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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数231件
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“今世紀最強の霊媒師”はインチキ霊媒師!? 霊を祓う力を持たない男はハッタリと洞察力を駆使して事件を解決に導いていくが・・・? 那々木悠志郎シリーズで人気を博した阿泉先生の新たな霊×ミステリーものだ。 さて今回の主人公だがインチキ霊媒師だけあってちょっと胡散臭い、かつ善人とも言い難い性格をしている。渋々巻き込まれた末にその優秀な頭脳を用い霊を成仏へと導いていく。そんな彼にもどうやら秘密が色々とあるようでシリーズを通してどうやら明るみになっていく謎がありそうである。短編形式でライトな書き口でありさらっと読めた。 |
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森に囲まれた施設で何不自由ない生活を送っていた老人サブロウは自分の過去に関する記憶が残っていないことに気付く。周りの老人たちも同じような状況であることを知ったサブロウは偶然にも自身の日記帳に脱出を促す何者かのメッセージを見つける。この施設が監獄である疑いを持ったサブロウは仲間を集め脱出を試みるが森の先にあった光景は想像を絶するものだった・・・。 長編として小林泰三氏の遺作となった作品。車椅子生活を送る老人たちが施設からの脱出を図るスリラー小説だ。そして本作はSF小説である。主人公のサブロウは20世紀生まれで100歳を迎えているのだが記憶の片隅には21世紀の記憶どころか22世紀の残像が残る。タイトルは「未来からの脱出」、本当の戦いは森を抜けた光景を見た後に始まる。 |
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「暃」 一連の自殺者の躰に残された文字はJISコード5A73で表される出所不明の幽霊文字だった。読みや使用法の存在しないその文字が事件の鍵を握るとして刑事たちは様々な解釈を試みる。 自殺者はさらに連鎖し5人目の被害者が出た。自殺者の周りに出没していた怪しいヘッドフォンの男、その人物はあまりにも意外な人物で・・・。 幽霊文字という解釈自由の正解の無い多重解決。構成は自殺する前の自殺者の目線と事件を追う警察の目線の2つ。なぜ彼らは自殺してしまったのか、幽霊文字は誰が何のために付けたのか、最終章「始末」にて詠坂雄二とある人物によってこの作品の真の真相が明かされる。まぁ流石異端児らしい終わり方でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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刀城言耶シリーズの短編集。表題作の魔偶の如き齎すものは女性編集者との出会いの事件で面白い発想だったな。
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「最後のページをめくるまで」 そのタイトル通り最期まで油断ならないような作品集だ。どんでん返しのようなラスト数行でひっくり返るような緻密な伏線回収は無いが終盤にさしかかるとともに裏の真実が1ページずつめくれてくような展開は良かった。 |
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旅人は巡る。 崩壊した世界で目の当たりにする小さなコミュニティ、そこでは新たな文明・規律がまた始まろうとしている。 6つの町を巡り最期の町で彼女が告げる人類の犯したタブーと繁栄への希望。 旅人の正体とは一体・・・。
気軽に読もうと思って手に取ったら凄く哲学的な作品だった。人類が一度崩壊した世界で既存の文明は一度リセットされている。各地を巡る旅人はそれぞれの町で独自のコミュニティに触れていく。旅人は表紙の女の子で物凄く淡白で口数も少ない。頽廃した世界も相俟って作品の印象は白だとか灰とか感じられる。派手だったり艶だったり彩りのようなものが作品の世界観からも文体からも除かれている。 しかし最期の町で彼女が見た光景、伝えたかった事、それだけが未来に繋がる光のような色を持っているように思える。 |
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「ここにあるんは全部、忌物なんや。」 怪異に追われる女子中学生・由羽希が助けを求めた先は「遺仏寺」ならぬ「忌物寺」。お祓いの代償として怪談の文字起こしを手伝うはめになるが、その怪談話は床に散らばったある忌物に纏わるものだった・・・。物語の中で一体何が怨念の籠もった忌物だったのか?そして由羽希の感じる怪異の正体とは? 怪談内で何が災いを引き起こした忌物だったのかを当てるホラーミステリー。故に犯人や動機などは深く考慮しないので物語としては不完全な終わり方をする。それは由羽希自身も指摘することなのだが、怪談とはそうゆうものなのだと一蹴されてしまう。分からないから怖いのだと。 怪異譚としては怖さもあるし、何より忌物当てという斬新さに惹かれる部分もあったが主人公・由羽希にまつわる話については消化不良。 |
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突如訪れた「大忘却」によって人類は新たな情報の記憶能力を失った。 覚えてられるのはごく最近の出来事である短期記憶と体に染み付いた手続き記憶だけ・・・。 遠くない未来、人間の記憶は体に埋め込む機械型のメモリーに委ねられた。 ここに一つのメモリーがある。 体は事故で失ってもう無い。 生きた人間にこのメモリーを挿し込めれば。 これは未来の犯罪の物語。 小林泰三氏の「記憶」をテーマにしたSF作品。 第一部にて人類が記憶能力を失った様子をパニック小説のように描いている。あくまで失ったのは「大忘却」以降の記憶能力で機械の操作などの手続き記憶やそれまでの人生での記憶は保持されていた。実際過去の記憶を完全に失っても言葉は話せるんだから本当に不思議である。ほとんどの人類が行動しては忘れてを繰り返す中、少しづつであるがこの驚異に立ち向かうものがいた。やがて人類は外部に取り付けたメモリーに記憶を蓄積することによって従来の生活を取り戻していく。 第二部から物語が始まったと言って良い。メモリーという擬似的記憶装置にて新たな復活を遂げた人類とそれに併発する未来の犯罪の物語だ。今まで肉体に付従してきた記憶という概念が完全に肉体から切り離されたのである。しかしメモリー=命といって良いのになぜそんなに剥き出しで取外し可能なのだろう?普通誰にも見せなくないでしょ。 小林氏らしいブラックなオチの付くSF、気に入ったら記憶破断者もおすすめだ。 |
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急遽決めた奥只見への温泉旅行、それが悲劇の幕開けだった。 ホテルのロビーで見かけた彼女、それは2度と会いたくない因縁の女性だった。何か裏のある彼女、他人から恨みを買いそうな怪しげな雰囲気、嫌な予感が確信へと変わっていったときに不思議なことが起きた。スキーバスが転落事故を起こし多数の死傷者が発生、その中には死者として彼女も含まれていた。死因は絞殺だった。
改題前は奥只見温泉郷殺人事件。正直なところ温泉旅行も奥只見もあまり関係がない、改題はいつものように〇〇の殺意となった。プロローグにて「私」は誰かの仏壇の前で自殺した故人の日記帳を読んでいる。ここから事件を回想するように舞台は奥只見での殺人事件にシフトする。以降すべての章の最初に日記帳の一部が挿入され、本作は事件の犯人とともに日記帳の書き主が誰かという点がポイントになっていく。中町信氏らしいトリッキーな趣向が面白いが悲痛と呼ぶには強引すぎる展開だった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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井上夢人の色々あって世に出なかった短編を十編収めている。年代は90年代前半で統一されているが掲載雑誌がバラバラで純文学のようなキレイな作品もあればパズルをテーマにしたもの、近未来SFものなど様々な趣向が見られる。かなり短めの短編ばかりなので手軽に読めるのでファン方なら読んでみても良いだろう。 |
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貫井徳郎氏の短編集八編。特にコンセプトは無さそうですが、貫井さんらしい男女問わない巧みな心理描写とそこから導かれる裏の真相が楽しい。一編一編は短く非常に読みやすいライトな構成、どんでん返しの謳い文句はやや過剰か。 |
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真夏に雪が降ったあの事件の生き残り“如月烏有”。 彼は事件に関するすべての記憶を失い元の日常に帰りつつあった。 しかし、ある女性と絵との出会いによって彼の記憶の奥底に眠っているものが呼び起こされる。 気付くと烏有は灯油とライターを持って燃え盛る寺院を前に立ち尽くしていた。 導かれるままに放火を続ける烏有、だが現場には覚えのない死体が毎回転がっているのだった・・・。
夏と冬の奏鳴曲の主人公が記憶を失った状態で再び登場。炎を前に呼び起こされる謎の記憶、なにかを見透かしているようなタキシード姿の探偵、かつての恋人に似ている前衛画家、謎が謎を呼び烏有くんの正体はまた闇の中へ。続編というよりかはまた何か伏線を張られたような釈然としない話だった。特に続編出てないけど。 |
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ある女教師が自室で死んでいた。睡眠薬入りのチョコレート、世間を騒がす通り魔、匿名の通報、純真な彼女が抱える裏の顔、果たして彼女は殺されたのか? 断片的な手掛かりと想像を駆使して広がる素人探偵たちの推理の結末は・・・。
女性教師の死をその生徒や同僚といった素人探偵が推理していく推理合戦ものなのですが何か決め手にかける。その欠け落ちたパーツの意味と作者の仕掛けた企みに困惑することは間違いなし。 |
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伯東高校二年四組、意図的に問題児ばかりで構成された35人のクラス。クラスのボスである委員長は親交を深めるために交換日記を開始する、強制的に。最初の書き手の企みでクラスメイトの本名は隠され、異名で呼びあうことになった!斯くして問題児の35人による波乱に満ちた4月が匿名で語られる・・・。 お嬢様から政治家の息子、脳筋に不良にハッカー、そして不登校児に人間を半分辞めてる者。癖の強い登場人物の本名を埋めていくパズル小説です。名前を推理していくことと事件の真相は特に符号しないのでパズルを意識的に解かなくてもストーリーは読めるのだが非常に理解しにくくなる。畢竟、名前はある程度埋めていかなくてはならないのだが35人の穴埋めは中々に骨が折れるので気軽には読みにくい作品だ。 |
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成績不振の写真部・設楽とイケメン天才そして変態の岡江。誰も知らない二人だけの裏取引、それはフェティシズムの高い写真を撮り集めること!! 樋口真由シリーズ以来の長沢樹さん。ちょっとおバカな高校生たちのゆるーい青春ミステリです。 |
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怪異蒐集が趣味の「私」に届いたいくつかの怪異譚。作者も年代も媒体もバラバラな話に見られる奇妙な符合、それを知った時「私」に襲い掛かる「何か」。 あなたがこれを読んだとき、———物語は拡散し、私達はこの恐怖体験を共有できる——— カクヨムからスタートした芦花公園さんのデビュー作。創作なのか現実なのか分からない恐怖体験の数々、「私」と共にこの作品を読み解いていくうちにまるで一緒に呪いに巻き込まれていくような感覚が味わえる。 |
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炭鉱夫から灯台守へ転身するその間、旧友に誘われ物理が訪れたのは赤迷路と呼ばれる闇市。戦後の復興の中で人々が飢えを凌ぐための手段として発達してきた裏マーケット、混沌としたその街で“赫衣”と呼ばれる怪人が人々を襲うのだという。細道で行われる一連の事件、犯人はいかにして衆人の目をかいくぐり逃げ果せたのか。 物理波矢多シリーズの3作目。時系列は前作と前前作の間にあたる。今作は闇市という場を舞台に当時の商売とGHQと朝鮮人との微妙な関係に触れ殺人事件を描く。当時の価値観や世相をもっての動機、歴史ミステリとしてまた一段と味が出てきた。 |
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炭鉱での殺人事件から幾年、物理波矢多は灯台守になっていた。海上の安全を守る要として、気の抜けない僻地での仕事に就くことで国への貢献を果たそうとする。新たな赴任先へ向かう途中の海岸で白いもやのようなものを見るが、案内の水先人は口をつぐむ。20年前の言い伝えに込められた灯台守の真相は・・・?
物理波矢多シリーズの2作目。前作で炭鉱夫の道を諦めた物理、勉学の末に新たに就いた職は灯台守でした。海沿いという僻地かつ拘束時間の長い仕事として奥方に嫌がられるような一方で海運の安全を守る誇り高い仕事でもありました。前回が炭鉱の蘊蓄で飾られたのと同様に今作は灯台の歴史に触れていく。そして海にちらつく白い影の謎、その正体は20年前のある灯台守の伝承にまで遡っていく。ミステリーというよりかはオカルト要素の強い物語でしたね。 |
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毒の仕込まれたチョコレート製品を食べてしまった夫妻。夫は一命を取り止めるも夫人は死亡、しかもそのチョコレートは夫妻とは違う人物に贈られた代物だった。迷宮入り寸前警察が助けを求めたのは「犯罪研究会」の面々、斯くして風変わりな面々の推理合戦が始まった。 推理合戦ものの祖という古典中の古典。推理合戦といえば「ミステリーアリーナ」や「聯愁殺」など素人探偵たちが独自勝手に推理を披露しながら真相に進んでいく形式。本作は素人探偵ながら警察以上の捜査能力や人脈を見せつけ、迷宮入り寸前の事件のはずなのに新事実が出てくる出てくる。登場人物は被害者も含め貴人が多く、端々にお硬い感じが見られる。 |
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