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マリオネットK さんのレビュー一覧
マリオネットKさんのページへレビュー数147件
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獄門島、八つ墓村、犬神家の金田一シリーズ御三家(勝手に私がそう呼んでいるだけ)に次ぐ評価と知名度を得ている作品ですが、個人的にはやっぱその三作には劣るな、という感想でした。
まず封建的な村で見立て殺人で娘が殺されていくという大筋が獄門島の焼き直しっぽい感じがしました。終盤の山狩りで男衆がいなくなった瞬間に残った娘が狙われるって展開も既視感ありましたし。 実際作中でも何度も「獄門島を思い出す」みたいなことを言われてますし、横溝御代は確信犯的に、獄門島でやりきれなかった部分のある「見立て殺人もの」を改めてやりたかったんでしょうかね。 ただその結果は獄門島を冗長にしたけれどスケール的には逆にこじんまりになってしまった作品という印象です。 肝心の見立てとなっている手毬唄もマザーグースのように実在するものでもなければ、そこまで個性的でもないので、あんまり意味も効果も感じませんでした。 登場人物がかなり多いのですが、八つ墓村や犬神家ほど人物に強烈な個性がないので、メモでも取っておかないと誰が誰だかよくわからなくなります。 あと、これは雰囲気にも一役買っているかと思うので、必ずしも悪いとも言いきれないのですが、村の人々の言葉遣いが古くて、かなり読み辛かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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昭和30年代のまだどこか男も女も戦争の影を残した時代に、婚姻直後に出張先の北陸地方で突然姿を消した夫の行方を捜す主人公の女性。
しかし夫の失踪事件は、やがてその関係者達が次々と殺害されていく連続殺人事件へと発展していく。 まず感じたのが松本御代の文章は本当に今読んでも非常に読みやすく違和感がないですね。 現代の作家が当時の事を良く調べて昭和30年代の日本が舞台の小説を書いたと言っても通じるほどだと思いました。 日本の社会派ミステリの先駆け的存在であると同時に、その完成度は今見ても非常に高く、日本のミステリ史、文学史上の価値もきわめて高い作品だと思います。 ただ、単純に自分の好みか、面白かったかで言うと、正直言ってあまり面白くなかったです。 個人的には良くも悪くも極めて「優等生的」な作品という感想で、毒やエンターテイメント性を感じなかったというのもありますが、結局自分は典型的な本格ミステリ好きで、推理小説に推理小説以上のものを求めていないと言いますか、社会派ミステリは根本的に合わないんだなと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「黒鳥亭殺人事件」
「壷中庵殺人事件」 「月宮殿殺人事件」 「雪華楼殺人事件」 「紅雨荘殺人事件」 「絶叫城殺人事件」 以上の六編のいずれも独特の特色を持った館や廃墟などで起きた殺人事件を扱う『作家アリスシリーズ』の短編集です。 このタイトルラインナップを見ただけで、所謂「館もの」が好きな人はゾクゾクするでしょうか、どれもあくまで短編なので、そこまで大掛かりなトリックやインパクトのある建物が出てくるわけではありません。ある意味全部名前負けです(苦笑) あと、表題にもなっている最後の「絶叫城」だけは、実際に作中でその城が舞台の殺人事件が起こるわけではなく、絶叫城というタイトルのホラーゲームに見立てた連続殺人事件が街中で起こるというストーリーです。 個人的に建物に惹かれたのは「月宮殿」ミステリとして出来がいいと思うのは「紅雨荘」ですね。 ※作品ごと個別にも登録されているみたいなので、気が向いたら個々の感想も書こうかなと思います。 |
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西暦2113年の未来、100年前からまるで時が止まったかのように外界との交流を閉ざした独特の価値観を持つ国(?)に、導かれるように迷い込んだ主人公がそこで殺人事件に巻き込まれるというストーリー。
なにやら凄まじい壮大な密室トリックか?と期待してしまいたくなるタイトルですが、そこは期待すると肩透かしを食らいます。 本格ミステリというよりは、人物や世界観を楽しむSFファンタジーミステリーかもしれません。 作中の主人公は約百年後の人間なので、彼から見て約百年前の技術や文化をギャップを感じたり、興味を持って接する場面が随所にありますが、 この作品をもし百年後の人間が読んだらどう思うのかな、とふと想像しました。 やや低評価になりましたが、自分が勝手にバリバリ本格を期待して勝手に裏切られたと感じてしまったがゆえで、目線を変えて読み返したら評価は変わるかもしれないですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ホームズの長編の中では唯一二部構成が取られておらず、実質的にシリーズ一の大作と呼べる作品でしょう。
先代当主がその地の伝説に残る巨大な魔犬に襲われたかのような不審な死を遂げたバスカヴィル家。 この名家の後を継いだ甥のヘンリー卿にも謎の警告文が届き、ホームズとワトソンは調査の依頼を受ける…… 火を吐く巨大な魔犬の伝承、屋敷周辺の危険な底なし沼地帯、一癖も二癖もありそうな近隣住人たち、何かを隠している使用人夫婦、付近に潜伏した逃亡中の死刑囚、さらにそれとは別にワトソン達を観察するがごとく潜む怪人物の影(先代を殺した犯人か?)…… いくつもの不安と危険要素を孕んだ状況で、頼りのホームズは別の事件の調査のためロンドンを離れられず、しばしワトソン君一人で調査を進めなければならないというスリル満点のシチュエーション。 推理小説としては今読むと物足りないのは否めない所はありますが、数々の不穏な謎と危険が渦巻く、終始息をつかせぬ展開が魅力の作品と感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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もともと小学校中~高学年ぐらいを対象として書かれている児童書作品なので当然と言えば当然ですが大人が読むには物足りないです。
(でもミステリファンをニヤリとさせるような小ネタも仕込んでます) 一つ一つはシンプルながらも人間消失トリックを5つも用意しているのは気合が入っており、子供向けではあっても子供騙しではないですね。 本好きの子供をミステリファンに誘導するにはおすすめの一冊(シリーズ)じゃないかな思います。 死なないミステリでほっこりするストーリーなので安心して読め(読ませられ)ます。 |
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タイトルどおり、長い廊下にたくさんの部屋が並んだ建物で起こる殺人事件を扱った作品です。
トリックは簡単です。 処女作ゆえかあまり出来が良いとは言えない作品ですが、いつもミステリを読んでて騙されてばかりなので、たまにはこういうトリックが判りやすい作品も読むと溜飲が下がるな、と思いました。 |
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中世のフランス、第一次大戦下のドイツ、1989年の日本……3つの時空で生まれ変わりを繰り返す男女たちの壮大なSFミステリー。
ともすれば作者の独りよがりのようなストーリーで、非常に人を選ぶ作品だと思うのですが、それぞれの舞台にそれぞれ謎やトリックを用意した上で、全体を通して大きなストーリーとどんでん返しが用意されており、実際のページ数以上の大作感はあります。 いろんな要素を詰め込みまくった挙句、ほとんど投げっぱなしで終わった前作の『クロック城殺人事件』に比べれば、綺麗にまとまっているのではないかと。 あと、個人的にはちょっとゲームの『クロノ・トリガー』を連想しました。 出来がいいとは言えないかもしれませんが、やろうとしたことは個人的に評価したい一作です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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比喩ではなく重機まで持ち出され、山荘が窓や天井まで完全に雪で埋められてしまうという、まさに究極「雪の山荘」もの。
さらに一見不可能犯罪とおぼしき連続殺人が起こるたびにまるでゲームだと言わんばかりに「どんなトリックが使われたのか正解した者には賞金!」 と謎の正体主である「トリック卿」から出題が発生し、雪の山荘に閉じ込められた招待客たちに怒りと恐怖を与えるという、クローズドサークルシチュエーション。 設定は非常に面白いと思いましたが。 肝心のトリックや真相が微妙のものばかりなせいで、設定を活かせず、正直駄作といった印象です。 推理小説というよりは、バラエティ番組のコントのシナリオみたいな作品だと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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金田一耕介シリーズの記念すべき第一作目は、横溝正史が江戸川乱歩とならんで20世紀の日本を代表する推理小説家(金田一耕助が明智小五郎と並ぶ日本を代表する名探偵)となった理由がわかるような作品だと思いました。
現在の読者が読んでも、読みやすく面白いこの作品は、一部の推理小説マニアだけでなく、一般大衆の娯楽としての推理小説の地位を高めた横溝御代の偉大さをまさに象徴する作品だと思います。 そして同時に当然のことですが、金田一耕助シリーズ第一作目の70年近く前のこの作品の時点でディクスン・カーやアガサ・クリスティーは推理小説界の大御所中の大御所であることに、その偉大さを改めて感じることとなりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「日本のジョン・ディクスン・カー」とも呼ばれ45作もの密室作品を発表してきた大推理作家が密室で殺害されるというストーリー。
そのタイトル、あらすじに恥じず、作中では終始密室談義が行われ、中でも作中に登場する1000以上の密室トリックを網羅したという実在する書物『Locked Room Murders』には興味を惹かれなかった推理小説ファンはいないでしょう。 ……しかし肝心のこの事件の密室トリックは特別面白くも珍しくも無いものなので期待すると肩透かしを食らうかと思います。 総合的に評価して、この作品自体は悪くもないけど良くも無い、ごく普通の推理小説ですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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