国を逃げ回るという設定はそれぞれの地方の特色や人との関わりが描かれていて非常に面白い。ロードムービー的な逃避行ものの映画としては結構当たるかもしれない。 追われる理由が明らかになってからは、周りに人間がなぜか善人ばかりになってしまい、話がやけに綺麗にまとまってしまったのが残念だが、主人公の持つ能力を駆使したヒロインものではなく、能力があるが故の苦しみを描き明るい展望のある終わり方は良かった。 | ||||
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