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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数370件
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これは好きな部類。90年代の新本格系のミステリを感じました。細かい矛盾は気にせず、閉ざされた空間で、探偵がいて、密室トリック、消失トリックなどの犯罪が行なわれて誰が犯人?という作品が好きなら当たります。この手のコテコテ作品が今の世は減ったので嬉しいです。
ゲームダンガンロンパのスピンオフ作品ですが、ダンガンロンパ自体は知らないでも問題ないです。 ただ前作を読んでないと、登場人物や犯罪者・探偵図書館などの設定が分かり辛い為、前作は読んだ方がよいです。 予め読者へ通知される本事件の主の題材は、『密室トリック』『消失トリック』『現金10億円』。 閉ざされたホテルに集められた10名にそれぞれ1億円づつ配布。 夕方にオークションが開催され、一番現金を積んだ者がその日の探偵権を獲得。 夜は各自部屋に待機しなければならず、犯人と探偵権を持つものが自由に行動できる。 犯人は夜に犯行を遂行する。探偵権を持つ者は殺されない。 デスゲーム作品のペナルティなどルールがある特殊設定、探偵権を得るためのオークションの心理戦、従来のミステリの密室・消失トリックなどなど、かなり面白い要素が豊富でした。 そして、それらがバラバラなエンタメ要素ではなく、上手く関連して事件を構成しているのが見事です。個々は見慣れていても使い方の複合技がとても巧妙です。 ゲームをしているのでより一層ですが、霧切の家庭や意外な一面を見せる素顔も魅力的でした。 ミステリ以外にも霧切&五月雨のペア探偵物語としても面白いですし、犯罪被害者救済委員会や探偵図書館の今後の展開も気になります。 続編が楽しみな作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読後の率直な感想は、バカバカしい(笑)。そして初期のメフィスト賞を思い出すキワモノ。
新しい刺激としては満足。心が広くミステリを読み慣れている人向け。万人に薦められないけど、理解ある人へは薦めてみたくなるそんな作品。だけど理解ある人が分からない(苦笑)読んだ人いますか?と悶々とする作品。 タイトルからネタ本なんだけど読んだ後はネタを突き抜けた巧妙さがうかがえます。 ミステリとコミカルが上手く合わさっており、読んでいて楽しかった。没ネタになりそうなアイディアを世に出したメフィスト賞にも拍手。新たな刺激に出会えました。 当初は、あんまり気にしていなかった本なのですが、タイトルの特殊性からネットでの話題が目に入る。ネタバレされる前に読んでおこうと思って手に取りました。何も知らずに読めて良かったです。 冒頭に読者への挑戦があり、ちゃんとミステリが読みたい!って人向けに、孤島のクローズド・サークルを用意して密室殺人事件も起きる。 ミステリの中に1発ネタを盛り込んだ奇作ですね。 読み返すと、あれもこれもとネタが巧妙で素晴らしく感じます。 ネタとミステリがちゃんと関連しているのが見事でとても楽しい作品でした。 なんとなく「かまいたちの夜」の裏シナリオのような登場人物達のコミカル+ミステリは個人的にツボです。 好みが非常に分かれると思う作品。 ネットやAmazon書評などネタバレが増えてきているので、ネタ本も楽しめる方は調べず読書が良いと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ゲーム『ダンガンロンパ』のスピンオフ作品ですが、ゲームは知らないでも問題ない独立作品です。というか、ゲームでの要素はまったくありません。では、キャラモノ作品かと思いきや、そうでもなく、"ダンガンロンパ"や"霧切響子"の名称を借りたほぼオリジナル作品と言った感じで、ちゃんとしたミステリとして読めます。キャラクター要素が強いゲームと作家の組み合わせは結構良いと思いました。
まず、舞台設定が面白いです。 『犯罪被害者救済委員会』なる謎の組織が、何らかの事件の被害者に対して復讐をコンサル・サポートする。サポート内容は復讐する場所の提供、出所の分らない凶器やトリック、金銭の提供である。 また舞台には探偵が呼ばれ、犯人は探偵に真相を見破られず、見事切り抜ければ復讐と新たな人生の獲得。探偵に真相が見破られれば、最悪を代償として受ける事になる。ここら辺はデスゲーム系のノリを感じます。 読者には予め、『黒の挑戦』という名目で事件に何が提供されているのかわかるのが面白い。 最初に、天文台を舞台にしたバラバラ殺人と提示されます。誰がどんな方法で事件を起こしたか推理をする楽しみもありました。 トリックが仕掛けられる金田一少年やデスゲーム系の作品が好きなので、個人的には当たり。 ミステリとしてもキャラ小説としても、さらっとした軽い小説で、物語の舞台の紹介が主に置かれた印象ですが、今後も期待できるシリーズとして楽しみになる作品でした。 |
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なんというか盛りだくさんな物語でした。投げかけているテーマは社会派とも感じられますし、ミステリとしては異常犯罪の犯人の行動に驚かされたり、学園小説・児童文学的にはマドカとサファイアの物語を楽しむと言った具合。
あらすじにファンタジーとありますが、主人公の女子高生マドカと出会ったお化けのサファイア(あだ名)の存在がファンタジーなだけで、中身は現実的なお話です。 著者の読書本はこれで3冊目ですが、現実世界に不思議な設定をほんのちょこっと入れた絶妙な味があります。 街に存在する異常犯罪者のコードネーム『ドッグキラー』『インベイジョン』『ラフレシア』『グレイマン』と言った名前付けが能力が分からないボスを攻略していくようで興味が沸きます。『ドッグキラー』は文字通り盲導犬を次々と殺す犯罪者。その後の犯罪者も名前からどんな異常犯罪が街で行われているのか?それを知った時のヤバいモノに関わってしまったと感じる所が見事です。 『インベンション』の舞台背景や伏線、犯罪内容には唸りました。その後の『ラフレシア』についても舞台背景に驚きます。物語が進むごとに犯罪も凶悪になり、1話ごとに舞台背景や解決を通じて弱者のメッセージを感じたり、ボスの攻略と共に主人公とサファイアの関係が深まり成長していく。そんなゲームのような気分を受けました。 不思議な面白さでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読後、ついに念願の作品を完成させたんだな……。と感慨深くなりました。
物語の面白さについては正直好みとは違うのですが、歴史に刻まれる仕掛けの1つを作品に残した点で評価です。 著者言葉にある、 『すべての文章、いや、すべての言葉が伏線になっているミステリー』 このコンセプトを実現させる為にどんな方法をどう表現して物語に組み込んだらよいのか。その1つの解答が本書です。 作者初めての方の場合は、読んでもさっぱりかもしれないので、 導入のしやすさ、わかり易さという点で『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』を手に取ると良いと思います。 私は著者の作品は『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』から入った口ですが、その作品以前である5年以上前から、幾度となく作者の言葉で、作中すべてが伏線になっているミステリーが理想でそれを作りたい。という想いを読んできました。著者の写真や、参考文献まで伏線にした病的な作品も生まれていますが、『本』である事自体が絶対的な要素。電子書籍では表現できない、本と言う作品を作るという事の想いはとても感銘を受けたものです。 本書で使われている題材と仕掛けの選び方は見事に調和されていますし、過去作の『五色沼』『不可能楽園』では仕掛けを施す為に読み辛くなってしまった点が、本書では改善され質も上がっています。 ついに完成したんだな……と、感動しました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ディーヴァーの作品はボリュームがあって、手に取るのを躊躇してしまうのですが、やはり読むと面白いですね。
事件のテンポはスピーディーだし、緊張感あるわ、最後は驚きの真相の安定感。 シリーズとしてはこの後の作品の評判がさらに良くなる為、ひとまず順番に3作目を読書でした。話が繋がっているので順番は大事です。 本作で思う所としては、探偵役のリンカーン・ライムの凄さがない。 前作までの四肢麻痺なのに圧倒的な知力で他を圧倒する力強さの良さが今回感じられず、苦悩や挫折、弱々しさを感じました。 ストーリー進行も最後はどんでん返しがあるだろうと身構えて読んでしまった為、現在の進行に対するライムの推理が間違っている気にもなり、ライムどうしちゃったんだよ……と思う心境でした。まぁ、今作はライムより、サックスが主人公で輝いてました。 相変わらずオチが読めない真相で凄いですね。 ただ、今作はやられた!と言う一撃ではなくて、複雑で言葉がでない気持ちでした。蜂多すぎです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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いつもの癖で話題本は敬遠してしまっていたのですが……読んでみると面白かった。
主人公は無職男性。昔おばあちゃんに酷く叱られたトラウマにより本が読めない。本を読めていたらどんな人生を歩んでいたのだろうと思う今日このごろ。おばあちゃんが亡くなり、遺品の本を売りに行く為、ビブリア古書堂に訪れる――。 キャラクター作りやその人達の役割が綺麗に繋がるな~という印象でした。 本にめちゃくちゃ詳しい女店長も魅力的で、人見知りと本を語る時のギャップが面白い。また、病院で入院中で行動不可なのに、安楽椅子探偵ばりに聞いた話から、古書のエピソードにちなんだ日常の謎を推理し解決する名推理っぷり。ミステリ要素以外にも本が読めない男性との出会いから、仕事仲間になり、会話も生まれて・・と、男女の青春物語としても綺麗に楽しめました。 太宰治や夏目漱石などの読書経験は、有名どころを国語の教科書レベルで読んだ程度だったので、この手に詳しい人はもっと楽しめる要素があるのかなと思います。まったくの射程外だったので各エピソードについては新鮮で楽しめました。 刺激的な要素はないのですが、たまには落ち着いて楽しむのも良いかも。と思える温かい綺麗な作品でした。 |
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シリーズ2作目。死体発見現場の虫の生体環境を推理して真相へ近づく流れが前作に劣らず面白い。
貸倉庫で発見された身元不明の腐乱死体。手がかりが皆無で捜査は混迷する。が、現場から見つかった虫の一部から捜査が進展。昆虫学の必要性がとても感じられる点が見所です。 キャラ立ちも楽しく、岩楯刑事&学者の赤堀との関係が今後も気になりますし、新キャラの月縞も個性的で良い味が出ていて、今作では一気に成長も感じさせる物語になっている。 科学捜査で警察小説なのですが、地味ではなく、個性的でとても面白いシリーズだと思います。 前作と比べると、虫の活用具合が前半に集中していて、後半は違う物語になった所は、法医昆虫学をもっと知りたかった私としては少し物足りなさを感じました。が、着地点がまったく予想できない所は凄いので、これはこれで好み。 続編が出てほしいシリーズです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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たまには本屋で話題本を衝動買い。帯に書いてあった『ラストは絶対予測不能』『シャマラン監督映像化』に釣られて購入です。元々は電子書籍で、米Amazonでは5星が700越えなど話題になってる模様。まぁそんなの気にせず『シャマラン監督が興味を持った』ところに自分は意識が向くわけでした。この監督の作品、何故かよく見ちゃうので。。
話は、主人公が目を覚ますと、何故ここにいるのか?と記憶をなくした状態からスタート。なんだか具合も悪いし怪我をしている気がする。そういえば交通事故にあったような記憶がする中、近くに見える街へ足を運ぶ。街の人々と主人公の会話が食い違う。何かおかしい。そして何故か街から出られない・・・。 記憶喪失の主人公で、閉ざされた街が舞台である、状況不明系のストーリーです。 主人公の話や街の人々の対応、どれが真実なのか。それともすべて虚偽なのか?定番の疑惑を考えながら読書なのですが個人的に刺激や魅惑の要素がなく退屈でした。それでも終盤に差し掛かる頃にはやっと真相がまとまっていき、あー…本当にシャマラン監督の作品にありそうで好みそうな内容だった。と思う次第でした。 なんというか、表面は好き勝手自由だとしても、必ず根底にあるのは人を思う愛があるというか、そういう作品。 他レビューが作品の中身には触れられず映画寄りな感想になるのもわかる気がします。内容はネタバレになる為避けられている。文章や表現を味わう文学作品でもない。ただ、映像になった時の姿が目に浮かびやすいからです。悪い意味では既視感がとてもある作品でありますけどね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは面白かった。斬新で知的好奇心をくすぐられました。法医昆虫学を扱ったミステリ。
科学捜査系の小説で、焼死体を解剖すると中の内臓は荒らされ、異様なウジの塊が見つかる――。 前半の導入から虫達のウネウネと気持ち悪い雰囲気を醸し出して敬遠されそうですが、この虫が何故こういう成長を遂げているのか?現場の虫の生態系に変化がないか?など、虫を基点に推理を進めていくのが斬新で、気持ち悪いよりも虫から導かれる科学捜査の流れに興味津々で楽しめました。 また、虫の気持ち悪い雰囲気を払拭するかの如く、捜査依頼された昆虫学者が底抜けに明るい性格の女性に設定されているのも良いです。 虫が大好きで生態系を楽しく解説してくれたり、おもむろに網で虫を採集しだすわと、変人ぷりも活き活きしてます。警察が、うげーっこの人は住んでる世界が違う!というやり取りがユーモア溢れて楽しめました。 TVドラマでも楽しめそうだなーと思いましたが、虫の映像がちょっとNGか...。 類似作品が思い浮かばない斬新な小説で面白かった。次作も楽しみ。 |
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横須賀米軍基地の内側と外側が舞台の本格ミステリ。
日本でいながらアメリカの法律が適用される米軍基地の特殊な舞台。 基地の内側で発見された惨殺死体と基地の外側で発見された大量の血痕の関連性の謎から始まる『基地の密室』という問題が新鮮でした。 基地の内側と外側、事件現場はどちらなのか?被害者or犯人はどうやって出入りしたのか? 密室殺人でのテーマが基地の規模で行われている面白さがあり、さらに法律の違いから、基地の内側の米軍と外側の日本警察とで情報共有の制限が生まれ、今ある手がかりで事件を推理するロジカルな面も楽しめます。 本書を読む前は、警察小説のサスペンス的な本なのかと思っていたのですが、上記の密室問題。手がかりを得るための推理考察。最後は関係者を集めての推理披露の解決編。などなど、好きな様式の本格ミステリを味わえました。 また、作品の中に組み込まれているテーマや話題など無駄なく関連していたり、手がかりの散りばめ方が綺麗で読み直すと発見もある。かなり整ってます。 雑誌のランキングからは外れている作品なのですが、見落とされて読まれていないのでは?と思う気がするぐらい、よく出来ている作品だと思います。 好き嫌い分かれそうな要素もありますが、とてもよかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読み切った。。。何だかよく判らないままも、最後は不思議なエネルギーをもらって、凄かったぜ!!とテンション上がっちゃうような作品。
文庫版1500ページ。『煙か土か食い物』のように改行がなく、ひたすら文章が襲いかかってくる。それでいて内容は、帯にある『あらゆるジャンルを越境した…』の通り、ミステリをベースにSFやら哲学やらが、ぐちゃぐちゃに絡んできて、もうわけわからない・・・。なんだけど、最後まで読めちゃう文章作りが不思議で面白い。5,6冊ぐらい読んだ気分のボリュームでした。 読書前に本書は現代の奇書みたいな話を知っていたので、その感覚を踏まえて読むと、大分昔に読んだ奇書の1つ『黒死館殺人事件』を思い出しました。あの作品は、いきなり紋章学やら医学やらおかしな推理が始まって内容が把握できなくて、さらに言葉も古いからさっぱり頭に入らず眠くなった記憶がありました。が、本書は現代語なので、ちゃんと読めて分かりながら放り投げられる感覚が得られますので、奇書っぽいものを読みたい人には昔の作品より本書を薦められます。現代の奇書と誰が言ったか分かりませんが、的を射ていると思いました。 さて、表紙に書かれている女の子が探偵ディスコなのかと思いきや、探偵は30代男性のアメリカ人でハードボイルド寄り。手に取った時と最初にページをめくった時とでギャップを食らいましたが、この後の展開のインパクトを思い返すと軽いジャブにもなっていない些細な事。迷子探しの探偵が救出した女の子の梢の中に未来の梢の魂が入りこんで序盤から魂やら未来話やらで哲学やSFが展開して、その後のパインハウスを舞台に探偵達の推理合戦が開始。密室、暗号、見立て、などミステリの定番から星座や神話やらと衒学的に話が飛んでいきます。 話の整合性やらロジックなどは真面目に考えても仕様がない状態なので、探偵達が語る話を受けるがまま脳を刺激される印象で読み進めました。 なんといいますが、話の全貌やネタバレ的な事を仮に語ったとしても、その要所要所では本書を把握する事はできない作品です。 作品に触れて、四方八方に話が発散する中に、自身がどんな所に刺激を受けるかという文学的な作品で、どう表現したらいいか分からないぐらい、作者凄い。と思う次第です。 著者の中に『好き好き大好き超愛してる。』という作品があり、いろんな設定での愛の姿がありましたが、本書もディスコが梢を想う愛が根底に敷かれているように感じましたし、全部包み込んだ外側に作者の気持ちを感じました。 |
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ほんわかすると言うか、感動的で、よかったなぁ。と、読後しみじみする作品でした。
書籍区分はミステリですが、恋模様や不思議な事がおきる広義のミステリ。中身は恋愛小説に近いです。 登場人物達が基本みんな良い人で、恋の邪魔に感じる所もそれぞれが前向きに行動している結果なだけなので、 何が起きていても基本的に嫌な気持ちにはならず、読んでいて気持ちが良かったです。 序盤は、万年筆の話が面白く、最近はPCや携帯で文字を打つので、ペンで文字を書く機会が減ったな…とか、 作中に出てくる万年筆を調べてみたら凄いオシャレで興味が沸いたりと、楽しみながら読みました。 香恵の初々しい恋模様や、伊吹先生のノートが良きメンターとして活用され成長していく流れなど、とても心地よい作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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日本の高齢化社会、介護問題を改めて突きつけられ、なんとも言えない気持ちになりました。
ミステリ要素は弱め。ただ、ミステリの形式を借りた社会派小説としては一級品です。 扱われている伏線も社会的なテーマの為に存在していると感じました。 裁判にかけられた犯人の供述から始まる冒頭。 犯人が行なった犯罪は、在宅介護に苦しむ家庭を探し出し、老体を自然死に見せかけて毒殺して周った事。 殺人=罪で悪い事だという人間的な感情がありますが、介護に苦しんだ家庭にとっては地獄の日々が終わり、救われた気持ちも芽生える事から、殺人が必ず悪ではない状況が生まれている問題を読者に投げかけます。 正義の立場である検事をキリスト教徒とし、度々現れる教えの扱いが凄い。 黄金律である、 『人にしてもらいたいと思う事は何でも、あなた方も人にしなさい』 この言葉の意味を本書の介護においてみた時、介護の苦しみを終わらせてほしいという希望を叶えた犯人の行動は正しかったのか?道徳的に考えさせられます。キリスト教徒の検事の葛藤が何とも言えませんでした。 犯人、キリスト教の検事、介護会社の社員、現場の介護スタッフ…。それぞれの視点から描く高齢化社会の問題。お金が無ければ安全地帯である老人ホームの施設に入るのも難しい。また介護者達の時間、金銭的、精神的なストレスなど、今は身に覚えなくても将来自分が高齢になった時、社会や家族はどうなるのか。とても考えさせられました。 誰が犯人なのか?と言ったミステリの下地はありますが、それを考える暇がない程、この本書の掲げているテーマは深いもの。 読後将来について不安を感じる後味は辛いですが、一読の価値はある作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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キャラ立ちや設定がよくて事件も把握しやすい。読みやすい海外ミステリでした。
窓際族のように警察内の地下室に新設された部署へ追いやられてしまう主人公のカール。 未解決となった事件を再調査すると言った名目の部署ですが、1度は警察が組織で調べた事件であるのに、それを1人で再調査という無理難題、閑職もいい所。そんな中、アサドと名乗る1人の部下が得られるのですが、この変人がいいキャラしていて、日本の小説でよくある、警察+変人(探偵)のタッグのような感覚が馴染みやすく楽しめました。 作りが巧いのが、人物構成と同時平行して展開される、未解決事件の猟奇性。 現在→未解決事件の過去→現在→未解決事件の過去・・・ と交互に展開される話の中で、サブタイトルにある監禁された状況の緊迫感が与えられます。 緩急つけた話の構成は、最後まで読ませるリーダビリティがありました。 主人公カールの家族は?アサド何者だよ。今後の特捜部Qの活躍は? など、シリーズの次作を期待させる内容としても十分で、面白い本に出会えました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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2作目も満足。シリーズが楽しみになりました。
前作ファンの期待に答えるロジカルな推理が健在。前作は1本の傘。今作はモップとバケツの手がかりから真相を導き出していく思考錯誤は楽しいです。 警察が高校生に事件捜査を頼ったり、アニメオタクな探偵など、読者を選ぶ要素がありますが、私は金田一少年の事件簿系統の学園かつ本格物はとても好物なのでハマります。 11人の容疑者から犯人を特定していく流れについても、前作同様に推理の過程が丁寧。 ○○だから、数人一気に除外という荒削りな消去法はなく、1人1人丁寧に論理的に除外されていきます。 犯人が絞り込まれていく過程は読んでいて大興奮でした。 ただ正直な所、事件やトリックなど特出して印象に残るものではありませんでした。また、分単位で事件を検証する所に、そんなに正確な時間をみんな意識して行動しないよなぁ、と感じたり、本当にこれが唯一の解なのか?と思えたりとするのですが、 そんな細かい事は気にせず、なんか推理している様子が単純に楽しいと思える作品なのが好みです。 2作目だから水車館をもじった水族館についても、言葉だけではなく、ちゃんと水族館ならではの事件・動機であり、とても考えられていて面白かったです。 また、製本の見返しや、しおりひもも水族館ぽく青に染めてあり、色々とこだわりを感じました。 次回作も楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは掘り出し物のミステリでした。
タイトルから歴史小説を感じさせており、2013年度の各ミステリのランキングでは圏外で、失礼ながら注目度はなかったと感じる本書。ランキングについては締め切りぎりぎりの出版だったので、10月ではなく、11月に出版していれば来年度ランキング30以内には名前が載っただろうなと感じる次第です。 完全にスルーしていたのですが、口コミでの評判の良さを知って手にとった所、なかなかの掘り出し物でした。 あらすじにある、本格推理小説の名の通りです。 期待度が低かったのに対して、この手法をこの本でやってきたのかと驚いたので、見慣れた仕掛けも使い方次第だと改めて感じた作品でした。 伊藤博文しかり、津田うめなど、実在の人物もよい塩梅に登場しており、歴史ミステリが苦手でも気にする必要なく、当時の雰囲気を味わった気持ちになる楽しい作品でした。 読み終わってから感じる人が多いと思いますが、構成が絶妙です。良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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世にも不思議な日常の謎。ブラックユーモアな短編集です。
最初の作品『宙の鳥籠』は、プロポーズ前の男女が二人の将来の為に解決しておきたい事があると、観覧車の中でとある出来事の話を始めます。観覧車1周の短い時間の密室の中で、男女の関係を推理・解決していく流れは、意識の中でタイムリミット、話を逸らせない緊迫感などを感じられて、コンパクトにまとまった短編ならではの良さを楽しみました。 その次の作品『転校』に至っては、全寮優等生学校で起きている、とある出来事を体験。これは1作目と雰囲気変わってブラックネタであり、全てを明かさずともラストで読者に意味が分かる黒いユーモアのさじ加減は絶妙です。個人的にベストです。 この序盤の2作品を読んで本作品の扱う物語が、「男女」、「ブラックネタ」が根底にあると感じました。 といいますか、これらは作者の過去作品から感じる要素でもあるので、作者らしさを感じます。 その他、自殺しようと現場に着いたら先客がいた『心中少女』。 家の中で殺虫剤を撒いたら化学薬品であったパニックもの&夫婦を描く『黒い方程式』。 が面白く読めました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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分類はミステリというより青春小説。
謎や驚きがなく、言葉を発せず解錠師となった主人公の成長を描く、ティーンエイジャー向けの物語。 本書は翻訳物ですが、とても読みやすかったです。 登場人物が、主人公、彼女と、その父親。あとは犯罪者数名ぐらいで少なく、カタカナ名でも人物把握は容易です。場面も主人公の身の回りなので混乱せず物語に没頭できました。 金庫破りの師匠ゴーストが、金庫は女として扱え。金庫を無傷で開けられるお前は芸術家だ。と、金庫破りの思考や、センスある表現を愉快に描かれているのが魅力的でした。原題もロック・アーティストと言うのが良いです。 若い主人公が他の犯罪者とタッグを組んで仕事をする時も、危険な目に合わず信頼をおいてもらえるのは、確固たる技術のおかげ。口がきけない、小僧といった弱みになりそうな点も確固たる能力があれば自信を持って立ち回れる姿に、何か感じる所がありました。 どんな鍵でも開けられる。でも声を発しない少年自身の心は閉ざされたまま。 なんとなくベタなのですが、それがとても把握しやすく安心して読める要素にもなってます。 ミステリとして読むと物足りなさを感じますが、 海外文学で青春物が読みたい方へは、とてもよい作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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