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罪名、一万年愛す
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罪名、一万年愛すの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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終戦直後の上野駅浮浪児の悲惨さに改めて驚く、同時に浮浪児を蔑視するようになるとは。 そして自分も知らず、そのような感情を持っていたことに愕然とした。 子供達に一片の罪もないのに、全て大人のしでかしたことのツケを払わされているのに。 物語は、浮浪児のその後の人生の綾を描いている。 使われている素材は、それぞれどこかで聞いたようなものが多い。 が、それを巧みに用いて秀逸である。 ラストシーンの梅田翁の告白シーンは、映画を見るようで感動的だった。 | ||||
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吉田修一さんのファンの図書館司書です。 吉田作品ほとんど読み、 新作も良いだろうとは思っていましたが、 そんな想像を遥かに超える 素晴らしい内容でした。 続きを知りたくなり ページをめくる手が止まらない展開から、 予想外の裏切りやらユーモアも加わり、 読書にこれを読ませたかったんだなと ダイレクトに伝わる重要シーンまで 引き込まれます。 日本人全員に読んで欲しい! | ||||
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孤島に散りばめられた謎を一つ一つ解いて、新しい秘密の扉がひらく。 リズミカルでテンポが良く、ラヴェルのボレロの如く盛り上がり、ページをめくる手が止まらなくなる。 そして大円団となるかと思いきや、そこで明かされた20ページほどの過去の出来事の記述に圧倒される。 その後のファンタジー的なシーンや、すべての登場人物の善良さと明るさが救いとなって、この受け止めることが難しい過去の出来事をやすやすと読ませてくれる。 最後に、この物語を是非書いてほしいという願いからこの本が生まれたという入れ子になっており、このような出来事が本当にあったことだと訴えている。 そしてこのような子供たちは本当にいたのだ。それは戦後日本で実際にあった過去であり、多くの人間が忘れてしまった、見ない様にしてきた日本人の最も暗い過去なのだ。 戦後80周年たった今、このような少年少女を是非思い出すべきであり、知らない人は知る必要があるとと思った。 ケロという少年の知性、詩子の人間愛に哀惜の念を感じ胸が熱くなった。 | ||||
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映画を見ている様な色を感じる作品で、最後の展開が見ものでした | ||||
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前半に比べ後半は面白く読むスピードが上がった | ||||
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絶海の孤島に大型台風によって密封された登場人物たちの前から一代で財を築いた翁が失踪します。犯罪なのか?それとも自作自演なのか?そもそもどうやって移動したのか?といった「よくある」ミステリ仕立ての導入から物語は始まります。参加者は、家族、従業員に加えて私立探偵、元刑事までプレーヤとして登場します。 しかし、これはあくまで偽装的な設定に過ぎず、45年前の女性失踪事件との関連、私室に「それとなく」置かれていたDVD3作品「飢餓海峡」「砂の器」「人間の証明」はなんらかのヒントなのか?と中盤もあくまでミステリらしい描写が続きます。 そして一気にラストに向かうのですがここからがさすがの芥川賞作家の筆力でした。SFに寄っていくかと思いきや、そんなに単純なものではなく、当然ながらテーマが大きく浮かび上がります。ジャンル分けなどまったく意味を持たなくなる小説らしい硬派で骨太な作品でした。 | ||||
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兄さんはこの小説を読んで泣いてしまった。 罪名一万年愛す。のタイトル通り愛の物語である。高度成長期45年前平凡な主婦が失踪する。 東京の有名な展望レストランのウェイトレスは梅田丸百貨店の社長と会っていたと証言する。筑豊弁だったと。しかし、社長は八幡出身である。東京の主婦と福岡の社長。なんの接点もない2人がやがて絡み合う。日本の戦後の混乱期、 なぜ社長は生涯独身なのか?謎はラストすべて判明する。これは感動の愛の物語なのである。野良島 雪島 の名前の由来も泣ける物語である。星5つ。 | ||||
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長崎、佐世保の九十九島。 そのクローズド・サークルは台風で孤島に閉じ込められて始まった。 そして、映像は切り替わった。 その足跡をたどると、東京、上野駅へと。 目の当たりにするその光景は。 25カラットのルビー、その行方は。 | ||||
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新聞で連載していたときに全部読みました。「はやく次が読みたい!」と思わせる内容です。連載は少しずつしか進まないので、展開が(?)になることしばしばです。通して読みたくなりました。表紙がイメージとかなり違うので星4つです。 | ||||
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吉田修一の著作を読むのは「ミス・サンシャイン」(2022/1月)以来になります。今回の物語は「ミス・サンシャイン」とは毛色の異なるミステリ風「ファルス(笑劇)」とでも呼ぶべき作品ですが、根底では繋がっています。 「ミス・サンシャイン」から「東京物語」(小津安二郎)のヴァイヴレーションを受け止めたようにここには、水上勉、松本清張、森村誠一によって書かれた戦後のミステリとそれぞれを映画化した作品の「真理」が脈々と受け継がれています。 舞台は、長崎県北西にある群島、「九十九島」。そこを仕切る或る有名一族、梅田家の物語。その三代目、豊大から私立探偵、遠刈田蘭平は、米寿を迎えいささか認知症も疑われる祖父、壮吾がありもしない「一万年愛す」と呼ばれる宝石を探し回る奇行があり、その宝石があるのかないのか、一緒に探して欲しいとの依頼を受けます。そして、梅田家の宗主の米寿の祝いが行われる「九十九島」へと向かった二人は、その梅田翁に会い、家族、使用人たちに引き合わされ尚且つ四十五年前に起きた「多摩ニュータウン主婦失踪事件」とも向き合う羽目に陥ります。物語は一体どう変遷するのか?私たちはどこへ向かうのか? まるでクリスティー・ミステリのように嵐の迫る孤島、一癖も二癖もある登場人物、解決すべき二つの事件(笑)と道具立ては揃っていますが、ミステリではありません。しかし、その真相とそこへと至る経過を語ることはできません。すべてはそのタイトルへと心豊かに収斂していき、この小説のテーマもまた一点に絞られますが、物語の<肝>を語ることになりますので私もまた「沈黙」を貫き通す以外にありません。お読みいただければと思います。 さて、現在を描こうとする「日本映画」は、過去を描こうとする「日本映画」に太刀打ちできません。その理由は、この国が中途半端に豊かになってしまったが故に、心の底から搾り出される<慟哭>を超えるような「悲しみ」や「哀しみ」や「かなしみ」を都合良く忘れてしまったからに他なりません。そういう意味では「戦後」が終わることはなく、語り継がれる場所は狭められ、形骸化された<歴史>だけが細々と残されていくことになるのでしょう。この小説はそのことを気付かせてくれます。 直近で読んだ水村美苗の「大使とその妻」と言い本書と言い、この国が本当に失ってしまったものに思いを馳せる最良の読書になったと思います。ありがとうございました。 ◾️「罪名、一万年愛す」(吉田修一 角川書店) 2024/10/18。 | ||||
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