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月とアマリリス
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月とアマリリスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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昔の女性への型にはまった見方や、ジェンダー要素をベースにしながら、ストーリー自体がしっかりしていて読み応えある。 この手の展開は得てしてメッセージ性が強すぎて、本編が霞む場合があるけど、そのような心配は全くなし。 事件へのアプローチが通り一辺倒でなく、展開を楽しめる。 被害者、加害者、それを取材する者のそれぞれの描写が良い。 | ||||
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社会派ミステリー好きで松本清張好きな僕は、町田そのこさんがチャレンジした社会派ミステリーの本書を多くの人に薦めたい。 ミステリーといっても、まるで刑事コロンボのように、はじめに犯人の種明かしをして、現代の社会問題(九州の男尊女卑、いじめ、アスペルガー、トランスジェンダー、ネグレクト、貧困家庭、単身高齢者、週刊誌と報道)解決への問題提起をじわじわと進めていく手法は、良い意味で一つの作品内で現代社会に起こっている問題を詰め込んでいる。それは各作品が単独の社会問題提起(ハンセン病差別、在日米軍、権力者の汚職、高度経済成長期の社会の変化など)を取り扱った松本清張の作品とは異なり、その点で今までにないマルチタスクな新しい試みのようにも感じる。一つの作品内で詰め込んでいるにも関わらず、詰め込みすぎだと全く感じないのは、そして、読後感が爽やかで希望が持てるのは、問題解決(犯人確定)の後の物語り、つまり犯人の再生や加害者と被害者の後日談に多くの記述がある点かもしれない。ということで、これまでにない新しい社会派ミステリーが登場したのではないか?と感心している自分がいる。 物語の舞台となる旦過市場や、その近くにある(僕も好きなクエスト)本屋、日本で初めてのアーケード商店街の魚町銀天街、チャチャタウン、(僕は行ったことないけど)ストリップ劇場やパチンコ屋。太宰府も舞台となる。地元が北九州の僕には、犯人追跡の手がかりが掴める(多くの偶然が起こる)小倉の街は、そんなことも起こりそうだと自然に受け入れられた。 ところで、和菓子屋の包み紙の裏に書かれたメモ。僕は松本清張の愛した和菓子、湖月堂の栗饅頭のお店が登場するものとばかり思っていたが。。。 | ||||
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元週刊誌記者の飯塚みちるは、中学生のいじめ事件の記事で一人の人間の尊厳を傷つけたことから、記者としての仕事と距離をおいていたが、みちるの実家の近くで起きた白骨化した遺体が発見された事件をきっかけに、再び記者として事件を追いかけていくミステリ小説。 一人の人間を追い詰めてしまった過去から、人の言動に関して人一倍過敏になっているみちるが少しずつ事件記者としての仕事の目的ややりがいに気づいていく過程が丁寧に描かれていた。 ただ、事件に関してはミステリ的な要素は少なく感じられた。 みちるの成長を描くとともに、女性だから、男性だから、といったジェンダー差別の要素もそれとなく描かれていた。 一つの事件を通して、逃げずに最後まで加害者、被害者の話を聞き続け、それを届けることが記者としての使命であり、「記者をやり続けることこそが、罪と向き合うこと」という考え方は共感できた。 随所に人の尊厳を守ったり、誰かに傷つけられたり、愛する人への依存に言及したりするのに使われている言葉選びが秀逸で胸に響いた。 「心配とか応援とかって言葉を使えば、誰であってもひとの人生に踏み込んでいいのかな。すごくモヤモヤしちゃうんだよ。でも、善意の気持ちを拒否していいのか不安にもなる」 「わたしを受け入れてくれるひとがいたら、愛と感じるものを示してくれたら、嬉しいと思ってしまう。しかもそのひとがわたしのためにわたしの生きる道筋を考えて示してくれたら、多分、喜んでしまう。愛に従っておけばしあわせになれるって彼女の言葉を聞いて、わたしも、妄信的に誰かを頼って自分を差し出す可能性がゼロじゃないなと思ってしまったよ」 「誰だって、誰かを傷つけて生きてきてるんだよ。自分もそうだと気付いたのなら、これ以上傷つけないよう気を付けていくしかない。あなたにも誰かを傷つけた過去があったことを教えてくれたそのひとに感謝してさ。生かせばいい。それだけなんだよ。向き合うのは大事だけど、考えすぎるのはダメだ」」 | ||||
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サスペンスとして読むと少し物足りなさを感じるが、テーマは犯人探しではないのだろう。加害者の気持ちが繊細に書かれていて、読み応えがあった。 | ||||
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しんどかったけど読んで良かった。 内容は読んで | ||||
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飯塚みちるは週刊誌の記者だったが、ある記事を書いたことで自分を許せないよう事態を引き起こし、挫折し体調も崩し、逃げるように北九州の地元に戻り、タウン誌の記事を書いていた。 しかし、みちるの地元で変死体が見つかったことから、周囲の心配をよそに彼女は事件に関わっていく。 主人公の「飯塚みちる」の考え方がいつも正しいとも、彼女をとても魅力的だとも思わなかったが、彼女が何か言う度に自分だったらなんて言うだろう、なんて思うだろうと、とても考えさせられながら読み進めた。 彼女が丁寧に取材を進めながら、謎が少しずつ解き明かされていく課程は、まさにミステリーの醍醐味だったが、加えて、加害者と被害者の関係、加害者にならざるを負えなかったそれぞれの理由、普通に見える家庭の中にある男尊女卑、弱肉強食、いろいろな意味でとてもとても内容の濃い作品だった。 まさに現実に起きていてもおかしくない犯罪態様は、現実的に描かれているからこそ、とても残酷で目を背けたくなるところもあったが。それでも大変面白く有意義な読書でした。 | ||||
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町田その子さんの大ファンです この小説はこの先どうなるのかどんどん引き込まれていきました 何度も読み返したくなりました | ||||
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社会的な弱者に向けられる作家の視線が依然として温かくていい。 町田そのこワールドを確実に構築している。作品を読みながら温かい感情が溢れてることはよかった。 推理パートは偶然に頼るところが多い。もう少し緻密に仕込んでくれたらと思った。 | ||||
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社会問題を取り入れ、事件を追うサスペンスだけど、ここで町田そのこワールドが広がる。 ”ほんとうのかたち”を探し、心を再生していく。 そして信じた道を歩んでいくべきだと。 ”ここに大事なものは全部ある”という。 立ち止まることなく生きていけるように願って。 | ||||
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福岡県北九州市が舞台の作品です。 タウン誌のフリー取材ライターである、主人公の飯塚みちるが、東京にいた頃の元恋人に依頼されて、地元の死体遺棄事件について取材するところから始まります。 九州弁がかなり出てくるので、九州地方に住んだことがない私には、ところどころ分からない表現がありました。 事件の軸としては、遺体の発見から事件の真相を探っていく形なのですが、 その背景として、昔からの根強い男尊女卑、特に家庭内における男女不平等(男性の意見はすんなり通るのに対し、女性の自由には男性からの許可が必要等)がまかり通る状況がここそこに描かれています。 事件では、搾取されているのに、それを愛だと信じ込んでしまう女性もいて、格好の餌食となってしまうわけです。 みちるの相棒のような存在の井口さんが、またいい味出してましたね。各所でかなり活躍したと見ました。とにかく心強い存在。なにより、この二人のコンビがよかった。 終盤では、吉野スミおばあちゃんが暖かく愛しく思える作品でした。 殺人もののミステリですが、他の小説に比べ、犯罪に至るまでに経緯、犯罪に手を染めたあとの精神状態など、普通なら犯罪トリックに比べてあまり詳細には書かれないような部分を、この小説では大切にしていたように思います。 私はこういう犯罪心理が丁寧に綴られている小説に、読み応えを感じます。 多分一番訴えたかったのは、大切に育てられてこなかった、不器用な生き方しかできなかった女性の悲哀なのかな。 「危ない男には気を付けて!」を地でいくと同時に、暗いトンネルのなかにいるけど、遠い先に光明が見えてくる、そんな小説でした。 | ||||
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なんという読後感でしょう。読み終えた今、ただ呆然と立ちつくし、茂美(乃愛)や美散、スミおばあちゃんの人生を思って涙を流さずにはいられません。九州独特の女性蔑視がいたるところに読み取れたり、悲惨な事件が連続したり、読んでいて辛い人には辛いかもしれません。しかし、きっとこういう辛い人生を経験している人はあちこちにいるのだろうとも思わせる小説です。人生の寂しさと辛さを突きつけてくる小説ですが、北九州のかわいい方言や、たまにあらわれる他人の優しさに救われる小説でもあります。 | ||||
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