■スポンサードリンク
りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数424件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
六体の地蔵の首が何者かに切断された。 捜査員魚間岳士と住職の風峰は首の行方を追い始めるが、発見された地蔵の首の近くには意味深な死体があるのだった・・・。 霞流一の連作短編集。 成程これはバカミスに片足を突っ込んでいるかもしれない。 魚間と刑事たちによる多重解決が見物で大胆な推理の連続はバカらしいながら本格推理の妙を持っている。 ★は5つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
東北で地震が発生した。 ボランティアバスに乗り込むは就活を控えた大学生、震災地に何かを想う会社員、一人でやって来た女子高生、何かから逃げる男、崩壊した都市で人々は何と出遭い何を想うのか、最終章に驚嘆すべき仕掛けが光る!! なんてこった!! ボランティアをテーマにした被災地ミステリーと軽い気持ちで臨んだら・・・これは中々・・・。ミステリーとしても勿論面白いですし、被災地でのボランティア活動への考察・是非についても興味深いことが書かれています。 ボランティアは素晴らしいことだと思うし、被災地まで足を伸ばす行動力は中々真似できることじゃないです。 でも行動する前に少しだけでもいいから立ち止まって自身の行為が本当に必要なことなのか、勇み足ではないのか確認してほしい。 生半可な準備や気持ちでは逆に迷惑な存在になってしまうかもしれないのだから。 そしてミステリを読む時も・・・死なないミステリだ、ユーモアミステリだ、と慢心してはいけない、巧妙な仕掛けを乗り過ごしてしまうかもしれないから・・・。 ★は7つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
放送禁止シリーズの映像作家である長江俊和によるモキュメンタリー。 作者である長江俊和自身が出版禁止になったルポルタージュ記事を入手し、それを公開したという体をとっている。 記事の内容はジャーナリスト若橋呉成が心中事件の生き残り新藤七緒に独占インタビューをし、謎に包まれた新藤×熊切の心中事件の真相を追っていくというもの。 全ての記事と資料が提示された時、恐ろしい真実が明かされる・・・。 好きなんですよねぇ、放送禁止なりブレア・ウィッチ・プロジェクトなりパラノーマル・アクティビティなりドキュメンタリー形式の作品が。 本作はそれを文書形式で行おうという意欲作である。 しかし残念ながら文という形態では少々限界があったと思える。 放送禁止シリーズ好きかあるいは既存のミステリに飽き飽きした方なら楽しめるかもしれない、あくまでこの作品はミステリではなく虚実を扱ったエンターテイメントということをお忘れなく。 ★は6つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
奥多摩の山中に山魔の伝説が残る集落があった。 その家の末子として生まれた郷木靖美は成人の儀の際に“忌み山”、そして“忌み家”で世にも奇妙な現象に出遭う。 無残な山魔伝説、一家五人の人間消失、巨大な怪異は刀城言耶に託された・・・。 シリーズ4作目。 今作は言耶が本格的に事件の捜査に乗り出す探偵譚の色が強いです。 ラストに鮮やかな裏返しがありますが、自分としては最期から二番目の解釈の方がしっくりくるというか、最期の解釈も中々厳しいものがありますしね。 今作は言耶視点が中心で楽に読めますね、さっくり息抜き的な作品。★は6つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
岡山と兵庫の県境にある陋村・鬼首村。 休暇ついでにその地を訪れた金田一耕助は二十年前の不審死と故郷に錦を飾る人気歌手の存在を知る。 程々に余暇を過ごす金田一の前に現れる既に死亡していた怪老婆、そして放蕩老人の失踪。 やがて始まる連続殺人は奇妙な装飾が施されていて・・・、村に伝わる手毬唄の存在が知れた時金田一に戦慄走る。 映画の方を先に見てて、悲しすぎるだろこの物語って少年ながらに思いましたね。 改めて原作を読んでみると金田一と旧知の礒川警部の存在が楽しく小気味よい。 いやぁ既存の伝承を使う使わないで問答する時代の話ですからねぇ、手毬唄、数え歌の古典としては十分なのではないでしょうか。 個人的には犬神家や八墓村のように大団円の章で終わるような話の方が好き。 ★は6つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
日暮百人は早々に引退して自適な生活を送る綾鹿市の実業家。 美術に造詣の深い彼は私財で美術館兼アトリエを建て奇抜な現代芸術家6名を招待していた。 やがて起きるのは芸術家を始めとする連続怪死事件、動機も何もかもも奇抜すぎる事件を綾鹿市の刑事と探偵は解決できるのか!? 痙攣的に続く美術ミステリの皮を被ったとんでもミステリ。 ところどころ尖った解決が提示されるがやはりラストのどんでん返しがシリーズの中でも弱すぎる。★は4つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
砂漠の国ジャリーミスタンは他国から死刑囚を預かり、代わりに処刑することで外貨を獲得してきた。 死刑囚が集う終末監獄で不可解な事件に遭遇する青年と老人。 何故死刑執行前夜に殺されなければならなかったのか、何故態々不利なタイミングで脱獄を企てたのか、死に限りなく近い閉鎖状況下で起こる事件は常識に則っては解決しない・・・。 終末監獄を舞台にした連作短編集。 随所に逆説が施され、犯人の起した迂遠的な手法に迫る。 そして最後を締めくくるエピソードは予想もしえない終結を迎えるのだった。 ★は8つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
変態教授“増田米尊”は異変を感じていた。 複数の女性に言い寄られ童貞消失の危機に陥るなどあり得ないことだった、そしてどこからか感じる視線、書き換えられる原稿。 四つの「○○作」と名付けられたバカミスは何を意味するのか、彼の異変の正体とは・・・。 舞台は綾鹿市、変態教授再訪。 今作は公然とバカミスという単語が出てきてるので言っちゃっていいでしょうバカミスです。 問題なのはその処女作、問題作、出世作、失敗作と名付けられたバカミスたちがどういう意味を持っているかですが、これは作者がどういった人物か知っていれば自ずと浮かび上がってくるかもしれない。 バカミス好きにはお得で楽しい作品でした、★は6つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
綾鹿科学大学助教授の"増田米尊"は女性に対して数学的解法を目指しフィールドワークと称して一人の女性をストーキングしていた。そう彼は“変態”だったのだ。 そんな彼の特殊能力は興奮するほどに天才へと“変態”を遂げること。 一見不可能な事件を超理論で解決に導く!! 舞台は綾鹿市、言うまでもなくタイトルはカーの四つの凶器からとっていて、中身もカーに触れているが内容は全然関係ない・・・。と思いきや全く違う角度からなんかぶっこんで来た!! 増田教授は他の作品にも出てくるけどこのシュールさがいいですねぇ、悪人ではないんです変態なだけで。 ★は7つ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
主人公の横江継実は特殊な能力を持っていた、幽霊が視え、声を聴くことができるのだ。 ある日まったく知らない事件の事情聴取を受けることになる、容疑者の男から指名を受けてしまったらしいが横江は何の身に覚えがない。 しかし過去の記憶と目の前にいる従妹の幽霊が何かを握ってる気がする・・・、現在と過去、現世と黄泉が交わる超絶ミステリ。
西澤×幽霊でSF的な作品を想起した方も多いかもしれませんが、今作は主人公含めた一般人に事件を解決させる推理合戦よりの作品ですね。 幽霊の要素はあくまで主人公に付属する副次的なものです。 本作を読んで多くの方が抱きそうな感想は「分かりづらっ」でしょうね。 名前、家系図、各々の性格、登場人物、時系列、家の配置、あらゆるところで分かり難さが目立ちます。 少なくとも幽霊という奇怪な響きに惹かれて読むのはお薦めできないですね。 ★は5つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
瀬戸内の孤島に降り立った刀城言耶は十八年ぶりに行われる儀式で監視の役を任される。 凶鳥と巫女、人知の及ばぬ魑魅と超能力は果たして人間のトリックか、それとも本物の怪奇か・・・。 探偵が最後に解き明かす人間消失の秘密とは・・。 刀城言耶シリーズの二作目。 冒頭文のとおり今回はホラー要素は薄れ言耶の探偵譚というのが強調されているようです。 怪異も含めて論理的に推理していく様は面白い、一方孤島で連続消失が起こっているのにあまりにも淡々とし過ぎていないか。 前作のようなおぞましさがもっと欲しかったです。★は6つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
昭和のいつ頃か、代々と山神であるカカシ様を崇め奉ってきた神々櫛村。 村に残る因習を神秘の儀式と捉える者、唾棄すべき宗教と捉える者、そして怪異すらも解釈の一つとして現象として捉える幻想作家である主人公、様々な視点と思惑で展開される物語は果たして人間の犯した罪か或いは魑魅の下した罰か・・・。 ホラーとミステリーの融合、最期に残っているのはどちら・・・? 刀城言耶シリーズの一作目。 時代設定、主人公の性格と金田一シリーズに近しいものが感じられます。ですが本作の最大の特徴はホラーとミステリーの混沌、推理の範囲を非現実的な解釈にまで広げてラストまで怪異の存在と恐怖を味わえます。 そしてホラーなのかミステリなのか、人か妖かの選択からあのクライマックスは予想外、また面白いシリーズを見つけてしまった。★は8つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
アマゾンの奥地で調査団が邂逅したのは新種の人類、世界をひっくり返す新発見とそれから始まる殺人の連鎖・・。 ホモサピエンスとは異なる遺伝子を持つ隠蔽人類、彼らの正体は何なのか、そして人類に下される審判は・・・。 舞台は綾鹿市、隠蔽人類を巡り一転二転する殺人と推理。 どこか怪しいテキストながら最後まで結末を予想させない(というか予想できないよ)のが本シリーズの魅力、やはりこのシリーズ頭おかしい・・・。 ★は6つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
倉知淳の短編集。 奇抜な作品をよく書いている彼の中でもブラックユーモアとSF的な不思議空間を利かせた異色作になっている。 ★は4つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
精神科医・伊良部シリーズの第三作。 相変わらずはちゃめちゃな医師伊良部一郎が患者の悩みをすぱっと解決は・・・しない、あくまで解決の糸口は患者自身にゆだねられているのだ。 面白いけど精神医学要素は薄れた感じ、元々そういう作品では無いのかもしれないが。★は6つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
凋落した名家で起こる連続殺人事件、カギを握るのは過去に起きた宝石強盗とその容疑者とされ自殺を遂げた子爵の存在。 子爵の好んだフルートの音色と共に悪魔がやってくる・・・。 序文に作者からの警告文、陰惨を強調しているがそれほど過去の作品と比べて際立って鬱屈な作品だったかは微妙である。 割とあっさり事件が進行するのと期間も長くオープンな事件なのでやっぱり暗い緊迫感のようなものは薄いです。 しかしただじゃ転ばないのが横溝正史、悪魔が来りて笛を吹くの真相が暴かれるラストは見事。★は6つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
精神科医・伊良部シリーズの第二作。 「ハリネズミ」「義父のヅラ」が破天荒さ、エンドの爽やかさが素晴らしい。 その他も申し分なしでシリーズでは突出した出来になってると思います。 ★は8つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
精神科医・伊良部シリーズの第一作。 ほんの些細な心の病から日常生活に大きな支障をきたした患者と破天荒な医師伊良部一郎の交流を描く。 飄々としすぎてる医師とそれに縋るしかない患者のやり取りが楽しい。 おおよそ特効薬というものがない精神の世界において医師がうんうんと悩んでいたり、治療の手立てがないことをアピールしても仕方ない。 もしかしたらあれぐらいサバサバして行き当たりばったりの方がいい!? ★は7つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
標高2200mに建つ山小屋「琴乃木山荘」で働くのは生真面目なオーナーと不詳のアルバイト達、下界から離れた山奥でちょっと不思議な事件が巻き起こる!? 随所に山の蘊蓄や魅力は感じさせますがあんまりミステリーとしては絡んでないですかね。 泊りがけで登山となると三日は休みが必要ですよね・・・、山登りハードル高いなぁ。 ★は5つ。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
日々奴隷のような扱いを受けていた芸能マネージャー北上梁一は、ある夜の一組の男女との出会いで人生を見つめなおす。 自身の手で芸能界のスターを作り出す・・・、イメージとコネが物言う芸能界を掻い潜りつつ梁一は一世一代の勝負に挑む。 嘘、偽り、駆け引き、どんでん返し、技巧に技巧を重ねた連城三紀彦氏の長編。 技巧派ミステリと銘打ってるだけあって想像以上に複雑なつくりになってますね。 正直、嘘や奸計、トリックのためのぼかした表現が多すぎて非常にくどく読みにくいです。 芸能界のスターダムを目指す話なわけですが、私自身はあんまり俳優や映画スターに憧憬が無いのであんまり感情移入出来なかったですね。 ★は5つ。 |
||||
|
||||
|