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ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!
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ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.96pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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| メフィスト賞受賞作のなかでは六枚のとんかつか、コズミック 世紀末探偵神話が二大トンデモ受賞作として有名ですが、遂にその系譜に新たな作品が加わったと言えるでしょう。 読んでいる読者が犯人になる・・・・・・この無茶な仕掛けを少し反則技もあるが、論理的に確かに読者が犯人だなあ・・・と最後まで読むと納得させられてしまうのは凄いと言える。 タイトルや内容から一発ネタ狙いのコズミック系かなとか思われるかもしれないが、内容は非常にシリアスで、最後まで読み終わると自分が犯人となった驚きとともに物悲しい余韻も同時に沸き立てられる。近年は比較的地味な作品が多かったメフィスト賞としては久しぶりのケレン味たっぷりの大仕掛け作品として必読と言える。 | ||||
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| 【あらすじ】 「貴殿に《読者が犯人》にした小説のアイデアを売りたい」 ある日、ある作家の元に香坂誠一という男から、その様な手紙が届いた。その価格は1億円という法外な価格であり、且つもし応ずる場合は新聞の広告に「母危篤、至急連絡待つ、太郎」と記した広告を貼るように命じる不可思議な内容であったが……。 【感想】 著者の本を読むのは初めてである。そして正直に言うと、読む前は先入観により本書をかなり誤解していた。 なぜなら、キワモノ揃いで有名な『メフィスト賞』の作品であり、且つ「読者が犯人」という一発芸的でキャッチャーな触れ込みだったため、どうしても一発ネタのふざけた内容だろうという先入観を抱かざる負えなかった。 しかし、読んでみるとなかなかどうして、文章は真面目且つ丁寧であり、何より困難な命題を、一つ一つ丁寧に論理を汲み立てていってる為、初期の予想に反してかなり好感の持てる内容だった。 まあマニアックな内容であることは間違いなく、本当にミステリ(とその歴史)に関して何も知らないという人には勧められないが、一応詳細は丁寧に説明されており「本格ミステリ」を少しでもかじったことのある人なら十分にお勧めできる本である。 ただし、このサブタイトルの「犯人はあなただ!」の部分は、端正に書かれた内容に反して少し軽すぎないか思った。本書に対する誤解を広める遠因の一つであり、もう少し捻って欲しかったと思った。 | ||||
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| 作者の他の作品を三冊ほど読んだあとで、こちらをさかのぼって読み、なるほど、と腑に落ちました。 「金に困っているので、読者が犯人というトリックを一億円で売る」という謎の手紙が、作家である語り手に届きます。入り組んだ叙述トリックか、と構えて読み出しました。ところが・・・・ まずぶれない文章で、寄り道なく、すっきりと通している点はこの作者の特質だと思います。 そして最後になってわかった謎解きですが。 入れてある「双子の超能力少女のテレパシー実験」などのエピソードが、一見流れと関係ないように見えて、この手紙の送り主の痛々しい心根につながり、それを増幅する効果を発揮していました。そして、このトリック?というか彼の意図と性格は、かなりなまなましく胸に響きました。 本格系統のアクロバティックな謎ときものも好きなのですが、そうした作品がきらびやかな半面、巧緻な人工性に傾いて、決して実生活ではこんなことは起きない、と感じさせるのに対し、この「ウルチモ・トルッコ(究極トリック)」の当事者の独白は、胸の奥をつかみとられるような感じでわかります。 それは心理的深遠さ、というか、ある意味、文学的なというか、そういう心根です。(具体的に書けないのがつらいです。) 『五声のリチェルカーレ』に結実してゆく文学性を、すでに種子のかたちではらんでいた小説だと思います。 大トリックなら他にもあるかも知れませんが、これは(少し誇張はあるけれど)文学的に納得させるトリックでした。いろいろなエピソード(有賀の告白なども含め)も、きちんと最後の動機に向かって流れこんでいます。 この作家の文体のむだのなさ、およびテーマの芯の通しかたは見事だと思います。本書だけ手に取られた人は、ぜひ他の作品にも目を通してほしい、と思います。 | ||||
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| 2007年にメフィスト賞を受賞した本作品は、その副題から想起される最後の「意外な犯人」に挑戦した作品です。 オススメかどうか、二つに分類(論理的なものではないが)してみました。 <1.ミステリを読み始めの方> まだあまりミステリを読んだことがなく、古典と呼ばれるミステリを読んでいる最中の方には、オススメ出来ません。 この小説には、冒頭で「意外な犯人」の例が列挙されているからです。 「意外な犯人」モノに挑戦すると言う設定上、止むを得ない記述だとは思いますが、「あの名作が、たった10数文字で説明されている」と、複雑な心境でした。 さらに、本作品と同テーマの先例となる実作例も2作品挙げられています。 出来ればこうした作品は、小説で接してから、本作品に辿り着いてほしいものです。 <2.「意外な犯人」モノが好きで、これまで多くの作品を読んできた方> 大いにオススメします。 著者がいつこのトリックを思いついたのか分かりませんが、1960年代生まれであることから、長い間ミステリの愛読者であったと思われます。 本作品からは、そうした愛好家としての熱い思いが伝わってきます。 また、著者がアイデアだけの作家ではないことは、2011年の日本推理作家協会賞を受賞していることからも推察されます。 トリック中心の作品なのですが、文章も的確で、複数の人物による文章を書き分けている点は、評価できます。 また、超心理学に関する描写や、私小説的な「覚書」の挿入など、これがどのように結末に結びつくのか、という興味を誘う記述も多数あり、小説として十分に楽しむことのできる作品に仕上がっていました。 本作品のトリック、「ミステリ愛好家」には、一筋縄では行かない読者も多いと思われますので、万人が納得と言うのは困難だとしても、これ以上の作品はそう簡単には生まれないだろう、と強く感じさせる力作です。 | ||||
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| 突っ込みも覚悟した上で、「読者が犯人」という究極の不可能トリックに挑戦したその心意気やよし。 著者も本書の中でその不可能性に言及しているが、「本を読んでいる読者」が作中人物を殺害するなんて事はあり得ない訳で、それをクリアするためにはかなり牽強付会なトリックになるだろうと予想できる。そして実際「読者に殺されるためのあるご都合主義的な条件」が被害者に設定されている。それに厳密には「この本を読んでいる読者」が犯人とも言い難いのだが、まあそれでもこの難しい挑戦に対して一応は納得のいく落とし方だった点は評価。 ただ、個人的にはそのメイントリックよりも、全体の構成に不満アリ。 他の人の指摘にもあるように、かなりのページ数(全体の半分くらい)を割いている「超心理学者の実験シーン」と「香坂誠一の覚書」の内容がほとんどメイントリックの「補強」程度で終わっているところ。覚書の中で起こる思わせ振りな事件も同様。どのように覚書の中の事件や超能力の実験が関ってくるのか期待が大きかっただけに、肩透かしを食った気分。ラストの謎解きがあまりにも言い訳めいた説明口調だったのも残念。 まあそれでも究極の不可能トリックに挑戦したチャレンジ精神は素晴らしい。それなりに成功もしているので敢闘賞として☆4つ進呈。 | ||||
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| 《読者が犯人》の究極のトリック――と、タイトルでぶち上げてみせる心意気が痛快。 普通に考えて、現実の読者が作中人物を殺害するなんてあり得ないわけで、いわば “負け戦”は必定。読者の期待を煽っているぶん、その反動として突っ込みを喰らうの も計算のうち、というのが心憎いじゃないですか。 とはいえ、イロモノめいた一発ネタに反し、文章は端正で、構成も緻密。 SF的設定や《信用できない語り手》が導入されていることで、アンフェア感 を覚える向きもあるのかもしれませんが、個人的には十分、許容範囲でした。 何より、新聞の連載小説というメディアの扱いが秀逸です。 ところで、本作が作者の処女作だったわけですが、もし本作が刊行されたその日 に、作者が××すれば、本作のトリックは実現した、ということだったのでしょうねw | ||||
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| ラスト近くまでトリックは明かされないので興味を保ったまま読み進めることができます。大ネタのトリックを惜しげもなく挿話に使ってるのも豪気で良いです。惜しむらくはメイントリックと絡めて使う工夫がなく挿話に留まっていることです。(ある意味メイントリックの補強に使われてはいますが、、、)メイントリックについては、レビューのタイトル通りです。一級のメタフィクションを読んだ時のような感動はありません。しかし酷評されるようなものでもありません。ラスト近くまで興味を持続させられましたし不可能トリックに挑戦した意気は買いです。次の作品も読んで見たいと思いました。 | ||||
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| 普段推理小説を読むことは少ないのですが、「読者が犯人」との帯に興味をそそられて読んでみました。一見バラバラに思えるエピソードも終盤ではどれも無駄の無いものであったと判るので、諦めずに付き合うことをお勧めします。最後は私が犯人になっていました。 個人的には私小説と云える「覚書」が良かったです。 | ||||
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| このミステリの肝はタイトルからわかるように犯人が読者だって事。つまり読んでいる「私」が犯人。著者はある意味最初からネタバレしているわけだ。しかも、読み手が犯人なんてえらく難しいハードルに果敢に挑戦。犯人になりたくない人はくれぐれも読まないように! それでも読もうとする将来の共犯者の皆さん。 犯人のあなたはどのようにしてあの人を死に至らしめるのか? これが最大の謎となりますので、考えながら殺人を犯してください。 またトリックに目を奪われがちですが、ちりばめられたエピソードはどれも魅力的で、 それぞれのエピソードを単独で読んでも楽しめます。 そしてそれら一見ばらばらに見えるエピソードがすべて有機的につながるラストは感動的。 | ||||
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| 新聞に連載小説を書いている作家のもとに見知らぬ男から一通の速達が届く。「読者が犯人」という究極のトリックを思いついたので、ぜひそのアイデアを買い取ってほしいという手紙だ。「読者が犯人」という筋書きをもった小説は果たして可能なのか。作家は半信半疑ながら、この男の申し出に興味を持たずにはいられなかった…。 「ウルチモ・トルッコ」という一見コミカルなタイトルは、「究極のトリック」という意味のイタリア語。読者である私自身が真犯人になるという奇想天外な小説が成立するのか。登場人物である作家先生ならずとも、汲めども尽きぬ興味に突き動かされて私も、この300頁の本を一気に読み終えました。 この小説には言語や天文学、超心理学など、一見脈略がなさそうな様々な事柄に関する該博な知識が、決して衒学的ではない言辞で散りばめられていて、一体どこへ読者を導くつもりなのかとわくわくしながら頁を繰るのは楽しい体験でした。 そしてたどり着いた果てに待ち受けていた真相は、エドガー・アラン・ポー以来連綿と続く古今東西のミステリー史上かつて誰も思いつくことがなかった究極のトリック…というほどのものではありません。 結論から言えば、それは私の「そこそこの期待値」通りのものでした。その「期待値」は実のところさほど高いものではありません。なにしろ本書は講談社ノベルズの一冊であり、講談社が精力を傾けて世に問うという類いのものではそもそもないことは容易に想像がつきます。ですから本格ミステリーというものを期待していたわけではありませんし、まぁお手並み拝見という程度の心持ちで臨んだ書です。 それでも全く楽しめなかったわけではなく、私としては敢闘賞ものだと評価してもよいかなと思わせるエンターテインメント小説でした。 | ||||
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