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父がしたこと
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父がしたことの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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待っていました。青山文平師匠! まぁ四の五の云わずに御一読を。 藤沢周平を継ぐのはこの方をおいてはいない、と確信する一作です。 | ||||
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藩主の病気を蘭方で治す内容ですが、明治維新から60年前の日本の政情と新しく入ってきた医術をどう取り入れるか、変化する時代の人々の心情がよく描かれている。その中で藩主と藩を守るための医師も武士道を忘れることなく藩のために行動する。今の世では考えられない国のために人知を尽くす人々が良く描かれている。 | ||||
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待ってましたとばかりの青山文平氏の新作である。まさに出色の出来である、一気に読んで感激した。この度の舞台は、時代は江戸末期、ある藩の藩主の痔瘻を手術で治す話である。 主人公は、藩主が九歳の頃よりその身辺の御用を取り仕切る小納戸頭取を務める永井元重と、その息子の重彰である。重彰は目付を務めている。永井家は、高い役職にこそ付いてはいないが、譜代筆頭の家柄であり藩内では一目置かれており、藩主に対してひとかたでない忠誠心を抱いているのだった。 そのような背景のもとで、藩主の痔瘻の手術について、時代考証に基づく当時の医学界を事細かに述べることにより、読者をして物語の世界に引き込むのだった。作者の時代考証にはいつも感心するが、このたびもこの時代考証の確かさこの小説に存在感を与えている。 冒頭で、父・元重が息子の重彰の藩主の病状と対策を述べる場面から、その順々とした話ぶりにも、文章家としてのいくつかの巧みさがあり、読んでいて引き込まれてしまう。更に、譜代筆頭という家柄の心地よいほどの規律の良さと家庭内の清廉さを感じながら読んだ。とりわけ、重彰の母が重病を背負って産まれてきた重彰の息子のことを語る場面が凄まじい、「よしんば、常ならざる子を孫に持つものが御殿様に近侍するのは差し支えがある、としてお役目を解かれるなら、解かれればよいのです。たかがお役目ではないですか。子と母を守ることの大事とは、重さを比べようもありません。あなたはそんなことに煩わずに、佐江と子のことを考えていればよいのです。それでこそ、永井の跡取りなのです。永井家を潰すのを怖がっていたら、永井の当主は務まりませんよ」よく江戸時代の人にこのようなことを言わせてものだと、読んでいて感心した。さらに更に腑に落ちたのはこのことばである、「気持ちが動かずとも、躰が動くようにするのが躾です」。 この物語に悪者は一人も出てこないことも読んでいて気持ちの良いものではあったが、最後の最後に、自らを律することの凄まじさを教えてくれるのだった。結末をここまで厳しく書くにしても作者には覚悟が必要だったのではないか、これは作者が常にこうありたいと思うことを表したのだろう、と思う。 | ||||
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武士の責務を支える精神力に伴う様々な心の葛藤 | ||||
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面白いが難しい。外科治療が考えられない時代に手術を行い藩主の命を救う。読んでいるだけでもエキサイティングだ。 藩主と父親の関係性が不思議で、本当にこういうことがあり得るのだろうか?と思わされるが、どんでん返しありで終わりまでドキドキしながら緊張感を持って読み切れる。 | ||||
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青山文平を読む至福。しかも、その悦びが毎年訪れることの欣喜。彼の果てることのない創作意欲に、毎度頭が下がる。そして、小躍りをする。 今作は2023年3月に出版された『本売る日々』の続編とも言える作品。ただし、富農によって栄える村から舞台は武家社会へと移る。封建制度の真ん中で、「真っ当な人間」が清々しいまでに描かれていく。この清々しさに感動したくて、私は青山文平を求める。 しかし、青山文平は封建制度の「宿痾」を忘れることはない。いや、今もなお呪っているのかもしれない。 「真っ当な人間」が「願うしか救いようがない」世の中を。 呪うべき「宿痾」は、ラストの数ページで、突如ギロチンのように天から落ちてきて、一瞬で私を清々しい世界から最も遠いところへ拉致してしまう。 なんという不条理! だが、青山文平はその「宿痾」を「不条理」として書かなければならない、と決めていたのだろう。 誰に何と言われようと、清々しいほど「真っ当な人間」でさえ、願うことすら許さぬ封建制度の武家社会を。 拉致されたままでは、困る。 次回作に救いの手を期待したい。 救われないかもしれない。 それでも、青山文平が書く江戸時代を、もっともっと読みたくなる。 | ||||
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