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悼む人
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悼む人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全114件 41~60 3/6ページ
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天童荒太さんに脱帽と言った方が正しいですね。 『悼む人』は登場人物のキャラクターが素晴らしいです。 主人公の青年の対比としての蒔野と言う人物が出てきますが、 蒔野は序盤から私たちを物語へとグイグイ引き込みます。 本書は、主人公を取り囲む周囲の人物の視点で物語が展開されていきます。 母親の死や娘の出産など、いろいろな死生観が出てきます。 特筆すべきは、主人公の死生観です。 成熟していない青年の価値観は自分の経験則から形成されており、 私個人は、その未熟さゆえに陥りそうな主人公の発想に、 想像されたキャラクターとは思えないほど、 非常に人間らしさを感じました。 それだけに、主人公の言葉を本の中でもっと聞きたかったなと、 読後は残念に思いました。 生死について語り振舞う場面の多い作品ではありますが、 私自身は重苦しさを感じずに読め、 主人が次に何を言い出すのかと大変興味をそそられました。 読み終わると、 表紙の挿絵が物語の雰囲気を十分に表しているように思え、 それでこれか、と納得でした。 本の完成度としては5満点で★6つですね。 面白いかどうかっていち読者の視点で★4つ。 納得の直木賞受賞作と思います。 ただし、決してエンターテイメントではないと思います。 唯物論者や物事を深く考えることが嫌いな人には、 心に響かないかもしれません。 でも『悼む人』は、文庫になったら必ず友達にすすめます(文庫派が多いので)。 | ||||
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人生の、様々な局面で読み返すと、また違ってくると思います。 こんな殺伐とした時代だからこそ、読んで間違いないと思います。 | ||||
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小説は数年に一度何度も読みたい本と、なんかさらーと数時間で読んで 内容すら記憶に残らない本と、にある程度分かれるのではないかと思っている。 この本は前者。読み終えたのはしばらく前だが、書籍の中の問いかけは今も自分の中に 残っている。 ・その人は誰に愛されたか。 ・誰を愛したか。 ・どんなことをして人に感謝されただろうか。 自分の生き方を問い直す一冊になった気がする。 | ||||
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悼む人とその廻りの3人(母、取材をする雑誌記者、自分が殺した夫を “悼まれた”女性)をめぐる物語。主人公が“悼む”行為を始めた理由 も含めて、かなり重い話です。まさか、ここまで不幸が重なる話だった とは。。。 とはいえ、日頃、伊坂幸太郎や宮部みゆきなんかを読んでいる僕には、 この手のテンポゆっくりめ、かつ、暗めの話も新鮮でした。お母さん のガンとの闘病生活なんかは非常に丁寧で、ぐっとくるものがありま した。 暗い割には読後感は壮快な物語です。 | ||||
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とても良い本でした。 物語として、また語られるメッセージとして。 最後の「謝辞」の中で、この<悼む人>を描く者が自分で良かったのかと自問する作者の言葉があります。 作者に託された<悼む人>という漠然としたイメージへの問いかけの中からこの物語は生まれたのだと思います。 <悼む人>とはどんな人なのか。 <悼む人>にどんな意味があるのか。 なぜ<悼む人>なのか。 どこかの宗教のイメージを引きずっているだけではないのか。 <悼む人>を語ることによって何を訴えかけようとしているのか。 などなど、作者の真摯な自問、自省の中から生まれてきた物語なのだと思います。 作中の静人への人々の反応のように、賛否両論はあるのだと思いますが、作者に託された<悼む人>イメージに対する真摯な問いかけの旅が結実した旅のような物語でした。 この世の陰影を浮かび上がらせるために、影を強く、描きすぎたきらいは感じましたが、それでも良い物語だと思いました。 そして、作者の問いかけの旅を共有できる時間はとてもすてきな時間でした。 | ||||
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物語にぐんぐん引き寄せられて、不思議な思考を読者に体験させてくれる作品なんですけど・・・。 ラストがどんなに感動させられるのか期待していたら、なんだかあっけない。 「草食系の静人君が・・・・」と評されていのに同感。 静人には、あくまで「悼む人」として無機質であって欲しかった。生の営みという世俗的な行為の描写は「悼む人」を台無しにしているのが残念です。 エグノさんが盲目になるのも力抜け・・・。 しかも、ラストが巡子の大往生で締めくくられているのは、丹波哲郎の「大霊界」を彷彿とさせられて、後味悪かった。 | ||||
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思った。 薄っぺらな本ばかりが店頭に並び、そして消えていく今の世の中で、ここまで死というものに真正面から向き合った本があっただろうか。 ただ悼む人の死者に対する悼む行為は死んだ人間に対して何もならないのだろう。 それよりも今死にそうな人(病人とかホームレスとか)の人たちに対して何かをしてあげた方がよっぽど建設的である気はする。 死んでしまった者はいずれ忘れられてしまうのが世の常だし、また生きている人間は死んだ者を忘れることで前に進んでいけるはず。 そう頭の中でわかっていても悼んでしまうのが主人公の静人なのだろう。 | ||||
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私は静人日記を読んでからこの悼む人を読んだ。順番を逆にして読んでもなかなか興味深い。 家族愛とは、命とは、死とは、を考えさせる傑作だと思う。 ただ、物語の前半部分の禁欲的な主人公の性格と後半部分の人間性の垣間見えた性格とのギャップがどうもしっくりこない。後半にやや書き疲れ感がある。 また、物語の中ででてきた銀行の女子行員の死亡に関する後追いの記述が見られず(これは連作を意識したものか?) もう少し、一つ一つの物語のつながりを結んでくれたらとおもうのはわがままだろうか。 | ||||
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これからこの作品を読まれる方は、とにかく先入観無しで、純粋にニュートラルな気持ちで読み始めてほしいな、と思います。レビュー書いておいて、こんな事言うのはヘンだけど、この作品に関しては詳しく感想を書いているレビューはあまり読まないで欲しいなと思う位です。 | ||||
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最初は読みすすまなかったが、進むにしたがって普遍的な死生観に通じる深いものを感じた。どう死ぬかはどう生きるかに繋がることを改めて確認させてくれる作品だと思った。 | ||||
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亡くなった人々のことを記憶に留めるために,日本中を旅する一人の男.彼は亡くなった人が,愛した人や愛された人,そして人に感謝されたことを聞き,自分の胸に刻み,その人のことを悼む.なぜ彼は無関係な人々の死を悼むのか.なぜ彼は悼む旅をするようになったのか.3人の人物の物語を通して,その謎が少しずつ明かされていく. 本作の完成に7年間もの歳月が費やされているということが頷けるほど,唯一無二の独特の世界観が構築されている.近年,日本では自殺者が3万人を超えるという異常な状態が続いている.一人でも多くの人に,誰しも孤独ではなく,生きることで救われる人が多くいることを知って欲しい.そして生の喜びを噛みしめて欲しい. | ||||
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いつもは、仕事帰りの電車の中で、推理小説や警察小説を好んで読んでいる。全く違うジャンルだが、話題の本と聞き、購入した。ストーリーの重さと、著者の表現力に圧され、読み終えるまでに長い時間を要した。人の死を悼む旅を続ける主人公を見つめる或る三人の視点から本書は構成されている。中学生の頃、癌で亡くなった母の思い出と重なり、坂築巡子の章では、涙した。少々現実離れした設定・描写もあるものの、読者の年代やこれまで歩んだ人生により、各々様々な形で、人の「生」、「死」、そして、「愛」について心に響く内容の本であると思う。一読の価値あり。 | ||||
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図書館予約が何十人待ちで、特に待たれた訳でもなく、順番がやってきて、特に期待もせずに読み出して、淡々と読み進むうちに、半分あたりから、ズボツとはまり、このまま底なし沼のように足をとられてみたいという希望を胸に読み進むうちに、徐々に足が地につきだし、むなしくも、岸に着いて、あがってしまったという読後感。しかし、希代なるストーリーテラーに敬服。次が出たら、必ず読むであろう。 | ||||
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読み終わっても涙が止まらなかった、すばらしい本。人々の記憶に残らず、忘れ 去られていくごく普通の人々の「死」とその「人生の価値」がテーマです。 本は、殺人や事故現場など人が亡くなった場所を訪れ、死を悼み続ける「坂築静 人」が主人公。「彼の母」「彼を取材する雑誌記者」「彼に従う女性」が登場。主 人公が「なぜ、会ったこともないような人々の死を悼み続けるのか」を問い、理解 しようとするなかでストーリーが展開します。 「末期ガンで死ぬ主人公の母」「愛する人を殺した女性」「死を雑誌のネタとして 考え、自分を捨てた父親を死ぬまで許せない記者」。そして「死を悼み続けないと 生きられない主人公自身」。それぞれが死と向き合うことで「悼む人」の存在が必 要なことを理解していきます。 すべての人は「誰かを愛し、誰かに愛され、何かをして人に感謝された」のであ り、「すべての人の人生に価値がある」。つまらない死、人生などない、と。 これからの人生で何度も向き合うであろう「死」と「生きることの価値」。繰り 返し、読みたい本です。 | ||||
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第6章の、いじめで殺された養護学校の少年の話が印象に残った。養護学校の少年は、同級生4人から蹴られて亡くなる。 本来なら同情されるはずの遺族であったが、加害少年の親と叔父が警察官で、司法解剖もされず「事故」という話に捻じ曲げられ、悪いのは「いじめた4人組」ではなく「いじめ殺された少年」にされてしまう。 遺族は、反撃のつもりでマスコミに真実を話すが、マスコミは被害者遺族の味方をしてくれなかった。 あろうことか、マスコミに過去の冤罪事件(被害者少年は障害ゆえに誤解されやすく、警察沙汰になった事件がいくつかある)まで書き立てられてしまい、遺族は二度殺される。 いじめで殺されたにもかかわらず、誰からも同情されない「死」。 加害者少年らは引越していき、取り残された遺族は、息子の死後も地域社会から非難され続ける。 何年経っても献花してもらえる事件もあるが、この事件では被害者にもかかわらず誰にも偲んでもらえない。 そこに主人公が「思い出を忘れない」という約束をして悼む。 事故に直接に関係がなければ、他人は亡くなった経緯の真実を知ることはない。 警察やマスコミに誘導された報道を鵜呑みにするしかない。 真実ではない話により、息子を殺害されただけでも辛いのに、息子を悪者にされたら塗炭の苦しみであろうと想像する。 話を聞いてくれる人がいる、というだけで救われる命もあると思った。 | ||||
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最近読んだ小説で、これほど完成度の高いものはないと思います。 主人公は、事故や事件で亡くなった人たちの現場を訪ね、亡くなった方がどんな人を愛していたか、 どんな人たちから愛されていたか、そしてどんなことで感謝されていたか、という情報を集め、 それを胸に亡くなった方を彼独特の方法で悼む旅をしています。何年も。 当然、彼に出会った人たちは「なんでそんなこと?」「意味ないじゃん」「自己満足?」という疑問に さいなまれ、しばしば批難します。と同時に、彼の悼みに感謝する人たちも存在します。 人々は彼の存在で自分の価値観を揺さぶられ、同時に惹きつけられていきます… 「なんでそんな無駄なことを?」という私自身も抱いた疑問も、読み進めるうちに静かに 心のうちに沈んでいきます。 これ以上に死に対して真摯な小説、真摯な人がいるだろうか…と、感じました。 | ||||
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彼の作品を読む時、いつも思うのは、「何が、彼をして、この作品を書かせたのだろうか」と言うことだ。 主人公を作家本人に重ねるのは失礼かも知れないが、主人公が語る「他者を思いやる余りに自分を殺してしまいそうになったが、母親の言葉で思い直して自分と死者の距離を置いて客観的になることができた」と言うプロセスが作家本人にもあったのではないだろうか。 知られているように寡作の作家であり、その産みの苦しみは本書の謝辞にも詳しい。自分の頭の中の想いが形あるものに変わっていく過程、それが研ぎ澄まされて無駄なものが省かれていく過程、そしてそれを抱えきれなくなりそうになりながら、文章として固定して精神的なバランスを取っていく過程。それほどの苦行をなぜ選ぶのだろうか、問いかけたくなる。回答は、常に彼の作品のなかにあると思うのだが。 新作が出るたびに、やはり読まずに入られない作家だ。 | ||||
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偽善者。 世界は変わらない。あなたがいいことをしているって感じるだけ。ただの自己満足でしょ? 街中で募金をする人を偽善者と呼ぶ人もいる。 けれど他者のため何もせずとおりすぎる人が、少しのお金でも自分のものを他者に渡そうとする人間をそのように蔑むのはやはりおかしいように思う。 静人の行為は、人に偽善とよばれてもしかたないと思う。 けれど、人のために祈らないではいられない・・・。そんな人がいてもいいのかもしれない。 巡子の死に様は美しい。こんなふうに死ねたらと思うが、人が死をむかえるときはもっと綺麗ごとではないように思う。 | ||||
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そう、この本を手にしたのは賞を得るよりずっと前だったが なかなか目を通せずにいた。 私の中では、到底終わっていないもろもろの悲しい事件・事故 ー何の落ち度もない命が、いとも無造作に簡単に、奪い去られていく現実ー が頭の中を飛び回り、整理をつけられなかったから。 やっと手にして重い気持ちで読み始めたのがごく最近。 読み進むにつれ、ネット世界の怖さをまず思い知った。 それから、幼いころの、小鳥に対する主人公の気持ちに泣いた。 個人的には、ほかのエピソードはともかく、なんらの欲得をも求めないいたいけな小鳥に対しての 彼の純粋な一途な心持に泣いた。 つい最近大切なペットを亡くした私には、 あのつぶらな黒い瞳をいつまでも覚えていてあげたい・・・ その気持ちだけで、この小説のテーマは語りつくされた、と思った。 | ||||
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小説としては、決して巧い方ではないだろう。だが、非常に心揺さぶられた。この間平野啓一郎の「決壊」を読んだ。まるで正反対のような作品だが、どちらも出るべくして出てきた作品という気がしてならない。他人の痛みを感じられない、家族の繋がりすら希薄になっていく…、その一方で繊細過ぎる感受性で、立ち上がれない人も多いような気がするのである。片やとことん他人に鈍感に…、片や繊細過ぎて社会にうまく適応出来ない。主人公「悼む人」は、人が死んで行くこと、人々(自分も含めて)がその死を忘れて行くこと、その鈍感さに耐えられなくなり、人を悼む旅に出る。究極には、死に対して平等に悼むことを目指す。この痛いぐらい純粋な姿勢は、社会生活にはそぐわないが、全く失ってしまうのも悲しい。鈍感過ぎず、でも繊細過ぎず生きるのが、うまく生きていくってことかな…?でも私自身は、この究極な純粋さに、心洗われる思いがした。 | ||||
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