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破果
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破果の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.47pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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2022年12月刊。昨秋にこの小説のスピンオフ短編「破砕」を読んだが、その半年後にようやく本編を読んだ。若い頃から「殺し屋稼業」一筋に生きてきた60代半ばの主人公:爪角(チョガク)。老いと衰えを感じながら、あることを契機に「最後の闘い」に挑む・・・までの筆致はかなりハードで、とても女性作家が書いたものとは思えない。前にも書いたが、それは高村薫が「黄金を抱いて翔べ」で鮮烈デビューした時の衝撃に近い。しかも髙村氏のハードボイルドな文体よりさらにダークだ。粘りつくような文章は決して読み易い小説ではない。作家自身も敢えて「読み易くしない」ことを目指しているとのことなのでそれも当然。訳者あとがきによると2013年発刊の本作がその数年後に注目されて改訂版が出されるようになったのは、韓国でのフェミニズム運動隆盛が背景にあるという。しかしこれは所謂「フェミニズム文学」では全然ない。こういう「裏社会で生きる者」を高齢女性に仕立てたところに多くの女性が共感したんだろう。これも訳者あとがきに紹介されているように、韓国では「映画化」を待望する声も結構あるようだ。「殺し」を描く小説が好きな方にはおすすめするが、それ以外の方はご随意に。 <付記>今ちょっと調べてみたら、この小説はまさに今年、韓国で映画化されているね。日本には来るだろうか? | ||||
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表示通りでした。 | ||||
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韓国で初めてミュージカルになったし、映画にもなるみたいなので、どんな物語か知りたくて購入。簡単に説明出来る所を事細かに回りくどく書くのが好きな作家さんって印象。面白かった。 | ||||
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会話の中で「お母さん」と呼びかけられるたびに、主人公の老女は、「私はあんたのお母さんじゃない」と言い返す。 年上の女性に対する普通の呼び方なのに、一々反論する。 この点がどうにも気になっていたが、最後の場面の伏線のようだ。 同業の若者が、何かにつけて絡み、最後は、どうでもよさそうな態度で彼女を殺害しようとして、逆に致命傷を受ける。 死に直面した瞬間は平穏になり、そっとひざ枕にしてもらう。 彼女はとっさに言う。 「あの子かい?」 「もう薬は飲めるようになったのかい?」 昔、ベビーシッターとして潜入し、父親を暗殺したときのことだ。 この時、その子は、彼女が別れ際に「黙ってろ」と口の形で言ったことに気づいた。 老女の世界は荒野のオオカミだが、彼の世界には一人の女性がいつもいたのではないかと思った。 そして彼女の手で誤った自分の人生を正してもらう事が最高の願いだったのではないか。 そんな気がした。 陰鬱で読みにくい内容だが、最後で、愛慕する母性への希求が感じられ、印象が一変した。 | ||||
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母に頼まれて購入しました。一晩で読み切ったそうです。とても良かったと話していました。 | ||||
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「暗殺請負企業」小説という分野があるのかもしれないが、私は読んだことがない。某「防疫」会社の名刺にある「防疫」の下にわざわざ※印を付して「各種ネズミ・害虫駆除」とあっても、「社を訪ねてくる人々はどうせ判って来ていたのだった」、という奇抜なネーミングも新鮮だったし、お堅い岩波書店の「ノワール」本というのも驚きだった。エンタメとして必須な主人公の生い立ちや、業界に入った動機などは一応はっきりしている(但し2回結婚したというもう一人の男は何故か触れられない)。だがこの本の最大の魅力は物語に収まりきれない「余白」の豊かさにある。 主人公が65歳になる女性ベテラン「殺し屋」というのも、これまた意表を突いた設定である。彼女は某防疫会社の創業時からの最長老として45年間、平均月2回の割で「防疫駆除」を行ってきた。一回につき各一人としても、45×2×12=1080人に上る。小説による犯罪史上で最大の殺人数ではないだろうか。この会社はこの国の同業他社に仕事を割り振るシンジケート的な役目も果たしているらしい、上客もこの国らしく、政財界の大物が政敵・財敵を葬るのに度々利用していることが暗示される。この国とは韓国のことだ。 彼女の登場シーンもユニークだ。混み合った地下鉄の様子が長々と語られて退屈しかけたところで、わずか半行で殺人が完了する。彼女に付けられた「爪角」(チョガク)という名前は、鋭い爪で狙った相手を逃さないと言う由来からのあだ名だろうか。爪角は筋トレジムや公衆浴場には足を運ばない、普段は目立つことのない小柄な老女の逞しい筋肉や無数の傷跡を見られたくない。女性読者が羨望するマスキュリニズムの権化とも表彰されるが、「男勝り」の節くれ立った指に秘める、彼女の「女性」願望は後に意外な形で示される。老境に入るまでは全く関心のなかった恋や同情と言った感情の発露も密やかに書き込まれて単純な冒険活劇ものではない。ここが読み取れるかどうかで、小説の深みが全く違ってくる。爪角にとって「偶然で必然」な物語の運びだった。 流石に65歳という年齢は殺し屋稼業には堪えない。そろそろ辞め頃でないかと彼女は考える。会社では「大おば様」として丁重に扱われているが、失敗する前に引退してほしいと思われているのが判る。古い知り合いたちが、長い間に勘が鈍くなって、最後にドジを踏んで逆に殺されてしまうのを何度も見てきた。面倒なので「月給制」にしてきたが、暗殺の請負総額は大層なものだろう。それを退職金として会社から引き出せば、とりあえず老後の心配はない。殺し屋と言ってもサラリーマンだ。 殺し屋は冷酷非情でなければ務まらない。年を取るにつけて、世間で暮らす人々への共感やら、ついぞ考えたことのなかった、若い男性に対する淡い恋心すら覚えるようになった。まったく戸惑ってしまうが、これもまたどうしようもない。 これで最後と決めた仕事は、ある金持ちの「福夫人」から依頼されて、愛娘の誘拐殺人犯人の「仇を取る」仕事だった。犯人がある暴力団の若幹部と知り、そこの幹部と話を付けてからの至極安全な仕事のはずだった。だが追跡中の路上で、年老いたホームレスが回収段ボールを積んだリヤカーが犯人の肩に触れて荷崩れを起こし、咄嗟にそれを積み直してやっている間にターゲットを見失った。殺しは別人に任され、「福夫人」は結果に満足して首を吊ったとのおまけも付いた。爪角にとっては実に後味の悪い事件となった。彼女はその呆けぶりを悔いて辞表を出したのだった。 その後で、本当の「最後の仕事」として、同じ会社の不可解な若い同僚によって仕組まれた幼児誘拐事件の決着を付けることになる。恋がらみで金銭とは無関係の、「どうしても成功しなければならない仕事」だった。ことの次第は第一級のハードボイルドと言うに尽きる。ネタバレして読者の楽しみを奪うまい。 最後は養老院の話。前の話から何ヶ月か何年かの後のことになる。老女がネイルサロンで新人のネイリストからネイルチップを付けて貰うシーン。誰もが彼女のつけ爪を見た「途端に目を丸くするだろう」と爪角は思う。 「全てのいのちは、熟した果実や夜空に放たれた花火と同じ、散って消え去るから、ひときわ眩い瞬間を、一度くらいは手にするのかもしれない。いまこそ、全ての喪失を生きるとき」。爪角の未来に平安あれ。 | ||||
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なにかで悲劇を招く要因はその人の持つ美徳に起因する、と言うようなことを読んだ。この本を読んでそれを思い出しました。ネタばらし的になってしまいますが、主人公にも最後はありきたり的な余生があって救われました。あとがきにも有りましたが、読むうちに自分の中で映像化する部分が多く映画になっても面白い作品だと思います。 ただこの本の配送状態が悪く帯が傷ついていました。 | ||||
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朝鮮の小説をほぼ初めて読みました、短文でも物語の展開が遅く感じる文がありますが、これは冗長でなく長文なのに流れるようでかつ展開がするする動くといった感じが面白いです。有能な殺し屋の動き良く出ています | ||||
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このようなハードボイルドな小説は表現が回りくどかったり、逆にディテールが雑だったりして興ざめしてしまうものが多いのだが、これは違った。言葉が丁寧に選ばれており、ディテールに品がありかつキレもある。街の臭いや風の温度が感じられて、すぐに映画のシーンが思い浮かんでしまうような表現なのだ。最近読んだ本の中ではピカ一の本。 | ||||
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人間観察の深い話もちりばめられていて、面白かったです。 | ||||
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主人公の心情に相反する現実という運命に対し、いつでも【死】を迎える覚悟ができているというお決まりのストーリーかと思いきや、 表紙の『手』(ネイル)はそういうことなのかと。 普段はあまり読まないジャンルで期待はしていませんでしたが、 まさか一気読みするとは、、!激しくも美しい文章表現力に脱帽です。 華美ではないが芯があり、繊細だが力強い主人公が最高。 彼女(主人公)の生き様に惚れました。 韓国ノワール系になるのかな? 映画化希望!! | ||||
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新聞の評価を見て購入。読書が面倒になってきたけどこれはすぐに読破。私も60代でも現役殺し屋気分。 | ||||
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「防疫業」つまり「暗殺者」の65歳はもう老人であり、エージェントも引退を勧めるほどの老境にさしかった女性が主人公。冷酷でありながらどこか悲しく、ちょっとした優しさを見せてしまうことでますます立場が弱くなり暗殺に失敗してしまう。 彼女の哀しい生い立ち、なぜか彼女に執拗にからんでくる同業者の青年との因縁や自分を助けてくれた医師の家族をめぐる事件、さらに最終決戦を迎えて徹底的な戦闘モードに入り「タイマン対決」となる。 まるで韓国犯罪映画を観ているようなリアル感があり、頭の中では読むたびに映画の最後に流れる「切ない男性ボーカルのバラード」が流れていた。 | ||||
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時は現代の韓国。 以前は、防疫(暗殺)の現場でのトップだった爪角(チョガク)。 歳も65歳になった彼女。とある仕事での失態から、彼女の心境に変化が訪れる。 一方、最近台頭してきた若手トゥは、爪角に執拗に絡んでくる。 果たして爪角の行く手には何が待ち受けるのか、という話。 全編アクションという小説ではないが、物静かでヒリヒリする展開にページを捲る手が止まりません。 悲壮なシーンもありつつ、暗すぎず、最後まで飽きずの一気読みできます。 ユーモアには欠けるが、兎に角各種の表現が素晴らしい。 日本人作家にはないような表現に、感嘆することもしばしばありました。 また、韓国社会の歪や、流行なども垣間見れ、その点でも興味深く読める一作です。 終盤には、きっちり迫力のあるアクションも用意されていますので、アクション小説ファンにもお勧めできます。 値段は3000円弱と高めですが、同氏の他も作品にも興味が湧くような秀作です。 | ||||
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読み応えある小説です。故意に分かりにくい長い文章のために、飛ばし読みできず,丹念に読まねばなりません。結果として、丁寧に読まねばならず、主人公の子供のころからの人生と韓国の現代史があわさって、濃厚な世界に読者は浸ることができます。 主人公は孤児の身を殺し屋家業の男に拾われて、素質を見込まれて、暗殺屋の技術を身につけ、それを生業にしてきた女性。今や、65歳になり、若い頃のような瞬発力や機敏さが持てなくなり、殺し屋家業のオーダーもこなせなくなってはいるのですが、そんな彼女をある若い男性の同業者が敵視するようになります。 ネタバレになりますので,これ以上は書きませんが、彼女と若い殺し屋の死闘の描写はリアリティがあります。 それよりも、私にとっては、描かれている現代韓国の空気や日常生活の描写や、人間関係のあり方などが、非常に心惹かれました。 最近の日本の小説の、漫画にも負けるライトノベルじみた薄っぺらさに物足りない空虚さを感じていた私にとって、生きることの重みと寂寥を伝える文学体験でした。 こーいう骨太でパワーのある小説が読みたかった!嬉しい。 翻訳も装丁もいいです。この作家の小説がもっともっと翻訳されますように。 | ||||
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