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ふたりの距離の概算
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ふたりの距離の概算の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.04pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全85件 21~40 2/5ページ
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久しぶりに米澤さんの本が読みたくなり、古典部シリーズを手に取りました。 ゆっくりとですが主人公たちの関係性が進んでいく姿に、こちらまで嬉しくなりました。 ほろ苦いラストなのに、なぜかそれにホッとしてしまいます。 もしも続きが描かれることがあるなら、それも必ず読みたいと思います。 | ||||
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推理できる内容で、いくつかの短編に分かれていて読み易かった。 | ||||
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日常の謎を解き明かしていく日常ミステリー。 事件に小さいも大きいも無い!というどこぞの熱血刑事のセリフが飛んできそうなほどに、一見どうでもいいことを推理していく。 どうでもいいことといったが、それだけで一冊の物語を作り上げてしまうのが、この著者の筆力だ。 ミステリーとは目に見える事件(視覚的に捉えやすい事件)だけを解くものではない!ということがよくわかる一冊。 じっくり読みたい人におすすめである。 | ||||
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相変わらず凝りに凝った構成と、分かりやすく説明するのではなく、行間を読む要素多し。 国語力が問われる本。 キャラに魅力があるから、言葉の意味とかを推測したくなる。 「気になるあの子がどう思っているか知りたい」という感じで。 シリーズを通しての知識がないと、「なんだ、地味な作品」という、流し読みで終わってしまうので注意。 問題設定は、読者によってそれぞれだと思うけど、 個人的には以下かな。 ・何故、大日向は部活を止めたのか? ・何故、折木は「大日向が辞めた理由を解明しよう」と思ったか? ・ラスト。何故折木は、大日向が部活に戻ってくるようにしなかったか? ・これからの折木とえるたそ 以下、推測。 ※ネタばれ含みますので、未読の方はスルーで。 ・何故、大日向は部活を止めたのか? →知られたくない事、恐れていたこと(中学の友達の悪行と、自分との関係)をえるたそに知られたと思い込み、 その上で、えるたそに大切に思っていたモノ(友達を見捨てろ)と否定されたと思い込んだから。所謂、勘違い。 大日向にとっての「友達」という言葉が、どれだけ大切が所々出て来ます。一般的な認識での親友が友達という感じです。 それが分かるように、一般的な意味での友達が知人と称されたりします。 親友が悪い事をしていても、それで繋がりを切ることは、彼女の価値観ではできない事なのでしょう。 悪い事をしていても親友は親友、でもその友達との関係は周りにはばれたくない。そう思っている事自体を認められない。 そんな自己矛盾に陥って悩んでいる大日向。それが彼女の悩みであり問題。 ・折木の行動の結果。 えるたその名誉は守られますが、大日向はきづつき、問題も解決されません。 結果的には、大日向が知られたくない事、恐れていたことを折木に知られてしまう。 「辞めた理由を解明する」という事を折木がしなければ、起らなかった事。 それを知られないために、部活を辞めたのに。大日向にとっては、ショックが大きいでしょう。 それも、少なからず行為を抱いていた異性に暴かれるのは。 しかもそれを暴いて、心情面で特に何もフォローしない折木。 問題を把握しているので、ここで説得なりで問題解決の手助けでもできればよかったんですけど。 この件で、彼女が折木に対して好意を抱きにくくなったと思います。 恋敵を減らしていく「えるたそ」の策略が発動した感じがします。のっかった感がありますが。 ・何故、折木は「大日向が辞めた理由を解明しよう」と思ったか? →伊原に「人を見ていない」と言われて、それが心に響いたから。 実際に、自発的に人の心を推測するキャラではないので。 その数ページ前の地の分。「説得ではなく、確信をつく一言に動かされる」というのが 動機を表している。 →えるたそが、大日向が辞めた事について責任を感じており、悲しんでいたから。 そもそも、えるたそに好意を抱いているからでしょう。 その好意は恋愛感情ではなく、「必要とされる事」に心を動かされている感じがします。 ・ラスト。何故折木は、大日向が部活に戻ってくるようにしなかったか? →折木自身も理解していないと思いますが、えるたその最後のセリフの影響でしょう。 えるたそセリフは、「誤解は解いてほしい。でも、大日向が戻ってくるのは無理だろう」というニュアンス、その意向を酌んだ。 この時のセリフで「部活に戻してほしい」と強くお願いしてれば、違ったかもしれません。 えるたそって、「かわいい」イメージ有るし、実際可愛いけど、 結構自己中というか、天然的に、自分に利益が有るように誘導するキャラ。 男に甘えるキャラなので、女性から見ると、えるたそ好きって人が少ない気がする。 時々大人な面を見えるので、 子供っぽい面を自覚して利用しているようで。 ぶりっこを毛嫌いする女性には受けにくい。 折木に好意を抱いていた大日向を排除するために、最後のセリフを天然でいったのではないかと。 自分では直接働きかけず、間接的に動くという辺りが女性らしいのですが。 折木が誤解を解いたが、大日向が部活に戻らない理由は、友達という価値、関係性に強い価値を持っているからでしょう。 今回の件でえるたそをきづつけてしまった。そういう事をする自分は部活に入るべきではない、という考え。 人とのつながりに対して、強い正義感のようなものを持っている彼女らしいです。 ・えるたそが折木に惹かれる理由と最後のセリフ。 えるたそは、自分の世界、自分の能力の限界を認識している。 前作の「遠回りする雛」で「これが私の世界です」と明示している。 色々な事に興味を持つが、持つだけで、自分では世界を広げることが出来ない。つまり雛。 だが折木なら、推理を通して、自分が思ってもみなかった世界を提示してくれる。 だから惹かれるのでしょう。彼女の限界の合図が「私、気になります」です。 自分の殻を破ってくれる人、思いもしなかった世界を見せてくれる人に惹かれるのは説得力が有ります。 それは恋愛感情というものとは違うかもしれませんが。年の上の男性に女性が惹かれやすい傾向があるのもこの要因からでしょう。 今作では、それを受けてえるたそと折木の距離は短くなっています。イチャイチャ描写?があります。 それが影響して、えるたその最後のセリフになったのだと思います。 「大日向を助けてほしいが、部活には戻って欲しくない」。最初、最後のセリフ見た時、違和感あったんです。 部活に戻ってくれるように働きかけるの方がえるたそっぽいと思ったんですね。善意で動くのがえるたそだと。 そこに「無理だろう」みたいな諦めの姿勢は見せないと思っていました。 しかし、折木を奪われたくないという気持ちがちょっとあると思えば、納得。 ・折木がえるたそに惹かれる理由 自分の限界を越えて、色々な事に手を出しているからでしょう。 「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」 というモットーの折木にとっては、「絶対に成功する」と思えること以外はやらない。 ある種の責任感、臆病な所があるのでしょう。 しかし、えるたその、自分が出来ないような事でも興味を持って取り組む所に惹かれたのだと思います。 又、「純粋に自分を必要としてくれる」というのが天も強いでしょう。臆病な自己を肯定してくれる存在として。 ・これからの折木とえるたそ 今回の事で、「えるたそに無意識に影響されている」という事に折木が気づくんではないでしょうか。 「私、気になります」と言うような、直接的な言葉ではなく、間接的な影響を受けていると。 又、えるたから「大日向を助けてほしい」と依頼されたが、それは達成できなかった。 達成できたのは、自発的に思った「えるたその名誉を守りたい、誤解を解きたい」という事。 えるたその言葉での依頼よりも、自発的な思いを達成した。この事は、折木の行動指針にかなり影響すると。 「思慮なくえるたその要望に応える事で、誰かをきづつけてしまう」という事に気づいて葛藤しだすと思いますね。 普通の小説なら、そこに恋愛感情が絡み、「他の者よりもえるたそを大切にする」という感じで綺麗に閉まると思うんですけど、 古典部シリーズは、「青春の苦さ」がコンセプト?という感じもするので、そうはならないでしょう。 又、外と中という話も出て来ました。今まではえるたそに促される形で学校関連(えるたそ関連)の話を推理してきました。 学校の外の事にはないもできない、と割り切られてきました。 しかし、お嬢様であり、外との繋がりが多いえるたそと一緒に歩むためには、積極的に外と関わらなければいけないと前作で示されました。 これからは、自発的に外の事(学外の事に対しても関わる(推理を使って問題解決)のではないかと思います。 えるたそに関わることで、内にこもらず外に目を向け、自発的な行動が出来るようになるのが、折木の成長が描かれるのではないかと。 この作品って、全能感(思春期の根拠のない自信)の敗北と再生を通して、自己を確立していく話だと思っていますので。 えるたそについては、自分の欲、好奇心の及ぼす罪とかを、強く自覚しだすんではないでしょうか。 既に、折木に頼り切るのではなく、自立(自分で考える)しようという感もありますが、甘えは中々治っていないので。 甘えるえるたそはかわいいので、それがなくなるのは悲しいですが。 | ||||
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これまでの書き方とは一変して新たな視点で描かれています また、新しく出てくる登場人物も個性があり謎が多く魅力的です | ||||
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古典部に仮入部した1年生の大日向。 古典部にも馴染んでいて、誰もが大日向は入部するだろうと思った矢先、なぜか入部を断った。聞くところによれば、その原因は千反田にあるようだが...。 なぜ大日向は古典部に入部しなかったのか、奉太郎はマラソン大会の中でその謎を紐解いていく。 本書のメインテーマになっているのは、ずばり「すれ違い」です。そして、それは大日向が古典部に入部しなかった理由と深く結び付いています。そういう意味で本書は、「言葉の受け取り方の違いが、人間関係のもつれを起こすのか」とか「邪推がすれ違いを起こすのか」とか少し勉強になりながら読み進めることができました。 魅力的なキャラクターは健在です。奉太郎以外の部員3人も、マラソンの道中や奉太郎の回想の中で登場するし、なんと『クドリャフカの順番』で登場する、トリックオアトリートでお馴染みの製菓研究会のパンプキン娘も登場します。新キャラクターとなる大日向も、これまでの古典部シリーズには登場しなかったような、どこか風変わりした人物で、また違った古典部の世界に浸れることかと思います。 | ||||
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学園モノなのか、推理小説かは分からないが、とにかく楽しめた。 何気ない会話が気になってしまい、しょうがない。 もう一冊読みたくなる一冊です。 | ||||
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人と人の関わり。そこから生まれる疑問、疑い。結果それが真実であっても誤解であっても無かったことには出来ない。彼女が再び古典部員や友人と、共に歩んでいけるようになることを祈るばかりです。 | ||||
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なかなか面白くて楽しめました!内容も古典部シリーズらしいもので、折木くんの推理もさえわたっていました。 一緒に紐解いていく感じがあって、あっという間に読んでしまいました。 若干ライトノベルのような感じもあるのですが、古典部シリーズを読んできた人ならば全く気にならないと思います。世界観に引き込まれました!! | ||||
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本作は前作『遠まわりする雛』後の4月から5月に古典部に起きたエピソードが描かれている。 その後の彼らがどうなったかがとても気になっていたのでそれが読めて非常に満足できた。 例によって主人公が毎話小さな謎を解いていくのだが、そのどれもがほのぼのとしていてこちらまで愉しい気持ちにさせてくれた。 しかし、その中に大きな謎への複線が散りばめられているのである。 主人公のように面倒くさがらず、もう一回じっくりと初めから読んでみるべきだった。解決編の前に。 巷にあふれたなんちゃってミステリーと違いこの物語はちゃんとミステリーしている。かといって本格ミステリー嫌いの自分が辟易してしまうほどに難解な謎ではない。 軽く読み流さないでこちらもちゃんと推理すれば何倍も楽しめただろうに、惜しいことをした。 ラストで判明した犯人役の人物と我々とのヒロイン像のあまりのギャップには想わず絶句した。 置かれた状況や経験が違うと、同じものがこうも乖離して見えるものなのか。それぞれのキャラ設定をも巧みに用いた作者のトリックの手腕に脱帽した。 これから読み返して犯人側からの物語をもう一度味わいたい。 | ||||
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日常の謎をミステリとして描く「古典部シリーズ」第五作。舞台となるのは、校内マラソン大会。折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花といった古典部のメンバーたちは高校二年生に進級しています。 新年度を迎えた古典部に一年生の大日向友子が仮入部したものの、しばらくたったある日、彼女は突然入部を辞退してしまいます。その原因は千反田にあるようで、奉太郎はマラソン大会中にそれを突き止めようとする、というのが物語の内容です。 本シリーズではじめての回想形式をとっており、マラソン大会当日という現在軸に、大日向入部からマラソン大会前日までの過去軸が頻繁に挿入されます。その点に "It walks by past” という本書の英題が共鳴しています。 本作のテーマとなるのは、誤解によるすれ違い。大日向が千反田に抱いた誤解を解くため、奉太郎はマラソン大会中に走りながら、それまでの経緯を整理し推理することで大日向の誤解の理由を突き止め、大日向に接触する機会をうかがいます。奉太郎が誤解の核心に近づき大日向の心情を理解するにつれ、大日向の走る位置へと近づいていくのです。つまり物理的距離が心理的距離のメタファーになっており、タイトルでもある「ふたりの距離の概算」は二重の意味を担っているわけです。その描き方がホントにうまい。そこに、ほかの登場人物たちとの “距離” の描写をからめていく匙加減も絶妙でした。 また本書では、奉太郎が自身の信条である “省エネ主義” から一歩踏み出します。千反田に対する誤解から部を辞めた大日向。大日向の退部の原因を誤解し自責する千反田。二人の誤解をどうにか解消しようとする奉太郎の姿にまぶしさを覚えました。そして間違いなくそれは奉太郎自身のためではありません。 「そこにあらぬ誤解が残ってほしくはない。誤解されたのが俺だったら、たいして気にもならなかっただろう。だがそうではないのだ」 上記の奉太郎のことばからは、他者のため、もっと言えば、千反田のために奔走する彼の心情が痛いほど伝わってきました。本作でも今までのシリーズ同様、ほろ苦いラストが待ち受けているのですが、もし次作があるのであれば、奉太郎と千反田の “距離” が縮まっていることを願いたいです。 | ||||
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映像化されてない作品だと知り、今回初めて古典部シリーズ原作に手を付けました。 一言で面白かったです。推理モノで読み難いのではと今まで躊躇ってましたが、読み進めると止まりませんでした笑 機会があれば既刊の原作も読んでみようかと思います(^^) | ||||
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古典部シリーズの5作目です。今回は、古典部部員4名のほかに、新1年生の大日向さんが仮入部部員として登場します。その大日向さんは、部長になった千反田さんのことを、”外面は菩薩、内心は夜叉”と思い込むのですが、その理由の推理が折木くんの課題となります。 もちろん、彼の明晰な頭脳は又しても解明に成功するのですが、結論に若干無理やり感があって、特に昨今の高校生気質に比べると大日向さんはややナイーブに過ぎるのではないかと思いました。 それでも、会話のリアリティや随所に埋められたエスプリは、読んでいてとても心地よく、たいへん楽しめた1冊でした。 表題から、折木くんが千反田さんに対して抱く感情を少なくともしっかり自覚するのではないかと思ったのですが、豈図らんや、そうではありませんでした。本作でも、彼らはまだ2年生の夏ですから、そんなにあわてなくてもいいのでしょう。 | ||||
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面白かったです!友人が絶賛していたので古典部シリーズに興味をもちました。アニメもすごく好きでしたが、映像化されていないからこそ、入り込んで読めました。新入生が辞めた理由という本筋に加えて、あちこちに日常の謎が散りばめられています。里志と摩耶花、奉太郎とえるの関係性も、一年を経て少しずつ近づきながら変化している描写や、そのできあがった関係性に入りたくても入っていけない新入生の微妙な感覚とか、新入生が入ってくることでなんとなく変わってくる日常の感じとか、友人たちとの関係が世界の全てだった学生時代をリアルに思い出しました。古典部シリーズで一番好きなのは遠回りする雛なのですが、こちらも秀逸だと思います。二番目に好きな作品です。 | ||||
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アニメ「氷菓」の2期はあるのかな?あっても大分先になるかもしれないけど、早く見たいなと思った。 | ||||
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自分はアニメをすべて鑑賞した後で購入しました。だから脳内で声優さんの声で脳内再生されながら読みました。後輩の女性の声だけはアニメ未登場なので再生されませんでしたが。原作を読むのも悪くないなと思わせる1冊です。 | ||||
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古典部シリーズ5弾目! いつの間にか1学年上がっていて、後輩が入ってきます。 マラソンをしながら過去を思い返して謎を解いていくのはとても面白かった。 最後は少し切なかったです。 | ||||
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アニメ「氷菓」を見て面白いと感じ、未だ映像化されていないこの作品を読んでみた。 いつかこの作品が氷菓2期として映像化されるといいな。 | ||||
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アニメ視聴済みです。アニメ化されていない話でしたが、とても楽しめました。 | ||||
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古典部二年生編最初の長編。主人公の奉太郎が神山高校マラソン大会、通称「星ヶ谷杯」走破中に、新入生勧誘週間中に起こった事件を推理していくという構成である。大まかに、マラソン中の奉太郎の推理パートと新入生勧誘週間のパートに分けられ、話の軸は古典部新入部員の大日向友子を中心にして展開される。学生における「友達」とその関係というこの年代にとっては非常に重いテーマの巻である。 今回も、この古典部シリーズならではの学校という閉じられた社会、コミュニティでの些細な行き違いや勘違いから生じた人々の日常の謎を描いている。毎巻感じている事だが、このシリーズは学校というコミュニティから脱した人間にとっては下らない、取るに足らない問題や悩みにおもえるのかもしれないと。しかし、自分がそこに属していた時彼らの苦悩を下らないと一笑に付せただろうか。学生にとってはその狭い閉じられたコミュニティこそが自分の規定する世界そのものなのだと思う。その世界で否定されることは生存を否定されたに近いことではないか。作者はこのシリーズでそんな部分を描き出そうとしているのではないかと私は思う。それは本書の『ふたりの距離の概算』というタイトルにも含意されているように思える。 | ||||
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