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十字路



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十字路の評価: 4.33/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

忘れられない名作

20年以上前、土曜ワイド劇場か何かで、ドラマで見ました。主人公の官僚を風間杜夫さん、妻を深浦加奈子さん、愛人を芳本美代子さんがそれぞれ演じており、京本政樹さん等スターぞろいでの名演技に、当時大学生くらいだった私には強烈な印象の作品でした。たまたま原作が江戸川乱歩さんと知り、読了して、改めて忘れられない名作となりました。
十字路 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路 (江戸川乱歩文庫)より
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No.8:
(4pt)

「鎌倉ハム大安売り」の章があるのかを確認するために再読

(1)十字路
 渡辺剣次のプロットを使った作品とのこと。
 彼が代筆したと書かれた資料もあって、どこまでが事実かわからないが、読んでいて、乱歩らしさはまったく感じないのは確かである。
 渡辺剣次は日本探偵作家クラブの書記長だったという人で、乱歩の一般向け作品をポプラ社の少年探偵シリーズに加える際、幾つかの作品を少年向きに翻案化した氷川瓏の実弟とのこと。
 Weblio辞書によれば、横溝正史の娘婿だった時期もあるらしい……。

 乱歩っぽい作品ではないとは言え、本作で探偵のひとりとして登場する警視庁の花田警部は、同じ年の『オール読物』4月号に乱歩が発表した「月と手袋」の担当捜査官である。
 あちらの作品も、――でかい欠点がある作品だが――追い詰められる犯罪者の心理描写に重きを置いた倒叙型の作品であるだけに、意外にも新境地を開拓しようと必死だった?乱歩本人が筆を執っていたのかもしれない。
 いっそのこと、もう一人の探偵を明智小五郎にしてしまえば、トンだサプライズ作品になって知名度も違ったことだろうが、いくらなんでもそれは無理かw

 なんだかんだで物証や目撃者を残していたりと、とても成功作とは云えないが、子どもの頃ポプラ社版で読んだ『死の十字路』は、――シリーズの他作品と毛色が違い過ぎるというのが理由かもしれないがw――とても印象に残っていた作品である。
 金田一耕助もので、舞台として何度か登場して記憶に残った鏡ケ浦は、こちらで最初に目にした筈なのね……。

(2)盲獣
 『乱歩にまつわる言葉をイラストと豆知識で妖しく読み解く江戸川乱歩語辞典』の感想に書いたとおり、わたしの所持している春陽文庫版に、「鎌倉ハム大安売り」の章があったかどうかを確認するために、実家からサルベージしてきた。

 はい、ありました。まぁあっただろーなというのは予想がついていたがw
 しかしなんだ。
 どうやらハムに加工しているようでもなく、ただ小分けして包んでいたように思える。もちろんそれだけで鬼畜この上ないが……。
 いや、安い云々で買っちゃう前に、現物を見ようとしないのか??

 というわけで、――おそらく2003年時もそう思ったのだろうが――鎌倉ハムよりも、その前のイモムシごーろごろの方が強く印象に残ったw

 ちなみに、ハムを売った後の盲獣が潜伏した土地は明記されないが、伊勢湾や海女といった語句から類推すれば、乱歩が土地勘を持っていた鳥羽から賢島に抜けた辺りというのが妥当かな。
十字路 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路 (江戸川乱歩文庫)より
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No.7:
(5pt)

良かった

やっぱり乱歩は良い
江戸川乱歩全集 第19巻 十字路 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:江戸川乱歩全集 第19巻 十字路 (光文社文庫)より
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No.6:
(5pt)

実に巧みな描写

江戸川乱歩作品の中ではやや異質な偶発的に犯罪を犯してしまった側からの視点で書かれた作品。
タイトルにある十字路で全ての歯車が狂っていきます。
しだいに追い詰められていく犯人の描写が実に巧みで、次々と読み進めていきたくなるでしょう。
特に悲劇的な最後を迎える犯人の描写は数ある乱歩作品の中でも秀逸。
読者側からの視点からすれば最後のエピローグで多少救われた感があります。
十字路 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路 (江戸川乱歩文庫)より
4394301637
No.5:
(5pt)

次第に追い詰められていく犯人の焦燥感に、こっちまでぞくぞくしましたよ。いやあ、面白かったっす。

私が小学生だった頃、ポプラ社の「少年探偵シリーズ」(全46巻)の中にある『死の十字路』というタイトルで読んだ本作品は、ぞくぞくするくらい怖くて、その尋常でないサスペンスに震えあがったものでした。
今回は、少年少女向けの本とは違うオリジナル作品を読んだわけですが、実にスリリングで面白かったです。

捜査する側から見ると、「こんなにするすると真相が分かるはず、ないだろ」てなご都合主義的展開は確かにあるんだけど、それを差し引いても、実にスピーディーな展開で、ぞくぞくしましたね。追い詰められていく犯人側の危機感、運命の悪戯(いたずら)に翻弄されまくり感がよく伝わってきて、読んでるこっちまでどきどきしてきましたもん。

話のプロットを渡辺剣次が出して、それをもとに乱歩が執筆したというこの作品。とにかく展開が早く、スリリングなサスペンス感にあふれてました。ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)とか、連城三紀彦のサスペンス、スリラー作品に似た味わいもありましたね。いや、面白かったわあ。

1955年(昭和三十年)10月刊行の作品。
一般的な乱歩作品のイメージからすると随分違いますが、そのページターナーぶりは相変わらずの面白さ、スリリングなどきどき感。
サスペンス小説、スリラー小説を好みとする方には、特におすすめしたい一冊です。
十字路 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路 (江戸川乱歩文庫)より
4394301637
No.4:
(5pt)

倒叙サスペンスの秀作

新興宗教の狂信的な信者となった妻・友子を厭悪し、秘書の沖晴美との愛人関係に幸福感を見出すようになっていた商事会社社長の伊勢省吾だったが、ある日、逢瀬を重ねる晴美のアパートに、嫉妬に狂って刃物を振るいながら乱入してきた友子を、無我夢中のまま殺害してしまう。殺人を隠蔽すべく、友子の死体を車につんでアパートを出た伊勢だったが、考え抜いた彼の犯罪計画を狂わせる運命の十字路が、その行く手に待ちうけていた…。

巧みな心理描写が、ページをめくる手を止めさせない、サスペンス豊かな倒叙ミステリの秀作である。まったく無関係だった二つのドラマがクロスし、一つの犯罪計画を瓦解させ、複数の人間の人生の分かれ道となった交差点を、タイトルの十字路に集約させたプロットが秀逸だ。目には見えない偶然の力学がひそやかに作動したその十字路は、地上に描かれた神の手になる裁決の十字架のようですらある。

怪奇、猟奇、幻想、変質的なエログロ探偵活劇といったワードで語れることの多い乱歩作品のなかで、そうした色合いがまったくない本作は、松本清張以降のリアリズム重視のミステリ作家が書いたような内容が災いしてか、あまり取り沙汰されることのない作品になってしまっている。しかし、世評に高い乱歩の初期短編をみわたせば、『心理試験』という倒叙ミステリの大傑作があり、『二銭銅貨』や『一枚の切符』などという有名作も、怪奇猟奇などとは無縁な、理知的で論理的な本格推理である。本作は、そうした理性的で常識的な乱歩の資質が全面に投影された作品であり、乱歩の長編のなかでも、上位に評価していい秀作だと筆者は思っている。

この作品は、かつて『死の十字路』というタイトルで映画化されたそうだ。三國連太郎&新珠三千代が主演のそれは、かなり以前にVHSで出されたきりで、筆者は未見である。東映さん、DVDでもBDでもいいから出してくださいな…。
十字路 (江戸川乱歩文庫)Amazon書評・レビュー:十字路 (江戸川乱歩文庫)より
4394301637
No.3:
(4pt)

不運もあるにせよやっぱり人間はまっとうに生きなければいけないなと痛感しましたね。

江戸川乱歩氏が還暦を過ぎてから昭和30年10月に刊行した倒叙形式の長編推理小説です。本作中に出て来る「パン助」「パンパン」という言葉は今ではすっかり風化していますが当時の世相ではごく普通に使われていたみたいですので、やや品がないですがまあ致し方ないでしょうね。そして私は今、西村京太郎氏の作品を集中的に読んでいる所なのですが、合間に本書を手に取ると偶然にも本書の巻末エッセイを西村京太郎氏が書かれていてちょっと出来過ぎの運命的なものを感じましたね。
四十歳を越したばかりの伊勢商事の社長・伊勢省吾は愛人の秘書・沖晴海と彼女の住む若葉荘アパートで二月下旬の寒い夜に会っていたが、そこへ新興宗教にかぶれた狂信的な彼の妻・友子がいきなり現れ、浴室にいる晴海に短刀で切りつける。伊勢は狂女を必死で止めようとして夢中で手近にあったタオルを背後から首に巻いて友子を絞め殺してしまう。我に返った伊勢は一計を案じて死体の処分と友子の偽装自殺の演出を画策するのだった。
本書に登場する元刑事で今は私立探偵の南は「重吉」という名前なのですが私としてはもう少しスマートな感じにしても良かったのにとも思いますね。それにしても主人公の伊勢省吾にとっては慎重に運転し過ぎて車との衝突トラブルに始まって、見知らぬ画家が警察にいる間に勝手に車に乗り込んで絶命してしまい、妻と一緒にその死体を首尾よく処理したと思ったら今度は画家の失踪調査に雇われた私立探偵の南が画家の南と瓜二つの容貌だったという誠に理屈抜きの計算が通じない不運が積み重なって行くのですが、結局はこの物語を読んで「不運もあるにせよやっぱり人間はまっとうに生きなければいけないな」と痛感しましたね。最初に正直に自首しておれば不可抗力の自衛手段として十分に情状酌量酌量の余地があったのに、魔が差したというか誤った判断の所為で泥沼に落ち込んでやがては罪を重ね取り返しのつかない身の破滅に繋がってしまうのですからね。本書には乱歩らしいおどろおどろしい猟奇趣味は全くなく寧ろ健全でごく常識的な印象で、ミステリー的に見てもそれ程の意外性はありませんが、でも終盤の急展開を見せるサスペンス・ドラマにはハラハラドキドキの手に汗握る読み応えがあって十分満足出来る事でしょう。そして不幸な結末を迎えたカップルとは対照的にエピローグで今後の明るい未来を予感させる若きカップルの幸せな姿が描かれていて束の間だけでも読者の心をこの痛ましい悲劇から遠ざけてくれるでしょう。
十字路 (江戸川乱歩推理文庫)Amazon書評・レビュー:十字路 (江戸川乱歩推理文庫)より
4061952293
No.2:
(3pt)

異色の作

 講談社文庫『江戸川乱歩 推理文庫』(全65巻)の29巻。
 本書は、1955年に講談社『書き下ろし長篇探偵小説全集』の第一巻として出たもの。
乱歩が色々と苦しんでいた時期の作で、渡辺剣次が筋書きやトリックを考え、それをもとに乱歩が執筆するという形式を取ったらしい。それもあってか、乱歩作品としては異色の味わいとなっている。実際、読みながら「これって本当に乱歩が書いたの?」と疑問に思うほどだった。
 倒叙形式を取った作品だが、あまり成功しているとは言いがたい。主役となっているのは「偶然」で、それが重なっていって滅的な結末に至る。アイデアとしては面白いが、筆調と合致しないように思った。
 最後に出てくる名探偵は素晴らしい。
十字路 (江戸川乱歩推理文庫)Amazon書評・レビュー:十字路 (江戸川乱歩推理文庫)より
4061952293
No.1:
(3pt)

倒叙物

十字路は渡辺剣次氏のアイディアを下に
江戸川乱歩が文章を書き下ろしたもので
自分の手は半分しか入っていない(考えていないから)
と認めているいわくのある作品
ただし乱歩も自身の作品と認めているので
この全集には納められています。
江戸川乱歩全集 第19巻 十字路 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:江戸川乱歩全集 第19巻 十字路 (光文社文庫)より
4334737528

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