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新世界より
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【この小説が収録されている参考書籍】
新世界よりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.97pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全364件 321~340 17/19ページ
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評判が良くて手に取ったが、読み始めたらファンタジー小説だったので、 失敗したかなと思っていた。 しかし読み進むうちに面白くなって夜を徹してよんでしまった。 この世界感にどっぷりと浸って読むのがお勧め。 | ||||
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帯に惑わされて読み損ねるところだった、危ない危ない。なぜハリー・ポッターと同列に語る?なぜ「冒険小説」だとか牧歌的(「冒険」は当然そんな生易しくないだろうけど、「冒険小説」となると、どうにも少年少女的だと思う)にまとめる?「ファンタジー」だ?違うだろ、強調するとこ。 この小説はそんなに温くない。どっちかというと予言や警告の類だ。今まさに私たちが実際に抱え持つ、リアルな人間の業の話だ。心底怖い物語だ。 あまり内容に踏み込みすぎるとこれから読む人の興をそぐ恐れがあるので、具体的なことを書けないのがもどかしいが、人間はそうまでしないと攻撃性や嗜虐性を抑えられず、そうまでしないと内的な優越感や傲慢に打ち勝てず、社会的な秩序を保てない生き物なのか、と愕然とさせられる。人間が「優しくある」ということが実はどれほど難しいことなのか。自分たちと違うものに対する恐れや差別、それが加速していく様、それが当たり前になっていく過程が、主人公が自分たちの社会の成り立ちや歪みを知る上巻、バケネズミとの戦いの渦中に巻き込まれる下巻を通して克明に描かれている。 バケネズミの正体については上巻ですでに漠然とした予感を得ることができるが、物語の終盤で明らかになったその具体的な「正体」には打ちのめされる他なかった。人間にそこまでのことができるのか。できてしまう気がする。その意味で、これは普遍的かつ現代的なテーマを含んだ、どこまでもリアルな予言であり警告であるという気がするのだ。 悪鬼・業魔のシステムに深く傷つけられたはずの主人公が、バケネズミとの死闘を経た後では、そのシステムを当然のように受容しているのも、怖い。 エンターテイメント小説としてほぼ完璧な面白さを備えながら、普段私たちが目を逸らしがちな恐ろしい深みを「ちゃんと見ろ」と突きつけてくる、この読書体験は怖くて貴重だ。どうか帯に惑わされず一読してほしい。 | ||||
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間違いなく面白いです。 近未来冒険物でありながら、 超能力物であり、 サイコホラーでもあります 面白いものがすべて、詰め込んであり しかもそれが、絶妙なバランスです 貴志祐介ここにあり!って感じですか | ||||
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この作者は、大体いつも一つの本を出すのに長い時間を費やします。 それは、専門的なことを学んだり、舞台設定をちゃんとするためです。 それは毎回驚かされるほどの知識量で、「天使の囀り」にしてはここまでやらなくても…というくらい凝っていて、少し読みにくい印象がありました。 それが今回はSFとなり、凝っていれば凝っているほど味が出て、この世界にのめり込むことができました。いつもは少し面倒になる長い文章も、今回はすべて楽しみに読めました。 文章力、内容共に、SF対象にふさわしい出来だと思います。 最後の終わり方は少しブルーになりましたがね。 個人的には、「上」のまだ皆が若いころが一番面白く感じました。 2部くらいにわけて映画化しないかなー。 | ||||
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割と前に買っていたのですが、 子供が主人公の本に対する偏見(子供の純粋な心とかそういう美化がてんこもりだろう)が邪魔して、 出だしでつまずいて、しばらく投げてました。 なんか、読むものもないしということで、 カレーライスとパスタと赤ワインで、お腹がはちきれんばかりになりながら、 最初からじっくりと読み直し。 後悔しました。。。 お腹いっぱいで読む本じゃないです。 吐き気をこらえるが苦しくて、涙がにじみっぱなしでした。 目に浮かぶ情景が、気持ち悪いのもそうだけど、 なんていうか「人間の気持ち悪さ」というのが、これでもかこれでもかとじわじわと。 「黒い家」で、ごく普通に見える人間の心の底の怖さを嫌になるだけ曝け出されて、 「天使の囀り」で、その人間の気持ち悪さを立体化してみせた、 作者の力量を忘れていたというか、甘く見すぎたというか。 気持ち悪くてしかたないのに、どうしても本から離れられず、 上下巻、1000ページを超える長編一気に読みました。 気がついたら、朝の4時でした。 2008年のSF大賞とのことですが、確かにSFなんだろうけど・・・ やはり、これはとても上質なホラーと思います。 正直なところ、好き嫌いはとても別れると思う。 たぶん、読んで「良かった」という人は、ごく限られると思います。 人間がいかに嫌な動物か、これでもかこれでもかと見せ付けられて、 それは、とりもなおさず、自分がいかに嫌な奴かを見せ付けられるのと同じなのですから。 もう一度読み返す元気は今はないけど・・・ しっかりと本棚にお取り置きしておこうと思います。 | ||||
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どうやらSFらしいという予備知識だけを元に読み始めました。 物語は、今から1000年先の日本。 たぶん核戦争後、人口は激減し、あちこちにコロニーを作って人々は生活をしている。 近代的機器を排除し、「呪力」と呼ばれる超能力を使って生活する。 未来の話でありながら、懐かしいようなかつての田園風景を思わせるような街。 「呪力」を身につけていく子供たち。 何やら訳のわからない世界が徐々に明らかになっていく不思議な感じにゾクゾクし、一気に引き込まれました。 この世界観を零から創り出す作業が出来る頭脳に感服です。 私は、後半のバケネズミの謀反による戦争部分よりも、前半の方が引き込まれるものがありました。 一気に引き込まれ、一気に読み上げましたが、読み終えてみると、何か違和感を感じます。 前半と後半では、ややテーマにズレを感じました。 あと、主人公・早季があまり魅力的では無かったのが、やや残念です。 | ||||
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上下2巻で1000ページを超える作品だが、ページをめくる手を止めることが出来ない面白さだった。長編にありがちな中だるみもほとんどなく、この奇妙でダークな新世界を巡る少年少女たちの冒険に引きずり込まれていった。 物質文明が滅んだ千年後の世界。人類はほんの僅か生き残り、小さな集落が広い日本列島に数箇所あるだけとなってしまった。 人類は「呪力」という超能力を得て、平和で貨幣経済もないユートピアにも似た共同体を作っていた。 しかし、新世界は管理教育、情報操作、洗脳、そして歴史の隠蔽、改ざんといった闇の部分ももっていた。世界を維持するには、真実は隠されなければならなかった。図書の分類と検閲。新世界に生きる人々、特に子供達は徹底した管理のもとに置かれていた。 世界の秘密の全貌はしかし、なかなか明らかにはならなかったが、戦慄を覚えるほどの謎の輪郭がじわじわと読者に迫ってくる。なにか腐臭を放つものがどこかに隠されているような、そんな感じを受けながら貴志祐介の描く「新世界」の謎に魅せられて物語の中にどんどん入り込んでしまった。 醜い奴隷として使役されるバケネズミ。 自爆して敵を倒す風船犬。 自走式図書館のミノシロモドキ。 そして、呪力を暴走させる悪鬼と業魔。 なんという世界だろう。 貴志祐介の脳髄から産み落とされたこの新世界は、悪と秘密と汚濁、そして謎に満ちている。 主人公の早季と覚が、バケネズミの巣から脱出するため暗闇と悪臭とおぞましい生物のなかを走り抜けるシーン。 人類を破滅から救うために旧世界の東京の地下を下る胎内巡り。 ファンタジーと呼ぶにはあまりに生生しく、不気味に息づく奇形なモンスターに満ちている。 そしてなんともすっとぼけた自走式図書館のミノシロモドキ。 緊迫した展開のなか、唯一の癒しキャラ(?!)かもしれない(笑) 不思議と恐怖とミステリーをたっぷり堪能させてくれる作品だった。 長さにしり込みせずに、一読してほしい。 | ||||
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2008年度SF大賞受賞というのを知り、読んでみることにしたものである。 貴志祐介といえば私にとっては「青の炎」「硝子のハンマー」など、現代社会を舞台にしたミステリー作家というイメージだったのに「SF大賞」というのにものすごく興味を引かれたのである。 ストーリーについて特に述べることはしないようにしたいのですが、私が読んでいる途中で思い浮かべたのは「ナウシカ」「猿の惑星」「暁星記」「地球(テラ)へ」といった現代文明が滅んだ後に生き残った人々の生活、そしてもっと大きく言うと同じてつを踏んで再び文明を失わないようにするための社会作りの物語と途中までは思っていた。それは決して間違いではない。 が、上巻を読み終わった今思うのは「こんな話は読んだことがない」という興奮である。 序盤からなにやら不穏な気配が物語に常に付きまとう。それを忘れさせる楽しげな場面の後にそれが出てくるだけにその不穏な空気感は徐々に増大していく。 「世の中には知らない方がいいこと、知ってはいけないことがある」 思いがけずそれを知った主人公たちはさまざまな苦難に立ち向かわなければならなくなる。 さらに恐ろしいのは何を、誰を信じていいのかが分からなくなることである。 そのこととどういった関係があるのか今はまだ分からないが、上巻ラストで悲劇がおこる。 残された者たちが下巻でどういった事件に巻き込まれるのか、どう立ち向かっていくのか、そしてこの「新世界」とは何なのかが描かれていくのであろう。 下巻の帯には「見せかけの平和がいま崩れる」 「新しい秩序とは、おびただしい流血でしか生まれないのか。少女は、決死の冒険に身を投じる」 とある。 しかし単なる冒険ファンタジーではないことは容易に想像がつく。 楽しみであるが、物量に負けそうになる分厚さである。 | ||||
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壮大な寓話的な世界観、非常に細やかでイメージが膨らむ 文章表現、牧歌的な雰囲気から一転してぐいぐい引き込ま れる展開。これこそがまさにエンターテイメント小説です。 ”分厚い本 x 上下巻”と最初は絶望する気持ちにもなり そうですが、スタートしてみたら(特に上巻の3/4くらいか らは)あっという間に最後まで読み終わってしまいました。 「ここまで細部まで創り込んでいたら儲かんないでしょ!?」 と心配しちゃうくらい緻密に作られた物語の設定がすごい です。マンガのAKIRAや小説の「最後の物たちの国」を ちょっと連想しちゃうかもしれません。 読後の感想としては、「考えさせられた」なんて人もいる かもしれませんが、僕にとっては”ほんとに楽しかった” が一番しっくりくる本でした。 | ||||
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「黒い家」で衝撃を受け生まれて初めて本を読んで恐怖を感じさせられた。「天使のさえずり」で再び身の毛がよだつ思いをさせられた。性懲りもなく本書を手にとり、また異なる恐怖にさらされた。最初は今までと作風の異なる異世界(未来の地球)での展開に少し面食らったものの、丁寧な描写から、穏やかに広がる田園風景などがまざまざと思い起こさせられ、気が付けばその世界に入り込んでしまっていた。読み進めるうち、使役しているバケネズミとの絡みや言い伝えられる伝説などをおりまぜて、一見すると巷にあふれたシリアス系ファンタジーとめもとれる展開を見せはじめる。しかし、読み終え、ひとしきりストーリーを思い返すうち、気付かされる。そこにあるのはありきたりな、「人間はいつの時代もごう慢であり救いようのない存在なのだ」というメッセージではなく、この人間たちは、今まさにここに存在するわれわれを焙り出した姿だ。自分たちが良ければという利己主義を貫き、環境を破壊しつづける現代人。その事が将来、我が身を脅かすと認識しながらその場しのぎの手だてしかとらない現代人。その姿が、異世界の姿を借りて、描き出されている。 | ||||
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人類の大部分が滅びた未来。サイキックを操る人々が一見平和に暮らしているが、それはほんの少しのほころびから崩れてしまう危うい均衡の上に成り立っているものであった。 読み始めたら止まりません。一冊1000ページもある上下巻なのに、2日で一気に読まされました。 とにかく世界観がよく練りこまれており、ディテールも精緻に描かれているため、架空の未来世界であるのに、生き生きと迫ってくるものがあります。伏線の活かし方も見事。無駄な部分がほとんどありません。 読了すれば分かりますが、架空世界のメタファーを使いながら、現実の社会のありように対する深刻な危機意識が伝わってきます。基本的にはエンターテイメント作品でありながら、人間というものの業の深さについて、考えさせられる面もあります。 SFアドベンチャー作品として一気に読める。青春あり、恋愛あり、友情あり、ミステリー・サスペンスあり、風刺あり、社会批判あり。さまざまな要素が詰まった本作は、SF嫌いでなければ、「必読」の作品であると思います。とにかく上巻を読み始めたら下巻まで一気です。上巻だけ買ってもまた本屋に走ることになるので、セットでの購入がおすすめ。 | ||||
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この作品は今までの作風とは違い、SF小説である。上巻のはじめは、ハリーポッターのような超能力を使ったクラス対抗戦の様子が描かれている。正直上巻は物語があまり動かないため、退屈ではあるが、下巻は人間がある集団に攻撃され無残に殺されていき、面白くなっていくので、上巻が我慢できるかが、この作品を楽しめるかどうかの分かれ目だと思う。 今までの作者の小説とは違いSF冒険小説なので、ホラーや推理物が好きな人は楽しめないかもしれない。また私は登場人物の誰が死に、誰が生き残るのかがほとんど分かってしまい、ほとんどの人はバケネズミの正体もわかってしまうと思うので、純粋に物語を楽しむ小説で、謎を解明していく小説ではないので、その点は読むときに注意が必要だと感じました。 | ||||
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私が見た時、レビューの最初に「この作品は何も前知識を入れないまま読むことを おすすめします。下手にレビューサイトは見ないほうがいいですよ!」というレビューが あったので、レビューを読むのをやめて、本を読み始めました。 最初の方は乗り切れずちょっとだらだら読んでいたのですが、読み始めるに連れて加速度が 増し、一気読みしてしまいました(といっても、途中色々薀蓄が入っている部分は さらさら斜め読みしまってるんですけど^^;)。 読み終えて、思い起こすと、本当に色々なテーマが詰まっていて考えさせられます。 「先にあれこれ研究しないで、ともかく読んでみよう!」と言いたい作品です。 | ||||
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SF的な要素を含む上下合わせて1000ページを超す大作。 普段、現実的な世界の話しか読まないボクには、SF的なこの世界観は苦手だと 思って読んでいましたが、上巻半ばあたりから一気にのめりこみ、すっかりこの 世界を堪能してしまいました。 貴志さんは恐怖の描き方が素晴らしい。 怖かった。 | ||||
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もう少し下巻の中盤からの畳み掛けるような展開を期待していたんですが、全体通して意外とじっくり進んでいたように思います。東京に行ってからはもうちょっとスピーディーな展開を期待したかったかな。 あとなぜ悪鬼があれほど強大な力を持っているのかについての説明が最後までなかったのが残念でした。真理亜達のその後の下りを含め。 しかし全体としては極めて壮大な物語でありながら現実世界とも通ずる部分もあり、考えさせられました。またきめ細かい描写には話の中に吸い込まれそうな迫力があり、話の中にどっぷりと漬かることができます。1000ページという量を感じさせることは全くありませんでした。 | ||||
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SF小説と呼ぼうとファンタジー小説と呼ぼうと、ウェブ世界の進化が想像力を上回る速さで展開しているこの時代に、タイトルになっている全くの「新世界」を書こうとするリスクは相当に大きいものではないかと思う。この点、時代を現代からはるか先に設定し、ウェブというものが死滅している状況にしていることが、そんな時代が現出するに至る歴史の壮絶さも含めて、本書の物語性の豊かさを担保した。 この作家の本はほとんど読んでいる。私の中では『クリムゾンの迷宮』が圧倒的に星5つなので、それに比べると作品としては星4つということになるだろうか。 しかしこの作家は、まるで己の格闘家のような知的体力を試すようにジャンルにとらわれず作品を書き続ける。前作の『硝子のハンマー』は、この作家のファンはまことに意表を突かれる密室ものだった。今回は「新世界」の姿を、どこまで一般の想像を超えるものにできるかに挑戦した感がある。どんなに狂気に満ちた歴史の中でも冷静に生きる方法を学び続ける人間の描き方の中に、この作家がどこか究極的に人間を信頼している様が見て取れるようにも感じた。 そういう意味での貴志祐介の挑戦魂が継続していることに星1つ加えることで、5つにしたい。最新作『狐火の家』はご愛敬として、次作はどんな意表を突いてくれるか。個人的にはノンフィクションもあり得るのでは?と思っている。 | ||||
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バケネズミの根元・正体は序盤から疑いながら読み進めていたので、かえって展開が中盤から後半までわかりやすかった。(初めからバケネズミの存在理由や物語の先が読めていた。)呪力であらゆる生命に影響を与えながらもお互いビクビクしながら管理しあっている。呪力に頼りつつもしだいには無意識に漏れだす呪力を排除しなければならない。舞台は日本でありながら、日本人にしては爆発したような縮れた髪、または真っ赤な髪の毛の同級生。早季達の詳しい「外見」の記述はないあたり、ワタシ達が想像する外見とは変化していると考えられる。幼年期からの同性愛を推奨しながらも近親交配を嫌悪し、瞳の光彩が左右4つもあったり、250年を生きるリーダーを受け入れる。そして「人間」が「人間」を攻撃できなくなった時点で「人間」的でないように感じさせられるこの矛盾。早季達「人類」ははたして「人間」といえるのか?長編でなくていいからバケネズミ側の物語を読んでみたい。 | ||||
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エンターテイメント小説。呪力をもつ人間がゲーテッドコミュニティを形成して、呪力を持たない動物を支配している世界で起こる革命失敗劇。 呪力=資産と置き換えると現代社会の比ゆともとれるか。 欠陥、物足りないところはある。 「呪力」の機能について疑問符がつく点。 (言語習得などとはレベルが違う)生物学的な抑制の作用機序がなぜ後天的環境によって左右されるのか。 物語の叙述が友人関係=水平関係に偏っており、師弟関係、親子関係=垂直関係の入り込む余地が少ない点。 生物史については極めて詳細に叙述されるにもかかわらず、なぜ呪力を伝達する垂直の人間関係が殆ど描かれないのか。 物語自体はかなり面白い。 この著者ならではの筆致、得体の知れない濃厚な闇のような雰囲気が楽しめるのはこの手のモノが好きな小説読みには嬉しい。 | ||||
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想像力こそがすべてを変える。上下巻合わせて1000ページ以上ですが、一気に読みました。 これは読む側の想像力が試される物語であると他の読み手も言っていましたが、まさにそのとおりです。コロニーの中に住む住民はすべて多かれ少なかれ超能力を有しており、そしてコロニーと外の世界の境界には注連縄が張ってあり、コロニーが結界で守られているのです。個人的には主人公にあまり感情移入できないまま読み進んだけど、それはこの主人公が無意識に(?)投げた愚かな石の波紋が、制御できない大きな悲劇に結びついたからだと思う。第3者の起こした事件であれば、もう少し共感できたと思うのだが、そうすると話が前に進まないしね。作者の想像力には脱帽する。特に突然変異した戦闘用バケネズミの数々は本当にスゴイ。最後の悪鬼を倒す計略は、リーズナブルだけど、それまでの重厚さかからすると、ちょっと軽い?かな。 | ||||
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貴志先生の作品は全て読みました。この作品も一気に読み進めて しまいました。いやあ、さすがの一言です。ハリーポッターと猿の 惑星、スタンドバイミーと漂流教室を足したような...それらの 魅力が渾然一体となりつつ、宗教観を絶妙に交える事で、チャチな 超能力モノには到達できない完璧な世界観を作り上げています。 普通の人間の恐ろしさというか、人はどこで一線を超えてしまう のか。 ウィルス?遺伝子異常?薬物?...自分の信じる正義のため? これで4000円なら安い買い物です。 | ||||
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