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イン・ザ・メガチャーチ



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【この小説が収録されている参考書籍】
イン・ザ・メガチャーチ

イン・ザ・メガチャーチの評価: 3.98/5点 レビュー 255件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.98pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全187件 21~40 2/10ページ
No.167:
(4pt)

みんな何かの奴隷だった

ケニー・アッカーマンが言っていたことの現世版
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.166:
(4pt)

現代の様々問題を3人の登場人物に詰め込んで上手に束ねた本

・推し活の心境
・推し活を纏める側
の構造、言語化は見事しか言いようがない。
MBTI 診断が本当に若者に流行っているか分からないし、16パターンで人を分け、それに対してマウントを取る事が浅はかだと思うが、いつの時代にも学生内のヒエラルキーはあるのだと思う。
主人公の一人澄香の同級生の菜々が留学しメガチャーチの仕組み(心理学・経済学)を学びたいという描写。
澄香にとっては、陽キャ?いじめっ子?誰よりも良いポジションを取っている菜々が、ファンダムの仕掛け人、星野の方向に向かっている構図もまた良い。「Bloom」の道哉、藤見倫太郎も側面しか描かれておらず、それぞれの解釈によって主人公3人が変わっていく。
皆共通して現代社会に疲弊しており、頑張っているけど報われない、頑張っても報われない、寂しさや心の安寧の在り方が描かれていた。
最後、久保田慶彦が上がって救われると予想していたのが違った結末になったのも私的には衝撃的だった。
昔と比べ、情報が溢れ、操作され、拡散され、簡単に会えるようになったのに、何か満たされない。
誰かにすがりたい、満たされたい、どうしようもない無力感を陰謀論としたいなど現代社会の人々の心の闇を圧倒的な描写力で体感できた素晴らしい小説でした。
私がお子様で、ハッピーエンドが好きなので☆1減らしております。本屋大賞も納得の作品でした。
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4296121049
No.165:
(5pt)

やめられない,止まらない。止めてくれるな。止めてくれ。

ジョーは拳闘を通して,真っ白になるまで燃え尽きた。Bloomのみなさんは,金も,時間も,人間関係も空っぽになるまで,自分を全部推し出す。そして,大人の養分になる。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.164:
(4pt)

推し活問題というよりは被害者意識の問題に思えました

注意・ネタバレありです。

読後、いろいろ考えさせられたけど、推し活どうこうというより、メインの三人は被害者意識が強いのだなと。
過去の自分のせいにしたり、自分を疎外するまわりのせいにしたり、警察や国のせいにしたり。
でもこの三人はちゃんと自分のせいで人生がうまくいっていない。

寂しさを埋めたいためだけに、娘の都合や思いを考えず会いたがって、さらには理想の娘像しか見ていない。
嘘をついてドタキャンした挙げ句、ほかの友人と会う。
その友人に泣きついたくせに腹の中では見下し、大切なものを盗む。
推しがファンの無理な課金を心苦しく思っているのを分かっていながら、眉尻がさがるのを愛おしく思い、それが見たいがために課金して追いつめていく。

自分に原因があっても認めたくないから、だれかのせいにして被害者として救いを求めるのだろうけど、己の卑しさを自覚して直さないことには救われることはない。
だから救われないラストなのだなと納得。

被害者というと、罪なき無垢な存在というイメージ。
彼らは自分の卑しさを見て見ぬふりをして、そのイメージに自分を当てはめようとするも、だからといって卑しいのは変わらず、自覚がないから歯止めがかからなくて、もっともっと醜くなっていく。
もちろん人生がうまくいくわけがなく、破滅へと向かっていく。
自分も被害者意識を持ちやすいから、気をつけねばと思いました、この三人のようにはなりたくない・・。

こうして考えさせてくれるおもしろい小説だったけど、気になることがひとつ。
大学生の娘持ちの四十代の父親が、どうしても定年後か間際の男の人にしか思えなかったこと。
四十代の男の人はこんなに枯れているのか?とどうしても違和感が拭えなかった。
作者さんの身近にそんな人がいたのか、今の四十代というと若いイメージがあるので、あまりぴんとこなかったです。
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No.163:
(5pt)

リアルで胸が締め付けられる

とあるアイドルが好きで、3形態のCDは全部購入、ライブ応募して当たったら行く。
SNSの発信は一切しない、推しが恋愛しても良かったねと祝福できる程度のファンでしたが、最近人気が加熱するにつれてファンが過激化し、ちょっと冷めかけてきた頃。なぜこんなにハマるのか、気持ちが知りたくて手に取りました。
一言で言うと「救いがない」、でもちょっと希望も見える、そんな展開でした。

読了後、試しにXを覗いてみると、登場するまんまの人たちにあふれていて、推し活する人の解像度が高すぎてゾッとしました。それくらいリアル。
ランキングを1位にするために積むとか再生数伸ばすとか、アンチをパトロールして追放するとか、結局は居場所がなくて真面目、そして自分の方が正しいと思っている人ほどハマりやすい構図が分かりやすく書かれていて、今必死になっている人たちの人生の背景はどんなもんだろうと興味がわきました。

文章はスラスラ読みやすく、分厚いけど一気に読めます。
ラストはここで?という感じだったけど、その後の再構築も書いてほしいなと思います。
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4296121049
No.162:
(5pt)

Story and Community without Exploitation

世の中の諸問題への意識アリ系大学のはたちの学生、同年代のデビュー前グループ所属のアーティスト(候補?)、三十代の非正規推し活労働者、五十前の冴えない音楽企業社員・・・

その満たされない心、不安、孤独、それを満たす道、しかし、そこにある落とし穴、それに気づき、そこから出る道を見つけるが、その道もまた・・・と言えば、救いがない、絶望しかないように思われますが、ぼくは、希望も見いだせました。

「現代社会の厳しさと、そこに活きる人々の寄る辺なさ」
「皆やっぱり繋がっていたい」
「今の私たちに必要なのは、他者との優しく穏やかな繋がり」(p.23)。

「生きているだけで偉いなんて思えない」
「本当にそうなら、どうしてこんなに苦しいのか教えてほしい」
「誰でもいいから導いてほしい」

人数や会計面では衰退が著しいキリスト教会の牧師であり、教会がなんとか社会において意味ある存在となり、生き残って行くにはどうしたらよいか、思案し続けてきたぼくには、上の六行は、現代のぼくたちの苦しみと求めの描写として、まったく同意するし、とても参考になります。

しかし、そのような苦しみや求めに、実際に答えているもの、というか、答えとしてある程度浸透しているものは、キリスト教会ではなく、神でもイエスでもありません。では、それは何かというと、その一例は、本書が描いている「推し」活動であり、ファンダム(ファンの集い)であり、推し(好きなアーティストなど)なのです。

「推し」活動によって、たしかに、優しい繋がりは得られ、苦しみは軽減し、生きる意欲も出てくる場合が多いようですが、そこには、大きな罠が待っています。推しのCDを大量に買ったり、推しのために多額の広告費用を出したり、推しのためにSNSに投稿したりすることに、時間と労力を注ぎ込み、資金稼ぎのために隙間バイトに明け暮れ、親にお金のことで嘘をつくような話もこの小説には出てきます。他方、音楽企業側は、そのような推し活動者がCDを何百枚も買うようにしむけるため、推しアーティストの「物語」を作り出します。

「今ならば、どれもこれも全部、私たちの脳や思考力を去勢するものでしかなかったのだとわかる。脱毛も英語学習アプリも泣ける漫画も年収が上がる仕事術の本も全部、目眩ましだ」(p.221)

「“推し活”のおかげで人生頑張れるって話もよく聞くけど、苦しみだけだと国民は蜂起しちゃうからガス抜きも一緒に差し出されているだけ。しかもそのガス抜きはお金や時間や労力を国民から吸い取る装置としても機能している」(p.242)。

こう気付いたあと、この登場人物はどうするのでしょうか。今度は、「真実を隠蔽する目眩まし」を暴くための活動に没頭するのですが、この活動が、じつはカルト宗教的なものであり、今度は、そこで目くらましに遭うのです。

つまり、自分を救ってくれると思っていたものが、じつは自分を苦しめるものであり、そこから、救い出してくれるものも、さらに自分を苦しめるものである、というのが現代社会の一側面ではないでしょうか。

本書の後半に「チャーチマーケティング」という言葉が出てきます。

「もともとは教会の信者を増やすためのマーケティング方法らしいんだけど・・・その仕組みが結構色んな分野に応用されててね、知らないうちにうちらも巻き込まれたりしてるわけ」(p.325)。

「今のメガチャーチって礼拝がライブみたいな感じなんだって。私も全然知らなかったんだけど、楽器の生演奏やダンスで始まったり、音響とか照明の設備もしっかりしてて、礼拝って言葉からイメージする雰囲気と全然違うみたいなの。お祈りに行くっていうよりライブに参戦って感じで、非日常感を味わえる場所になってるんだって」

「若い世代を取り込むことに成功してるらしい。で、通えば仲間ができるわけで、そこが居場所になるじゃん?」(p.328)。

「メガチャーチにも色々あるんだけどさ、結局やってることは全部同じなの」
「とにかく信者から集金すること、これ」
「本質的には無意味、低価値、無関係なものを、団体が発信するストーリーによる権威付けと信者の視野狭窄によって価値が高いと思い込ませて、本来の価値以上の対価を払わせる」(p.329)。

これは、多くの教会にとっては、言い過ぎでしょう。大きな教会でも集金しか考えていないわけではないでしょう。また、コンテンポラリーサービスと言われる、ギターやドラムなどを賛美に使う教会も、集金などではなく、誠実に神の救いを伝えようとしている教会が大半でしょう。

しかし、このような手法を音楽企業などがとっていることは、その通りだと思います。ですから、上の記述では、メガチャーチは、推し活などでCDを数百枚も買うようにしむける企業のことを言っているのではないでしょうか。

「私が入る予定のゼミでは、コミュニティとストーリーで信者化する人間の習性を、本当にサポートが必要な分野に応用できないかっていう研究をしてるの」

「ランダム商法とか同じCD大量に買わせるのとかって廃棄前提のやり方なわけで、普通に環境に悪いし、CD複数買いさせてる運営がSDGs系の仕事引き受けてるの、もはや風刺画じゃん。ああいう、推しのためならタイムズスクエアに広告出しますみたいなエネルギーを農家とかNPOとかに向けられないかなーみたいな。一言で言えば、この時代にどうすれば人を動かすことができるのかって研究だね」(p.333)。

CDを大量に買わせる手口は、カルト宗教が信者に高額、多額の買い物をさせることに通じますね。

それに対して、地球環境保護、戦争反対、差別反対に、どうすれば人を動かすことができるのか。コミュニティとストーリーという人間の習性を用いることができないか。そういう研究は大歓迎です。

小泉今日子さんのコンサートで憲法9条の朗読が流れたり、「戦争反対!! 平和な世界希望!!」と書かれた銀テープが客席に打ち出されたりしたようですが、それは、こういう研究につながるのではないでしょうか。

平和や反差別、生態系保護、反原発の意識のあるアーティスト、作家、宗教家らが、スポンサーや人々の目や声を気にすることなく、発言、アピールできる環境ができることも大事でしょう。

そして、愛と平和の純粋なストーリーとコミュニティが、集金装置でないストーリーとコミュニティがあたりまえのものとなり、社会のあちこちにできてほしいですね。

キリスト教会も、まさにそうなってほしいし、そうなる可能性を秘めていますが、方法的には、たしかにもっともっと研究しなければなりませんね。
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No.161:
(5pt)

オタク必読書

実際にサバ番シーズン2出身のアイドルを推しているので、まるで後ろから刺された感覚でした
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.160:
(4pt)

読んでる最中、スマホがちょっと怖くなりました

推し活とか界隈とか、最近よく耳にする言葉の正体をぐりぐり掘り下げてくれる一冊でした。
三つの視点が交互に進む構成が絶妙で、気づけば自分も登場人物の誰かに似てるなあと、鏡を覗かされている気分に。
良かったのは、登場人物に善悪のジャッジを下さず、人間の弱さや欲を淡々と描いているところ。
ちょっと気になったのは、扱う題材が広すぎて社会学の論文を読んでる感覚になる場面もあった、くらいでしょうか。
似た系統の話題作と比べても、痛さの解像度がやけに高い印象です。
SNSをダラダラ眺めちゃう人や、何かに夢中になっている自分を一度引いて見たい人にどうぞ。
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4296121049
No.159:
(5pt)

それぞれの孤立した「小さな物語」にしがみつかざる得ない人間の性(さが)

本屋大賞を獲ったからという訳ではないのですが、たいへん面白く読み終えました。
皆が信じる「大きな物語」を失ってしまった今、人々はそれぞれバラバラの「小さな物語」を信じて、視野狭窄の中で必死にしがみつくことで、居場所や生きがいを得ている現代社会を、巧みに描いた作品です。
作品内では推し活や陰謀論が「小さな物語」の一つとして描かれていますが、ストーカー殺人なども、個人的な自分だけの「物語」に狂信的にのめり込むことで、ストーカー相手の「物語」を抹殺するために行われるのでしょう。
作品の最後で、主人公のひとりである父親が娘に対して一方的に紡ぎたす「物語」への依存も、ストーカーの精神構造と同じ危うさを感じてしまいます。
(あまり深くは記しませんが)そのような「物語」の狂気から逃れるすべは、「日常性」、いまこの生身の日々を楽しく生きることとだろうと思います。(ネット世界は日常性の対極にある仮想空間です)
ただ浅井リョウが描いているのは、日々を楽しく生きることができないからこそ「物語」に没頭していく現代人なので、彼らに向かって「日常性」を説いても、解決にはならないのでしょうけど。
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No.158:
(4pt)

じわじわ不気味になってきた

朝井リョウさんの本に出てくる若者言葉(ハッシュタグという言葉、自分は全く使わないので違和感大)やこじらせキャラの人、意識高い系の人、が苦手です。でも苦手と思いながらもぐんぐん惹きつけられていって最後まで読まずにはいられないように仕向けて行くところはさすがだなーと思いました。登場人物たちにイラッとしてしまうことも多いのですが、自分も若いときはいろいろくよくよしていたな、とか思い出しました。現代社会の状況をうまく料理してじわじわ不気味で怖くなってくるようなお話の展開は朝井リョウさんは上手だなーと思います。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.157:
(4pt)

最後は読者に委ねるタイプの内容

個人的には最後が知りたい(良くも悪くも決着して欲しい)タイプなので、読者に判断を委ねるのは苦手です。
ストーリーは面白い。
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No.156:
(5pt)

物語を通してし人は他者に触れようとしてしまう

推し活やファンダムを題材にした小説だけど、単純に「推し活の話」という感じではなく、「人は何を見て、何を信じているんだろう」と考えさせられる作品に思えた。

印象に残ったのは、「視野が広い・狭い」が単純ではないところ。一見閉じた世界に見えるものが人を他者へ開くこともあれば、「真実を知っている」と思うことで逆に閉じてしまうこともある。

登場人物たちも、それぞれ違う立場や考え方を持っていて、誰に共感するかでかなり見え方が変わりそうだった。

MBTIの扱い方も印象的で、性格診断そのものというより、「人を理解したい」「名前をつけて安心したい」という現代的な感覚の象徴として描かれているように感じた。

また、アイドル本人の描写もある一方で、読んでいるうちに、個人そのものよりもファンダムやそこに流れる「物語」の方が強く見えてくる感覚が不思議だった。

推し活や共同体の危うさも描かれている作品だけど、個人的には、だからといって推し活そのものが虚しいとは感じなかった。

むしろ、辛いけれどそういう側面を含めた上で、それでも人は物語や幻想を通して誰かに触れようとしてしまうのかもしれない、と考えさせられた。

読み終わったあと、「どの視点で読んでいたか」という読者自身の立場も、作品の構造の内部に置かれているように感じた。
読後感は決して明るくない。でも、「物語に触れること」を救いとして生きる人間もまた確かに存在している、という感覚が最後まで残る小説だった。
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No.155:
(5pt)

個人的は久々の当たり。時間が経たないうちに読んだほうがいい

読んでいて文章のクオリティが高く、心地いい。現代の推し活がかなり高解像度で描かれて、それを取り巻く人物の行末が気になって一気に読めた。現代の価値観が色濃く描かれているので時間が経たないうちに読んだほうがいい。時間が経って価値観がずれていくと、刺さり方が甘くなってしまうと思う。
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4296121049
No.154:
(4pt)

推しの礼拝堂

物語に深く沈み込むというより、現代の人がどこで救われた気になり、どこで居場所を買っているのかを観察する本として読みました。

「イン・ザ・メガチャーチ」は、推し活や巨大なファン共同体を、ただ明るい消費としてだけ描いていません。そこには熱量があり、祈りに近い集中があり、同時に少し危うい依存もあります。誰かを応援しているようで、実は自分の傷や不安を支えてもらっている。ここがかなり今の時代らしいです。

前半は、推しに向かう気持ちの高まりや、集団の中で自分の居場所を見つける感覚が描かれます。中盤になると、その熱がただの趣味ではなく、仕事や人間関係で削られた自尊心を補う装置にも見えてくる。後半では、会社で不遇な立場にいる人、評価されにくい人、日常の中で声を持ちにくい人が、別の場所で自分を回復しようとする構造が浮かびます。

この作品の面白さは、推し活を笑うのでも、美化するのでもなく、現代の小さな信仰として眺めているところです。人は合理的なだけでは生きられません。給料、肩書き、職場の評価だけでは足りない時、自分を熱くしてくれる対象が必要になる。メガチャーチという言葉が効いているのは、そこに商業と祈り、群衆と孤独が同時に入っているからです。

弱点は、物語としてぐいぐい引っ張る力より、題材の観察のほうが前に出るところです。登場人物の感情に完全に乗るというより、少し離れた席から、今の社会の断面を見ている感じがあります。小説としての没入感を求めると、温度が足りないと感じる人もいるかもしれません。

ただ、題材としてはかなりよいです。推し活をしている人の心理、会社で居場所を失いかけている人の屈折、日常では満たされない承認欲求の流れが見えます。これは「好きなものに夢中な人たち」の話ではなく、現代人がどこで自分を保っているのかを覗く話です。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.153:
(5pt)

推し活を切り口とした鋭い社会小説

444ページの長編でありながら、一度も飽きることなく読み切った。アイドルの推し活を切り口にしつつ、その背後にある現代社会の構造を鋭く読み解く朝井リョウのリサーチ力と筆力には圧倒される。フィクションでありながら、描かれる出来事や人間関係が現実と地続きに感じられる。芸能界の話にとどまらず、日本社会の深層、カルト、陰謀論、マーケティング、個人や集団の心理分析など多方面に踏み込む、驚くほど広さと奥行きのある作品となっている。

アイドルや推し活に全く興味がない読者でも、学びや共感を得られる視点が随所に散りばめられている。バラバラに見えていた登場人物たちの関係性が少しずつ明らかになっていく構成は、まるでミステリー小説のような緊張感と驚きを生み出している。世代を問わずおすすめしたい。
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4296121049
No.152:
(5pt)

信じる者は救われる

SNSも推し活もほとんど縁が無く、今どきの意味不明の言葉もあり、戸惑ったが、十分楽しめた。
人物の心境には親近感のようなものを感じた。
信じるもの、夢中になれるものがあれば人は幸せを感じるが、それが陰謀論やマーケティングの思惑、宗教などに踊らされれば、裏切られることもある。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.151:
(5pt)

搾取と洗脳のファンダムビジネス

朝井リョウ作品とファンダムビジネスの両方に関心があり、手に取った。

物語は、異なる孤独を抱えた3人の視点から進む。
キャリアの停滞と離婚を経て孤独に沈む40代後半の男性。その孤独が深まる描写は生々しく、読者の心を抉る。彼はファンダムビジネスを“仕掛ける側”にいる。
大学という競争環境の中で自我を見失いかける20歳の学生。周囲に溶け込めず、拠り所を求めて“信徒”となる。
そして、生活苦にあえぐ30代半ばの契約社員。かつての「推し」を失い、やがて陰謀論へと傾斜していく“元信者”。

本書が描くのは特別な人間ではない。むしろ、誰もが陥りうる「孤独」「挫折」「生活不安」だ。その隙間に入り込み、物語を提示しながら、同時に搾取していく構造が淡々と描かれる。

こうした構造を読んでいて思い出したのは、サピエンス全史が示した「虚構(物語)を信じる力」だ。人は物語によって結びつき、巨大な協力を実現する。その力は文明を築く一方で、本書のように個人を絡め取る装置にもなりうる。

朝井リョウの筆致は、感情を過剰に煽ることなく、淡々と現実を突きつける。その分、読み手の中でじわじわと感情が増幅していく。

作中で語られる、仕掛ける側の論理が印象に残る。
「私たちは信者から何も搾り取ってはいない。自分自身を使い切らせてあげているだけだ」
没頭し、感情も時間も資産も使い果たすこと自体が“幸福”として成立してしまう構造。価値基準が揺らぐ現代では、その対象の正しさすら問われにくい。むしろ何もかもが揺らぎやすい今、確固たる信仰対象があり、それに対して自分を使い切っている姿そのものに希少価値が生まれやすいともいえる。

正解がない社会において、「視野を狭めて狂信する姿」を“幸福”と描く本書には、不気味さが漂うと同時に、不思議な清々しさもある。

読後には、単なる面白さではなく、居心地の悪さが残る。
その感覚は、簡単には振り払えない。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.150:
(5pt)

推し活の仕組み、仕掛けが勉強になる

推し活の仕組み、仕掛ける側の戦略がリアルに書かれておりとても勉強になって面白かった。夢中で一気読みしました!
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.149:
(5pt)

心も脳もいい意味でかき乱される物語

若い人よりは子育て世代の30代から40代の人にすごく刺さると思うので、ぜひ読んでみてもらえたらなぁと思った1冊。めっちゃリアル!
登場人物3人のそれぞれに共感してしまう部分があったり、自分自身の原体験と重ね合わせてぞっとしてしまったり、心掻き出される物語だった。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.148:
(5pt)

物語と現実

今までの小説の登場人物は少数派になる事を恐れず、あえてレールから外ようとする傾向があったと思う。
しかしこの作品は、多数派に属したい、どうして自分がレールから外れてしまったのかと葛藤している。
それが現在の生きづらさを的確に表現できている事につながっていると思う。
作中で視野という言葉が頻繁に登場する。
昔はみなが同じような景色や視野で生き、ある程度の正解が存在したしたのかもしれない。
しかし現在は、見るもの、見ないものを選ぶことが出来るようになりもはや昔のような正解は存在しなくなったと感じる。
そして選ばなかった視野に後悔し行動したとしても良い結果が生じるとは限らない。
また昔と異なり現在最も見られるものになったのは定量化されたものだろう。
いいねの数、閲覧回数、偏差値、年収、身長、マンションの階…
あげたらきりがないほど全てが定量化され気が付いたら競争の中にいる。
そして信仰心すら定量化がされているのではないだろうか。
いかに信仰しお金と時間を献身しているかがわかりやすくなったように感じる。
幸せが所属感と貢献感にあるとするならば、献身性が定量化された現在で推し活に没頭する気持ちは理解できる。
他人と結果を変えようと必死になる集団に属して所属感と貢献感を得て自分から目をそらしているほうがずっと生きやすいだろう。
しかし何をしてても自分を守るべき時期がある事を経験上、理解できる。
この作品は昔の辛かった記憶をほじくりかえしてくれる私にとって面白くも辛い素晴らしい大傑作だ。
この作中に出てくる人々に理解を示す人の幸せを心から祈る
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049

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