運河の家 人殺し
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『ドナデュの遺言』が入っている集英社の「世界文学全集」シムノン/グリーンの巻にシムノン著作年譜があるが、これが他のどの作家とも違う。同じ巻のグレアム・グリーン著作年譜なら各作品についてコメントが付されているが、シムノンは著作が膨大すぎてその余裕がない。ほんの数作に解説がついているだけだ。 この「世界文学全集」は1975年刊行であり、その後の邦訳のデータもなく不十分だが、原題のついたリストとして重宝なところはある。ウィキペディアのリストと照らし合わせればシムノン本を大雑把ながら把握できそうだ。 ただし本書『運河の家 人殺し』が刊行されるのに大きなきっかけになったと思われる瀬名秀明のウェブ連載「シムノンを読む」を読むと、その徹底性に驚くし、集英社版「世界文学全集」の著作年譜やウィキペディアのリストにかなりの不備があることが分かる。 「シムノンを読む」ではほぼ毎月、年代順にシムノンの本をとりあげ詳しく論評している。『運河の家』は2017年11月、『人殺し』は2019年4月に書いているが、それぞれにおいて著者は仏原文を参照し、英訳文を読んでおり、最初の部分をみずから訳してもいる。英訳のないシムノンの小説もあることから、この連載の過程でフランス語を勉強しており、最近は直接原文に当たっているようだ。その熱心さに感服する。2017年あたりのところで、この先連載が20年ぐらいは続くことを予測している。 私はこの二、三週間に十数冊のシムノンの本を読んだが、メグレものと『運河の家』『人殺し』がそうであるようなロマン・デュール(硬い小説)とでは、当然のことながら、かなり違う読後感というか「読中感」がある。たとえばメグレものは早く読める、というか読んでしまう。一方、ロマン・デュールのほうは、こちらもメグレもののように早く書かれているとは信じられない文章の密度を感じることがある。『運河の家』『人殺し』はともにそういう印象をもたらす。 瀬名秀明は「シムノンを読む」のなかで、《世のなかには二種類の読者がいて、それは自分の知らないことを読みたいと願う読者と、自分の知っていることを読みたいと願う読者である。》と書いている。この後、著者は言葉をにごしているが、どちらかと言えばシムノンの本のうちロマン・デュールを読むものは前者、メグレものを読む読者は後者を指しているのではないか。ウェブ連載も最初からメグレもの以外を読むことが頭にあったのではないかと思う。 | ||||
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