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ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編



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ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編の評価: 4.24/5点 レビュー 58件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.24pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(3pt)

いつもの

春樹さんはいつも、どれも面白い。違う世界へ行ける。
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)より
4101001421
No.3:
(3pt)

クミコの失踪。クミコのいなくなった家でじっと待つ。

オカダトオルには 災難が降りかかってくる。
なんといっても クミコがいなくなってしまう。
クミコの中にある わけのわからないもの
語られないものが しだいに姿をあらわすのであるが
それが クミコの失踪という できごとだった。

オカダトオルは 何故クミコがいなくなってしまったのか?
皆目検討もつかない。クミコのことを知っているようで
知らないのだ。夫婦というのは 多分そういうものだろう。
一緒に生活しているからと言って、
わかるとは次元の違うことだ。

そして、クミコから 衝撃的な手紙が来る。
クミコは 性的な付き合いをしている男がいたのだ。
その男と 性的な興奮さえも味わった という。
オカダトオルとは 感じることができなかったことが、
他の男とできてしまう・・。さぞかし、悔しいことだろうが。
オカダトオルは あまり感じていないようだ。

クミコは 去って行った。
しかし、クミコは 小さな声で メッセージを伝えようとしている。
それが 第二部の 終わりである。
セックステレフォンを掛けていたのは クミコだった。

オカダトオルは 井戸の中に もぐりこみ、
三日ほど すごすことで 自分というものを少しづつ理解を始める。
間宮中尉の 追体験 なのか?
暗闇の中で 自分を探り 壁抜けをする。

笠原メイはオカダトオルが井戸の中にもぐりこんでいることを知って
オカダトオルから 吊り梯子を取り上げる。
もがく もしくは死に向かう オカダトオルを見たかったのだ。
笠原メイは 目のシタに傷をおっていたが、
バイクに乗ったときに 運転する恋人を目隠しすることで
事故を起こし、恋人を死なせてしまった。
そのことで、つねに「死」に向き合っていた。
オカダトオルが 笠原メイと 交わらないことを期待したい。
どうも、ムラカミハルキは やりまくりたいようだ。

加納クレタの 痛みばかりの時期 
自殺をしぞこなって痛みを感じない時期 
綿谷ノボルに 汚されて、快感を感じるようになり・・・
(何故、それがよごされたのか?よくわからない。
そして オカダトオルと 交わることで 名前を失ってしまう。
(何故、オカダトオルと交わると汚れが落ちるのかもわからない。

加納クレタは 空っぽな 自分から徐々に 自分を取り戻していく。
一体、この空っぽな 状態をどう埋めていくのだろうか。
加納マルタの霊媒として 意識の中で交わる。
この クレタ、マルタ が 沖縄で言うと ユタみたいな存在。
加納マルタは 「水」をもとめて 
世界を駆け巡り マルタ島で本当の水に出会う。

綿谷ノボルは 国会議員に出馬する可能性を示唆する。
世界観のない綿谷ノボルには 政治家が向いているのかもしれない。

加納クレタは オカダトオルを クレタ島に 一緒に行こうという。
オカダトオルは それは逃げ出すことに他ならないと思い
クミコのいなくなった家で じっと待つことにする。
「逃げ出さない」というのも 重要な選択である。
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)より
4101001421
No.2:
(3pt)

これをみて3部を・・・。

3部を見るのか、迷ったな。
でも、最後はどうなるんだろーと、
3部まで見るんだろーな。
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)より
4101001421
No.1:
(3pt)

猫はどこへ行った!

※ご注意 文庫は二種類あります。表紙は「ねじまき鳥クロニクル 第2部予言する鳥編」の間に鳥マークのある赤っぽい表紙、そして鳥マークのない紫っぽい表紙のものです。前者は429頁で字が大きく、後者は361頁で字が小さいです。後者が古い版です。
「一九八四年七月から十月」と冒頭に記載されている。…259ページの「カセット・テープ」は、1970年代から1980年代にかけ隆盛を極めた、後。1992年にソニーが発売したMDに代替され、更なる後、2001年にアップルコンピュータ社からデジタルオーディオプレーヤーのiPod(アイポッド)が発売され、取って変った。
>>妻の失踪、行方不明の猫と第2部は失踪がテーマでしょうか?
「間宮中尉をバスの停留所まで見送ったその日の夜、クミコは家に帰ってこなかった。」13 「〜オーデコロンを彼女に贈ったかもしれない男のことを想像してみた。僕(岡田亨)はクミコがどこかの男とベッドの中で抱き合って寝ているところを想い浮かべた。」16 「十時になると、〜クミコの会社に電話をかけてみた。〜十一時になってもクミコがまだ出社いていないというのは、普通のことではなかった。」16 「電話のベルが鳴った。〜『私は加納マルタと申します。実は猫のことでお電話をさしあげているのですが』〜『猫はよほどのことがない限り二度と見つからないのではないかと思うのです。〜』」20 「『〜、猫のことの他に、何か私にお手伝いできるようなことはございますでしょうか』〜。そして僕はクミコが昨日の夜帰ってこなかったことと、今朝もまだ出社していないことを加納マルタに説明した。〜『〜、いろんな物事が明らかになっていくでしょう。今は待つしかありません。〜』」21 「『おそらく、名前の初めにオのつく人からもうすぐ電話がかかってくるはずです』」23 「電話のベルが鳴った〜。〜。『こちらは大村酒店と申します。〜。これから集金に伺いたいと思うのですが、〜』」27 「僕が代金を払うと〜。『ねえ岡田さん、今朝駅前で事故があったのご存じですか?〜』〜『〜。駅前のクリーニング屋さんご存じですか?ちょうどあの前ですよ。〜』」28 「〜、駅前のクリーニング店に洗濯ものが預けっぱなしになっていたことを思い出した。クミコのブラウスとスカートだ。」29 「『昨日の朝に取りに来てるよ。私が奥さんに直接渡したからよく覚えてる。会社に行くついでに寄ったみたいだったね。〜』」30 「〜路地を隔てた向かいの<空き家>の塀にもたれて、鳥の石像のあるその庭を眺めていた。」35 「〜笠原メイが姿を見せた。」36 「『ねえ、お願いがひとつあるんだけど』と僕は言った。」37 「『ここに電話をかけて、岡田クミコという人が会社に出てきているかどうか、〜、昨日は出社したかどうか、それだけを訊いてほしいいんだ』」38 「『昨日も出社してないんだって』と笠原メイは言った。」40 「眠りの中で〜。〜。その部屋の中には僕と加納クレタしかいなかった。〜。加納クレタが着ているのはクミコの夏物のワンピースだった。」44 「そして、左の腕に二本一組のブレスレットをつけていた。」45 「彼女は僕の体の上にまたがるように乗り、硬くなったままの僕のペニ酢を手に取るとするりと彼女の中に導いた。」47 「今僕と交わっているのはあの謎の女の声だった。彼女はやはりクミコのワンピースを着ていた。僕の知らないあいだにどこかで加納クレタとその女とが入れ代わってしまったのだ。」48 「短い期間に二度も夢精をして、そのどちらの時も相手は加納クレタなのだ。」49 「突然電話が鳴った。〜。加納クレタの声だった。〜『それでは明日のお昼ごろに岡田様とお目にかかることができればと思うのですが』」56 「コーヒールームに着いたとき、〜綿谷ノボルと加納マルタは既に席について僕を待っていた。」58 「『自分は他の男と関係を持っているとクミコは言った。そしていろんなことをきっちりと清算したいと言った。私(綿谷ノボル)は離婚すればいいと忠告した。それについて考えてみると(妹の)クミコは言った』、綿谷ノボルはそう言った。」70 「家に帰って郵便受けの中を覗いてみると、分厚い封書がひとつ入っていた。間宮中尉からの手紙だった。」79 「私は何はともあれ、岡田様にお目にかかってこの話をすることができたことを嬉しく思っています。〜。〜話してしまうことによって、ある種の救いを得ることができたような気がするのです。〜。僕はその手紙を最初からもう一度ゆっくり読み直し、封筒に戻した。」87 「家の中は、〜。そしてそこに加納クレタがいた。〜。『鍵がかかっていなかったんです』と加納クレタはやっと口を開いた。『それでそのまま上がらせていただいたんです』」90 「『私は岡田様と〜交わりました』〜。『私は最初のときには口だけを使い、それから二度目には交わりました』」92 「『二度目のとき、私は奥様のワンピースを身に着けておりました。〜。そして左の手首にこれと同じブレスレットをつけておりました。〜』〜。〜彼女は僕の夢の中に出てきた情景を全部性格に言い当てていた。」93 「僕はクミコが帰ってきて書き置きを目にするところを想像した。〜。『大事な用事があって、しばらく外出します。そのうちに戻ってきます。待っていてください。T』〜。〜僕はナップザックを背負って、裏庭の塀を乗り越え、路地に下りようとしていた。」105 「井戸の前に来ると、蓋の上の石を取り除き、ふたつに分かれた半円形の板の蓋のひとつを外した。〜中に小石を放り込んでみた。小石は〜乾いた音を立てた。水はない。」108 「柔らかい縄梯子をつたって井戸を下りるのは、想像していた以上に骨の折れる作業だった。」110 「そして二十三段目にやっと井戸の底に達した。僕の足は井戸の底の土に触れた。」111 「クミコと出会ったのは、神田にある大学病院の入院患者家族用待合室だった。」115 「何度かそこで顔を合わせているうちに、僕とクミコは軽い世間話のようなものをするようになった。」119 「病院の界隈で何かの合間に細切れな話ばかりしているのではなく、もっと別のところで二人でゆっくりとまとまった話ができればいいのにと僕はいつも考えていた。僕はある日、思い切ってクミコをデートに誘ってみた。」120 「その日僕らは上野動物園の水族館で午後を一緒に過ごした。」121 「僕とクミコは何度かデートをした。〜。もう病院に通う必要のなくなったあとも、僕らは週に一度は会って、映画に行ったり、音楽を聴きに行ったり、ただ散歩をしたりした。」125 「『これからあなたのアパートに行っていい?』『もちろんいいよ』、僕はちょっとびっくりして言った。127 「〜クミコの体に手をまわしたとき、最初から抱かれるつもりでいたのだということが僕にはわかった。」128 「彼女が大学を卒業するのを待って、僕らは結婚した。」129 「結婚して三年目にクミコは妊娠した。」138 「でも何はともあれ、僕らには子供を産んで育てるほどの経済的余裕はなかった。クミコは出版社の仕事にやっと慣れてきたところだったし、できたら長く続けたいと思っていた。〜、僕はクミコに堕胎手術を受けてほしくはなかった。」139 「クミコが堕胎手術を受けたとき僕は北海道にいた。〜。クミコは一人で病院に行って、堕胎手術を受けてきた。そして夜の十一時過ぎに僕のホテルに電話をかけてきて、『今日の午後に手術を済ませたの』と言った。」148 「夜明け前に井戸の底で夢を見た。」156 「『今はまちがった時間です。あなたは今ここにいてはいけないのです』〜。『そこから先に進むと、もうあとに戻ることはできません。それでもいいのですか?』」169 「僕はあてもなくその廊下を行ったり来たりしていたが、やがてルームサービスのトレイを持った客室係のボーイとすれちがった。〜。ときどき彼は口笛を吹いた。『泥棒かささぎ』の序曲だった。」160 「僕はそっとノブを回してみた。〜。そしてそれは間違いなく、僕が以前加納クレタと交わった部屋だ。」162 「『明かりはつけないでおいて』と女の声が僕に告げた。〜。僕に何度かあの奇妙な電話をかけてきた謎の女の声だった。」163 「『〜。もし奥さんをみつけたいのなら、なんとか私の名前をみつけてちょうだい。〜』」167 「〜僕はふと思い出して、暗闇の中に手を伸ばして井戸の壁にかかっているはずの梯子を探した。でも梯子には触れなかった。〜。〜、ナップザックから懐中電灯を取り出して点けた。梯子の姿はなかった。」174 「頭上を見上げると、そこに笠原メイの顔が小さく見えた。『ねえ、ねじまき鳥さん、そこにいるんでしょう?〜』『いるよ』と僕は言った。〜。『考えごとをしているんだよ』と僕は言った。」180 「『ねえ、ねじまき鳥さん、梯子がなくなったことに気がついたかしら?』〜『それで、梯子を引き上げたのが私だってわかった?』」181 「『〜。あなたは私の気持ちひとつでそのまま死んじゃうかもしれないのよ。〜。私がこのままどっかに行っちゃったら、あなたはそこで死んじゃうことになるのよ。〜』」184 「『〜、あなたがもっとその考えごとに集中できるようにしてあげましょうか』〜。そして半分だけ開いてあった井戸の蓋をぴったりと閉めた。」186 「笠原メイが二度めにやってきたのは三時過ぎだった。〜。彼女が井戸の蓋を半分開けると、頭上にさっと光が浮かんだ」189 「『あなたはまだ生きているのかしら、〜生きていたら返事をしてくれる』『生きてるよ』と僕は言った。」190 「『〜、あなたは今そこで、文字通り死と向かい合っているのよ。〜。あなたが死ぬも生きるも私の胸ひとつなんだって』」194 「『ねえ、君に話したいことがあるんだ』と僕は言った。〜『僕の奥さんには他に恋人がいたんだ』と僕は言った。」196 「『そしてねじまき鳥さんはがっかりして井戸の底に入っちゃったのね?』『〜、一人になって静かに集中してものを考えることのできる場所が必要だったんだ。僕とクミコの関係がいったいどこで損なわれてしまったのか、どのようにして間違った道筋に入ってしまったのか、それがわからないんだ。〜』」197 「『ねえ、ねじまき鳥さん』と彼女は静かな声で言った。『考えなさい。考えなさい』。そして再び井戸の口は蓋でぴったりと塞がれた。」200 「ずいぶん体が弱っているような気がするな、と僕は思った。〜。空腹感は相変わらずやってきては、去っていった。」208 「笠原メイはいったいどうしたんだろう。何故ここにやってこないのだろう。」212 「加納クレタの声は、どこかずっと上の方から聞こえてきた。〜。顔を上げると、井戸の蓋が半分だけ開いていて、その上には綺麗な星空だけ見えた。〜。『ここにいるよ』と叫んだ。」〜。『ここにある縄梯子は岡田様のものなんですか?』216 「『〜。〜それをここに垂らしてくれないかな。そうすれば上にあがれるんだけれどね』」217 「〜大きく深呼吸をしてから梯子を登り始めた。〜。僕は井戸の縁に手をかけ、最後の力を振り絞ってそれを乗り越え、転げ落ちるようにして柔らかい地面に下りた。」218 「〜やがて僕は身を起して、ゆっくりとまわりを見回してみた。誰もいなかった。〜。加納クレタはいったいどこに消えてしまったのだろう。」219 「自分の家の塀をなんとか乗り越え、庭に下りた。〜。台所のテーブルの上には僕の書いた短いメモが残っていた。」230 「郵便受けの中には封書が一通だけ入っていた。〜、その宛て先を書いた筆跡がクミコのものであることは一目でわかった。」222 「私には付き合っている男の人がいました。私はこの三ヵ月近く、その男の人と性的な関係を持っていました。相手は仕事の関係で知り合った人で、〜。」224 「彼は私よりずっと年上だったし、もう奥さんも子供もいたし、男性としてとくに魅力的というわけでもなかった〜。」225 「何かの拍子にふとからだが触れ合ったときに、私は突然心の底からその人に抱かれたくなったのです。触れ合ったときに、私は彼が私の肉体を求めていることを直感的に感じました。そして彼もまた私が彼の肉体を求めていることを知ったようでした。〜。私たちはどちらから誘うともなく近くのホテルに入り、そこで貪るようにセック酢をしました。」226 「私は結婚前も、結婚してからも、〜、あなた(岡田亨)との間に本物の性的な快感を持つことができませんでした。」232 「たぶん近いうちに離婚の手続きを取ることになると思います。」233 「僕はその手紙を時間をかけてもう一度ゆっくりと読みなおして〜。〜クミコは自分でも手紙に書いているように、僕と寝ることをずっと拒否していた。膀胱炎の軽い徴候があって、しばらくはセック酢を控えたほうがいいと医者に言われたのだとクミコは説明した。」234 「僕はクミコのほっそりした背中や、首筋や脚や乳房の感触を、今ここにあるもののようにありありと思い出すことができた。僕は制行為の途中で僕がクミコにしたことや、クミコが僕にしてくれたことをひとつひとつ思い出した。」235 「FMラジオのクラシック番組を小さくつけた。〜。〜、シューマンのものらしい小曲がかかった。〜。〜女性アナウンサーがそれを『森の情景』の第七曲『予言する鳥』だと言った。」236 「『〜。実を申しますと、しばらく前からクレタとの連絡が取れなくなってしまったのです。〜』243 「『〜。〜どうしたことかクレタの気配もうまく感じられないのです』」244 「『もしクレタさんに会ったら、あなた(加納マルタ)に連絡するようにちゃんと伝えます』〜。『ありがとうございます』と加納マルタは言った。そして夜遅くに電話をかけた侘びを言って、電話を切った。」245 「〜、また塀を乗り越えた。そして路地を通って空き家の前まで行った。〜。僕は空き家の庭に入って、まっすぐ井戸のところに行った。〜。僕はなんとなく気になったので井戸の底を覗き込んで『ねえ、加納クレタさん』と囁くように呼びかけてみた。〜。『大丈夫ですよ、ここにいます』と加納クレタが言った。〜。『考えごとをしているんですよ。ここはものを考えるにはとてもいい場所ですね』」246 「『〜。でももう少しここにいたいんです。私のことなら心配しないでください』」247 「僕は加納クレタをそこに残していったん家に引き上げることにした。」248 「目覚めたのは、翌朝の九時半だった。〜、路地を抜けて空き家まで行ってみた。〜。井戸にはもう縄梯子はかかっていなかった。〜。井戸の蓋も二枚きちんとかぶせられていた。〜。僕はその蓋の一枚をとって井戸の中をのぞきこみ、加納クレタの名を呼んでみた。しかし返事はなかった。」249 「路地を歩いて家に戻り、浴室で歯を磨きそれから髭をを剃ろうと思った。〜。そして顔を傷つけないようにゆっくりと注意深く髭を剃っていった。〜。右の頬に何か青黒いしみのようなものがついていた〜。」250 「それはあざだった。」251 「目覚まし時計の針は午前二時過ぎを指していた。〜。〜ベッドの上で体を起したとき、隣にいる誰かの肌に触れた。」261 「僕は思い切って枕元のスタンドの明かりをつけてみた。それは加納クレタだった。」262 「〜加納クレタは言った。『私が覚えているのは、目が覚めたら岡田様の家にベッドで裸で寝ていたというだけです。その前のことは思い出せません』」270 「『今から六年前の話になります。〜。私は暴力団の売春組織に組み込まれていました。〜』」276 「『私がその日に指示されて言ったのは、都心のあるホテルの十六階でした。部屋は綿谷という名前で取ってありました。〜』」276 「〜娼婦になってからは、〜。私は相手を喜ばせるためにため息をついたり、興奮しているふりをしました。」279 「『その男(綿谷昇)に愛撫され、抱かれ、生まれて初めて理不尽なほどの性的な快感を得ることによって、私の肉体に何らかの大きな変化が生じたのです。〜』」288 「『それから私は体を売るのをやめにしました。〜』」289 「そうこうしているうちに、(姉の)加納マルタから手紙が届きました。彼女は三年間にわたるマルタ島での修行のようなものをようやく終了したので、一週間のうちに日本に帰ってくるというのです。」293 「そして姉は私に加納クレタという新しい名前をつけてくれました。〜。そして加納マルタは私を霊媒として用いるようになりました。」295 「食事のあとで加納クレタは突然僕に訊いた。」301 「『私と二人でクレタ島に行くおつもりはありませんか?』」302 「その夜に、僕はベッドに入って彼女を抱いた。僕は加納クレタの着たクミコの服を脱がせ、彼女と交わった。」309 「僕は電車に乗って、〜。」328 「週刊誌の中吊り広告を順番に見ているうちに、〜。〜「綿谷昇氏の政界出馬が投げかける波紋」と書いてあった。」329 「〜クレタ島に行くのに必要な衣類や雑誌をとりあえずスーツケースの中に詰めてみた。」334 「『ねえ、ねじまき鳥さん』とその女は言った。〜『笠原メイですけれど』」338 「『ねえ、ねじまき鳥さん、よかったら今からうちに来ない?』」339 「笠原メイの庭に入った。」341 「『〜ねえ、ねじまき鳥さん、信じてくれないかもしれないけれど、私は本当の最後にはあなたをちゃんと井戸の底から助け出すつもりでいたのよ。〜』」346 「『ねえ、本気だと思った。私があなたをあそこで殺しちゃうって言ったことを?』」347 「『ねじまき鳥さん、これからどうするつもり?』〜。『〜たぶんここを出て行くことになると思う。あるいは日本を出ていくことになるかもしれない』」350 「『〜、私もあの井戸の中に入ってみたの。〜』」352 「『〜、どうして君(笠原メイ)はそんないいつもいつも死について考えているんだろう?』355 「『〜。〜私はときどきひどく苛々するし、それでむちゃくちゃなことをしちゃうの』〜『たとえば、あなたを井戸の底に閉じ込めちゃうとか、それからバイクに乗っているときに運転している子を両手でうしろから目かくしするとか』」356 「『その男の子はどうしたの?』と僕は訊いた。〜。『死んだわよ』、〜、笠原メイは表情のない声でそう言った。」357 「次の日の朝、僕はパスポート用の写真を撮りにいった。〜。叔父に電話をかけて、〜。〜、実はクミコが突然出ていってしまったのだと僕は打ち明けた。」363 「〜僕は叔父を慰めるように明るい声で言った。『ただ少しのあいだ、ここを離れたいと思うんです。〜』『どこか行くあてはあるのか?』『たぶんギリシャに行くことになると思うんです。〜』」365 「二日後に彼(叔父)はやって来た。」366 「『〜。何も慌てて決める必要はないさ。〜。じっと留まって時間をかけなくちゃならないこともある』『それは、もうしばらくここにいろということですか?』」374 「一週間、〜。〜電車で新宿に出て、広場のベンチに座り、〜、じっと人の顔を見ていた。」377 「〜、僕に話しかけてきた人間がいた。身なりのいい痩せた中年の女性だった。」378 「『あなた、お金はあるの?』と彼女は訊いた。〜『とくに今のところは困っていませんね』と僕は言った。」379 「あの男を前にどこかで見たことがある。〜。すぐにベンチを立って、急いでそのあとを追った。」*** 「男は〜、アパートらしき木造の建物の前で立ち止まった。そして入口のドアを開け、中に入り、ドアを閉めた。」*** 「〜、僕はアパートらしき建物の玄関に行ってドアを開けてみた。」*** 「そのお男は下駄箱の陰からまるで猿のように素早く飛び出してきて、野球のバットで思い切り僕の肩を叩いたのだ。」*** 「僕は男の手からバットをもぎ取った。」*** 「それからバットで太股を叩きつけた。」*** 「結局僕はそのバットを家まで持って帰った。」*** 「最後までずいぶん考えたのだが、結局僕はクレタ島にはいかなかった。」396 「僕は間宮中尉に手紙を書いた。そして僕の身に起こったことをざっと説明した。」409 「一週間後に彼は返事を寄越してくれた。〜。本田さんは私とあなたと会うことが、私のためにもあなたのためにも良いことだと思っていたのではないだろうか。〜。あなたへの形見が空っぽの箱であったことはそれで説明がつくと思う。」410 「〜もし岡田様の中に、奥様のお帰りをもうしばらく待ってもいいというお気持ちが少しでもおありになるのでしたら、そこで今のようにじっと待っておられるのが、おそらくは正しいことであろうかと思います。」412 「『ねえ、ねじまき鳥さん、知ってる?あの空き家が昨日から取り壊されているのよ。例の宮脇さんの家が』」412 「僕と笠原メイと一緒に路地を通って空き家の裏まで行った。たしかに家の解体作業はもう始まっていた。」413  「『ねえ、ねじまき鳥さん』、彼女(笠原メイ)は少し迷ってから付け加えるように言った。『私はたぶんこれから学校に戻ることになると思うの』」414 「空き家はそれから十日ほどで完全に壊されてしまった。」418 「区営プールでひとりで泳いでいるときに、僕は幻影のようなものを見た。〜。ふと気がつくと僕は巨大な井戸の中にいた。僕が泳いでいるのは区営プールではなく、その井戸の底だった。」419 「僕は息をひそめてそっと水の上に浮かび続けている。水は僕の体重を支え続けている。」424 「あの女はクミコだったのだ。どうしてこれまでにそれに気がつかなかったのだろう。僕は水の中で激しく頭を振った。」425 「でも僕は踏みとどまらなくてはならない。そしてその世界に向けて手を伸ばすための手立てをみつけなくてはならない。それが僕のやるべきことなのだ。待つべきときには待たねばならん。それが本田さんの言ったことだった。鈍い水音が聞こえ、誰かが魚のようにするすると水の中をやってきた。そして頑丈な腕で僕の体を抱いた。プールの監視員だった。〜。『あなた大丈夫ですか』と彼は僕に尋ねた。」428
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4101001421

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