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夜の黒豹
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夜の黒豹の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.87pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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「夜の黒豹」は横溝正史の長編推理小説。昭和38年3月「推理ストーリー」誌で発表された「青蜥蜴」という短編を、翌年長編化した際に「夜の黒豹」と改題された作品で、名探偵・金田一耕助が登場する。いわゆる岡山ものとは異なり、江戸川乱歩的なエログロ猟奇サスペンスを楽しめる通俗ミステリである。 昭和35年11月18日。渋谷にある「ホテル女王」のベルボーイ山田三吉がある部屋を通りかかったとき、細目に開いたドアの隙間から水が溢れてきているのに気づく。声をかけても返事がないので、思い切って部屋へ踏み込んだ三吉が目にしたのは、ストッキングでベッドに拘束された女の姿だった。娼婦とおぼしきその女は猿轡で口を塞がれ、むき出しの乳房には「青蜥蜴」の絵が描かれている。 三吉が助けた女は名を葉山チカ子といい、一緒にいた男はこういう戯れをよくするので、事を荒立てないでほしいと頼むのだった。三吉も変わった趣味をもつ男女のよくあるトラブルだとしか思わなかったので、口止め料をもらい黙っていることにしたが、実はこれが恐ろしい連続殺人事件の始まりだったのである。 その一週間後、今度は芝高輪町にあるホテル「竜宮」で女の他殺体が発見された。ホテル女王で起きた事件と同様に、裸の女の首にはナイロンのストッキングが喰い込んでおり、乳房の間には青いマジックで蜥蜴の絵が描かれている。被害者の名は水町京子、有楽町に巣食う街娼であった。 翌日新聞を読んで出頭した三吉の証言により、この2つの事件は連続猟奇事件の様相を呈してくる。また、京子と一緒だった男はチカ子の相手と似ており、全身ヌメヌメと光る素材でできた黒ずくめの服装で、まるで黒豹のようであったという。その男はもちろん疑われたが、宿帳の記載はでたらめで住所も名前もまったく判らなかった。 チカ子の顔を間近で見た三吉は唯一の目撃者であり、スター気取りで事件のことを吹聴していたが、夜道でひき逃げに遭いその命を落とす。そして焦る捜査陣をあざ笑うかのように、3人目の犠牲者が向島の連れ込み宿「みやこ鳥」で発見される。しかも殺されていたのは、娼婦ではなくまだ15歳の高校生・星島由紀であった……。 前半はラブホテルで起きた「青蜥蜴」事件を皮切りに話が進んでいくが、この物語の主軸は後半で語られる、岡戸圭吉と星島由紀を巡る複雑な人間関係にあると言えるだろう。一度では憶えられないような複雑な家庭環境は横溝作品の醍醐味であり、血のつながらない親子の問題や、親族間の確執などがたびたび登場する。 シンプルなストーリーの作品であり、犯人も自然と判明する構成のため、推理を楽しめるかというとそうではないのだが、絵画に造詣の深い金田一耕助の姿が垣間見られるのは本作のいいところ。近江秋子が代表を務める「芙蓉会」というグループや、星島麻耶子や中条奈々子のことを事件に関わる前から知っていたり、銀座の画廊で開催された遺作展を訪れていたりと、絵を見ることが純粋に好きなのだということがよくわかる。 終盤、証拠を残さぬ犯人を金田一たちがどう追い込んでいくかという部分は強引ながらも面白かったのだが、結末があっさりしていたのは残念。金田一耕助を目の敵にし、たびたびバカにしていた牧野警部補がこっぴどくやられるといった、カタルシスのある見せ場が欲しかった。 <登場人物> 山田三吉 … 渋谷にある「ホテル女王」のベルボーイ。 尾崎くに子 … 三吉のガールフレンド。新宿の小料理屋で働く。 葉山チカ子 … 「ホテル女王」で殺されかけた女。胸に青蜥蜴。 水町京子 … 芝高輪町にあるホテル「竜宮」で殺された街娼。 星島由紀 … 向島の旅館「みやこ鳥」で殺された女子高生。 佐々木麻耶子 … 自動車事故で亡くなった由紀の母。閨秀画家。 佐々木裕介 … 由紀の父。聖ニコライ病院の勤務医。 星島重吾 … 元職業軍人の資産家。麻耶子の亡夫。由紀の実父。 岡戸圭吉 … 丘朱之助というペンネームで活動している漫画家。 岡戸竜平 … 圭吉の父。双竜会の元ボス。現在は堅気の実業家。 岡戸志保子 … 竜平の二番目の妻で圭吉の母。星島重吾の妹。 岡戸操 … 竜平の三番目の妻。楢山子爵の娘。先夫とは死別。 岡戸竜太郎 … 竜平と最初の妻の息子。圭吉の異母兄。 岡戸珠実 … 竜太郎の妻。懐妊している。 中条奈々子 … 新進女流画家の未亡人。佐々木祐介と婚約中。 中条辰馬 … 奈々子の亡夫。中条組のボスだった。 宇津木慎策 … 毎朝新聞の文化部記者。金田一とは協力関係。 牧野警部補 … 向島署の捜査主任。金田一を目の敵にしている。 樋口警部補 … 大東館を所轄管内にもつ大崎署の捜査主任。 加納警部補 … 高輪署の捜査主任。病院坂で金田一と旧知の仲。 稲尾警部補 … 代々木署の捜査主任。 浜本刑事 … 向島署の刑事。 辰野刑事 … 高輪署の刑事。 田所刑事 … 高輪署の刑事。 新井刑事 … 警視庁捜査一課所属の刑事。等々力警部の腹心。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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シリーズを順番に読み進めています。今回は『夜の黒豹』、楽しませていただきました。 本事件は金田一耕助がいなければ迷宮入り間違いなしという展開です。まさに金田一耕助の本領発揮でグイグイ引き込まれていきました。ただ人物相関図が濃密で、読んでいる途中で誰が誰の姻戚だか分からなくなってしまったところもあり、少し読み返すところがありました。 シリーズ第10弾も手にしたいと思います。 | ||||
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昔のダメなB級メタルのアルバムジャケと邦題みたいな表紙・・・好き。 あと真珠搭/獣人魔島も然り。 なんだったか?病院坂だったかな? 横溝正史先生が本人役でカメオ出演 した時(終わりのほう)お屋敷で亭主関白振り、夫人と思われる方に確か紅茶だかを所望するのだが・・・ あの方が本物の横溝正史夫人(お手伝いさんでは無いと思うけど)だとすると・・・ 普通に和服着たあの時代の、お金持ちのお婆ちゃん。 言葉遣いや品は良い感じだけどお婆ちゃん(台詞あり)。 小説に出てくる様なエロいとかグロいとか いやらしいとかグラマーとか怪しい感じな女性では無くて、白髪パーマの和服お婆ちゃん(あの当時でお幾つなんだろう)。 ある意味サスペンス。 なんか長谷川町子先生の[エプロンおばさん] 夫婦みたいだなぁ・・・と思った記憶が。 さておき 金田一耕助みたく探偵が勿体振ると 結局 続けざまに 第二第三の殺人及び 最後は犯人の自死とかあって。 髪をかきかき「しまった!」って・・・ 因みに 僕の いいな って 思います金田一耕助役は 渥美清さんです。 | ||||
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橫溝正史の小説の魅力の一つにタイトル及び犯人の形容を上げることが出来ます。今回の「夜の黒豹」犯人は男か女か,若いか中年か,それとも意表をついて老人か子供か?人の業を考えさせるネーミングではないかと。ネーミングの付け方は偶然性の産物かそれとも必然性の産物か。考えると面白いです。 | ||||
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good | ||||
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着くのも早かったですし、状態もたいへんよく、満足しております。機会があればまた利用したいと思います。 ありがとうございました。 | ||||
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横溝正史著の作品は「犬神家の一族」をきっかけにこれまで何十冊と読んできましたが、どれを読んでも満足感が味わえます。「夜の黒豹」は以前から手にいれたく方々探してやっと念願がかないました。海外発送可能の古本屋の書店がわずかなので苦労しますが、この本も読み始めるとなかなかやめられないところにやはり横溝正史著の作品のよさがあります。いつも自分が探偵になって金田一耕助より先に犯人をあてようと努力はしますが、そこはやはりうまくできていて、素人の私では最後のほうまでわからないそこが魅力です。 | ||||
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面白い作品ではあるものの、 いかんせん構成に難がある作品となっております。 そのせいか最後があっさりしてしまい 物足りなさを感じてしまいました。 事件は彼のお得意のエログロです。 しかも異常性癖まで含まれているので 疑いの目は一人にかかるはずです。 ですが… 犯人を捕まえるまでの 展開がどうも盛り上がらない作品です。 あっけなくつかまってしまうのも あるのと、事件の真相までもが あっさりとしか語られないのです。 ちょっとこれでは読み終えて救われる感じは しませんでした… ファンには薦められない作品です。 | ||||
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金田一耕助作品の分類でいうと、古くからの因習が色濃く残る農村でも、都会を舞台とした没落華族でもない、「その他都会の怪しげな人達」に属する作品。このカテゴリーの作品に名作あるいは傑作と呼ばれるものは、何故かあまり存在しない。本作に対してもその声を聞いたことはないような気がする…のだが、個人的には好きな横溝作品の一つ。 事件の展開もどことなく派手なので、その中に埋もれてしまった感があるが、会話のちょっとした食い違いから事件の真相に辿り着いていく構成は見事だと思う。 動機に運命も宿命もなく、行動すべてが身勝手である犯人達の姿を、それは現実離れした殺人の隠蔽工作(トリック)だったり、仲間割れだったりするのだが、その姿を冷静に想像してみると、犯人達は無駄な汗を流しているような気がしてなんだか滑稽でおかしい。 誤解を受けそうなので補足すると、著者の考えるトリックは、現実の世界ではあり得ないことかもしれないが、「小説の世界では必要性も必然性もある行為」であり、その世界の中では現実的な出来事なのである。著者はそのために多くの小説的工夫を施す。そして、その結果が横溝正史独自の小説世界となるのだが、この作品はトリックありきの作品のように感じてしまう。トリックが空回りしているような気がする。 名作とはいえない作品だとは思うが、何故か気になって繰り返し読んでしまう。どうしてなのだろうか…。派手な話の割りに事件解決のきっかけがもの凄く地味だからなのだろうか。犯人達の滑稽な姿を楽しめるからなのだろうか。自分でもよくわからない。 | ||||
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