ブーベ氏の埋葬
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本書は「シムノン本格小説選」と銘打たれたシリーズの1冊。 有名な<メグレ警部>シリーズではないが、ミステリのおもしろさも十分に堪能できる。 第二次大戦直後の夏、セーヌ河岸に並ぶ古本屋で版画を見ていた老人が頓死する。 近所のアパルトマンでひとり、ひっそり暮らしていたブーベ氏だ。 その場に居あわせた青年が、周りに版画を散らばらせて路上に倒れたブーベ氏の写真を撮り、それを新聞社に売り込んだことから、物語は広がっていく。 <ネタバレ>になるので詳しくは書かないが、新聞に載った写真を見て、ひとり、ふたり……と、いろんな人物がアパルトマンの女性管理人のもとへ訪れてくる。 太って足の悪い黒衣の老女、パリで高級ホテル暮らしをしているアメリカ女性、ホームレス、ベルギーの鉱山会社社長、大富豪の老女etc。 ブーベ氏は、ただの人のいい老人ではなかったのだ。 アパルトマンを訪れた人びとの証言や、万年刑事の地道な聞き込みなどを通じて、彼のほんとうの名前、人生の夢、波乱の足跡が浮かび上がってくる。 のどかなセーヌ河畔の光景で幕をあけた本書は、ページが進むにつれて謎が謎を呼び、さらにはその謎がひとつずつ解きほぐされていき……終盤はそれこそ、息もつかせぬ展開を見せる。 さすがシムノン、である。 地区(カルチエ)によって住人も表情も異なるパリの街をうまく使い分け、また<小さき者>たちに温かなまなざしを注ぐシムノンの視線にも交感がもてる。 この小説のなかで、さる弁護士がこんな自問自答をする。 《夜になると、ベッドのなかで、彼は何もかも放り出して姿を消してしまいたいと思うことがある。/しかし、それは漠然としたものだ。そうした思いは、彼以外の人々にだって起こるはずである。/ある人々にとって、こうした夢想が、あるときふと具体的な形をとることがないとはいえないのではないのか?》(104ページ) これこそはシムノン自身のひそかな<思い>であったろうし、本書のモチーフにもなっているように感じた。 | ||||
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「メグレとルンペン」「自由酒場」同様、新しい人生を求める男の物語。シムノンはこういう男の生き方に強く共感していたようだ。主人公は弱い立場の人、虐げられている人と実際に行動を共にする行動型の博愛主義者であり、また自分の生まれたブルジョワ階級に反発する永遠の青年であり、犯罪者でもある。シムノンは口先だけの理想主義者が嫌いで、こういう生き方に憧れて、賛美したかったのかもしれない。彼の周りの「弱い人たち」があまりにも都合よく、彼を好きすぎる気がしておかしかった。ブルジョワ女に対して意地悪すぎるところも面白かった。 | ||||
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