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スクランブル
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スクランブルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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葉村シリーズ、葉崎シリーズに知名度では及ばないが、若竹さんは女子中高生を主人公にした作品も幾つか書いている。本書はそのうちの一つだが、冒頭から心を掴まれ最後まで一気に読んだ。好みはあるだろうが若竹作品TOP3に間違いなく入ると思う。 高校時代の友人の結婚式に出席した文芸部の面々が15年前の殺人事件を中心に高校時代の出来事を思い出す。話ごとに語り手が変わる連作短編だが、最後に一つの長編作品となっている。 解説で佐々木譲氏(この方の作品も好き)が熱く語っているが、1998年の日本推理作家協会賞の候補作品で、連作短編集の扱いだったため、選考委員だった佐々木氏が長編部門での受賞を推したものの、振り分けの見直しは行えず、受賞は見送られたとのこと。まさに無冠の傑作。作品巡る逸話もドラマチックである。 タイトルの「スクランブル」、読む前は人々が行き交う交差点をイメージしたが、スクランブルエッグのことで、各話、卵料理のタイトルとなっている。 卵料理さながら女子高生の心は、大人から子供、聖から俗、優しさから意地悪、ピュアから狡猾へ…その時その時で様変わりする。事件自体は犯人の予想がつき複雑なものではなかったが、彼女達の心の内こそミステリーだと思った。 | ||||
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若干ネタバレ。 1981年生まれのため作中キャラ達とは微妙に時代は被りませんでしたが、中高一貫の女子高卒で高校からの編入組なのは自分と重なる設定でありとても楽しく読めました。 自分も彼女たちと同じく中学からの生徒たちに「外部生」と呼ばれ差別されてたなぁ。これって中高一貫高あるあるなのかもw 最初の語り手である夏見が主人公かな?と思いましたが、六人それぞれの視点や悩みが章ごとに描かれどの子にも感情移入できるようになってます。 高校時代に起きた殺人事件についての推理はミスリードの方の犯人説の方がワクワクしたり、真犯人?についてスッキリしないところもありましたが探偵小説ではなく青春ミステリーとしてはぼかして正解なのかもしれません。 他の方のレビューにもありますが、キャラ設定が被っているので分かりづらいです。 激情形で喧嘩っぱやい夏美とマナミ。クールに見えて常にイライラしてる沢渡と洋子。不思議ちゃんでずれてる飛鳥と宇佐。それぞれがキャラ被ってて終盤までどっちがどっちだか分からなかった。笑 宇佐が急に探偵キャラになってて、飛鳥が自分の悩みをぶちまけて、ようやくこの2人のキャラが立つ頃には終わっていました。 でもそれを置いても女子高のめんどくさいやり取りとか、それぞれのクラスでの身の振り方とかミステリー以外の部分がとても面白かったので結果よしです。 自分にも「外部生」同士の友人達がいましたが、彼女たちみたいに大人になっても友情は続かなかったなぁ。羨ましいです。 | ||||
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ミステリもジュブナイルも好きです。その両方を兼ねた作品。 一章ごとに語り手が変わり物語の真相に近づいていく形式で内容自体は良かったと思います。 ただ個人的に気になった点が…。 煙草も酒も大人のアイテムです。背伸びをして手を出したい気持ちは分かるし実際友達でも吸っている子はいました。ただ、「普通」ではないですよね?100人いたら数パーセント? 個人的にはジュブナイル作品にそれらのアイテムは不要と思ってしまいます。あくまで普通の高校生を出して欲しかった。リアル感を出そうとして逆にリアルから遠ざかってしまった、そんな感じが拭えませんでした。 | ||||
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エスカレーター式のお嬢様女子校に途中から入ってきた「アウター=よそ者」組それぞれが主人公の短編と、とあるメンバーの結婚式に集まった現在の彼女たちの話がつながって、殺人事件の真犯人が暴かれる、というもの。 推理小説として見ると、トリックそのものは単純で、それを手を変え品を変え複雑に見せる、というミスリーディング(=間違った方向へ誘導する)タイプなのですが、間違った方向へ我々読者を誘導する役の女子高生たちの、幼稚で、視野の狭い、しかし若々しい価値観が、自分にも思い当たるものだから、何となく こっ恥ずかしくも甘酸っぱい思いで読みました。 大人になって忘れてしまっていた学生時代の微妙な友だち関係、ギスギスしたクラスメイトの政治力学が、かなり綿密に描写されていて、読みながら 「あるある!」 とうなずいてました。自分、おっさんだけど(汗) 美化されてない青春時代の残酷な一面を描いてますが、それすらもどこか懐かしく感じるようになった自分は、やはり相当年取ったのかなぁ・・・? | ||||
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連作短篇集で、1話1話で解決される小さな謎があり、全体を通して大きな謎があるという ミステリとしては良くある作りです。ただ作りなんてどうでもいい。 舞台は昭和の女子高であり、主人公は女子高生達なんですが とにかく1話1話の小さな謎がテーマと沿わされて秀逸であり 主人公達が皆丁寧に書き込まれていて良い。 キャラクターの区別がちょっと付けにくい難点はありますが、 ミステリと言うより 良質の青春小説として何回も読んでます。 私の中では今の所 若竹作品No.1です。 | ||||
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何度読んでも面白いです。人間関係もそうだし、昔を振り返る視点で読める所が入りやすかったです。若竹七海さんの作品はどれも好きですが、これは上位!! | ||||
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女流作家のミステリは初めてだったのですが 非常におもしろかったです。 15年前、女子高生時代のエピソード。 これも時代を感じさせる小道具満載で、 私はリアルタイムで経験していない時代ですが、 ちょうど80年代に女子高生だった方は すごく親近感もって読んでしまうのだろうなと思いました。 女子高生時代のエピソードに、15年後の結婚式そシーンが挟まれていて ここを読むにつれ、犯人の目星がついていく… と思いきや… 数々のトリックに裏切られ、最後は「あぁ〜!」という感じでした。 女子校独特の世界観、 若さゆえの悩みの中葛藤する少女の姿が丁寧に描かれており それだけでも十分に楽しめます。 現代の女子高生にも、ぜひ読んで欲しい一冊です。 | ||||
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同じ女子校の文芸部に所属していた六人の女性たちが、 かつての仲間の披露宴で、ひさしぶりに一堂に会した。 披露宴のあいだ、15年前に起きた未解決の殺人事件の記憶 が呼び覚まされた彼女たちは、それぞれに思いを巡らせていく。 披露宴のあと、それぞれの考えを持ち寄り、検討した彼女たちは、 ひとつの答えにたどり着く。犯人は今日、あそこに座っていた……。 一話ごとに語り手(探偵役)が代わる三人称多視点の叙述形式であり、 過去(1980年)と現在(1995年)が、カット・バックで描かれていく本作。 二度と戻らない過去への甘美な郷愁や苦い悔恨、そして、15年という歳月が もたらす、人間観や世界認識の変容など、本作は、青春小説としての側面が 強いのですが、それらがミステリとしての仕掛けと有機的に連動しているのが 素晴らしいです。 そして、何といっても真犯人の隠蔽の仕方が秀逸。 序盤の段階で読者を誤誘導することによって先入観を植え付け“盲点”をつくり出すだけで なく、要所要所に伏線を張ることで、読者を納得させる、説得力ある真相を構築しています。 | ||||
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学園物は好きだけど、いわゆる”ジュヴィナイル”小説では飽き足らない、ミステリー・ファンだけど、謎解き以外のストーリーもしっかりないとダメ、という私のような注文の多い読者も満足させる読み応え満点の秀作。私はこの本で若竹七海のファンになりました。今でも彼女の作品では一番のお気に入りで、何度も読み返しています。 | ||||
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各章のタイトルは『スクランブル』『ボイルド』など、卵料理の方法になってるんですね。卵は生のままだと殻は壊れやすくもろいものだけれど、様々な形に変化して、将来への可能性を秘めた女子高生たちそのものだという気がします。 私自身女子校を出ています。この物語と同じく中学校からあがってくる子と高校から入る子といましたが、ここまで両者の差はありませんでした。だけど、中高あわせて2千人もの女の子が集まった学校でしたので、男子生徒がいない中での女子だけの集団ヒステリー的な異様な雰囲気というのはよくわかります。だから、ミステリーの楽しみもあり、学園小説の楽しみもあり、で2重に楽しめました。 各章の間に挿入される、15年後の結婚式での風景。文芸部6人が15年ぶりに勢揃いした披露宴で、各々が15年前に思いをはせ、あの頃考えていた大人の自分と今の自分をと比較する気持ちが、これまた彼女らと同年代の私にはよくわかる気がします。 ほんとは臆病なのに強がってみたり、理想を持ちながらも現実との狭間で揺れ動いたり、社会に出て行くことに対して漠然とした不安があって、常に自分の居場所を探し続けている。そんな17歳の心情がとてもリアルに描かれています。学校内で起きた殺人についても、足らないデータで次々と推理し合う光景が微笑ましく感じます。 そのせいか、殺人という忌まわしい事件のおどろおどろしさがなく、さわやかにさえ感じるほど。最後に犯人が分かったとき、彼女たちにはそれを糾弾しようとか、罰しようなどという気持ちはなかったでしょう。人間は単純なようで不可解、おぞましい殺人という行為も「どうしてそんなこと?」などという簡単な質問では割り切れないことぐらい、彼女たちにはわかっていたのだと思います。 何度も読み返したくなる、すてきな小説です。同じような時を過ごした女性にも、女子校の世界を知らない男性にもおすすめです。 | ||||
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私の人生を、少なくとも読書傾向を大きく変えた本。舞台は80年代、女子高に通う6人の女性たちが主人公。殺人から日常のささやかな事件までが描かれ、最後に連作短編集ならではのあっと驚く仕掛けが施されています。最後まで気になって気になって、一気に読みました。メインは推理です。でもそれだけでなく、きらきらとした少しの幼さと若さと希望で溢れる瑞々しい、一度限りの彼女たちの高校生活には、ちょっと人と違った学生生活を送った私には憧れるものがありました。図書館で新書で読みましたが、手元に文庫を買い何度か読み返しています。 | ||||
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卵は色々な可能性を秘めている。生命の神秘やらエッグアートやら当然あらゆる料理にも。すこし力を入れたなら、ぐしゃっ。強く脆くあらゆる可能性を秘めた卵。危険で、華奢で、割れた殻は時に尖って痛い。トリッキーなミステリに定評のある若竹七海だが、この本は確かにミステリでありながらそれ以上に少女たちの物語。少女たちは個でありながら群でもある。群でありながら個でもある。卵黄と卵白のように、彼女たちは同じでありながら違っており、混ざったり分離したりしながら成長する。若竹七海作品の中でも特に気に入っている一冊。 | ||||
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