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なおひろ さんのレビュー一覧
なおひろさんのページへレビュー数119件
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いわゆる「回想の殺人」テーマと呼ばれるそうですが、正に本格推理という感じで、かなり面白かったです。5人の証言は微妙にずれており、同じ人間を見ているのに印象が全然違う。また、皆すべて本当の話ばかりはしない。しかし嘘ばかりでもなく、うっかり忘れている事や、曖昧な記憶の事もある。そんな当時の話や書いてもらった手紙を元に、最後は意外な真実へとたどり着きます。納得できる良い結末だったと思います。一般的にはマイナーな作品でしょうが、安楽椅子物が好きな方は読んで損は無いですよ。是非。
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この作品が基準となり、後の類似した設定が生まれて行ったのでしょうから、若干トリックや犯行方法にゆるさがあるのは、仕方ないと思います。参考書があって後からいじるのは、楽で当たり前。最初に思いつき、この完成度で書ききったのが、本当に素晴らしい。現代までミステリーの代名詞となるのも、納得の名作。邦題もいいね。
緊張感が最後まで続き、真相には驚かされる。犯人全然分かりませんでした。ネタバレを聞く前に未読の方は是非お早めに。 |
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タイトルはずっと以前から知っていました。50年前の作品ですが、今回やっと読む事が出来ました。舞台はベトナム戦争が始まる直前のサイゴン。友人の行方を探す内に、スパイの争いに関わって行く事になります。巻き込まれると言うよりもあえて飛び込んで行くと言うイメージです。誰が敵か味方か分からない、サスペンスに満ちたストーリーも良いですが、何と言っても文章が良い。設定にも会話にも品がある。更に、ベトナムの情景描写が素晴らしい。当時は取材旅行に行ける時代ではなく、聞いた話と想像で書いたらしいですが、とてもそうは思えない。
ホントに古さは全く感じません。未読の方は勿体ないので是非読んで見て下さい。ハードボイルド好きなら特にです。 |
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船戸与一の作品は救いが無い。良い人はすぐ死んでしまうが、悪い奴も結局死ぬ。基本的に出て来るのは貧しい地域の人々なので、金ですぐ裏切るし、差別は酷いし、環境が過酷で読んでいて辛くなる。
本作は珍しく主人公が少年の成長物語で、13歳から15歳までの5月に起きた3つのエピソードが描かれています。やはりいつもとは少し感じが変わりますね。ただ、誇り高き気持ちの良い男も何人か出て来ますし、戦闘シーンはさすがの職人芸で、最高の緊張感を味わえました。そこはご心配なく。 とにかく、男も女も、子供も大人も次々死にますので、それだけは覚悟して下さい。船戸ファンには改めて言うまでも無い事ですが、直木賞受賞作の為、それ以外の方も読まれるかも知れませんので。 |
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探偵小説における三大奇書の一つであり、反推理小説(アンチミステリー)の傑作と呼ばれる古典作品です。どういった感じなのか興味深く読みましたが、想像以上に手ごわかったです。謎が解明されないまま次々と不可解な事件が重なり、登場人物達の語る蘊蓄の多さと会話の回りくどさに眩暈がします。面白いのかと聞かれれば評価は難しい。そして終章までたどり着き茫然としてしまう、これがアンチミステリーと言う意味なのか。この作品に何を求めるのかで、見方は変わるのでしょう。
万人にオススメはしませんが、このサイトに立ち寄られる方々なら、一読してみてはいかがでしょうか?他の方の感想も聞いてみたいです。 |
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サイコサスペンスですが、警察小説でもあり、ハードボイルド小説でもあります。猟奇的殺人者、プロの殺し屋、警察官と3つの視点で物語は描かれますが、割と読み易く引き込まれてしまいました。
ストーリーも実際の事件を下敷きとしておりかなり面白いのですが、本作最大の魅力は登場人物達のキャラクターだと思いました。沢山死人が出るのが勿体なく感じます。 結構想像通りの展開で意外性はあまりありませんでしたが、逆に納得の進み方ではあり、エンディングまで間違いなく楽しめると思います。ぜひ多くの方に知って欲しい作品です。 |
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主人公が目覚めたのは見覚えの無い異様な場所。記憶が定かで無く、何が起きているのか最初は分からない。やがて、閉じ込められた9人のメンバーが、ゴールを目指して競争するゲームに参加している事が分かって来る。ただしそれは全員が敵であり、命の保証は無いサバイバルゲームだった、という話です。
面白くて一気に読みましたが、かなり期待していたので、その分不満が残りました。インシテミルを先に読んでいたので、同じくクローズドサークルでのゼロサムゲームなら、ホラーテイストの本書より、本格テイストのあちらの方が好みだ、という事なので仕方無いのですが。同じグロイ描写でも、やはりホラーの方がエグイです。 とは言え、全体を通してだれる所の無い、緊張感が途切れない傑作です。特に本書のラストは余韻があって実にいいです。 サバイバル、ホラー、RPG、ゲームブック、この辺りが気になる方に特にオススメします。100冊目。 |
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チーム・バチスタシリーズ3作目で、救命救急センター部長速水の収賄疑惑がメインの話になっています。本作は、前作のナイチンゲールと同じ時間に起きていたもう一つの事件、となっていますので、登場人物やエピソードが共有されています。是非両作品共に読まれる事をオススメします。
今回は推理小説ではありませんが、著者には無理に殺人事件など起こすより、こんな感じの医療エンターテイメントが向いていると思います。かなり面白かったので、是非この路線で進んで欲しいです。 難点は、著作を発表順に全部読んでいく必要がある所で、キャラクターや過去のエピソードを読者が知っている事を前提にしている所が有る為、シリーズファンなら高評価、作品単体でみれば平均点、と言うのが海堂作品では無いでしょうか。 私は今の所はまってしまいましたので、この得点は割り引いてもらった方が良いかも知れません。 |
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本作は推理小説ではありませんので、犯人も謎解きもありません。しかし極上のエンターテイメントであり、今まで読んだ中では著者の最高作だと思います。
特別な事件が起きなくても、手術場面は十分にサスペンスで緊張感がありますし、チームバチスタシリーズに出て来る人達の、若き日を見せるサービス精神も良かったです。また、外科医1年生の語り手が色々な質問をして、それを説明するという形で読み易くする工夫がされており、この熱い青年の青春小説としても素晴らしいと思いました。「チームバチスタの栄光」より絶対こちらが余韻が深い、間違いなくオススメ。 |
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大阪府警のマル暴担当刑事が主人公の警察小説です。とにかく出て来るのが悪人ばっかりで、みんな自分の事しか考えていない。本当の警察官はもっと真面目だと思いますが、著者の筆力は凄まじく圧倒的なリアリティで、本当にこんな事してるのか?と思ってしまいました。
少々話が長くて人間関係やストーリーが複雑に思えた所と、エンディングが気に入らなかったですが、相当取材を重ねた力作には間違いありません。 登場人物達の熱量に圧倒される事になるでしょうが、軽妙な大阪弁の会話も楽しいですし、ぜひ多くの方に読んでいただきたい傑作です。特に大人の男達にオススメ。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
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現在の記憶を持ったまま過去の自分に戻れる、と言うSF的設定と、その後に起こる連続殺人事件の謎を解く、と言う本格推理要素が合わさった作品です。これはかなり面白いです。中でも一番気に入ったのは主人公の大学生でした。恋愛にしても他の人間関係や物の考え方、行動、すべて身勝手。最初の印象からどんどん変貌して行く感じで、すごかった。人間の本能って所詮こんな物かも知れません。大きな謎と主人公の気持ち悪さで最後まで飽きずに読めました。細かい矛盾は気にせず、ぜひ楽しんで読んで下さい。
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死神が主人公と言う変わった設定の連作短編集です。出て来る人達は死神に取り付かれている訳ですから、死が目前に迫っています。しかし本人はそれに気づかず毎日を普段通りに生きており、だんだん登場人物に感情移入してきますので、読んでいるとみんな死んで欲しくないなと感じてきます。結局どうなったのかは是非読んで下さい。どちらにしても人間いつ死ぬか分からないのですから、悔いのない毎日を過ごして行きたいという気持ちにはすごくなりましたね。死神が徹底してクールなのと、その割に天然ボケな面があるのが、設定から来る重苦しさを緩和していると思います。オススメです。
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著者の短編集は初めて読みましたが、どれも素晴らしい作品でした。すべて大人の男が主人公で、ミステリーというよりはハードボイルドよりの感じが強いです。出て来る女性がみんな素敵で、そういう意味ではファンタジーかも知れません。とても静かなタッチ、静謐な世界観が心にしみます。中年期の男性には特にオススメです。
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昭和27年の鉱山を舞台に、地下牢からの不可解な脱獄、それに続く連続殺人を二人の探偵が解決していく、と言う話です。文章はユーモアミステリーのタッチで読み易いですが、事件は犠牲者も多いし結構猟奇的であり多少違和感も感じます。また、時代を考えると使う言葉もおかしくないのか?と思いましたが、これは最後で納得出来ました。デビュー作らしく色々詰め込んでありますが、なかなか雰囲気も謎解きも良かったと思います。エピローグまで十分楽しめましたので、探偵小説ファンにオススメです。
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マレーシアで起きた密室殺人。そこから連続殺人へと発展して行きます。タイムリミットが迫る中、次々と起こる事件をどう解決するのか、緊張感があり面白かったです。正直メインの密室トリックは、いまひとつピンと来なかったですし、現地警察や事件関係者がべらべら何でも話すのは、そうで無いと推理出来ないとは言え不自然ですね。ただ、全編を通じて異国情緒あふれる情景描写は美しく、実際にマレーシア旅行をしている様でとても良かったです。日本推理作家協会賞受賞作で、かなりの力作であるのは間違いありませんので、本格推理がお好きな方にはオススメです。
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作者の熱量に圧倒されました。作中作で(それだけではなく他の人の話なども混じり結構ごちゃごちゃしていますが)50年の時間、空間を行き来します。過去、現在の両方で不可解な事件が相次いで起こり、どう決着をつけるのか終盤まで全く分かりません。それぞれ明らかにされていく真相には、少し物足りないトリックも含まれますが、探偵小説としてはこう言った物を入れ込む事も必要だったのでしょう。過去の文章の部分で、自分には読めない漢字が沢山出て来るのに閉口しましたが、雰囲気は十分楽しめました。各ランキング上位であり、日本推理作家協会賞受賞作との事ですが、一般の方には決して勧めません。しかしこのサイトに来る様な方々なら読んでおくべき作品です。ぜひ挑戦して下さい。
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出だしから、同和、在日、身障者と背景は重い。よくこんな設定にしたな、と少しくじけそうになりますが、ここを乗り越えると後はぐいぐい引きこまれます。犯人、被害者、新聞記者、警察と複雑に絡む視点をスムーズに読ませる構成力はすごい。特に後半の緊張感はかなりの凄みがあり、感動のラストシーンも素晴らしいです。犯人達の今後をもっと知りたくなりました。個人的には、株取引の部分が、自分の知識不足で良く分からなかった点と、合田の心理描写にずっと共感出来ず、いらいらした所がマイナスでした。ただ私の好みは別として、未読の方にはぜひおすすめします。各方面から高評価なのもきっと納得出来るでしょう。
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これぞ島田荘司!というべき傑作じゃないでしょうか。この謎のメイントリック?と言うか、どうしてこうなったのか、という説明部分を読むと慣れない方はひっくり返って怒り出すかもしれませんが、これが島田荘司です。最高です。
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