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メグレとマジェスティック・ホテルの地階
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メグレとマジェスティック・ホテルの地階の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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冒頭の十数頁を除いて、殺人事件を捜査するメグレ警視の視点で話が進んでいきます。この文章の淡々とした筆致のどこにそんな力が潜んでいるのか。いつしか、読み手の私は、メグレ警視その人の目で眺め、その思考で事件について考え、あちこちに移動し‥‥てな感じで、殺人事件の捜査にあたっている心持ちになっていました。途中からは、話の中にぐいと引っぱり込まれて、「どうなる、どうなる」(わくわく、ぞくぞく)。ラストに向かって、夢中で頁をめくってました。 恵まれた環境ではなくとも、地道に働いている庶民のために、丹念に捜査を進めていくメグレの心意気や、良し! とりわけ、第7章〈「何と言ったんだ?」の夜〉における《マジェスティック・ホテル》並びに《裁判所》での出来事には、胸が熱くなりましたね。メグレのおやっさん、やるなあ。 原題は、『 LES CAVES DU MAJESTIC 』。 本作品が発表された1942年には、ほかにも、アガサ・クリスティー『五匹の子豚』、エラリイ・クイーン『災厄の町』、ウイリアム・アイリッシュ『幻の女』といったミステリ、サスペンスの名作が発表されています。 高野 優(たかの ゆう)の訳文。 自然で、平易な文章。読みやすかったです。 編集部による巻末の解説文。本文に行く前に読んだのですが、読みごたえありましたね。特に次に引く箇所などは、大いに参考になるものでした。 《シムノンは時間の流れというものを非常に意識していた作家で、場面々々にふさわしい時間の流れ方に合わせて小説を書いている。重要ではないシーンは、一段落の中で夜から朝へと早回しするように描き、重要なシーンは反芻するように未来と現在を行ったり来たりさせ、読者へ印象づける。そうしたシムノンが小説を書く時の呼吸がよく分かるのが、本作の第七章なのだ。》p.270 分量は短いし、モノクロ映画を観ているみたいな地味な色合いでもあったけれど、味のあるミステリ読んだなあって。良い作品です。 | ||||
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