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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全146件 121~140 7/8ページ
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私はやはり、単行本ではなく文庫のほうをおすすめしたい。 甘い絵と苦い文章との大きな「ずれ」がないと、自分自身がその世界に完全にのみこまれてしまうと思う。あまりにも脆い精神と強く望むものとが小さな場所に入り組んでいて、息ができなくなる。 一度読んだだけで、すべてを理解できる人はほとんどいないと思う。何度も読み返し、その中で新たな見方や、真実を知ることができる作品だと思う。 | ||||
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評価の高い、衝撃の冒頭。 一つ一つの言葉を丁寧に紡いだ文章。 救いなく、訴えかけるストーリー。 タイトにまとめた構成。 心に残る登場人物。 才能がある人が丁寧に書いた文章。 それを読むだけでも価値があると思います。 | ||||
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『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』です。 この本はライトノベルのレーベルである富士見ミステリー文庫から出ていますし、砂糖菓子のような甘いようなイラストも付いていますし、文体なんかもライトノベルっぽいです。ミステリーとしては、全体が大きなミステリーではなく、作中に小さなミステリーがいくつかちりばめられている、という形です。 舞台は鳥取県境港市。 最初に変人転校生が登場して、いかにもライトノベル、という感じですが。 書かれている内容は、かなりダークです。青春暗黒ミステリーというのは確かだと思います。 親による虐待、ひきこもり、ストックホルム症候群、と、思い問題を真摯に扱っています。文章がすっきりしていて読みやすいですけど。 子供が世界と戦うためには、撃ちぬけない砂糖菓子の弾丸じゃダメということ。かなり辛くてしょっぱい話です。 ちょっと強引な展開もありますので☆4としますが、……結末は、ハッピーエンドとは言い切れないけど、……なかなか考えさせられるものでした。 | ||||
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内容はおいておいて、全体として作者が自身でもおっしゃってますが不思議な本です。 少女の日常を描いているように、何かほほえましいところもありながら、反対の真っ黒いものもしっかりと見えるお話です。 この本はいわゆるミステリーでもないし、細部もそれほど書き込まれてもいません。 でも、だからこそこの読後感っていうのがしっかりと感じられるんだろうなと思います。 細部まで書かれていたらダメだっただろうな。 でも、やっぱり黒いです。 でも、大好きです。 | ||||
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世間から愛されなかった 二人の少女が出会い 、そしてその別れまでの一ヶ月間を 綴った物語。 場面場面の田舎街の描写が、物語全体に緊迫感を与え 、展開もテンポ良くて、サラッと読めてしまいます。 しかし、冒頭部分に衝撃的な結末が描かれており 、ページ数が進むにつれ、 「この子達は、こんなに頑張ってるのに…どうして?」 とその時が来るのが、恐くなって読みたくなくなります。 しかし、それが、彼女が初めてできた親友の為に選んだ道 なのです。主人公はそのメッセージをしっかり受け止め 、世間を実弾としてしか受け止めていなかった自分から 前へと歩き出します。 残酷な描写も、確かにありますが、それが物語の本質ではありません。 これは、 自己を犠牲にし、親友に前を向いて欲しかった少女と 全身でそれに答えた少女の 一生忘れる事のできない一ヶ月の友情物語です。 | ||||
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頭では、ちゃんとモクズだって分かってるのに、何故か最後まで、藻屑がモズクになってしまい、 手紙の部分も、『さよなら、もずく』と読んでいた・・ | ||||
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ライトノベルで刊行されたこと、そして スイートな題名と記号群に一瞬身構えてしまうが なかなかどうして、「普通の」通俗小説である。 目新しい小説上の技法は特に無いが エキセントリックな人物像の描き方や 何より特徴的な台詞回しが冴えており 前へ前へと読ませる魅力に溢れている。 | ||||
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この『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』は桜庭一樹の最高傑作といわれている。 驚くべきことにこの作品、ライトノベルに散見される「甘さ」がひとつもないのだ。 ただ、ただ、救いようのない現実が甘い空想を破壊していく様子を描いている。 これはライトノベルというありえないフィクションの世界を破壊する意志に満ちている。 これが一般書として発売されるのは当然だったのかもしれない。 | ||||
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「好きって、絶望だよね。」中三の、回りの誰から見て完全なるも少女だった時に読んだ。ラノベの手軽に読める文学性を求めて購入した。絵が可愛いから、桜庭一樹さんの作品だから、と、案外軽い気持ちで。だけれど、この本は軽い気持ちで読んでいい作品ではない。主人公の少女二人は、守ってもらわなくてはいけない子供の立場にありながら、守ってもらえなかった。安心感の感じられない少女達だった。それに対して片方は早く大人になろうと実弾を欲し、片方は早く逃げようと砂糖菓子を撃った。少女特有のいつも何かに追われている感覚。読んでいてそんな感覚に陥った。一番始めのページで既に痛々しい真相が描かれている。だからこそ、藻屑の結末が切なく、痛い。正直トラウマになった。読後感はただただ、苦しかった。だけど、多くの人に読んでもらいたい。藻屑が撃った弾丸を、知ってもらいたい。砂糖菓子では、生きられないのだ。 | ||||
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主人公・山田なぎさは母子家庭で兄は引きこもり。 中学校を卒業したら、自衛隊に入隊して「実弾」を手に入れたいと願う。 一方、転校生の海野藻屑は、父はアイドル歌手の上、家はお金持ち。 「僕は人魚なんだ」と言い張る藻屑が、なぎさには空想世界でぽこぽこと砂糖菓子の弾丸を撃っているようにしか見えない。 けれど、藻屑のほうがなぎさよりもずっとシビアーな現実を生きていた。 この少女二人の対比が本当にすごいです。どちらの痛みも理解できます。 また主役二人だけでなく、脇役の存在感も深いです。 個人的には、なぎさたちの担任が印象的でした。 桜庭一樹さんはすごく懐の広い方なのだろうなあと思いました。 表紙のイラストで手に取るのを一瞬躊躇ってしまいそうですが、 読みおわったあとで再び見返すと、 まるで砂糖菓子にまみれたようなこの甘いイラストも、物語の演出の一つのように思えてぐっときました。 | ||||
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海辺の町に生きる、どこにでもいるけど少し不幸な女子中学生・山田なぎさは、自分を人魚だと名乗る転校生・海野藻屑により、いままでの生活が狂わされた。家族のため、兄のために、生きるための実弾を欲しがっていたなぎさと、砂糖菓子の弾丸を撃ちまくる藻屑の奇妙な友情を描く青春暗黒物語。 この文庫は最初富士見ミステリー文庫出だされたそうで、ゆるやかなロングセラーにより、新書になって再出版された。 私はこの本で初めて読んだので、これが挿絵付きのライトノベルで出版されていたというのは不思議な感じがした。万人向けではないかもしれない独特な雰囲気を持っていたから。 タイトルからしてそうだけど、言葉の使い方が絶妙で、この人の文章センスが好きだった。 そして物語は冒頭から、ラストがどうなるのかはっきり示されていた。 そう、読み始めた瞬間、残酷な結果を提示される。 でも、そうならないで欲しい。そんな気持ちで読み進められるほど、痛々しくて切なくて、そしてちょっぴり息苦しい物語。 実弾を求める少女。砂糖菓子の弾丸を撃ちまくる転校生。貴族の兄。 みんな生きるために、自分を守る膜を張っていた。それは誰かのために働くことであったし、嘘で身を守ることでもあったし、自分の世界に閉じこもることでもあった。 痛々しくたたきのめされながらも、現実は死んじゃった子と生き残った子の2種類しかいない。 儚さと無力さを見せつけられる様なお話でした。 良質なラノベは退屈な文学を上回るのだ、と証明している一冊だと思います。普段ラノベを読まない方にも、お薦めです。 | ||||
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実に痛い物語だけど主要キャラ(藻屑、なぎさ、友彦)を美少女、美少年に設定することで現実から数センチ浮かんだ、寓話めいた雰囲気をもった作品となっている。と考えることで容姿の過剰な描写も納得がいく。タイトルの意味は軽そうで重い。おそらく十代の人が読んだら忘れられない本になるだろう。ただ、星4つなのは中学時代に読んだある小説を思い出したから。「りぼん-ReBorn-」という、今関あきよし監督映画のノベライズ本だったと思う。フツーの少女と変人少女に友情が芽生えるが、後者は家庭の問題を抱えていて・・・というのが似てた。こっちは河童の存在を信じてるという設定。ただ「りぼん」の方は絵に描いたような虐待とか出てこないだけ妙にリアルでラストは心に風穴があいたような気持ちになったのを覚えている。逆に「砂糖菓子〜」は行くトコまで行ってしまったぶん、ラストに救われるような気がする。興味のある人は読み比べてみては。(入手はかなり困難かと思われるが) | ||||
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もう何年も前の話になってしまうが、芥川賞、というか所謂『文壇』に失望し切った出来事があった。そうじゃないだろ、と。だったら、我らの世代でもっとも醜く、もっとも傷ついた人々の物語は誰が書いてくれるというのか・・・いました、ちゃんと書いてくれる人が。書かれるべきものが、ちゃんと書かれている。文学はまだいける。それだけで☆五つ。神は死んだ。遺骸も地上に引きずりおろせ。血と汗と涙を流せ。なぜと問うなかれ、神の息の根を止める死刑執行人もまた、死すべき運命にあるのだ。滝のように吐寫物を吹き散らしながら、再生の煉獄を文字通り這いずって進む兄。母親のマンガのような俗物ぶり。子を殺す親は既知外だ、時代とか心理学とか関係ない、と泣き叫ぶ教師。美少女の侮蔑に逆上し、さらには笞で打たれる悦楽に酔う少年。断言しよう。この作品はパンクだ。誰も叫ばない時代に、割れんばかりの叫びを喚げる、凄まじいパンクだ。 | ||||
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単なるライトノベルとは思ってはいけません。 少女のバラバラ死体が発見されたという新聞記事で始まり、ミステリー仕立てかと思いきや、ありふれた(ような)日常描写で物語は進んでいきます。 ありふれたように見せかけつつ相当逸脱した人物たちが、 ベタついた日常を生き抜こうといかに必死に実弾を探しているのか。 そういう物語です。 | ||||
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リアリストで実弾(=生活に役立つもの。お金?)を求める山田なぎさと、真実を隠す為に嘘で自分を塗り固める、一見不思議ちゃんの海野藻屑。 この2人の友情がだんだんすごく、すごく私にとっていいものになっていくんですが、13歳が撃つ弾丸はちっぽけで役立たずで、儚く消えてしまいます。 ひきこもって貴族のようになった兄・友彦の行動、担任の思いなどに感動しながらも、やっぱり2人が親友となっていく様子をもっと見たかった、 けど・・・やっぱりこの世に砂糖菓子の脆い弾丸は通じないんだな・・ 親に保護されていないと生きていけない状況の中でもがいてもがききれなかった少女達の物語です。 | ||||
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大人だから感じることがある。 私は子どものココロを知っているつもりでも、もう大人。 免許証と選挙権と納税の義務と引き換えに、私は子どもでいる権利を失った。 それは紛れもない事実。 だから、なぎさや藻屑の思いは理解できるけれど、担任の言葉にシンクロした。 「俺は大人になって、教師になって、スーパーマンになったつもりだったから。(中略) ヒーローは必ず危機に間に合う。そういうふうになっている。 だけどちがった。」 ヒーローは必ず危機に間に合う。 何て夢に満ちていて、何て儚い愚かな妄想なんだろう。 間に合うわけがない。大人は子どもを守れるけれど、それはごく一部の場合でしかない。 大人にできるのは、子どもに迷惑をかけないようにすることくらいなんじゃないのかな。 | ||||
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リアルなことにしか興味のない実弾主義の女の子山田なぎさと、自分を人魚だと言い張り砂糖菓子の弾丸ばかりぽんぽん撃つ転校生、海野藻屑。 二人の共通点は13歳で未成年で義務教育で、まだ自分で運命を切り開く力がないこと…… 切なくてやりきれないお話でした。 なぎさの一人称が本当に13歳の女の子のそれのように感じられて、だからこそ率直で痛々しかった。 二人の未来は冒頭に記されているのですが、それでも読んでいるうちに「幸せになって」と願わずにはいられません。 ああもう、藻屑ちゃあん…… 現実を隠すための彼女の荒唐無稽な嘘の一つ一つが胸をえぐっていきました。 ライトノベルはいえ、とってもいいお話です。 あと、なぎさのお兄ちゃんの友彦がとても格好よかったです。 | ||||
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最初の1ページを開けば、 最悪の結末が読者を待っている。 桜庭一樹はひどい。 ライトノベルという甘く脆い「砂糖菓子の弾丸」に見せ掛け、 こころを撃ち抜く「実弾」を読者に向けている。 「ぼくはですね、人魚なんです」 転校生・海野藻屑はそういう。ミネラルウォーターをはなさず、 足の変色を「汚染なの」といい、周りから嘘つきといわれる。 「大人になりたい、実弾を持ちたい」 リアリスト山田なぎさは藻屑との交流を通し、 そして最悪の結末を迎えるまで、何もできない自分の無力さを知る。 この二人を中心とした物語は決して暗いばかりではない。 しかし、桜庭一樹の銃口は常に読者へと向いている。 何もできなかったなぎさや、大人たちは無力だけど、 なら、あなたは何ができますか、と。 「可愛そうに」ですまされない問題提議。 これをライトノベルというプラットホームから発した威力は、 読んでいただければおわかりになると思う。 傑作だと思う。 でも、こんな結末を納得するわけには行かないから、星は4つ。 | ||||
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同作者のGOSICKシリーズを気に入っていたのでこの本も読んだ。 前評判はある程度聞いていたが、実はたかをくくっていた。 私は甘くみていた事に気がつかされた。 簡単に言えば悲劇的な話だ。 本当に笑ってしまう程の悲劇だ。 私はこの本を読み進める最中、 砂糖菓子の弾丸しか持てない子供達が哀れだった。 意味も無く実弾を撃ちまくっている大人達が不気味だった。 一部の登場人物に心底共感できない自分にほっとしたりもした。 しかしなにより、作者である桜庭一樹が恐ろしかった。 一体どのような怒り、無力感、憎悪、そして愛を心に抱えればこのような 作品が書けるのか全く想像できなかった。 美しく、同時に嫌悪すべき瑞々しい作者の臓物がここにある。 じっくり読んで行けば、構成的に微妙な所や、描写不足などの 不備を見つける事が出来るかもしれない。 しかしこの作品にそんな物はどうでもいいのだ。 うねくる混沌に引きずり込まれる。 圧倒的な崩壊の予感に誘われてページをめくる手が止まらない。 そうして読者は自分の手で傷口を広げ、臓物を発見する。 読むべきだ。 かつて砂糖菓子の弾丸を手にした「子供だった」はずの大人達は 全員がこの作品を読むべきだ。 そして決して目を逸らしてはならない。 | ||||
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この話にSF要素はありません。したがって、現実的に有り得る事態というか、実際に世界のどこかでは必ず起こっている事態。それが読み進めるうちにじわじわと染み込んできて、並みのホラー作品より怖くて残酷。最初から最後まで終始重い雰囲気になっている。 二人の少女がちょっとしたことから互いに興味を持ち、正反対のものを求めながらも近づいていく。読んでいくごとに辛い現実とそれに翻弄される二人が生々しくも表現されている。 この物語は著者が急に思いついて、すぐに書き上げてしまったものらしい。試行錯誤を繰り返した作品よりも、意外や意外、こうした突発的に書いた文章の方が力が宿っている場合もある。200頁に満たない本文に関わらず、この作品は伝えたいことをしっかり伝えきっている。 | ||||
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