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(短編集)
瓦礫の死角
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瓦礫の死角の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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短編四作中、三作がいつもの主人公で出てくるお馴染みののやつ。たぶん、作者自身の投影なのだろう。中卒であるこの作家の屈折した心情は、むしろ、芥川賞受賞作「苦役列車」によく現れている。最後の短編は、彼が師と仰ぐ藤澤清造がモデルのようだが、残念ながら私は藤澤清造の作品を一つも読んでいない。相変わらず、ゲスの極み的な内容を、格調高い古い文体で書いている。そのギャップがなんとも心地よい。本当は長生きして、ずっと今でも書き続けて欲しかった。多くの作品を残されているで、それを少しずつ楽しんで読みたい。 | ||||
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同工異曲と評される方もいるが、私個人は西村賢太氏の作品は落語に近いと思っている。 同じ話が演者により全く違うものとなるように西村氏の作品も文章で自己の体験をああでもないこうでもないと 捻くり返すさまが面白いと感じた。 まあ、読後の第一印象は小説版「男おいどん」だなだったが。 | ||||
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『瓦礫の死角』『病院裏に埋める』『四冊目の「根津権現裏」』『崩折れるにはまだ早い』の4編。 『瓦礫の死角』は17歳の北町貫太が『煽動で渉れ、汚泥の川を』で洋食屋でのバイトからたたき出された直後のお話。 バイト先には、住み込みで働いていたことから、次の住処を見つけるまでの休養かつ次の借家を借りる初期費用・生活費の補充もかね、実の母親宅に転がり込む貫太。 バイト先での規則正しい生活からの反動から、昼過ぎまで寝て、起きたら出前の中華を腹いっぱいたべ、部屋でゴロゴロする日々。 実母からは「いつまでいるのか」と煙たがられ、これに対し「ビールとタバコ買って来い!」と奴隷のように指示を出す貫太。もともと、貫太が親に反抗もできない小さな子供の頃、親から殴るけるの体罰を受けていたことの反動でもある。 そんな実母の体調が悪化、その原因が、獄中にある実父が、そろそれ釈放となり帰ってくるのではないかという恐怖からという。 『病院裏に埋める』は、父が釈放となって帰ってくる前に逃亡し、借家契約を新たに済ませた17歳の貫太が駅構内の飲食店(焼きそばとカレーのチェーン店)でバイトをするお話。 時期的には『人もいない春』のお話の前後にわたる。 『四冊目の「根津権現裏」』は2018年というから貫太が大人になって最近のお話。 需要があろうがなかろうが自分のために書いたという、西村賢太の趣味の世界。 『崩折れるにはまだ早い』は貫太が小説家になった後のお話かと思いきや・・。 本短編集は西村賢太作品を初めて読む人にはそれほどお勧めしません。 やはり最初は『小銭を数える』『煽動で渉れ、汚泥の川を』あたりが良いかもしれませんね。 | ||||
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表題作は、コック見習いをクビになった北町貫多が絶縁したはずの母の住居に転がり込む。 母は性犯罪で服役中の父が戻ってくるのを恐れている。絵に描いたような崩壊家庭だ。 退職金で些細な贅沢(中華の出前)を楽しむ自堕落な様子に親近感をおぼえる。 『病院裏に埋める』貫多は駅構内の軽食堂に勤め始める。 珍しく上手くやっているようだが、このままですむわけがない。 いつ地雷を踏むかが、勤労貫多ものの見どころだ。今回は比較的まともかな。貫多にも一分の理。 この店長、気持ち悪いし。 『四冊目の『根津権現裏』』大正時代に数十冊出版された本のバージョン違いを探す。 昔の私小説は守備範囲外だけど、読書家で本好きなので気持ちはわかる。乱歩や正史の名が出てくるのは嬉しい。古書店主人との交流は、腐れ縁というべきか美しい友情というべきか。まあ、両方だろうね。 『崩折れるにはまだ早い』視点人物が渠(かれ)という珍しい表現で呼ばれる。 私小説だと思ったら、途中で驚く。西村のくせに叙述トリックである。 衝撃的な作品はないけど、いつもの作者らしい本だった。 | ||||
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