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りーり さんのレビュー一覧

りーりさんのページへ

レビュー数424

全424件 361~380 19/22ページ

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No.64:
(6pt)

冬空トランスの感想


 樋口真由"消失"シリーズの三作目(短編集)。 過去二作を補完するような作品もあり楽しく読めました。
短編集だけあって整合性よりも大胆さを有していますが、表題作の冬空トランスはかなり気合入っていると思います。 中編小説ぐらい長いですし、登場人物も多いですし、シリーズのテーマも辿っておりますし、短編だから許されるレベルですが秀作。
冬空トランス (角川文庫)
長沢樹冬空トランス についてのレビュー
No.63:
(5pt)

夏服パースペクティヴの感想

 樋口真由“消失”シリーズの二作目。 どうやら密室消失路線のシリーズで進めていくらしいです。

虚構殺人、密室、過去の事件と第三者Xと色々風呂敷広げた割に解決が性急で適当な感じが否めないです。 青春成長物語に主眼を置きたいのは分かるが死体を転がす以上ミステリを等閑してはならないかと。 前作が性問題がストーリーと密接に関わった傑作だっただけにスケールダウンした感がより強く出てしまったとも言えます。 ★は5つ

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夏服パースペクティヴ (角川文庫)
長沢樹夏服パースペクティヴ についてのレビュー
No.62: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

不連続殺人事件の感想

 昭和も中頃、有数の名家歌川邸に集うは招かれた客、招かれざる客、使用人や医者等20数名。 各々の感情が渦巻く中、死体が一つ二つ・・・、事件解決は停滞を辿り一連の殺人は混沌を極めてゆく。 これは連続殺人なのか?犯人の狙いは?そして犯人が残してしまったミスとは・・?

 平成が終わりを告げる前には読んでおきたかった作品。 時代が時代なので飲み込みにくい文化性、晦渋な文章が目立ちます。 そして登場人物の多さがさらにハードルを上げています。 そこは想像力を逞しくしつつ、情報を取捨しながら読んでいただきたいですが、まぁ手軽に読める作品ではありません。 乗り越えた後の真実は格別、とくに犯人が残したミスの部分は感嘆致しました。

 複雑な様相を成した物語でありながらトリック・真相は簡潔で魅力的。 ★は7つ!!


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不連続殺人事件
坂口安吾不連続殺人事件 についてのレビュー
No.61:
(4pt)

青空文庫より 短編50頁

 
 「麻雀」で検索したら出てきた作品。 この時代には雀荘と言う商売が成立していたのか。
色々突っ込みどころはあるが中々に面白いです。 なにより非常に読みやすいです。 海野十三、浜尾四郎、大阪圭吉あたりは本当に退屈しない、青空文庫漁りがはかどります。
海野十三麻雀殺人事件 についてのレビュー
No.60:
(9pt)

ミステリーを飛び越えてどっか行っちゃった話

 
五色沼黄緑館藍紫館――― 
落成パーティに招かれた文化人方々。 事情も呑み込めず密室状態になった屋敷で起きる急転直下の連続殺人の真相は? 

 仰々しいタイトルですが例の如くあのシリーズです。 全力で遊んでます。 ★は9つ!!

 

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五色沼黄緑館藍紫館多重殺人 (講談社ノベルス)
倉阪鬼一郎五色沼黄緑館藍紫館多重殺人 についてのレビュー
No.59: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

黒猫館の殺人の感想

 ある館の管理人を任されていた記憶喪失の老人は自身の正体の調査を島田に依頼する。 残された手記から判明するのは館で起きた事件とその真相。 過去の事件と失われた記憶の関連性は・・? そしてこの館のからくりとは・・・?

 既シリーズ作品を踏襲しつつ、かつてない裏切りを見せてくれます。 過去の作品のイメージを持たせつつ、それを拭うように読者の想像を躱すのは長編シリーズの強みですかね。 評価は分かれそうな作品だけど好きな人にはたまらないでしょう。 ★は6つ!!


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黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
綾辻行人黒猫館の殺人 についてのレビュー
No.58: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

これでいいんだ 私にとってのミステリーは

 
 屋上から飛び降りたバスケ部員の消失―― 

 バスケ部を舞台にした青春ミステリ、正直何を満たすと青春ミステリなのかよく分かっていませんが本作は部活内のいざこざ、キャラクターの成長を以て青春らしさを演出します。
 私にとってミステリー小説は読書の一環に過ぎず、趣味の域を出ることはなきに、畢竟どれだけ私を驚かせるか、楽しませるか、そのいずれでもない神秘な感情をもたらさすかに帰着している。 そこには十戒も二十則も介入せず、理知的なロジックや現実的なトリックも必然ではなく、青春や社会派といったジャンルも関係ないのです。 ここ最近の私の狭い読書歴には良作は多きものの突き抜けるような作品は無かった。 本作はそんな飢えを満たすには十分すぎる衝撃を与えてくれた傑作でありました。

 言ってしまえば読んだ時期による評価の算定が大きいのですが、数多あるミステリー作品を読んでいって新鮮味が欠けてくるのは必定。 新鮮な吃驚を届けてくれればそれでいいのです、私にとってのミステリーは。★は9つ!!


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消失グラデーション (角川文庫)
長沢樹消失グラデーション についてのレビュー
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(7pt)

そして誰かいなくなったの感想

 
 クルーザーにて海の旅を楽しむ男女7人。 某小説をなぞった犯罪予告が行われ事態は急変、悪戯だと高を括るも翌日一人が死体となって発見される。 そして意味ありげな7つの置物が6つに減っていた・・・・。

 アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のオマージュ。 原典と一文字違いなだけあってかなり設定は近しいです。 と言うのも今作の事件自体が「原典」を見立てたものとなっています。  原典について既知なのを前提としてそこから裏切るような作りですがむしろクリスティーを知らない人に読ませたいと思いました。 

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そして誰かいなくなった (徳間文庫)
夏樹静子そして誰かいなくなった についてのレビュー
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(7pt)

かつて誰かが生きてた家

 幼少期の記憶を一切失っている沙也加は父の遺品から謎の地図と鍵を見つける。 
父が秘密裏に通っていたその場所に行けば自身の記憶が取り戻せる―――沙也加の元恋人である「私」は彼女と二人その家に足を踏み入れた・・・。

 流石東野圭吾と言いたくなるようなきっちりした構成です。 登場人物二人、舞台はむかし家だった場所、それ以外に範囲を広げることなく過去の事実を基に謎解きをしてゆきます。 無駄な展開がほぼ無く、異様な真実がいつ明かされるのだと読んでいて緊張感がすごかったです。 

 傑作とは呼べませんが特異な雰囲気には一読の価値あり。★は7つ!!


 

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むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)
東野圭吾むかし僕が死んだ家 についてのレビュー
No.55:
(7pt)

孤島パズルの感想

 タイトル通り孤島を舞台としたミステリー

やっぱり王道には王道たる所以あり、孤島のクローズドサークルって面白いです。 雪の山荘と違って暗澹としてなくて、海と太陽が清々しい。 本作はそんなムードに殺人事件の暗雲が垂れ込める話です。
 読者への挑戦、作者有栖川有栖ということで事件の凄惨な状況は最低限に止め、事件への手がかりの部分が分かりやすく子細に述べられます。 大学生の一夏の物語であると同時に作者が読者へ宛てた推理小説。登場人物を自然に動かしつつ読者に伏線を張り、孤島の活かし方も楽しいです。

 落ち着いた雰囲気で誰にでもおすすめですね!!

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
有栖川有栖孤島パズル についてのレビュー
No.54: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

30頁でここまで魅せてくれるとは

 
 J・ディーヴァーの短編集。 16作品収録でページ数だけ見れば長編小説級。

 短編小説を真っ向から感情移入して読む人はいないでしょう。 どれだけドラマティックな結末を用意しても登場人物に思い入れようが無いのだから仕方ない。  ならばひたすらにエンターテイメント性、読者を驚かし裏切ることに傾倒してゆこう。 ただ短い話ではないです、予め短編とはどうあるべきかを作者なりに捉え定義して作られています。 本作はそんな短編集です。
 
 私は本作を一種のパズルクイズのように考え、直感的に誰が悪意を持っているのか答えるように読んでいきました。 当たれば喜び、外れれば驚く、そこには至極単純な感情しか湧き上がっていないのですが面白いのだから何の問題もないです。 大きな展開の起伏と複雑な感情が欲しいのなら大人しく長編を読めばいいのですよ。  
短編に求められてるものを見極め書かれた本書は「クリスマスプレゼント」程の一大イベントではないが大きなサプライズになりました。

 

クリスマス・プレゼント (文春文庫)
No.53:
(4pt)

ここまで魅力ない探偵も珍しい

 倒叙ミステリは最初に犯人が作者によって明かされています。故に読者はそれ以外の要素、動機なり方法なりを推測することになります。 複数の登場人物の行動、アリバイを考慮しなくて良いので色々と楽に読めますね。  

古今東西様々な探偵役がいますが本作程魅力ない人物は珍しいと思います。 「探偵と警察の違いは真実を胸に秘めていられるかどうか」と誰かが言ってました。 私自身探偵役は飄々として犯人よりも事件の真相が大事というような輩が好きではあるのですが、まぁ限度はありますよね最低限人としての。 どこぞの知的強姦者かと思いましたもの、あっちは悪役なのに。

動機に関しては欠陥物ですね。 殺す必要がそもそもない。 一方で犯人の偽装による行動トリックと密室の役割については非常に精巧です。 ★は4つ

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扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
石持浅海扉は閉ざされたまま についてのレビュー
No.52:
(6pt)

冷たい家の感想


 2017年発刊の現代心理サスペンス。 完璧主義者の建築家エドワードの建てた住居は最新鋭の技術でコーティングされた質素で要塞のような家。 徹底した管理と監視、厳しい条件を課せられた上で入居を許された者が本作の主人公の一人ジェーン。 そしてその家でかつて死を遂げた過去の住人がもう一人の主人公エマ。 現在と過去を交互に描き、エマの死の真相とジェーンの行末、家に隠された秘密を追ってゆく・・・。

 二人の主人公を交互に展開していくのですがそのスパンが驚く程短いです。 僅か5ページ程で主人公が入れ替わり進行していきます。 しかし不思議なことにまったく読みにくさや混乱はないです。 時系列は違えど二つの物語は謎を提示し解き明かし、読者を一つの真実に導いてくれます。 人の心を支配するような家で繰り広げられる肉薄した心理サスペンス、勿論犯人当てという所でしっかりミステリの体裁を保っています。 
 作者が真珠王御木本幸吉を出すほどの日本通?なのかは定かではないですが日本の文化が度々触れられています。 この日本の描写、二つの視点の物語が映画にてどのように料理されるのか楽しみですね。 ★は6つ!!
 
冷たい家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
JP・ディレイニー冷たい家 についてのレビュー
No.51:
(7pt)

幽霊の 正体見たり ……

 
 1988年に死んだはずの少女が1992年の写真に写りこんでいたら? 幽霊?いや、それとも―――

 写真の中の「幽霊?」を推理する異色作。 当時を知る三人による推理合戦のように作品は進んでいきます。 現在軸は2010年となっており事件自体は風化していて陰惨な雰囲気はほとんどないです。 推理する側は盃を交えつつですし、過去の描写も明るくてユーモラスミステリーに近いような軽快さが感じられます。 
 推理合戦だけあって情報の整理がしやすいですし、250頁の軽めのボリューム。 あっと言う間に読み終えてラストの写真の秘密にも満足です。 ★は7つ

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幻視時代 (中公文庫)
西澤保彦幻視時代 についてのレビュー
No.50: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ものすごく考えたい人向け

 
 ある殺人で無期懲役の判決を受け服役中の男がいた、主人公のライターはその男から自身の無実を証明してくれと頼まれる。 悩みそして怒る主人公・・・なぜならその男が殺したのは主人公の婚約者なのだから・・・。
事件は冤罪だったのか、新たに起こる犯罪は何を意味するのか、登場人物を複雑に書き分け真相に迫っていく。

ミステリとして極めて複雑だったと思います。 折原さんの作品でもトップレベルで登場人物多いんじゃないかな。 本シリーズ特色として実際の事件がモデルとして背景にあります。 冤罪、警察の応対、加害者の人権、そして遺族の憤慨、モデルとなった事件は存じなかったのですがどのような事件だったのか想像がつくようです。 でも社会派小説では全くないです。 社会制度について思案するのも悪くないですが作者は手加減なしで騙してくるのでご注意です。 ★は7つ!!

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冤罪者 (文春文庫)
折原一冤罪者 についてのレビュー
No.49: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

○○○○○○○○殺人事件の感想


タイトル当てです。 読者への挑戦です。 メフィスト賞です。

多くを語っても仕方ない、読んで然るべし。 ★は8つ。




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○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)
早坂吝○○○○○○○○殺人事件 についてのレビュー

No.48:

Q&A (幻冬舎文庫)

Q&A

恩田陸

No.48:
(6pt)

時代と人間の本質に切り込む

 大型ショッピングセンターで起こった凄惨な災害―― 原因が何一つ見つからない災禍を当事者とインタビュアーの「Q&A」で照らし出してゆく

 事件だったのか事故だったのか、偶発的な物なのか仕組まれたものだったのか、将又両方なのか・・・。 対話の中から浮かび上がる政治的・宗教的な利権と欲望、個人レベルの悲運と葛藤、哀悼や自責が恐ろしくリアル。 
 本作を初めて読んだのは中学生の頃で当時はチンプンカンプンでした。  発刊は2004年、情報化社会が広がりつつある中で人間の仄暗い裏面を誇張したように取り出した一冊であったと思います。 そして平成も終わりを迎えることになった今読み直すと現実が本書のような社会・思惑に傾倒していくようで怖い。 自身が深いレベルで災害や事件に巻き込まれ大きな傷を心に負ったときにどうなってしまうのか、一歩外に出れば宗教の勧誘が、ネットを開けば虚構や扇動的な情報が溢れる今世で本書の登場人物のような道を辿ることはあり得ない話ではないと思わされます。  
 
 ジャンルはミステリーよりかはホラーテイスト。 ★は6つ
Q&A (幻冬舎文庫)
恩田陸Q&A についてのレビュー
No.47:
(8pt)

もう長編映画

 
 郊外の館に広がる非現実的な光景から俗世間で巻き起こる殺人事件、謎の組織、そして海外までも事件に内包されながら全てが風呂敷に収まっています。 ミステリーであると同時にサスペンスフルな映画を観ているようです。

 ミステリは展開を推理する、先読みしていくのが勿論一つの楽しみでありますが、今作はそんなことしていられませんでした。 章によって主人公が替わり、常に危険に満ちていて、気付いた時には解決編です。 ラストの解決も素晴らしいですがそこに至るまでの疾走感たるや、閉鎖的で荘厳なミステリでは中々味わえないでしょう。 ★は8つです。
マリオネットの罠 (文春文庫)
赤川次郎マリオネットの罠 についてのレビュー
No.46: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

星降り山荘の殺人の感想

あくまでフェアに読者への挑戦を謳った本作。 1ページ目にてこの作品の構成を読み取れます。

長いです。 これを500p弱でやる必要があるのか、読者において出来ることは犯人当てぐらいだと思うのですが、ハウダニットの部分が複雑で長い。 この犯罪方法をまともに推理する人は果たしているのか?  ★は6です。

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新装版 星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
倉知淳星降り山荘の殺人 についてのレビュー
No.45: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

素晴らしい決着


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新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)
我孫子武丸殺戮にいたる病 についてのレビュー