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陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧

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レビュー数45

全45件 21~40 2/3ページ

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No.25: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

バラバラのようでバラバラでない。

西澤保彦氏のデビュー作であり、匠千暁らキャラクターが初登場の作品である。時系列で言うと次作以降は学生時代に戻るようです(本作は社会人であったり、大学生であったり)。次作以降が楽しみです。

9つから成る話はどれもバラバラ殺人に関するもの。よくこんなに思いつくなぁ、デビュー作でこんなにもバラバラ殺人ばかり書かなくても、と驚きを隠せません。特に最初の物語の真相については驚嘆しました。合理的理由を明確にしてくれます。
ともあれ、1つ1つの話を伏線にしてしまうあたりが凄まじいです。その伏線が面白いんですが、それが「解体諸因」の一部分に過ぎないとは。
解体諸因 (講談社文庫)
西澤保彦解体諸因 についてのレビュー
No.24: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

館シリーズの異端

今回はクローズドサークルじゃないのかと、その新鮮さを楽しみに思って読み始めました。実際、今作品は全く別物と考えても良いでしょう。シリーズのファンからすると納得いかない人が多いのも頷けます。ともあれ私は好きでした。おどろおどろしい雰囲気を醸し出した文章もさることながら、過去に何かを抱えていることをちらつかされ、これは一体何なんだ!?と興味を煽られました。

▼以下、ネタバレ感想
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人形館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫 あ 52-21)
綾辻行人人形館の殺人 についてのレビュー
No.23:
(7pt)

ほんとうにイヤミス

イヤミスと称される作品をいくつか読んできましたが、最も不快な気持ちにさせられた作品でした。まさにイヤミス!これは良くも悪くもそのようにしか言えません。小学生の自分を主張できない弱さに共感しつつも、その不甲斐なさに反発を感じもしました。面白さもあり、不快感もあるのが本作でした。

フジコは母に似ている。ここから展開が嫌でも読めてしまう。だけれども想像を超えて来る。よく練られた素晴らしい作品でしたが、計算が上手くいきすぎて気持ちも悪い。賛否の分かれることも想像に難くないですが、傑作であることには疑問の余地はないでしょう。
殺人鬼フジコの衝動
真梨幸子殺人鬼フジコの衝動 についてのレビュー
No.22: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

4人のパーティ

日本シリーズ目前に、東京タワーに登った監督が忽然と消えてしまう謎を追う本格ミステリ。野球を絡めているのが新鮮で面白かったです。
事件を推理するのは新聞記者達。4人の個性が際立っていて魅力的でした。よくあるのは探偵と、いてもせいぜい無能な助手役。探偵からの視点を避けるための役でしかないのがなんともつまらないことがありますが、本作は一線を画していました。

複雑な事件であり、所々に謎の会話が挟まるので少しわかりにくいです。読んでる途中はハテナだらけでしたが、最後にはスッキリするので憎めません。
鈍い球音―天藤真推理小説全集〈4〉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
天藤真鈍い球音 についてのレビュー

No.21:

銃 (新潮文庫)

中村文則

No.21:
(7pt)

共感しにくい

ある日、銃を拾った大学生の心情の移り変わりを描いた作品ですが、少し共感しにくい印象です。その要因は、まず銃に馴染みがない、それと主人公がかなり活動的で、怖いもの知らずなところ。
とはいえ誰しもこのような変化はあると思います。それが銃ではなくても。本作はそれが少し大胆です。とにかく人の心を丁寧に描いていてグイグイ引き込まれました。
銃 (新潮文庫)
中村文則 についてのレビュー
No.20:
(7pt)

今の幸せを見出したい

想像していた作品と全く違いました。「愛」について書いているのでしょうが、非常に広義で多義に感じました。純愛を描いているのではなく、どれも変化球な作品な印象です。
1番のお気に入りは「やすらぎの香り」です。とはいえ4つの短編全てが心に重く響きました。今ある幸せをしっかり噛み締めて、大切なものを大切にすることの意義や、何かを失くして初めてその大切さを認識することなど、外から俯瞰すると気付けても実際に自分のこととなると気付けないことに気付かせてくれる一冊でした。
あふれた愛 (集英社文庫)
天童荒太あふれた愛 についてのレビュー
No.19: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

大味でなくサッパリした本格派

所々で出てくる冗談が、わかる人が読んだら面白いのかわかりませんが、只々寒いだけで読むのしんどいなぁ〜とあまりのめり込めはしなかったのですが、事件とその解決だけを切り取ったらこれはなんとも素晴らしい!
とんでも無いような夢のある幻想的なトリックを使うのではなく、非常に現実的な内容でそれを論理的に導いて解決する様は見事でした。ヒントも所々に散りばめられているので、解決してしまう読者も一定数いるかもしれません。そこも好印象です。同じような作風なら次作も読んでみたいと思います。
体育館の殺人 (創元推理文庫)
青崎有吾体育館の殺人 についてのレビュー
No.18: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

時代を感じる。

収録されている全ての短編に満足しました。バリエーションが豊富で、どの作品も違った趣向の話だったので飽きずに読めます。「心理試験」や「芋虫」が特に気に入りました。

少し時代が古いので驚くようなことはたくさんあります。裁判で心理テストを証拠として機能させることには本当に驚きました。冤罪多そうだなぁと。

いろんな作家さんが彼の影響を受け、現在の探偵小説に踏襲されているのでしょうね。
江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)
江戸川乱歩江戸川乱歩傑作選 についてのレビュー
No.17:
(7pt)

ユーモラスなのかどうか

本サイトでは、「ユーモア・ミステリ」というタグか付けられていますが、私としては正直疑問に思います。ユーモアのある文が所々で出てきて思わず笑ってしまうことは否めませんが、それが前面に出てくるのではなく、本作品は決して軽い雰囲気で面白おかしく展開していく話ではありませんでした。私としては悲しみや憤りの方がより強く感じられました。

倒叙作品ですので、事件が起きるまでの背景に重点をおいており、偽のデュー警部が誕生するまでがとにかく長い。タイトルを忘れた頃にやっとミステリらしさが出てきます。偽デューの心理描写を排除し、事件の全貌がほとんど掴めないので自分で考えながら読む人にとっては非常に楽しいと思います。
偽のデュー警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫 91-1)
ピーター・ラヴゼイ偽のデュー警部 についてのレビュー
No.16: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

スピーディな展開

序盤は事件が起こるまでのダラダラとした内容が一切なく、物語が勢いよく展開されていくところは面白く、立て籠もりの緊迫感がよく伝わってきました。
そこから単純な主人公対犯人ではなくて三つ巴のようなところが新鮮ではありますが、それが弛緩した雰囲気を作っているように感じてダラけてしまいました。

そうは言っても全体としてコンパクトにまとめられて一気に読めますし、事件の背景や筋道立てられた理論もしっかり楽しめました。
仮面病棟 (実業之日本社文庫)
知念実希人仮面病棟 についてのレビュー
No.15:
(7pt)

99%の誘拐の感想

倒叙物として最初に犯人が明かされ、どうやって誘拐劇を成功させるのか、もしくは警察が逮捕するのか、先が気になりながらあっという間に読みました。
この作品が現実的なのかそれともSF色が強いのか、私にはわかりませんが、疑問を感じることなく非常に納得させられてしまいました。
99%の誘拐 (講談社文庫)
岡嶋二人99%の誘拐 についてのレビュー
No.14: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

百万ドルをとり返せ!の感想

外国作品なのにとても読みやすくスラスラと内容が入ってきます。海外物特有の日本人にはわかりにくい会話や習慣などがあまり気にならずに読めるのでオススメです。主要な登場人物も少ないので、覚えにくい洋名に悩まされることもありません。シンプルな設定に所々のジョークを楽しむ愉快な小説でした。

この作品の見所はどうやって百万ドルを取り返すのか、そしてどうしたら過不足なく丁度百万ドルを手に入れられるのか…
百万ドルをとり返せ! (新潮文庫)
No.13: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

沢崎にハマりそう

主人公のユーモアのある語り口が魅力的でした。シリーズを通して読みたくなってしまいました。様々な実名が出てくるので、時代を感じます。人が真剣に話しているときに、誰も彼もが煙草を吸う居酒屋スタイルは時代の文化か知りませんが…

話の面白さは文句なしなんですが、複雑すぎて頭が痛くなりそうな内容でした。登場人物はとにかく多いし、事件は複雑だしでスラスラとは読み辛かったです。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))
原尞そして夜は甦る についてのレビュー
No.12:
(7pt)

月の砂漠をさばさばとの感想

ページ数が少なく行間も広く取ってあり、絵まで挿入されていて絵本のような作品です。小学生でも読んで楽しめる内容でしょうし、大人が読んでもほっこりとした気分にさせてくれると思います。

さきちゃんの可愛らしさに温かい気持ちにさせられました。
月の砂漠をさばさばと (新潮文庫)
北村薫月の砂漠をさばさばと についてのレビュー
No.11: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

新たなヒーロー

最初に主人公が遺体を遺棄するシーンから始まり、本題である保険金殺人の弁護とどう絡んでくるのかワクワクしながら読めました。弁護士という職業に対して正義感の強い信頼できる人という偏見からか、少年犯罪を犯している御子柴へのある種の特別感を自分の内に感じました。彼が少年院に入院している間のストーリーが圧巻で、罪の意識やその贖罪への強いメッセージが受け取れました。裁判までの伏線はほとんど描かれていないので、そのシーンを著者は書きたかったのかなと。
贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)
中山七里贖罪の奏鳴曲 についてのレビュー
No.10:
(7pt)

マスカレード・ホテルの感想

刑事がホテルに潜入してまだ知らぬ犯人を逮捕しようと奮闘する様が手に取るように伝わってきました。警察の在り方やホテルの姿勢といったものかぶつかりながらも、事件解決のために協力する様子が緻密に描かれていたのが良かったと思います。一方で潜入捜査にもかかわらず終盤までの緊張感のなさは仕方ないとは思いながらもそこは物足りなく感じました。

途中から、主役である刑事とホテル従業員の2人の関係がジメジメと湿っぽくなってくるのが少し苦手でした。


マスカレード・ホテル
東野圭吾マスカレード・ホテル についてのレビュー
No.9:
(7pt)

大胆で独創的な発想

鮎田冬馬という黒猫館の管理人が書いた手記と、それを読んだ鹿谷と江南の行動がカットバック形式で展開されていきます。終盤には何となく真相を予想できましたが、それでも筆者の大胆で独創的なアイディアに驚かされました。それも理不尽な論理のゴリ押しではなく、よ〜く読めばしっかり気付けるところが良かったです。
黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
綾辻行人黒猫館の殺人 についてのレビュー
No.8: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

良くも悪くも裏切らない

一気に読みたくなる物語でした。読んでいるときは全く交わる予感のない2つの話がどうやって結び付くのか、とにかくそこが気になる!といった気持ちで溢れました。
多くの人が結末に気づいてしまったと言っているように、先が読めてしまうのが残念でした。最後まで引っ張らなくても…と思ってしまったのが本音です。謎を隠したいのか、読者に突き付けたいのか、その辺りのメリハリがもう少しハッキリしていると、より気持ちよく読めた気がしています。

ただ内容としては今まで読んだことのないような暗さと奇妙さを含んでいて、読んで良かった一冊です。
慟哭 (創元推理文庫)
貫井徳郎慟哭 についてのレビュー
No.7:
(7pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

伏線回収が見事!

ネタバレにならないように書くと、過去を振り返りながら事件の真相を語り合う構成が良かったです。ほんのわずかなヒントが与えられ、続きを読めばその真相がわかる形で、続きが気になり読む手が止まりませんでした。

ところどころで謎が残りますが、最後には全て解けるので読みながらスッキリしていきます。叙述トリックも混ぜられていて楽しい作品です。爽やかな気分になれるミステリーだと思います。

▼以下、ネタバレ感想
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ソロモンの犬 (文春文庫)
道尾秀介ソロモンの犬 についてのレビュー
No.6:
(7pt)

望郷の感想

瀬戸内海に浮かぶ島の人々が、人とのつながりに悩みを抱えた物語の短編集です。それぞれの話は、大人になった主人公が、過去と現在を並行させて語りながら進行していきます。最初に気になる一言を残して、過去を振り返りながら徐々にその謎が解けていきます。著者のスタイルとしては珍しいのではないかと思います。
短編なので伏線を張るのも難しいとは思いますが、ところどころで驚かされてしまいました。
望郷
湊かなえ望郷 についてのレビュー