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逃亡



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【この小説が収録されている参考書籍】
逃亡
逃亡〈上〉 (新潮文庫)
逃亡〈下〉 (新潮文庫)

逃亡の評価: 4.42/5点 レビュー 50件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.42pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全46件 41~46 3/3ページ
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No.6:
(5pt)

確かな筆致で書かれたB・C級戦犯容疑者を主人公としたストーリー

戦時下の暗いイメージの象徴的存在として取り上げられる憲兵。守田は戦時中、香港・広州で憲兵として諜報活動を行った経歴をもつ。終戦とともに憲兵の多くが戦犯容疑者として拘束されることを察し、逃亡を決意する。民間人に身をやつしようやく故国に帰り妻子と再会するが、やがて国内でも戦犯追及の手が及ぶと、家族の下を離れ、果てしない逃亡生活に入っていく・・・。上巻は戦時下の諜報活動とそこで出会った人々の回想を交えながら、中国の日本人収容所での生活を描く。下巻は帰国後の日本、ヤミ市、農村、そして逃亡生活が描いていく(主人公の故郷が筑後地方という設定のため、後半は福岡が舞台となる)。国家権力によって徴兵され、戦地に赴き、軍隊としての命令の中で行った活動が罪に問われる理不尽さ・・・。終戦後、日本の旧占領地各地で行われた戦犯裁判、世に出ることがないB・C級戦犯に対する扱い、その中で多くの憲兵が裁かれていったという事実が直接・間接に描かれていく。後半の逃亡を続ける主人公と、その帰りを信じ待ち続ける家族。運命に屈することなく、抗い続ける生き様が、しっかりした筆致で描かれる。ラストにかけての主人公とその妻の心理描写は秀逸。それだけにラストの感動は深い。的確な心理描写、ディテールをおろそかにしない描写や人物造形に最後まで読ませる。派手な場面はないが、しっかりストーリーは好印象。
逃亡〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:逃亡〈上〉 (新潮文庫)より
4101288119
No.5:
(4pt)

重い憶い

不条理極まりない状況下でも必死で個人そして国家と向き合う姿。戦争の世紀に生まれた我々が、原罪と幸福論の狭間でどう生きて行くのか?余りにも重い、そして痛い。ただこの作家特有のわずかな光がさしていることに気がつくとき、これも形を変えたエンターテインメントだと気が付き一瞬救われるのだが...
逃亡〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:逃亡〈上〉 (新潮文庫)より
4101288119
No.4:
(5pt)

とにかく絶賛させて欲しい!!一人でも多くの日本人が、読まねばならない反戦小説。

この作品を書く為に作者は作家になったとのコメントをどこかで見て以来、この本の発売を心待ちにしていました。(単行本で既に読みました。)作者の構成力の素晴らしさ、根底に流れるヒューマニズムは他の作品に変わらぬ独自の魅力です。しかし、本作品の特色は何といっても、通常わたしたちが持っていた「憲兵」という「悪役」の側から戦争の不条理と、敗戦国日本の取った、「自国の戦争犯罪人に対する取り扱い」という、ほとんど知られていない事実を私たちの目の前に見せてくれた事にあると思います。戦争という非常時に行われた行為を犯罪と呼べるのか、また、それらを裁くという事ができるのか。ルーマニアの最高権力者でさえ、非常時の行為を無実と訴えて裁判に抗している現在、何の抵抗もできずに罪を着せられ、死刑になった人々の数を考えれば余りの不条理を感じます。最近、売れているらしいドイツ人の作家シュリンクの「朗読者」にも通ずるところが有り、併読もお勧めします。
逃亡〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:逃亡〈上〉 (新潮文庫)より
4101288119
No.3:
(5pt)

責任の所在が曖昧なこの国自体が虚ろな器なのだ

塩野七生氏の著作の一つである「サイレント・マイノリティ」という言葉が、本書を読んでいる間に何度も頭に浮かんだ。主人公の母トメのように気丈かつ声高に彼を擁護する人物も登場するが、妻子は生活を必死に維持することで彼を支え、逃亡を助ける元同僚の多くは自らが犯した「罪」をどう理解すべきか苦しみながら、決して声を上げることはない。それは、戦中の軍隊組織や戦後の反論が許されない世情に表される、常に現実から逃避していた当時の日本社会によって沈黙せざるを得なかった人々の姿である。レビューのタイトルは、本書の終盤で主人公が戦犯とはいかなる存在か、あるいは自分が犯したとされる罪状の根源を振り返る場面の一文である。巣鴨の独房でこの結論に至った人物が本当にいたかもしれな!い。だとすると、終戦から半世紀以上を経た現在でもこの文章で表せる社会とは、一体何を成し遂げたと胸を張って言えるのだろうか。
逃亡〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:逃亡〈下〉 (新潮文庫)より
4101288127
No.2:
(5pt)

戦犯って、何だろう

五味川純平の’人間の条件’とは、主人公の軍隊での役割は、違っても、そのイメージは、重なり合いながら、どんどんと、ストーリーの流れのなかに、押し流されながら、一気に読み終わった小説である。帚木さんの作品は、ほとんど読ませてもらっているが、何回も、車中の中で、涙が出てしまったのは、初めてである。後書きで、久世さんが主人公の守口は、帚木さんの父である様な事を書かれていたが、とても作者が、主人公に愛情を持って書かれている 優しさが、なんとも心地がいい。この小説を読み終えると ’目薬’、’日薬’の薬に意味が分かります。
逃亡〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:逃亡〈上〉 (新潮文庫)より
4101288119
No.1:
(4pt)

戦争の悲しみを知る.

久しぶりにあんなに没頭して読んだ.上下2巻からなる本.少し長いかもしれない.しかしここに詰められた内容の濃さに圧倒される.どきどきするストーリーの進行のみならず,戦争という今や遙か彼方に日本人の記憶から薄れつつある悲しい悲劇を思い出させ,いかにそれが無意味なものであるかというおきまりの主張ではなく,それに向かっていった人々の必然性を説く.戦争を二度と起こしてはならぬ.逃亡するもと憲兵の立場に立つと,戦争の裏が見えてくる.
逃亡〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:逃亡〈上〉 (新潮文庫)より
4101288119

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