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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全146件 61~80 4/8ページ
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初出は2004年11月富士見ミステリー文庫。電子書籍化は2012年10月1日。あとがきで著者自身が書いているが、当初は無名であった本作は、じわじわと売上を伸ばし、評価された作品で、2年後の2006年度「このライトノベルがすごい!」で3位になるなど、その実力を読者が発見した作品だと思う。 未読の方のために内容には触れないが、家庭内暴力、そして、殺人事件の犯人として検挙される近親者、といった事件はほぼ毎日伝えられていると思う。そして、未だ知らしめられていない事件も毎日発生しているだろう。そういった現代の日常を、第三者・傍観者・無関係人として伝えるのでなく、内側に入り込んで書き上げた、史上初めてとも感じられる作品が本作だ。 語られる言葉は、『だねー』といった感じの今の若者の言葉。若者の日常語で語られる病んだ日常。それを描き切った作者の圧倒的な感性はホントに素晴らしい。そしてぼくには担任教師の奮闘ぶりが強く心に残った。 そして思い出したこと。初めて子供ができて、子供に名前をつけた時、自分がつけた名前が、この子の名を決めてしまうのだな、と思った。親というものはなってみると、想像以上に子供に対して、子供の多くの事象を決めてしまうことになる。全ての親は皆そうだろう。だとしたら、親としての自分はここでの海野雅愛のようでは絶対ありたくない、と思う。 桜庭一樹の感性の鋭さが多くのことを考えさせる。傑作中の傑作だと思う。 | ||||
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子供は親を選べない。 選べないからこそ、それがどんなに卑劣で狂ったものだとしても、その理不尽さをただただ受け入れるしかない。 そうなる前にどうにかならないのか、助けることは出来ないのか。 親ってなんなんだろう。 生まれた時に運命は決まってしまうんだろうか。 ただただ切なく、やるせなく、叫び出したくなる。 けれども、何故か何度も何度も読み返してしまう。あの調子外れな藻屑の姿を探して。 | ||||
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この小説には、「弾丸」が飛び交います。 確実な力を持つが、実態のない「弾丸」。 13歳の子供には、「実弾」を持つ資格は無く、それなのに、弾の飛び交う現実を歩まねばなりません。 そんな世界を人魚として自由に生きようとする少女と、巻き込まれた少女のお話です。 「実弾」を防ぐ術とは・・・ | ||||
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タイトルにもある「砂糖菓子の弾丸」、それと対比される形で囁かれる「実弾」という二つの比喩。あるいはサブタイトルに「Lollypop or A Bullet」(砂糖菓子か銃弾か)とあるのをそのまま引いてみれば、とりあえずは本作の主題について触れたことになります。 甘く夢想的な砂糖菓子か――痛くリアルな銃弾か。この二者択一による揺さぶりによって本作は構成されています。 結論は、自明です。その自明性については講説を垂れるまでもありません。なにせ私がここでネタバレをしてみせても、それ以前に本作の冒頭に結末が示されているのですから。 なので、作品内容が語るものよりも、この作品そのものが「撃ちこまれた砂糖菓子の弾丸」であるという、多少アクロバットな方向で本作について言及してみたいと思います。 本作では、砂糖菓子の弾丸という比喩にもされている「嘘」が仕掛けの一つとなっており、ヒロインの海野藻屑は砂糖菓子の弾丸を乱れ撃ちし(重ねて嘘をつき)、一方で主人公山田なぎさは実弾を求めて(現実をやりきるための切実な武器――身も蓋もなく言えば金)、二人はぶつかったり擦れ違ったり腫れた惚れたなりのドラマが展開されるのですが、問題は砂糖菓子の弾丸の方です。 海野藻屑の嘘は、人魚を中心としていますが、その海野藻屑自身の描写が人魚を想像させるものであることなどが、彼女の嘘と小説における真実の狭間において、読者を幻惑させます。 良くできたハッタリは現実と区別が尽きません。作中でも手品師について語られるシーンがありますが、あれは本作の自己言及と読み解いても差し支えないのではないでしょうか。手事案死はハッタリをハッタリとして見せているのではなく、ハッタリによって魔法を実現しているのです。 では、海野藻屑のハッタリはといえば、結末については先述したとおり、冒頭に示される形で決着がつくわけですが、彼女は一度だけ、確信に満ちた砂糖菓子の弾丸を放ちます。 それはまさに、実をむすんだ嘘というか、まさにハッタリによる魔法に違いありません。具体的には十年に一度訪れる大嵐を予言したことですが、なぜ彼女にそれが可能だったのか? 作中にその答えを探しても仕方がないでしょう。なにせ、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」のですから。 だから、問いのレベルを変え、作者はなぜ海野藻屑にハッタリではなく予言を実現させたのか、と問わなければなりません。 問題が作中のキャラクターでなく、作者に当てられるならば、その解は別の次元で発見されます。 砂糖菓子の弾丸とは小説というフィクション(嘘)を示し、小説家自身の夢想を云います。 小説はフィクションをフィクションとして見せるのではなく、フィクションによって現実かそれを越えるものを実現しようとします。 本作にしては、人魚にまつわるディティールが作中の結末を越える可能性として示唆されます。予言された大嵐の到来は、人魚という海野藻屑の夢想と、作者の人魚小説という妄想の表れです。 フィクションはそれがフィクションである限り人魚だろうが宇宙人であろうが、それを本物のように描いてみせる力をもっています。 小説とは、甘く夢想的な砂糖菓子に違いありません。小説家はマガジンに砂糖菓子を込めて、それを撃ち続けます。砂糖菓子の弾丸が撃ちぬくその日を無双しながら〆 | ||||
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私の主観としては泣ける小説でした。結末が冒頭にあるため、悲劇的な物語の外側から見る読者(私)にとって胸が締め付けられるように感じました。この本は子供が読むと、社会に目を向け、自分の無力感を知ることができると思います。そして大人が読むと、子供とは何か再認識できると思います。人それぞれ感想があると思いますが、まだ読んだことがない人は是非一度読んでみてください。決して損はしないと思います。 | ||||
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一般文芸に活躍の場を移し人気作家の仲間入りを果たした著者の転機となった小説です。 当初ライトノベルとして出版されたとは思えないほど、暗く重たい内容です。 初期の作品なので文章に粗さがあるように思いますが、 読者をぐいぐいと引き込むストーリー展開やラストの衝撃は著者の作品の中でも一二を争うものになっています。 | ||||
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普通は何日もかけて一冊の本を読む僕がたった一日で読み終わってしまいました。 それほど読みやすく、引き込まれる作品です。 | ||||
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これは万人向けではない、とほかの方が書いてくださっているように たしかにこれは万人向けではありません。 だからといってオススメしない、というわけでもありません。 この小説は主人公と海野藻屑の悲しい結末の話 最初、私は最初海野藻屑を主人公と同じような視点で見ていました。 変わっている子だ。と しかし物語を読みすすめてゆくと藻屑という人が少しずつ、わかってくる ぼやけて靄がかかっていたものが少しずつ靄が晴れて、輪郭がみえてくるように もう一度言いますが、これは万人向けではありません。 ですがオススメできる、美しく、はかなく、切ない物語です | ||||
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偶然手に取ったこの本で、こんなにも衝撃を受けるとは考えていませんでした。 この物語は桜庭さんの他の作品と比べても短く、結末も最初から知らされているという点ではある意味わかりやすく、 そして、その知らされた結末へ向かうまでの限られた時間の中に本当にたくさんのものが詰まっています。 10代の葛藤、生きるということ、強さと弱さ。 どこか暗い雰囲気を感じる主人公が暮らす田舎町。そんな中転校してきた一人の少女との出会い。 彼女と過ごしていく日々で変わっていくことと、決して変わらないこと。 それが切なく儚く描かれていきます。 人はいつの間にか大人になっていて、その頃には少年少女時代…悩んでいたことなんて忘れているかもしれません。 過去の自分を振り返り、「思春期だった」の一言で済ませてしまう人もいるかもしれません。 けれども、そんな確かに存在した日々を。当時の気持ちを。 不器用なりにも精一杯考え、自分の居場所を探して…あまりにも無力で、綺麗な願い。 それは不完全だからこそ美しく、少女達にとっては生き抜くための闘いだった。 かつては自分も持っていたそんな想いを、改めて考えさせられます。 物語を読み終えて、自分は上手く生きることができているのか? そう問いかけ、見つめなおしたくなります。 | ||||
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冒頭から結末が分かる珍しいお話です その結末に至る経緯をたどりながら、話が進んでいくのですが人によっては消化不良と評するかもしれない内容に感じました 軽いタッチで中々酷な事が書いてあるので、読みやすいですが後味は悪いお話です | ||||
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この本に辿り着いたのは主人公が報われない話を探したことがきっかけでした。辛く苦しい現実を共感してくれる本はどこかにないかと。結局、目的とはだいぶ掛け離れましたが。以下ネタバレにご注意下さい。 文章としては沈鬱な内容であるはずなのにどこか軽く受け流すような表現。主人公「なぎさ」がまだ中学生で、兄が10代の未成年という設定だったためそこまで重い内容にならずに済んだのではないかと思われます。 風変わりなもう一人の主人公「藻屑」がどうにも切なく、救いを求めた訳でもないのに大人になれなかった悲しみを、読者の自分にも向けられているように感じました。 見ていたのに気付いてやれなかった、知っていたのに救えなかった、という状況を大人は言い訳にしがちだけど、対照的に主人公「なぎさ」はそれを中学生らしい感じ方、悲しみ方で心に刻もうとする。 この作者の上手いところは、例えば大人であれば無念と感じるところを子供であれば傷心する、という風に使い分けが巧みな点でしょうか。 切なくなりますが、もう一度読み返したくなる本です。 | ||||
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素晴らしい欝百合小説です。 もし十代で読んでいたら嵌り過ぎてヤバかったかも。 藻屑が可憐で悲しく美しい。虐待を陸から上がったため朽ちた鱗と信じようとする健気な姿 救われて欲しかった。 ラスト日常に帰って行く兄弟が、読み手を現実に戻してくれるが同時にいつまでも心を攫われる。 悲しく素晴らしい作品 | ||||
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GOSICKの著者でもある桜庭一樹さんの作品。ちょっと病んでる。機会があったら読んでみてねー | ||||
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「青春暗黒ミステリー」というジャンル名に疑問を感じる人もいらっしゃるのでしょうが、本当にそうとしか言いようがない作品です。 ここまで世の中の「影」をリアルに、読みやすく表現出来る人は居ないのではないでしょうか…。 この本は、主人公・なぎさと奇妙な少女・藻屑の青春日記であり、そして戦きろくでもあるのでしょう。 | ||||
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子どもはまだ自力で生き抜く力をもっていない。その力というのは、財力や生活力、体力であったりするけれども、大人たちのあいだで揉まれて、ときには抵抗するのに必要なその力がない。だから子どもたちがもつ“弾丸”は、“実弾”ではなく“砂糖菓子”。それ自体甘くて、誰かにぶつけても砂糖屑となって散るだけ。 この物語が描くのは、“砂糖菓子の弾丸”しか撃てない子どもたちの葛藤。ある子は“実弾”を求めようとするし、またある子は“砂糖菓子の弾丸”はむやみに撃ち続けるだけ。“実弾”を撃てるくせに撃たない子もいる。こうしたなかで、少年・少女時代が終わり、「生き残った子だけが、大人になる」(p.188)。 “実弾”を撃てるようになる、つまり“大人になる”とはどういうことなのか――。子どもたちの視点に沿って丁寧に描いていると思います。 | ||||
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本作は桜庭一樹氏による物語。 中国地方の海辺の町を舞台にした、少女二人の交流を描く。 中学2年生の山田なぎさのクラスにある日転校してきた少女・海野藻屑。 美しい顔をした藻屑は自分のことを人魚だという変わり者で、何故かなぎさに付きまとう。 やがてなぎさは藻屑が抱える暗い部分を知り、葛藤する。 本作は冒頭部分であえて残酷な結末を知らされる。 しかも新聞記事という、客観的に事実を伝える道具を使って。 「なんで?」という思いと「嘘であって欲しい」という思いで読み進めるが、読み進めるにつれ、じわじわといやな予感がしてくる。 なので「なんてイヤな書き方だ」と思った。 しかし最初に結末を知らなかったら、果たして終盤での衝撃に耐えられたものか、自信がない。 読者に衝撃を与えることが作者の意図ではないのであれば、これは作者の優しい心遣いなのかもしれない。そう思うことにした。 藻屑にしろなぎさにしろ、13歳の少女にしてみれば残酷な出来事であることは間違いない。 それでも最後は、ほんの少しだけ、前を向かせてくれる。 そんな作品。 本作ですっかり桜庭一樹氏のファンになった。 | ||||
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型通りの悲劇とカタルシス。著者の一連の作品の中でも、最もシンプルかつ書きたいものが率直に表現されているという印象。後書にもそれが現れていた。私自身、「こういう話が好きなんです」と素直に言える作品で、ゆえに著者に親近感めいたものを感じるのは、私が読み手としてまだ青いということなのか。オタク心をくすぐる読み返したい悲劇。 | ||||
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確かに最初の数ページのあまりの砕け具合に、ラノベってどれもこんな感じなのか?と思った。けど、後半から一気に加速する。読むのを止められなかった。つまらない小説なら、読むのも苦痛になる。自分がどれほど物を知っているか、知識の無駄なお披露目としてやたら文章を難しくする作品には嫌悪感がする。この小説は、その点とても読みやすかった。いちいち無駄にエゴに知識を垂れ流さなくてもこんなに素晴らしい物語は本当に才能のある作家さんには書けるのだと改めて感じた。 思春期に感じた、無力感や明日への恐怖や未来に対してのあるのかないのかわからない僅かな希望にもすがる気持ちや、そんな若い青い感情がよみがえった。そんな時代もあったなと、苦しくてもがいて、何も掴めなかった不器用なあの頃より、私はずいぶん大人になったんだなと涙がこぼれた。 確かにこれはハッピーエンドではないかもしれないけれど、救いがないわけでもない。文庫本にリニューアルされ、気になってはいるけれどラノベだからと読むのに今ひとつ抵抗なんかがある人は、読んで後悔はしないと思います…。 | ||||
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切ない。 この喪失感は何なんだろう? 純真さというものは誰もが失いたくないものかもしれないけど、 もしそれを自分達の住む世界から最も遠い場所に 置いてこなければいけないとしたら…。 社会で働くことと自分が犠牲にしているものを 考えさせられるのは、年を取った証拠かな。 なぎさと同じ十三歳の時に読んでいれば、 間違いなく違う感想になると思う。 これは傑作だと思います。 | ||||
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まだ幼い少女たちがだんだんと成長していくうちに いろいろなことを学んでいく 砂糖菓子の弾丸しか撃てなかった少女 そして、その甘い弾丸の意味に気付かなかった主人公 けして、読み終わった後、心地いい気持にはなりません むしろ、心にどっと何かが重くのしかかるような感じです けれど、何かがこの本を読む前後では大きく変わっていることでしょう | ||||
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