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Y
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Yの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 1~20 1/2ページ
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技巧的に優れた作品で、最初の方は一人称が誰なのか区別がつかず戸惑った部分がありましたが、そこを通り過ぎると一気に物語に引き込まれました。ただ、動機となる女性への想いと、その女性の魅力が釣り合わず、エンタメとしては釈然としない読後感となりました。案外こんなもんだよという皮肉が込められた作品なのか、描き方の失敗なのかはよくわかりませんが。 | ||||
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1998年9月、出版社の営業担当・秋間文夫の自宅に北川健という見知らぬ男から電話がかかってくる。北川は高校時代からの親友だと名乗るが、秋間にはまったく心当たりがない。どうしても会って話がしたいと言う北川に胡散臭さを感じて、秋間はそれを拒否するが、後日、北川の代理人だと語る加藤由梨から奇妙な手記を渡される。そこには、にわかには信じられない《実話》が書かれていた……。 ---------------------------- 1998年11月に出版された佐藤正午氏の、タイムトラベル恋愛小説です。当時、私はこの小説が文庫化される前に手にして、大いに楽しんだことを覚えていますが、さすがに四半世紀近くが経過して、物語の詳細は記憶から拭われていました。今回、読み直すに値する小説だったという確かな記憶をもとに、ひさしぶりに文庫で手にしてみました。 北川が秋間に渡した手記には、1980年9月6日に渋谷駅発の井の頭線列車が、下北沢駅を過ぎたところで大事故に見舞われ、その列車に乗っていた北川やその他大勢が被害に遭う話が書かれています。そして事故を乗り越えた北川がその後の18年を経る中で、抱いたひとつの罪悪感――あの女性を事故から救うことができなかったという苦い思い――に苛まれ続けます。そしてある日、時間を遡ることができる特殊な力を持ったことに気づき、それを利用してある壮大な計画を実行していくのです。 ケン・グリムウッド『 リプレイ 』に着想を得たこの日本のSF小説が最後に明らかにするのは、人と人との「縁(えにし)」の妙です。 かつてこの小説を読んだとき、私はまだ佐藤正午初心者でした。わずかに『 ジャンプ 』を読んだくらいではなかったでしょうか。 以来、かなりの数の正午作品を手にしてきましたが、佐藤氏の作品に通奏低音として存在するのが、この《人と人との「縁(えにし)」の妙》だと気づくようになりました。『 ダンスホール 』しかり、『 5 』しかり、『 鳩の撃退法 』しかり、『 月の満ち欠け 』しかり……。 この『Y』も、時間をさかのぼって1980年からの人生を北川が生き直したところで、秋間の人生に多少の偏差は生まれるものの、それでも妻や恋人たちとは、形こそ異なれども、やはり別の人生でも新たな関係が生まれるのです。 「その出会いは偶然の産物というよりも、もっと自然なもののような気がします。『縁』という言葉に近いものです」(302頁) まさに、多少の偏差にも屈することのない《多生の縁》が厳然と存在するのです。 だからこそ、この「あの日あの時刻に生じてしまった過去の事実を、もしいまから別のかたちに置き換えることができればと、長い人生の途中で誰もが一度は願ってみる奇跡を、本気で願いつづけた男の物語」(11頁)を通して読者が味わうべきは、今ある人生を形づくってくれた縁(えにし)を大切にする思いであると私は思うのです。 . | ||||
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タイムトラベルものは、日本人の好みなのか、たくさん公刊されます。 この本もその一冊ですが、構成や文章力においては、他の本より抜き出て います。その意味では、十二分に読む価値があり、私も一気に読みました。 ただ、タイムトラベルものの愛読家としては、北川が再度のタイムトラベルを した理由が納得できないのです。結局、過去に戻っても、「不幸な過去」を 無かったことにはできないとわかっているのに、彼は何をしに戻ったので しょうか。この物語の設定では、過去へ戻るということは、世界を単に 分岐させるだけで、もとの時間線は不幸な状態のまま残り続けます。 自分が過去に戻って過去を変える、ということは、単に自分があらなた枝を 作り出し、そこに逃げ込むことに過ぎません、残されたもとの時間線では 自分がいないだけで、不幸な状態は変わらず続いていきます。北川なら わかってたはずなのに。彼は一度目のロングタイムトラベルで18年間を やりなおしましたが、結局、うまくいったとは言えない時間線を作り 出しただけでした。そして再度18年の時を超えようとしている。 彼が時間をさかのぼるたびに、不幸な世界が増えていく。 平行世界は、タイムパラドックスは解決しますが、物語を決してハッピーエンド にはしません。たとえ、主人公が自分の思うように過去を変えられても、 その陰で枝分かれして見捨てられた不幸な世界戦は残り続けるのです。 という不快な気持ちを持ちながら読みましたが、上にも書いたように、文章力と 構成力はすばらしい。 | ||||
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読み進めるごとにそれぞれの登場人物の人物像が浮かび上がり、 彼らの関係が徐々に繋がっていきます。 続きが気になってしょうがないストーリーです。 また、物語の最後も読者全員に北川の今後を想像させるような 区切りの良い終わり方でした。 一人一人の人生は選択の連続の中にあり、ほんの少しのことで大きく運命が変わることがある。 ありきたりな言葉かもしれませんが、 私はそんなメッセージをこの本から感じました。。 | ||||
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これから楽しませていただきます。 | ||||
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もう1人の主人公である北川健が主人公の将来の妻に一目惚れしてから、偶然が重なって彼女と下北沢で食事をすることになる。ここがこの小説の一番面白かった所で、健がその後に起きるある事故について、今までの人生を捨てても良いとまで思うという事はみんながそう思うかは置いて、分からないではない。 しかしながら、その後主人公の妻となった弓子という女の描写が、離婚を前にした夫婦関係であるという事を置いてもあまりにも魅力的ではなさ過ぎて、健の後悔や行動の感動まで削いでしまっているように私には読めてしまった。 この感想と矛盾するようではあるが、主人公と弓子の離婚を巡る中盤の描写はとても入り口として弓子への興味をそそるものだった。お互いに原因などが言葉にならない所で夫婦という関係が破綻していくという感じ。 それだけに、やはり過去の弓子か現代の弓子か、彼女についての描写が充実している必要があったように思う。「運」が持つ選民性を信じて疑わない裕福な生まれの女の子という、ネガティブな要素ばかりが立ちすぎてしまう。裕福な女がビジネスで成功する、ではない離婚の背景が必要だったのではないだろうか。 | ||||
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ついつい一気読みしてしまう系の作品、話が飽きさせない作りである 休みの日などに一気に読みたい、寝る前や通勤で読むにはやや危険な引きがある 内容は佐藤作品の中では順当で飛び過ぎない、性癖はいつも通りである 長編を読みたいという人にお勧めする いつもの性癖のせいでやや読後が悪い人もいるかもしれない | ||||
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読みやすかったと思います。ただ登場人物が忘れた頃に復活するので戸惑うところはありました。よく村上春樹氏と比べられる事がありますが、多分佐藤正午氏も不思議な体験をされたのだろうと思います。それは体験した者でないと表現出来ないものだと思うので、分かりやすくストーリーとして伝える力を感じました。 | ||||
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この人の作品は、いつもドラマ化するにはちょうど良いくらいの判り易さと展開力がある。 にも関わらず、読ませる技量を持った作家さんなんだと思う。 ゴダールやトリフォーの映画が作品中に出て来たり、時代もジャンルも異なるタランティーノ映画にも言及されていて、それが作家さんの映画の好みなら、個人的に嗜好は合致するものの、 それらの映画にある衝動的な美意識も、壊れそうな繊細さもバカバカしくも緻密で突き抜けた感じ の「純粋な作品性」はこの作品には一切無い! あくまでレトリックとして引用された、 良くも悪くも、ビジネスを良く理解されたオトナが書いた作品だと思う。 読んで心や感性が刺激される事が全く無い、 ストーリー性と展開力と常識を持った良作! | ||||
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大変期待して読みましたが、わくわく感無し、よくありそうな設定でした文章には、くどいほど同じ様な文面記載されていてました、正直期待外れ | ||||
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久しぶりに良い読み物に出会えました。 今年の直木賞選考委員に感謝です。 | ||||
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月の満ち欠けを先に読んでしまうと、どうしても切れ味に欠けるかなという感じです。 | ||||
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人生におけるあのとき、ああしていれば、という分かれ目。その分かれ目に戻れたらいいのに、と思うことは誰でもあると思います。 そこに戻ってから2度目の人生のやり直し。今の周りにいてくれる人を全部捨てても、そこまでしても過去にもどりたいのか?とても考えさせられます。 作品の中に2度、村上春樹の「ノルウエイの森」が出てきました。「ノウルエイの森」は私の一番大好きな作品なのですが、佐藤さんの作品は何となく雰囲気的に、村上春樹さんと通じるものがあって大好きです。もちろん素人の主観的で勝手な感覚なのですが。 ストーリーももちろんよかったのですが、どこを切り取って読んでも面白い、というところが素敵です。 久しぶりに夜更かしして「読書」の楽しみを味わわせていただきました。 | ||||
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本書の中でも触れられているケン・グリムウッドの「リプレイ」は、人生をもう一度やり直せたら、という窮極の夢を実現した男の物語で私も大好きな作品ですが、 本書は、その傑作を意識しつつも独自性を出そうとした力作と言えるでしょう。 前半部分、この著書の文体のせいか、読んでいておやっ?と人物や時代が混乱してしまう箇所がありましたが、それでも読み進めていく内に内容がわかってき、しだいに本書ならではの味がでてくる、といった印象を受けました。 人生は選択肢の連続です。 どちらの道を選ぶのか、それは無意識に行われていても、その決断の連続であり、その瞬間瞬間に選ばれた道を進んでいく。 だから後悔をしないように道を選びたいが、必ずしも思い通りになるわけではない。 それでも現実には人生を繰り返すことはできない。 だから今できることを真剣かつ丁寧にやっていくこと。 今ここを生きること。 その大切さを逆説的に感じさせる作品です。 | ||||
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ずっと読んで、最後に「Y」のタイトルの意味がわかります。 わかってもなお、目の前が晴れやかにならないのはいい意味で著者の文章構成のすごさ?! たたむような文章で丁寧に、そして細やかなのに重くない人間模様が描かれます。 ありえない!と思いきれないのは著者の文章力のおかげかも。 | ||||
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何かの書評で見てずっと気になってた本を読んだ結果・・・。 すんごく手のこんだ舞台を用意してるにも関わらず、作中キーとなる女性に魅力が無さ過ぎじゃないだろうか? 十何年もの時間を欠けて救おうとしてる弓子は、実際は不倫中でワケアリ状態だし、真紀という女性もただの好色な人だし。 結局・・・由梨が一番魅力的かも。 | ||||
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舞台は、1980〜98年の18年。 ある日、中年サラリーマンである主人公の元に 名前を聞いても全く身に覚えがない同級生 そして、以前親友だったと語る男から電話が掛かってくる。 要件は、【ある物語】を読んでもらいたいというものだった。 そうすれば全てが解ると…。 人生をある後悔から1980年を再び生き直した男と 【ある物語】を読んでそれを知る主人公の物語。 構成は、 男が書いた【ある物語】の内容が数回にわたって展開され その間にそれらを考察しなが生活する主人公の姿とが交互に描かれ そして物語は核心に近づいてゆきます。 冗長に感じることなく、とても読みやすかったです。 (この手の小説は設定を凝り過ぎた結果、冗長になるものがあるので…) 読書慣れしている方なら休みを利用して2日ほどで そうでない方でも3、4日あれば十分だと思いました。 以上、皆様の参考になれば幸いです。 | ||||
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途中からとても面白くなって徹夜で一気に読んだ。 時間旅行によるバタフライ効果を題材にしている小説で、ミステリー・サスペンスとしてとても素晴らしいが、それだけではなくて恋愛小説としても素晴らしかった。男のロマン的な愛というか。 幾何学的に構成された構造とハードボイルドな文体と主人公の冷めた性格とは裏腹に、男の熱い愛情や友情や使命感、そして運命や縁のような理屈では説明のつかないところをメッセージとして読者に投げかけていて、これによって生まれるカタルシスを感じる事も出来た。 佐藤正午の「ジャンプ」を読んだときも思った事だけど、佐藤正午は偶然の重なりを、たまたまだと否定的に捉えるのではなく、運命だと肯定的に捉える立場に立っているのではないかと思った。だからとてもロマンチックな物語でもあった。 | ||||
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レビューが良かったので購入したが、思ったほど面白くなかった。ありきたりであまり先が気にならない。村上春樹風の描写が鼻につくし、これは僕だけかもしれないが自分自身のじしんをひらがなにしたり、コピイと書いたりするのはなんかイラっとする。内容も設定は面白いのにワクワクする感じがなかった。 | ||||
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絶対に入りたい会社の面接で、調子にのって口をすべらせた。 そして私は、人の生きる道っての左側にいった。 コツンといった。 そこで出会った人がいて、笑った時間があって、大切にしたいものに出会った。 もし私が調子に乗らず、口をすべらせなかったら私は人の生きる道っての右側にいったことになる。 そうしたら、今の私は消えるのか。その先にあるYの字で左側に二回いくのか。誰もしらない。 無限に続くYの字の連鎖のなか、選んで足して塗りなおして書きたして、今ここにいる。 佐藤 正午のYは、そういう小説だ。 主人公にはどうしても取り戻したい過去がある。それを信念で取り戻す。 時をかける少女みたいな話かと思いながら読み始めたけど、私は時かけは嫌いだ。やり直して元通りなんてありえない。Yの字を左側にいった先にも沢山の選択をしているはずなのだ。過去に戻った限り今は失われるべきだと私は思う。そこがこの話は上手に使われていて面白い。そうあるべきだとも思う。大事なものは二つもてない。本当に大事なものは両手で包むものだ。 どうしても取り返したい過去なんて私にはない。今が幸せだと望んだものだと口先だけでなくいえる私に、悔やむ過去など何ひとつない。後悔は時間の無駄だ。反省はして次に生かすべきだけど。 ちいさな奇跡とスパイスとYの字で今日って日がつくられてる。 いつ選んでるなんて分からないからこそ、どんな今日だって自分次第でOKにできる自分でいたいと思う。 | ||||
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