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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数42件
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中学生の冬野ネガは同級生殺害を認めるものの、動機については黙秘した。一見自殺とも思える現場で頑なに少女は殺人を主張する。 十二月六日、冬の廃墟での夜、彼女たちに何があったのか。子供の貧困問題をテーマに少女たちの希望と破滅を描いた社会派小説。 創作の世界ぐらい希望を持ちたいと思うんですけどね。タイトル通りの内容です。 貧しい中学生の主張する希望のない未来を生きる価値。それに対して健全に子供時代を過ごしてきた大人たちに説き伏せるようなアンサーは出ない。きっと日々読書に時間を費やせるような読者自身も冬野ネガにかける言葉は見つからないだろう。そして冬野ネガすら至らなかった裏の真相、それぞれの当事者しか分からない複雑な思惑がラストにミステリーへと昇華した。 |
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隔絶した世界は強固な繋がりへ。独創的な着眼点と圧倒される着地点、距離・時間・愛・倫理を現実から大きくジャンプした先に見える世界。伴名練さんのSF短編集、文句なしの傑作集だったな。 |
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公園の池で発見された少年の溺死体。悪童3人組によるイジメの結果と疑われるが影の薄い少年の事件は未解決のまま時が過ぎた。それから10年後、少年の幼なじみを名乗る男が3人の前に現れる。事件の真相を暴こうとする者と隠そうとする者の攻防、三角形の悲劇の始まり。 冒頭で度肝を抜かれる。この「デルタの悲劇」は作家・浦賀和宏の遺作であり、不慮の事故で命を落とした息子の代わりに母親が上梓したのだという。無論この作品の発表段階では現実の浦賀氏はご存命であるから、この作品は浦賀氏が生前に自身を故人として扱い遺作という形をとったフィクションの物語である。この作品から2年後に本当に亡くなってしまうのだから何とも不思議な感覚である。 そのようなわけでこの作品は浦賀氏が悪童3人を追い、真実の究明のために残したデルタの悲劇という作中作品である。トリックてんこもり、超絶技巧、最後の一行を作者とともに忘れることはないだろう。 |
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スキー旅行に乗じて、美雪との偽装遭難エッチプロジェクトを企む金田一。迷い込んだ雪山のロッジではパソコン通信でやり取りしている面々の初のオフ会が行われていた。本名も経歴も分からず、ハンドルネームで呼び合う彼らに迫る怪人<トロイの木馬>の正体とは!? 文句なしの金田一少年最高傑作。アニメも良かったがパソコンを通した文通表現と登場人物のハンドルネーム表記、そして多くの秘密を抱えた内なる心理描写は小説という体の方が有利に働いてると思う。 |
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自身と同じ容姿、行動を取るもう一つの存在「バイロケーション」。 いつの間にか顕れ、そして消えていく自分のコピーを目の当たりにし恐怖に怯える主人公・忍。 突然訪れた日常の破綻に手を差し伸べてきたのは同じくバイロケーションに悩まされる人達で組織された「会、彼らはバイロケーションの存在の抹消を目指していた。 自身とは別の二重存在をテーマにしたSF小説であるとともに、不気味な存在を示したホラー小説である。 そして「会」という謎の存在、彼らはバイロケーションに対して志同じはずなのだが・・・? SF、ホラー、ミステリどれをとっても面白い傑作。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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十数年ぶりに故郷の村へ帰ってきた井邑陽介。 旧友との再会を喜ぶ一方で憧れだった霧絵という少女の死を知る。 そして村を最近賑わす殺人事件、全身の骨が折られたその死体は人間の為せる業だったのか・・・。 幽霊の出現、黒装束の巫女、かつて村にあった神社信仰、この村で何かが起ころうとしている、、、陽介たちの前に突如現れた那々木悠志郎の下す推理は。 めでたくシリーズ化になりました怪異収集家・那々木悠志郎による第二作。 焦点は人間の呼び起こした異形は人間で対処できること。 幽霊や怪異が明確に顕現しているこの世界でそれらに帰っていただくには正しい知識で立ち向かう、その為に必要なのが過去に何があったのかという怪異譚なのだと。 本作はあくまでホラーである、少なくともロジックを以て結末を推理するような小説ではない。 しかし伏線によって結ばれるラストの展開にはどんでん返しホラーの受け売りに恥じない満足感を得られるだろう。 |
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裏社会での失敗、それが地獄の始まりだった。 殺し屋専門の食堂に売り飛ばされたオオバカナコ。 9人目のウェイトレス、8人目はこないだ死んだという。 一触即発、裏世界の人間たちとの危険な交流。 あぁ面白い。 血みどろのグロテスクに対しての洒落た登場人物達、そこに紛れる一般人大馬鹿な子。 生きる意味も未練も失くした彼女は奈落での出会いで何を見出しどこに向かっていくのか。 痛快、爽快さでお腹いっぱいになれるエンターテインメントだった。 |
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目が覚めると僕は小林真だった。
前世で大きな罪を犯した僕は自殺した冴えない中学生・小林真に乗り移り甦りの修行を行う。 他人の器で過ごしながらも次第に小林真という人生に戸惑い、怒り、そして楽しさを見出していく僕。 前世の罪に気付き人生を取り戻せるのか・・・。 自殺してしまうような境遇の中学生を追体験し、青年特有の悩みを客観的に描いている。 いじめだとか絶望だとかはっきりとした言葉では表せない、誰にも相談出来ない自分でも分からないグレーな感情が他人である僕によってカラフルに変わっていく。 そして自分自身の犯した罪に向き合い、僕が前世で起こした罪を告白する、、 重たいテーマに対して、軽い掛け合い間延びしない展開、シャープな結末。 |
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裁判官の梶間勲は証拠不十分として死刑も視野に入る殺人容疑者に無罪判決を下す。 己の正義の下で揺るぎない判断をしたと自負する彼だったが二年後無罪を言い渡した男が隣家に越してきた。 じわじわと勲の周辺で何者かの悪意が迫る、、、安全圏から事件を判断してきた彼に降りかかる火の粉は如何に・・・。
舞台は梶間家、勲の両親と息子夫婦の三世帯家族の隣家に元容疑者武内真伍が越してくるところから始まる。 善良な隣人なのか或いは殺人鬼なのか武内氏の正体を追っていく形で物語は進行していく、600ページ弱の分量ながら24に及ぶ細かい章立て息つかせない展開の連続は流石は高評価作品。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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この映画はきっと、とても面白いのだ。 |
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闇金融から友人を救い出すため、大金を用意しろ! ATMを騙す偽札造りに奔走する主人公たち、一世一代の大博打は成功したように思えたが・・・。 更なる強敵と力強い味方、壮大な復讐計画、お金と一緒に人生を取り返せ!
真保裕一初読みです。 ヤクザとのスリリングな攻防、犯罪に人生を賭けた仲間達の団結、意外なラスト。 初めてがこの作品で良かったです♪ 星は8つ。 |
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上巻にて作中作「カササギ殺人事件」著:アラン・コンウェイが展開される。 クリスティのオマージュのような英国古典ミステリはラストに大きな謎を残し・・・。 下巻にて「カササギ殺人事件」を読み終えた編集者の私はアランの残した謎と現実世界での事件の解決を試みる。 古典と現代の上下巻のミステリの結末は・・・? 一粒で二度美味しいです。 結構バカなことやってます。 ★は8つ。 |
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砂漠の国ジャリーミスタンは他国から死刑囚を預かり、代わりに処刑することで外貨を獲得してきた。 死刑囚が集う終末監獄で不可解な事件に遭遇する青年と老人。 何故死刑執行前夜に殺されなければならなかったのか、何故態々不利なタイミングで脱獄を企てたのか、死に限りなく近い閉鎖状況下で起こる事件は常識に則っては解決しない・・・。 終末監獄を舞台にした連作短編集。 随所に逆説が施され、犯人の起した迂遠的な手法に迫る。 そして最後を締めくくるエピソードは予想もしえない終結を迎えるのだった。 ★は8つ。 |
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昭和のいつ頃か、代々と山神であるカカシ様を崇め奉ってきた神々櫛村。 村に残る因習を神秘の儀式と捉える者、唾棄すべき宗教と捉える者、そして怪異すらも解釈の一つとして現象として捉える幻想作家である主人公、様々な視点と思惑で展開される物語は果たして人間の犯した罪か或いは魑魅の下した罰か・・・。 ホラーとミステリーの融合、最期に残っているのはどちら・・・? 刀城言耶シリーズの一作目。 時代設定、主人公の性格と金田一シリーズに近しいものが感じられます。ですが本作の最大の特徴はホラーとミステリーの混沌、推理の範囲を非現実的な解釈にまで広げてラストまで怪異の存在と恐怖を味わえます。 そしてホラーなのかミステリなのか、人か妖かの選択からあのクライマックスは予想外、また面白いシリーズを見つけてしまった。★は8つ。 |
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精神科医・伊良部シリーズの第二作。 「ハリネズミ」「義父のヅラ」が破天荒さ、エンドの爽やかさが素晴らしい。 その他も申し分なしでシリーズでは突出した出来になってると思います。 ★は8つ。 |
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烏賊川市シリーズ4作目。 タイトル通りの交換殺人もの、、、と思いきや、、
とにかくさくらちゃんが可愛い、うん。 ユーモラスミステリの第一人者となった東川氏、その域はユーモラスで伏線を覆い隠すとこまで来た!!! |
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警視庁いきもの係シリーズ4作目。 ピラニア、クジャク、ハリネズミの三編。 遺伝子に従い本能のまま素直に生きる動物たちに比べ、人間のなんとも言えない機微で犯罪を犯す愚かしさよ。 そしていきもの係についに新メンバーが、敬語じゃない薄巡査新鮮です。 動機という点に注視してほしい三編でした、★は8つ。 |
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