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りーり さんのレビュー一覧

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レビュー数231

全231件 1~20 1/12ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.231:
(5pt)

粘膜兄弟の感想


粘膜シリーズ第三弾。
戦時下を舞台に山奥でひっそり暮らす兄弟とカフェで女給として働く一人の美女。三角関係の恋路は戦争をきっかけに大きく動き出す。ナムールへの出向命令、現地で出会う爬虫人、そして時折現れる黒い影の正体は何なのか? ホラー、グロテスク、SFそしてラブロマンスを加えた物語はとんでもないラストへ。

まともな話だと思ったんですよね途中までは、そしたらいきなり異空間から黒い影があらわれるんだからびっくりしちゃう。河童と蜥蜴はまだ説明がつく存在だったんですけど今回はいよいよ分からない。そして舞台はまたもや戦時下最前線のナムールへ、話もぐちゃぐちゃだし体もぐちゃぐちゃになったところで盛大なネタバラシ。
粘膜兄弟
飴村行粘膜兄弟 についてのレビュー
No.230: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

セコい殺人を本格ミステリへ!!


 落ち目のミステリー作家・神岡は別荘に訪れた愛人を突発的に殺してしまう。
原稿をもらいに別荘に来ていた担当編集の里子はその突発的な殺人を本格ミステリ作家にあるまじきセコい殺人だと糾弾する。
斯くして平凡な死体を曰く付きの殺人現場に飾り立て、ミステリ作家らしい殺人事件に仕立てることになってしまった。
不謹慎な遊び心は思いもよらない結末へ!!

 何の変哲もない死体を密室に入れ、見立て殺人らしい装飾を施し、本格ミステリらしく探偵を呼び寄せる。ストーリーとしては死体を弄ぶような不謹慎な内容だが、そもそも全体を通してギャグテイストで話は進むのであまり気にならない。そしてラストは霞流一さんらしく大破局。
フライプレイ!: 監棺館殺人事件 (ミステリー・リーグ)
霞流一フライプレイ! 監棺館殺人事件 についてのレビュー
No.229: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

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謎の数字の羅列、そのメールを受け取った人は自殺する。
地元に広がる奇妙な噂。高校生の津田楓は目の前で親友が地面に潰れるのを見る。
傍らに握られた携帯には例の数字。やがて津田楓は死んだはずの親友の声を聴くようになる・・・。

長江俊和さんのデビュー小説「ゴーストシステム」の改題。
数字の羅列が書かれたメールが自殺のトリガーになっているという都市伝説要素。そしてその数字の羅列の意味を探る暗号要素。そして死者の声が蘇り、死後の世界を主張してくるオカルト要素。久々にがっつりホラーでしたね。
禁忌装置 (角川ホラー文庫)
長江俊和禁忌装置 についてのレビュー
No.228: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

「あなたも信じてみませんか。地球が平面であることを。」


怪しげなチラシが空から降ってきた大学生の春。屋上から下界を見下ろす彼女に僕は惹かれていた。
放火、窃盗、殺人、襲ってくる非日常にチラつく地球平面委員会の存在。彼らにとって僕は一体何者?

奇才・浦賀さんから飛び出した超次元ミステリ。1行で片付くネタを丁寧に200頁に引き伸ばしてみせた。決して最後から読むなよ!
地球平面委員会 (幻冬舎文庫)
浦賀和宏地球平面委員会 についてのレビュー
No.227: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

コボちゃんよりののちゃん派


「おれの殺人を言葉で止めてみろ」
太陽新聞社に送られてきた一通の手紙。それは連続殺人犯からの告発文だった。紙面を通しての犯人との会話に世間は賑わい、報道は利権を含み過熱する。殺人犯ながら倫理、道徳、悪、正義を説く犯人の真の目的とは・・・。

主人公が結構おじさんなんですよね。だから玉木宏がキャストで若すぎだろおいおいと思ったんですけど玉木宏現在42歳でしたね。若すぎるって!!
今作の舞台は新聞社です。自分はもう何年も購読はしてないな。犯人と記者の紙面を通したぶつかり合いにメディアは加速し、世間は熱狂します。殺人犯はあくまで知識人であり頭脳戦のような一面も覗かせます。ただの殺人ではありません態々討論にもちこんでるのですから。


だから殺せなかった (創元推理文庫)
一本木透だから殺せなかった についてのレビュー
No.226: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

僕を殺した女の感想


 知らない部屋で目覚めた。
正確には僕が昨日眠りについた部屋だったが装飾が変わっていた。鏡に映る自分の姿は明らかに女で僕は昨日までは男だったはずだ。玄関の新聞の日付は昨日から5年後を示している。「篠井有一」は5年後の部屋の住人に意識が移っていた。

すごい設定だろう?朝起きたら性別が変わっていて、タイムスリップもしていたんだ。それでいて場所は変わってない。意識だけが未来の同じ部屋の住人へ飛んでしまったとしか思えない状態だ。この非現実的なSFをどうミステリーとして論理的に帰着させるのかがこの作品の見所であろう。
終盤の種明かしは複雑を超えて「僕を殺した女」に関する論文のようだ。今作品の出来事は一言で語るにはあまりにも多くの魂胆が入り組みすぎている。とどのつまりたった一行で全てが解決する本が好みならそっちを読んでいたほうが幸せだろう。


▼以下、ネタバレ感想
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僕を殺した女 (新潮文庫)
北川歩実僕を殺した女 についてのレビュー
No.225:
(4pt)

十津川警部のいない十津川シリーズみたいな


 津和野でのバスツアーで起きた火災、被害者の一人が暴行を受けて病院にて墜落死した。被害者のベッドと体内からは二種類の血液型が見つかる。犯人のパターンはたったの数種類か?真実に近づこうとしたときまた一人容疑者が殺された!!

下北に続く殺人者シリーズの第二弾です。津和野のバスツアーを発端に陸中海岸や広島にまで飛ぶちょっとしたトラベルミステリーのような趣があります。この時代の作品、無駄に地名を推してきますよね。あんまり津和野は関係なかったかな。
容疑者の一人である男の姉が主人公として探偵役なのですが、超素人一般人です。というか十津川警部がいたら一瞬で解決したと思う。それぐらい底の浅い事件であった。

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津和野の殺人者 (講談社文庫)
中町信津和野の殺人者 についてのレビュー
No.224: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

怪談のテープ起こしの感想


「これから死のうという人間の肉声を纏めて、一冊の本にしようというんだからな」
三津田信三の元へ舞い込んだ一つの企画。立案したライターは消息を絶った。そして遺言のようにテープが送られてきた・・・。

怪談を文字に起こして一冊の本にする。この「怪談のテープ起こし」という小説が私達に届けられるまでの紆余曲折に触れるメタフィクション的な作品である。完全にホラーなので全貌が見えないまま終りを迎える。慄然とするか釈然としないのかは読者次第か。
怪談のテープ起こし (集英社文庫)
三津田信三怪談のテープ起こし についてのレビュー
No.223: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

さようなら、地球


 トップアイドルを目指した少女は夢半ばにして倒れた。人としての彼女は終わった。しかし偶像としての彼女は終わらなかった。自分を意識してくれる物がいる限り彼女は止まらない。グチュグチュになる、億の年が流れる。最期のアイドルである彼女の到達した「アイドル」とは。

もはやぶっ飛びすぎてSFというよりファンタジー。百合テックグロテスクサバイバルファンタジーマシマシって感じ。アイドルだったりソシャゲだったり声優だったりサブカル色が強い。それもそのはずもともと表題作は同人二次創作である。そうしたポップな要素の中に肉体が貪られるようなバイオレンスが共存してるのが面白い。小林泰三や平山夢明とかが好きならオススメ。そして彼らにはない味わいがある。
最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)
草野原々最後にして最初のアイドル についてのレビュー
No.222: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

天体の回転についての感想


ハヤカワ文庫から出てる小林泰三の短編ですね。レーベル通りSF寄りの作品が多めです。
後に失われた過去と未来の犯罪 や 記憶破断者になるような記憶の扱いが見られファンには嬉しい作品かもしれない。ミステリーとしては、重力が無いのが普遍的な未来の世界で実は重力のある地球が舞台でしたという叙述トリックを成立させたい文学少女の話が面白い。彼女らにとっては血が吹き出たら球体になるし、ジャンプをしたら落ちてくることは無いのだ。
天体の回転について (ハヤカワ文庫 JA コ 3-3)
小林泰三天体の回転について についてのレビュー
No.221:
(5pt)

六枚のとんかつの感想

 
 くだらないことに全力を。
真面目な作品も書いてること知ってるからなお面白いわ。タイトルからしてふざけてるんだし、アホバカって書いてるし、これが保険調査員・小野由一の事件簿とかだったら怒られるかもだけど。
六枚のとんかつ (講談社文庫)
蘇部健一六枚のとんかつ についてのレビュー
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(5pt)

弟を殺す


「弟を殺そう」
異形の体躯を持つ末弟はその力を持って暴虐の限りを尽くす。最後の頼みの父親までもが屈服し、兄弟は森の奥に住むある者に弟の殺害を依頼しようとするが・・・。

ホラー、グロテクス、そして妖怪、粘膜というタイトルが印象的な湿っぽいホラーだ。時代設定が思ったよりも古く、偏向的な価値観が暴力や陰湿さを加速させる。そして其の時代に本当にいたのだろうか、ある都市伝説めいた生物が登場する。先が気になり続ける作品であった、どこまで行っても粘膜の海に暗く沈んでゆくのに。
粘膜人間 (角川ホラー文庫)
飴村行粘膜人間 についてのレビュー
No.219: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

n-m=1


 卒業式へ向かう途中、目が覚めると暗い部屋に貼り紙がありました。
“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ”
ドアを開けるたびに卒業生が一人倒れています。無限に続くドアと無限に増え続ける少女達。残虐か繁栄か、少女たちの永遠なる建国史。

SFです。しかもかなり特殊かつ斬新な物語。なぜ卒業試験を行うかは分かりません。数式を満たした先は分かりません。どのような仕組みで部屋が続いているかも分かりません。調べることに意味は無いのです、生きるためにはドアを開けて卒業生という名の物資を手にしなければならないのですから。これは理不尽かつ残虐なるルールな中で少女たちが一から作り出す組織、街、国への進化とその過程。


〔少女庭国〕 (ハヤカワ文庫JA)
矢部嵩〔少女庭国〕 についてのレビュー
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(5pt)

そして、ユリコは一人になったの感想


私立百合ヶ原高校に残る「ユリコ様伝説」。それはユリコの名を持つものは不可思議な加護を受け、校内で圧倒的な権力を握れるというものだった。しかし、ユリコ様に選ばれる者は一人だけでその他の者は不幸が訪れるという・・・。図らずもユリコ様候補の一人になった矢坂百合子は途方に暮れるが、ユリコの死が段々と近づいてきていた・・・。

学園を舞台に理不尽な状況下に巻き込まれる様はホラーっ気を取り除いたAnotherといった形。ロジックと後半の真相は文句なしだが学生同士の会話の表現に難あり。
そして、ユリコは一人になった (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
貴戸湊太そして、ユリコは一人になった についてのレビュー
No.217: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

「お返し」の旅

 
 野中杏、十七歳、結婚詐欺師に育てられた子供、騙された女性・ユキエと500万を持って逃避行中。
人を騙して得た金で育った私の下に騙された女が現れた。今まで育ててくれた詐欺師の叔父には感謝している、それでも目の前の女に「お返し」がしたいと思った。この旅は報復?それとも罪滅ぼし?年齢、価値観も違う凸凹の私達が目指すは幻の百合!!

 結婚詐欺師を育ての親に持つ女子高生・野中杏とその詐欺師に騙された30代女性ユキエの二人が500万円を持って夏の旅路をスタートするところから物語は始まります。常識に囚われないイケイケな杏、それに押し切られる形で巻き込まれた引っ込み思案のキヨエ、年齢は勿論価値観も正反対の二人は時に補い合い、時に衝突しながら無計画な道を進んでいきます。女性心理を中心に描いているがきっと男性でも共感できる部分がたくさんある。そして旅の終焉には吹っ切れた爽やかさが感じれることでしょう。

ペーパー・リリイ
佐原ひかりペーパー・リリイ についてのレビュー
No.216: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

百舌鳥魔先生のアトリエの感想


 妻が習い事を始めた。近所の前衛芸術家に弟子入りしたというのだ。
翌日、理解を示さない私の前に出された夕飯は数切れの刺身だった。ペットの熱帯魚の水槽の中では骨と内臓が剥き出しになった姿で魚が泳いでいる・・・

 小林泰三氏の短編集。年代がバラバラでかつ描き下ろしが二点。ホラーあり、バイオレンスあり、SFあり、書き口もかなり違う。
百舌鳥魔先生のアトリエ (角川ホラー文庫)
小林泰三百舌鳥魔先生のアトリエ についてのレビュー
No.215: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

Mの女の感想


ミステリ作家の西野冴子は旧友の亜美からタケルという恋人を紹介されるがどうも好きになれない。彼の過去の周りに見え隠れする殺人の影、そして冴子は自身に向けられた何者かの計画を自覚し始める。Mの女の意味とは一体・・・。

 タケルという軽薄な男、その背後にチラつく白石唯という女、ノンフィクション作家・泉堂莉奈、そしてミステリー作家・西野冴子、誰が何のために仕掛けた計画なのか?Mの女の「M」とは何を意味するのか?破綻ギリギリの物語はこれでは完結せず。

 

Mの女 (幻冬舎文庫)
浦賀和宏Mの女 についてのレビュー
No.214: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

麻倉玲一は信頼できない語り手の感想


 死刑が廃止された日本で唯一生存している死刑囚・麻倉玲一。海外生活の長さから彼への知識、先入観を持たないフリーライターの熊沢克也に彼の伝記を残す白羽の矢が立つ。麻倉の収容されている民間経営の刑務所は絶海の孤島にありレーザーの檻など最新の警備システムを用いて最低限の人員で管理されていた。しかし、そこの管理に携わる面々はどうやら麻倉と因縁があるようで・・・。

 まずタイトルのインパクトに目を引くだろう、信頼できない語り手という物語の外側のメタフィクション的な用語が使われている。これは読者と視点を同じくし地の文も一人称視点の作品等で主人公の発言や思想がどこまで信用できるかといった考えなのだが本作には特に関係はない。視点はライターの熊沢であり、熊沢に語りかける麻倉の過去の話が脚色めいているということで信頼できない語り手と言ってるに過ぎず、故にこの用語の語感だけで興味を抱いているのなら少々ご思案頂きたい。
 


 



▼以下、ネタバレ感想
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麻倉玲一は信頼できない語り手 (徳間文庫)
太田忠司麻倉玲一は信頼できない語り手 についてのレビュー
No.213: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

フラグを立てろ!!


 最高で最良なノンフィクションのフィクションを。
あなたの人生の物語を主人公へと変えるフラッガーシステム。言動や行動のすべてがフラグとなりアニメのようなご都合主義をプレゼント。ひょんなことからそのシステムのモニターとなってしまった涼一は同級生の佐藤さんとの恋路を叶えるために紛争するが、些細なフラグがフラグを呼び佐藤さんの前に立ち塞がる数々の美少女たち。やがてシステムは感動の結末に向かって思いもよらない暴走を始める!!

 上手いことが続きすぎると失敗フラグになるし、中々にフラグ立てというのは難しい。取り敢えず食パンをくわえて登校してみようか。
深夜アニメのご都合主義を再現するようなフラッガーシステムという世界観を舞台に主人公が意中の人へと邁進するさまを描く。しかしシステムが強すぎのか馬鹿なのか些細なフラグがまったく別の美少女を呼び寄せる。ご都合主義と理不尽は紙一重で佐藤さんとの距離は縮まるどころか離れていく。しかし主人公の立て続けたフラグと作者の仕込んだ伏線が後半に実を結び始める。コメディタッチで軽快な物語だが分量は多め。


フラッガーの方程式 (角川文庫)
浅倉秋成フラッガーの方程式 についてのレビュー

No.212:

変な家

変な家

雨穴

No.212: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

雨穴さん本人がいないとね


 動画であげられた間取りの謎に後日談として新たな謎を取り込んだ解決編。会話形式でテンポよく進み、図解付きで分かりやすい間取りは謎解き小説としては小気味よいがホラーとしての側面は文章化に伴って失われてしまったな。怪しさという点は動画に大きく劣る。映画化に期待。
変な家
雨穴変な家 についてのレビュー