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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへ書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.11pt |
レビュー数424件
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粘膜シリーズ第三弾。 戦時下を舞台に山奥でひっそり暮らす兄弟とカフェで女給として働く一人の美女。三角関係の恋路は戦争をきっかけに大きく動き出す。ナムールへの出向命令、現地で出会う爬虫人、そして時折現れる黒い影の正体は何なのか? ホラー、グロテスク、SFそしてラブロマンスを加えた物語はとんでもないラストへ。 まともな話だと思ったんですよね途中までは、そしたらいきなり異空間から黒い影があらわれるんだからびっくりしちゃう。河童と蜥蜴はまだ説明がつく存在だったんですけど今回はいよいよ分からない。そして舞台はまたもや戦時下最前線のナムールへ、話もぐちゃぐちゃだし体もぐちゃぐちゃになったところで盛大なネタバラシ。 |
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落ち目のミステリー作家・神岡は別荘に訪れた愛人を突発的に殺してしまう。 原稿をもらいに別荘に来ていた担当編集の里子はその突発的な殺人を本格ミステリ作家にあるまじきセコい殺人だと糾弾する。 斯くして平凡な死体を曰く付きの殺人現場に飾り立て、ミステリ作家らしい殺人事件に仕立てることになってしまった。 不謹慎な遊び心は思いもよらない結末へ!! 何の変哲もない死体を密室に入れ、見立て殺人らしい装飾を施し、本格ミステリらしく探偵を呼び寄せる。ストーリーとしては死体を弄ぶような不謹慎な内容だが、そもそも全体を通してギャグテイストで話は進むのであまり気にならない。そしてラストは霞流一さんらしく大破局。 |
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謎の数字の羅列、そのメールを受け取った人は自殺する。 地元に広がる奇妙な噂。高校生の津田楓は目の前で親友が地面に潰れるのを見る。 傍らに握られた携帯には例の数字。やがて津田楓は死んだはずの親友の声を聴くようになる・・・。 長江俊和さんのデビュー小説「ゴーストシステム」の改題。 数字の羅列が書かれたメールが自殺のトリガーになっているという都市伝説要素。そしてその数字の羅列の意味を探る暗号要素。そして死者の声が蘇り、死後の世界を主張してくるオカルト要素。久々にがっつりホラーでしたね。 |
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怪しげなチラシが空から降ってきた大学生の春。屋上から下界を見下ろす彼女に僕は惹かれていた。 放火、窃盗、殺人、襲ってくる非日常にチラつく地球平面委員会の存在。彼らにとって僕は一体何者? 奇才・浦賀さんから飛び出した超次元ミステリ。1行で片付くネタを丁寧に200頁に引き伸ばしてみせた。決して最後から読むなよ! |
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「おれの殺人を言葉で止めてみろ」 太陽新聞社に送られてきた一通の手紙。それは連続殺人犯からの告発文だった。紙面を通しての犯人との会話に世間は賑わい、報道は利権を含み過熱する。殺人犯ながら倫理、道徳、悪、正義を説く犯人の真の目的とは・・・。 主人公が結構おじさんなんですよね。だから玉木宏がキャストで若すぎだろおいおいと思ったんですけど玉木宏現在42歳でしたね。若すぎるって!! 今作の舞台は新聞社です。自分はもう何年も購読はしてないな。犯人と記者の紙面を通したぶつかり合いにメディアは加速し、世間は熱狂します。殺人犯はあくまで知識人であり頭脳戦のような一面も覗かせます。ただの殺人ではありません態々討論にもちこんでるのですから。 |
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タンポポを遺体に添える連続殺人が発生した。それはある事件の模倣、正確にはタンポポではなく菊だったが一人の探偵によって終結した物語。それに気づいた一人の刑事は執拗に探偵の過去を付け狙う。 少女は祈りを捧げていた。自身の行った罪に向き合い、どのような罰が自分に相応しいかを考えていた。小学生にて連続爆破事件を引き起こした彼女を警察に促したのはあの探偵だった。 探偵の右腕は不死身だった。その生命力を生かして幾つもの難事件を力を持って解決してきた。彼に生きる意味を与えたのは紛れもなく彼女だった。 この作品に探偵はいない。だが誰もが彼女のことを思っていた。佐藤誠に引導を渡した“月島凪”という名探偵を。 舞台を遠海市にする一連のシリーズだ。連続殺人犯・佐藤誠を警察に突きつけた名探偵・月島凪に触れる。だが探偵自身が出てくることは無い。ドン・キホーテのドゥルシネーアのように思われるだけの存在なのだ。 推理あり、サスペンスあり、バトルありの超絶エンターテイメントだ。舞台を同じくする作品群なのにどうしてこうも多種多様な面白みを出せるのか。最期の展開にはどきりとする。次は絶海の孤島で会いましょう。 |
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知らない部屋で目覚めた。 正確には僕が昨日眠りについた部屋だったが装飾が変わっていた。鏡に映る自分の姿は明らかに女で僕は昨日までは男だったはずだ。玄関の新聞の日付は昨日から5年後を示している。「篠井有一」は5年後の部屋の住人に意識が移っていた。 すごい設定だろう?朝起きたら性別が変わっていて、タイムスリップもしていたんだ。それでいて場所は変わってない。意識だけが未来の同じ部屋の住人へ飛んでしまったとしか思えない状態だ。この非現実的なSFをどうミステリーとして論理的に帰着させるのかがこの作品の見所であろう。 終盤の種明かしは複雑を超えて「僕を殺した女」に関する論文のようだ。今作品の出来事は一言で語るにはあまりにも多くの魂胆が入り組みすぎている。とどのつまりたった一行で全てが解決する本が好みならそっちを読んでいたほうが幸せだろう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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津和野でのバスツアーで起きた火災、被害者の一人が暴行を受けて病院にて墜落死した。被害者のベッドと体内からは二種類の血液型が見つかる。犯人のパターンはたったの数種類か?真実に近づこうとしたときまた一人容疑者が殺された!! 下北に続く殺人者シリーズの第二弾です。津和野のバスツアーを発端に陸中海岸や広島にまで飛ぶちょっとしたトラベルミステリーのような趣があります。この時代の作品、無駄に地名を推してきますよね。あんまり津和野は関係なかったかな。 容疑者の一人である男の姉が主人公として探偵役なのですが、超素人一般人です。というか十津川警部がいたら一瞬で解決したと思う。それぐらい底の浅い事件であった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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友人とゲイパレードを見に来ていた菱屋修介に突如その轟音は響いた。空から無数の天使が舞い降り終末の喇叭を吹いている。地面は大きく揺れ、高層ビルは軒並み倒れた。どこからともなく炎に包まれた巨石が降ってきて、裂けた大地から人の顔を持った飛蝗が這い出てきた。人々の悲鳴が聞こえる。眼の前で友人は体を分断された。 「月へ行こう」 菱屋修介はそっと目を閉じる。現実から逃れたいときはいつもこうしてきた。幼少の時から積み上げてきた妄想の世界は自由自在だった。月世界の男が話す世界の理、神々との対抗。それは「言葉」の争奪戦だった。 SFといわれると困ってしまう作品だ。なにせ人と神のガチンコ対決なのだ。創世記のバベルの塔に着想を得ていて、神々が人類から言葉を奪ったのは神々でもコントロールの出来ない人類の発明故と語られる。言葉の普及を神は恐れている。そして打倒神における最重要武器が「ニホンゴ」だというのだ。 破茶滅茶な粗筋からは想像できない冒険譚。菱屋修介が再び目を開けたとき、目の前に広がるのは神々の残虐なのか否か。 |
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「これから死のうという人間の肉声を纏めて、一冊の本にしようというんだからな」 三津田信三の元へ舞い込んだ一つの企画。立案したライターは消息を絶った。そして遺言のようにテープが送られてきた・・・。 怪談を文字に起こして一冊の本にする。この「怪談のテープ起こし」という小説が私達に届けられるまでの紆余曲折に触れるメタフィクション的な作品である。完全にホラーなので全貌が見えないまま終りを迎える。慄然とするか釈然としないのかは読者次第か。 |
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月ノ森医院の御曹司・雪麻呂はその権力を笠に着る傍若無人な初等生である。同級生二人を招き自慢するものは医院の地下施設、死体を実験用に保存する惨憺たる光景だった。そして、もう一つのおぞましい光景。それは雪麻呂の世話人である富蔵という者、彼の頭は蜥蜴であった。 粘膜シリーズ第二弾。角川ホラー文庫の上梓ながら推理作家協会賞を受賞した異色作である。年代は特に明言されていないが前作同様に戦時中のようだ。そして爬虫人という頭がトカゲの生物が受け入れられている。この奇天烈な設定をさも当たり前に展開するのも前作同様だ。 とにかく繋がりの見えない事象の連続で第二章を終えて、どのように風呂敷を畳むのか心配になってしまうぐらいだった。そしてラストの一撃、もうミステリー調とはかけ離れた作風過ぎてフェアとかアンフェアとかの領域を超えている。 |
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トップアイドルを目指した少女は夢半ばにして倒れた。人としての彼女は終わった。しかし偶像としての彼女は終わらなかった。自分を意識してくれる物がいる限り彼女は止まらない。グチュグチュになる、億の年が流れる。最期のアイドルである彼女の到達した「アイドル」とは。 もはやぶっ飛びすぎてSFというよりファンタジー。百合テックグロテスクサバイバルファンタジーマシマシって感じ。アイドルだったりソシャゲだったり声優だったりサブカル色が強い。それもそのはずもともと表題作は同人二次創作である。そうしたポップな要素の中に肉体が貪られるようなバイオレンスが共存してるのが面白い。小林泰三や平山夢明とかが好きならオススメ。そして彼らにはない味わいがある。 |
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ハヤカワ文庫から出てる小林泰三の短編ですね。レーベル通りSF寄りの作品が多めです。 後に失われた過去と未来の犯罪 や 記憶破断者になるような記憶の扱いが見られファンには嬉しい作品かもしれない。ミステリーとしては、重力が無いのが普遍的な未来の世界で実は重力のある地球が舞台でしたという叙述トリックを成立させたい文学少女の話が面白い。彼女らにとっては血が吹き出たら球体になるし、ジャンプをしたら落ちてくることは無いのだ。 |
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くだらないことに全力を。 真面目な作品も書いてること知ってるからなお面白いわ。タイトルからしてふざけてるんだし、アホバカって書いてるし、これが保険調査員・小野由一の事件簿とかだったら怒られるかもだけど。 |
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中学生の冬野ネガは同級生殺害を認めるものの、動機については黙秘した。一見自殺とも思える現場で頑なに少女は殺人を主張する。 十二月六日、冬の廃墟での夜、彼女たちに何があったのか。子供の貧困問題をテーマに少女たちの希望と破滅を描いた社会派小説。 創作の世界ぐらい希望を持ちたいと思うんですけどね。タイトル通りの内容です。 貧しい中学生の主張する希望のない未来を生きる価値。それに対して健全に子供時代を過ごしてきた大人たちに説き伏せるようなアンサーは出ない。きっと日々読書に時間を費やせるような読者自身も冬野ネガにかける言葉は見つからないだろう。そして冬野ネガすら至らなかった裏の真相、それぞれの当事者しか分からない複雑な思惑がラストにミステリーへと昇華した。 |
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「あたしの家は鬼畜の家でした。」 夫を殺し、娘を殺し、金の為に数多の犯罪を繰り返した母親。しかし、その母親の最期は唯一溺愛していた息子との心中でした。 生き残りの末娘が語る壮絶な家庭環境。母は自分から死を選ぶような人間じゃないとの証言。「鬼畜」を死に至らしめた衝撃の正体が明らかになる・・・。 著者のデビュー作品ですね。東大卒の元弁護士なんて聞いたらどんな理屈っぽいミステリを出してくるんだと身構えちゃいそうですが、この作者はかなりミステリのエンターテイメント性を重視してくれる。消人屋敷なんてもうごりごりの館物だし。また一人お気に入りの作家が増えました。 |
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「弟を殺そう」 異形の体躯を持つ末弟はその力を持って暴虐の限りを尽くす。最後の頼みの父親までもが屈服し、兄弟は森の奥に住むある者に弟の殺害を依頼しようとするが・・・。 ホラー、グロテクス、そして妖怪、粘膜というタイトルが印象的な湿っぽいホラーだ。時代設定が思ったよりも古く、偏向的な価値観が暴力や陰湿さを加速させる。そして其の時代に本当にいたのだろうか、ある都市伝説めいた生物が登場する。先が気になり続ける作品であった、どこまで行っても粘膜の海に暗く沈んでゆくのに。 |
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卒業式へ向かう途中、目が覚めると暗い部屋に貼り紙がありました。 “ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ” ドアを開けるたびに卒業生が一人倒れています。無限に続くドアと無限に増え続ける少女達。残虐か繁栄か、少女たちの永遠なる建国史。 SFです。しかもかなり特殊かつ斬新な物語。なぜ卒業試験を行うかは分かりません。数式を満たした先は分かりません。どのような仕組みで部屋が続いているかも分かりません。調べることに意味は無いのです、生きるためにはドアを開けて卒業生という名の物資を手にしなければならないのですから。これは理不尽かつ残虐なるルールな中で少女たちが一から作り出す組織、街、国への進化とその過程。 |
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〇〇してはいけない!!海沿いの街を舞台に起こるいくつかの事件。テキストで語られなかった真相は最後の写真を以て明かされる!? 流石は道尾さん。複数の解釈を写真を用いて一つに収縮させるストーリングはお見事。 |
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