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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数86件
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粘膜シリーズ第三弾。 戦時下を舞台に山奥でひっそり暮らす兄弟とカフェで女給として働く一人の美女。三角関係の恋路は戦争をきっかけに大きく動き出す。ナムールへの出向命令、現地で出会う爬虫人、そして時折現れる黒い影の正体は何なのか? ホラー、グロテスク、SFそしてラブロマンスを加えた物語はとんでもないラストへ。 まともな話だと思ったんですよね途中までは、そしたらいきなり異空間から黒い影があらわれるんだからびっくりしちゃう。河童と蜥蜴はまだ説明がつく存在だったんですけど今回はいよいよ分からない。そして舞台はまたもや戦時下最前線のナムールへ、話もぐちゃぐちゃだし体もぐちゃぐちゃになったところで盛大なネタバラシ。 |
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謎の数字の羅列、そのメールを受け取った人は自殺する。 地元に広がる奇妙な噂。高校生の津田楓は目の前で親友が地面に潰れるのを見る。 傍らに握られた携帯には例の数字。やがて津田楓は死んだはずの親友の声を聴くようになる・・・。 長江俊和さんのデビュー小説「ゴーストシステム」の改題。 数字の羅列が書かれたメールが自殺のトリガーになっているという都市伝説要素。そしてその数字の羅列の意味を探る暗号要素。そして死者の声が蘇り、死後の世界を主張してくるオカルト要素。久々にがっつりホラーでしたね。 |
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怪しげなチラシが空から降ってきた大学生の春。屋上から下界を見下ろす彼女に僕は惹かれていた。 放火、窃盗、殺人、襲ってくる非日常にチラつく地球平面委員会の存在。彼らにとって僕は一体何者? 奇才・浦賀さんから飛び出した超次元ミステリ。1行で片付くネタを丁寧に200頁に引き伸ばしてみせた。決して最後から読むなよ! |
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「これから死のうという人間の肉声を纏めて、一冊の本にしようというんだからな」 三津田信三の元へ舞い込んだ一つの企画。立案したライターは消息を絶った。そして遺言のようにテープが送られてきた・・・。 怪談を文字に起こして一冊の本にする。この「怪談のテープ起こし」という小説が私達に届けられるまでの紆余曲折に触れるメタフィクション的な作品である。完全にホラーなので全貌が見えないまま終りを迎える。慄然とするか釈然としないのかは読者次第か。 |
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くだらないことに全力を。 真面目な作品も書いてること知ってるからなお面白いわ。タイトルからしてふざけてるんだし、アホバカって書いてるし、これが保険調査員・小野由一の事件簿とかだったら怒られるかもだけど。 |
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「弟を殺そう」 異形の体躯を持つ末弟はその力を持って暴虐の限りを尽くす。最後の頼みの父親までもが屈服し、兄弟は森の奥に住むある者に弟の殺害を依頼しようとするが・・・。 ホラー、グロテクス、そして妖怪、粘膜というタイトルが印象的な湿っぽいホラーだ。時代設定が思ったよりも古く、偏向的な価値観が暴力や陰湿さを加速させる。そして其の時代に本当にいたのだろうか、ある都市伝説めいた生物が登場する。先が気になり続ける作品であった、どこまで行っても粘膜の海に暗く沈んでゆくのに。 |
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卒業式へ向かう途中、目が覚めると暗い部屋に貼り紙がありました。 “ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ” ドアを開けるたびに卒業生が一人倒れています。無限に続くドアと無限に増え続ける少女達。残虐か繁栄か、少女たちの永遠なる建国史。 SFです。しかもかなり特殊かつ斬新な物語。なぜ卒業試験を行うかは分かりません。数式を満たした先は分かりません。どのような仕組みで部屋が続いているかも分かりません。調べることに意味は無いのです、生きるためにはドアを開けて卒業生という名の物資を手にしなければならないのですから。これは理不尽かつ残虐なるルールな中で少女たちが一から作り出す組織、街、国への進化とその過程。 |
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私立百合ヶ原高校に残る「ユリコ様伝説」。それはユリコの名を持つものは不可思議な加護を受け、校内で圧倒的な権力を握れるというものだった。しかし、ユリコ様に選ばれる者は一人だけでその他の者は不幸が訪れるという・・・。図らずもユリコ様候補の一人になった矢坂百合子は途方に暮れるが、ユリコの死が段々と近づいてきていた・・・。 学園を舞台に理不尽な状況下に巻き込まれる様はホラーっ気を取り除いたAnotherといった形。ロジックと後半の真相は文句なしだが学生同士の会話の表現に難あり。 |
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死刑が廃止された日本で唯一生存している死刑囚・麻倉玲一。海外生活の長さから彼への知識、先入観を持たないフリーライターの熊沢克也に彼の伝記を残す白羽の矢が立つ。麻倉の収容されている民間経営の刑務所は絶海の孤島にありレーザーの檻など最新の警備システムを用いて最低限の人員で管理されていた。しかし、そこの管理に携わる面々はどうやら麻倉と因縁があるようで・・・。 まずタイトルのインパクトに目を引くだろう、信頼できない語り手という物語の外側のメタフィクション的な用語が使われている。これは読者と視点を同じくし地の文も一人称視点の作品等で主人公の発言や思想がどこまで信用できるかといった考えなのだが本作には特に関係はない。視点はライターの熊沢であり、熊沢に語りかける麻倉の過去の話が脚色めいているということで信頼できない語り手と言ってるに過ぎず、故にこの用語の語感だけで興味を抱いているのなら少々ご思案頂きたい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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最高で最良なノンフィクションのフィクションを。 あなたの人生の物語を主人公へと変えるフラッガーシステム。言動や行動のすべてがフラグとなりアニメのようなご都合主義をプレゼント。ひょんなことからそのシステムのモニターとなってしまった涼一は同級生の佐藤さんとの恋路を叶えるために紛争するが、些細なフラグがフラグを呼び佐藤さんの前に立ち塞がる数々の美少女たち。やがてシステムは感動の結末に向かって思いもよらない暴走を始める!! 上手いことが続きすぎると失敗フラグになるし、中々にフラグ立てというのは難しい。取り敢えず食パンをくわえて登校してみようか。 深夜アニメのご都合主義を再現するようなフラッガーシステムという世界観を舞台に主人公が意中の人へと邁進するさまを描く。しかしシステムが強すぎのか馬鹿なのか些細なフラグがまったく別の美少女を呼び寄せる。ご都合主義と理不尽は紙一重で佐藤さんとの距離は縮まるどころか離れていく。しかし主人公の立て続けたフラグと作者の仕込んだ伏線が後半に実を結び始める。コメディタッチで軽快な物語だが分量は多め。 |
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“今世紀最強の霊媒師”はインチキ霊媒師!? 霊を祓う力を持たない男はハッタリと洞察力を駆使して事件を解決に導いていくが・・・? 那々木悠志郎シリーズで人気を博した阿泉先生の新たな霊×ミステリーものだ。 さて今回の主人公だがインチキ霊媒師だけあってちょっと胡散臭い、かつ善人とも言い難い性格をしている。渋々巻き込まれた末にその優秀な頭脳を用い霊を成仏へと導いていく。そんな彼にもどうやら秘密が色々とあるようでシリーズを通してどうやら明るみになっていく謎がありそうである。短編形式でライトな書き口でありさらっと読めた。 |
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「暃」 一連の自殺者の躰に残された文字はJISコード5A73で表される出所不明の幽霊文字だった。読みや使用法の存在しないその文字が事件の鍵を握るとして刑事たちは様々な解釈を試みる。 自殺者はさらに連鎖し5人目の被害者が出た。自殺者の周りに出没していた怪しいヘッドフォンの男、その人物はあまりにも意外な人物で・・・。 幽霊文字という解釈自由の正解の無い多重解決。構成は自殺する前の自殺者の目線と事件を追う警察の目線の2つ。なぜ彼らは自殺してしまったのか、幽霊文字は誰が何のために付けたのか、最終章「始末」にて詠坂雄二とある人物によってこの作品の真の真相が明かされる。まぁ流石異端児らしい終わり方でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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刀城言耶シリーズの短編集。表題作の魔偶の如き齎すものは女性編集者との出会いの事件で面白い発想だったな。
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「ここにあるんは全部、忌物なんや。」 怪異に追われる女子中学生・由羽希が助けを求めた先は「遺仏寺」ならぬ「忌物寺」。お祓いの代償として怪談の文字起こしを手伝うはめになるが、その怪談話は床に散らばったある忌物に纏わるものだった・・・。物語の中で一体何が怨念の籠もった忌物だったのか?そして由羽希の感じる怪異の正体とは? 怪談内で何が災いを引き起こした忌物だったのかを当てるホラーミステリー。故に犯人や動機などは深く考慮しないので物語としては不完全な終わり方をする。それは由羽希自身も指摘することなのだが、怪談とはそうゆうものなのだと一蹴されてしまう。分からないから怖いのだと。 怪異譚としては怖さもあるし、何より忌物当てという斬新さに惹かれる部分もあったが主人公・由羽希にまつわる話については消化不良。 |
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急遽決めた奥只見への温泉旅行、それが悲劇の幕開けだった。 ホテルのロビーで見かけた彼女、それは2度と会いたくない因縁の女性だった。何か裏のある彼女、他人から恨みを買いそうな怪しげな雰囲気、嫌な予感が確信へと変わっていったときに不思議なことが起きた。スキーバスが転落事故を起こし多数の死傷者が発生、その中には死者として彼女も含まれていた。死因は絞殺だった。
改題前は奥只見温泉郷殺人事件。正直なところ温泉旅行も奥只見もあまり関係がない、改題はいつものように〇〇の殺意となった。プロローグにて「私」は誰かの仏壇の前で自殺した故人の日記帳を読んでいる。ここから事件を回想するように舞台は奥只見での殺人事件にシフトする。以降すべての章の最初に日記帳の一部が挿入され、本作は事件の犯人とともに日記帳の書き主が誰かという点がポイントになっていく。中町信氏らしいトリッキーな趣向が面白いが悲痛と呼ぶには強引すぎる展開だった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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井上夢人の色々あって世に出なかった短編を十編収めている。年代は90年代前半で統一されているが掲載雑誌がバラバラで純文学のようなキレイな作品もあればパズルをテーマにしたもの、近未来SFものなど様々な趣向が見られる。かなり短めの短編ばかりなので手軽に読めるのでファン方なら読んでみても良いだろう。 |
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真夏に雪が降ったあの事件の生き残り“如月烏有”。 彼は事件に関するすべての記憶を失い元の日常に帰りつつあった。 しかし、ある女性と絵との出会いによって彼の記憶の奥底に眠っているものが呼び起こされる。 気付くと烏有は灯油とライターを持って燃え盛る寺院を前に立ち尽くしていた。 導かれるままに放火を続ける烏有、だが現場には覚えのない死体が毎回転がっているのだった・・・。
夏と冬の奏鳴曲の主人公が記憶を失った状態で再び登場。炎を前に呼び起こされる謎の記憶、なにかを見透かしているようなタキシード姿の探偵、かつての恋人に似ている前衛画家、謎が謎を呼び烏有くんの正体はまた闇の中へ。続編というよりかはまた何か伏線を張られたような釈然としない話だった。特に続編出てないけど。 |
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ある女教師が自室で死んでいた。睡眠薬入りのチョコレート、世間を騒がす通り魔、匿名の通報、純真な彼女が抱える裏の顔、果たして彼女は殺されたのか? 断片的な手掛かりと想像を駆使して広がる素人探偵たちの推理の結末は・・・。
女性教師の死をその生徒や同僚といった素人探偵が推理していく推理合戦ものなのですが何か決め手にかける。その欠け落ちたパーツの意味と作者の仕掛けた企みに困惑することは間違いなし。 |
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毒の仕込まれたチョコレート製品を食べてしまった夫妻。夫は一命を取り止めるも夫人は死亡、しかもそのチョコレートは夫妻とは違う人物に贈られた代物だった。迷宮入り寸前警察が助けを求めたのは「犯罪研究会」の面々、斯くして風変わりな面々の推理合戦が始まった。 推理合戦ものの祖という古典中の古典。推理合戦といえば「ミステリーアリーナ」や「聯愁殺」など素人探偵たちが独自勝手に推理を披露しながら真相に進んでいく形式。本作は素人探偵ながら警察以上の捜査能力や人脈を見せつけ、迷宮入り寸前の事件のはずなのに新事実が出てくる出てくる。登場人物は被害者も含め貴人が多く、端々にお硬い感じが見られる。 |
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