■スポンサードリンク
苦役列車
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
苦役列車の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21~38 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作者の波乱万丈ともいえる人生を書き写した私小説という事で、貧困と孤独に苛まれ一般的な幸せを羨望しながらも妬む 鬱屈としたストーリーを期待したのですが、全くの期待はずれでした。 父親の性犯罪を機に歪んだ人生を歩まざるをえなくなった主人公に同情はしますが、その呪縛から逃れようとせず敢えて甘受し自らを堕落させていくさまには 稚拙で身勝手と言わざるをえないでしょう。 一事が万事、そのような性根の主人公ですから、社会の底辺を生きる事となっても自らを律する考えは生じず、諸悪の根源は自らの外から振りかかってきたのだと 事あるごとに父親と社会に呪詛の念を吐いています。 主人公にあるのは、刹那的に食欲や性欲を満たしたい欲求と自堕落な性格が招いたともいえる社会からの隔離に対する怨嗟だけです。 このような薄っぺらな人間性しか持たない主人公から紡がれていく物語は実に底が浅く、なんの救いもなければ読後に達成感や考えさせられる事もありません。 それでも何か心に引っかかるものがあるのは作者の文才に因るものなのかもしれません。 そこで私が期待するのは、作者は私小説家とのことなので、ぜひ今までの半生を上回る不幸を体験していただいて、それを基に新たな作品を発表していただく事です。 今でこそ芥川賞受賞作家として脚光を浴びる存在ですが、今のままでは今後発表される作品もこれと大差なく底の浅い不幸を呪った浅薄な内容となる気がします。 すれば、競争の激しい世界なのですから凋落著しい結果となり、人並みを超えた幸せを掴んだあとの没落はさぞ御身に耐え難い不幸となって襲い掛かることでしょう。 その不幸は必ず今までよりもどす黒く淀み、身を引き千切らんばかりの衝動となって作者の作品に反映されると思います。 自らの望む作品を読みたいがために人の不幸を願うのも卑しい限りですが、ぜひより深く昏い作品を作者には書いてもらいたいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下流社会を感じるところと、誰にも思い当たる不器用な人間が感じる 心理描写がかなりいいです しかし、いかんせん文章が短すぎるので、キャッチコピーみたいな小説です 下流社会を描いたというTVから受ける作者のイメージが文章から抜けること がないので、タレントが書いた文書のような印象があります もちろん、長いだけでつまらない小説よりマシなのは確かですが、これが漫画 ではなく小説でならなくてはならない理由がまったく感じられない これであれば、闇金融ウシジマくんを小説化した方がいいのではないかと思っ た次第です 小説である意味があるのか、小説ならではのメリットを出せた作品かと問われ れば疑問が残る | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
父親が性犯罪を犯して逮捕され、いびつな性格になってしまった主人公が友人がほしいんだけど、わざとききょうな行動に走ってしまうというか、内容はそれだけでした。人との距離感をうまくつめられないというのはけっこうよくあるはなしでは? 八割は事実らしいけれど、こういう私小説っぽいのがいまどき珍しいというだけで話題になっているのではないかという印象です。 同時受賞の「きことわ」がいまいちだったし、その対極にあるようないいやさぐれ感はでています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
物語としての構成がまったく無い小説。 これはもはや小説とは言えない。 起承転結も無ければオチもない。 ただ、だらだらと日々の生活を綴っているだけ。 最後に強烈なカタルシスを期待したがみごとに肩透かし・・・・ 読むだけ時間の無駄。芥川賞は日記コンテストではないはずだが・・・・。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
話題になっていたので衝動買いをしてしまいました。 「苦役列車」確かに、主人公北町貫多の19歳という若い時代の、日雇労働時の自業自得の厳しい生活については、興味をそそられる部分もあったが、ラストはなんか中途半端に終わってしまっているように感じてしまいました。 「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」は冴えない40男になった貫多の姿を描いているのですが、これらを通して読むと、なぜ、「苦役列車」時代の貫多が小説を書いていて、賞を貰えるまでになったのか、20、30代の貫多が描かれていないので消化不良を起こしてしまいました。 確かに自分勝手な主人公の話、私小説なのでしょうが、私には「芥川賞」を受賞した意味がわかりませんでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「苦役列車」というからには、どれだけの苦労を してきたのだろうと思っていたのに、 ちょっとでも嫌なことがあるとすぐ逃げ出し、 人のことを妬み、悪いことは人のせいにする。 全然良い作品だと思えるところは一つもなかった。 何とか最後まで読み終えた後テレビの受賞コメントを 思い出して、「ああ、この人は結局昔と変っていないんだな」 と思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『苦役列車』は芥川賞を受賞した私小説作品で、エピソードはほとんど実話に近いらしい。父親が犯した性犯罪のおかげで学校には居場所がなく、中卒で東京に出て物流倉庫の日雇い仕事でその日暮らしを送り、カネも友達も女もなく、たまの風俗通いだけを楽しみに生きている19歳の少年が主人公。日雇いの仕事場に専門学校生で同い年の友達ができて、無二の親友のような付き合いが始まるかと思ったら、彼には親からの仕送りもあるし、友達もいるし、しまいには彼女もできるぐらいで、結局主人公とは棲む世界の違う恵まれた男として去ってゆく。 本書には『苦役列車』と、売れない小説家が川端康成賞の候補に選ばれて云々という内容の『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』という短編が収録されている。 作者の西村賢太氏については、芥川賞受賞のニュースとかを読んでる分には「あぁなんかちょっと面白そうな人」ぐらいには思ったし、「中卒」「性犯罪者の息子」「前科者」「友達いない」「風俗好き」等々というプロフィールは人目を引きます。そういう人が「自分のことしか書けない」と言って私小説を書き、賞を取ったと言うんで単行本を買いました。もちろんべつに芥川賞なんかに期待は全くしていない。だけどインタビューでしきりに風俗云々とかわけのわからんことを語っているのは、いったいどんな奴なんだろうと思って(笑) でも残念なことに作品自体は、上記のようなプロフィールとか受賞ニュースを読んで期待したほど凄惨でもないし滑稽でもなくて、はっきりいえば迫力ゼロですね。 なんというか、もっぱら「ダメキャラ」だけをネタにしていながら、そのダメさが中途半端っていうのがさぶいです。著者はインタビュー等でもひたすら自分は「どうしようもない人間」「ダメな人間」だと言ってますが、その人生の「どうしようもなさ」の作り込みが小説中では大して徹底されてないんです。さほど「どうしようもなく」ない(笑) たとえば父の「性犯罪」とやらも、単に性犯罪と言われるだけで何が起きたのか語られない。想像しろと言われればいくらでも想像するけど、詩じゃないんだから、筆力でもって想像を絶する世界に読者を連れていくのが作家のつとめでしょう。 「苦役」というけどその労働はたいして苦しそうに描かれてないし、貧乏生活も「家賃滞納で何度かアパートを追われた」というエピソードだけが繰り返し同じ言いまわして語られるだけです。また、風俗やオナニーをネタにして「ダメさ」を描きたいんでしょうが、まったく描写に滑稽味がなくて笑えないし。 で、これがまだ20代なら「とんがった兄ちゃん」で済ませられるし、最初話を聞いた時は20代の作家だと勝手に思い込んでたんです。ところが実は43歳だったってのが・・・。たとえば著者は、親父が性犯罪者であるが故に背負った労苦というのを本作も含めて繰り返しネタにしてるようなのですが、そりゃそういう辛さはあっただろうし、それを小説に描いてくれても結構だけど、40代になってまで「父」の呪縛をネタにしてるってのはちょっと痛々しくないですか? 逆に言うと、30年も引きずるような凄まじい経験なのであれば、徹底的に凄まじい筆致で描いてくれないと、読むにたえないです。 ・・・と、いま書いていて分かりましたが、要するに「過ごした年月分の歳をとれてない大人の文章」という感じです。まったく作家には向いていないと思う。この著者の30年間は、小説を書くには余りにも「空っぽ」な30年間だったんでしょう。 だったら逆にそれを生かして、べつに「貧乏」だとか「孤独」だとか、「風俗」だとか「親父の犯罪」だとかをネタにするんじゃなくて、その空っぽさを徹底的に自嘲するという「どうしようもない」作品を書いてくれたらいいんじゃないかと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何が彼をそうさせてしまうのだろう。中卒の自分を親や境遇のせいにした、落ちぶれ方といい、とても痛々しい小説。文体としては読み易くても内容的には読み進めるのは辛い。一般受けはしないだろう。 あと、地の文が文語調なのにもかかわらず、会話のなかでは「全然〜ない」の法則が守られていないのが気になった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ひたすら自堕落な生活を描いた私小説。 悪を気取って実は小心者であり、また、家賃を踏み倒すとか、友達に借りた金を返さないとか、家族にたかるとか、スケールの小さい悪で、ただの迷惑な生活破綻者の暮らしぶりを描かれても少しも共感するところはない。 悪というなら、世の中の仕組に異議申立するくらいの気概でやれよ。 それでいて、プライドだけは異常に高いというのも反感しか覚えない。 そうした人間としての欠点も、それゆえにすばらしい芸術作品を生み出しているなら納得できるが、小説の出来もそれほどでもない、とすると、読んでいて不快になるだけである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
同年代の作者なので時代背景も分かり共感できる部分も多いが、 昭和初期を連想させる文体や漢字、そしてなにより中卒で酒好き、風俗好き 孤独で無気力、読んでいて暗くなりました。 芥川賞の受賞作を読んだのは初めてでしたが、たぶんもう読まないでしょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私小説という型の小説は、もともと嫌いだったのだが、暇潰しに書店に寄って、たまたま目についたので立読みさせていただいたのが、苦役列車なる私小説であるが、そもそも何故、私小説を忌み嫌う私が、そんな物を手に取り読んでしまったかかというと「芥川賞」は銘の物だという固定観念に縛られていた故に読んでしまったのではあるが、そんなことは一私人のこと、どうでもよいのである。ともかく私は私小説が嫌いだ。というのも、その小説が作者の想像の産物であるのではなくて、単に自分の犯した汚辱を他人に見せつけるような、自らの愚行の成れの果てであるような小説だからで、読んでいてかなり気が滅入るのだ。この苦役列車も、気を滅入らせる、劣悪な小説である。読者に己の体験に共感してもらいたいのか、自己救済目的か、或いはそれ意外に何かしらの思わくがあって書いたのだろうが、愚行を愚行とも思えない人間、恥を恥とも思えない人間が、たとえ、文章を書くのが巧くとも、小説など書いてもらいたくないと思うし、書いたことで得られるものは何もなくて、よしんば読者からの軽蔑の目で見られても仕方ないのである。また、もし本人が己の恥を自覚していてその上で私小説を書くとすれば、その作者は本当に野蛮な人間であることは間違いないのである。もっとも小説を書くのは各人の自由で、それが愚かな私小説という形式をとっていても同じことであり、その書いた私小説で金を稼ぐのも、またその人の自由であるし、当然その私小説の読者になるのも自由である。無論、読者を責める気は全くないが、私がもし、その作者を責めたり非難しても、その責める、非難する自由はあるが、どうすることも出来なくて労力の無駄である。また、私は文学者などではないので、批判する必要もないから、批判するのは止めておく。ただ私は、この小説を読んで怒り心頭に発したのだ。なので最後になるが云っておきたいことがある、私小説を書く人間のその貧しい精神には全く私は共感できないということを。私小説は、読まないと決めたのにもかかわらず、この苦役列車を読んでしまったことを今まさに恥ている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私小説だからこんな感じだろうか、あまり期待しすぎたから期待はずれでした、 文語的な言い回しが少々癇にさわり、 苦役列車とは大仰で、私の周りには苦役列車にもっと思い荷物を積んだ人生を 送っている人がいます。 総じておもしろくない小説。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
勝手な感覚で失礼しますが、 元々の男性不振が、さらに男性嫌いにさせられました。 でも、きっとこれが「雄」の実態ですよね。 プライドとか見栄とか全部取り去った姿なんでしょうか。 いやぁ、とにかく読んでる間、 いや〜な気分が続き、最後に救いがあるかと思って 頑張りましたが、、、 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
3回読みました。春秋の全文掲載で読みました。まず、苦役列車って題名は、なんなんだろー?僕には意味不明。賞受賞の報道やナンカで、西村さんの写真を拝見したとき、お!しばらくぶりに(いい?顔をしたモノ書きがデテキタゾ・・なんか、ナカガミの様に怒った顔をシテイルゾ・・期待大・・早速・読むよ・・・・)とばかりに楽しみにしていたのに。西村さんとほぼ同年代です。私は、昭和39年の生まれです。んん、あの、これを読んでいてくださる方で、同年代の方?どうでしょう?こんな私小説って何なんでしょうか?僕らの時代の19歳?どんな仕事でも、ありました。たしかに西村さんの様な仕事もありましたし、5,500円が?いいギャラなのか?低い?ギャラなのか覚えていませんが、西村さんの書くこの苦役列車の環境が、私にはどうしても(苦役?)に感じないのです。高等学校へ進まなかった?大学での教育を受けてない?安いアパートに住み(トイレも共同)汚くて不衛生?・・・当たり前でした。大きなお金を援助してもらっていた友人達も僕の周りには、沢山いましたし、彼ら彼女達は、小奇麗なマンションに住んでいました。が?しかし、それは、親の環境ですよね、自分の働きや才能?じゃなかったハズですよね。金が?なかったから、なんとかしようとイロイロ頑張ったり、人間関係を円滑にするべく努力したり、上司に可愛がってもらいたくてイヤイヤお世辞を云ったり。ワードプロセッサが発売されたり、CPが身近になってきたり、携帯電話が必需品になったり、日常のトヤカクに我慢できなくなり全てをヤリナオシテミタリ・・・当たり前ですよね。なんで?苦労?なんですか?なんかこの書き手のこの書き方で苦労?みたいなモノを感じてしまう今のご時世って何ナんだろう?直木賞って、何だ?西村さん?こんな事かいて?僕たちの様な大人になった人間って?もっとやらなきゃならない事が山積してるぜ!何で寝てるんだよイツマデモ!子供達が世界中で苦しんでいたり、国をツカサドル奴らの無能も正さなきゃならないし・手伝うべきだし!近所の老人が路で倒れてたりするし・小学生が変質者に追われているし・なんか!おい!何?寝ぼけてるんだ・・西村さん?そんな事40も過ぎて書き、仕事にするなんて!わかんないよ!ワケわかんないよ。。受賞時写真を今、ヨクヨクみたら、なんかフヤケタ顔だ、怒って無かったよ。。残念。直木賞を選ぶ先生方も、ダメ。。。だめだ。。。。。。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
受賞後のインタビューによると、本作の内容は「9割方、自身の体験談」だと言う。私小説に一生を捧げる意志を標榜している作者らしい言説だが、その姿勢も上述の回答もファイクだとの印象を受けた。元より、身辺に起こった出来事をそのまま綴るだけでは文学足り得ず、何らかの創り込みが必要であるが、本作の特徴は以下の点にあると思う。 (1) 「主人公貫多=作者」のように見えて、作者は貫多を突き放し戯画化している。貫多の行動・心理描写を通じて笑いを取っている感もある。 (2) ワザと昭和初期の私小説作家のような文体・言葉遣いをして、それらしい雰囲気を醸し出す一方、親しい事を「intimateな」等と貫多に似合わない表現をして、読者に妙な違和感を抱かせている。 (3) 貫多の置かれている状況を、就職難・雇用不安と言った現代社会情勢に合わせている。ともすると、貫多の身の上に共感を覚える読者もいるかもしれない。あるいは、貫多に対し優越感を抱く読者もいるかもしれない。 (4) 貫多に対比する人物として日下部というスノッブな男を配し、二人の距離間を「友人めいた関係→反目関係」として描き、貫多の孤立性(孤高ではないだろう)を浮き彫りにしている。 作品のテーマとしては(3), (4)が主で、日常がどんなに困難でも人はそれなりに生きて行かねばならない、という趣旨だと思う。だが、貫多の性格・行動は常識の範囲内であり、ピカレスク小説という程に日常を逸脱している訳ではない。(3)の現代社会情勢が無ければ注目さえ受けなかった作品なのではないか。その意味で、「創り込み」が足らないように映った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作品云々よりもまず、「商品の説明」の誤字を指摘したい。(誰か早く直してほしい) 内容(「BOOK」データベースより) 友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫太。…(2011年2月12日現在) 主人公の名前は「貫太」ではなくて「貫多」では!? レビューを書く人が登場人物の名前を書き間違えてるのはさらっと読み過ごすのですが、「商品の説明」で登場人物(しかも主人公!)の名前を間違えたまま放置されているのは、見過ごせないなぁ。著者にも失礼ではないかと…。 (レビューを書く気にはなれないので、今日はここまで) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
発表と同時にその作品を読むなんてことはこれが初めてである。「限りなく透明に近いブルー」などいまだに読んでない。感想は、大衆文芸誌の性風俗特集小説の一篇としか思えなかった。少年が浮かぶ瀬もなく塵芥(ちりあくた)のように、人生の川を流されてゆくのだが、芥川賞というより、芥側症といった感じだった。こういう「蟹工船」みたいな身も世もない貧乏小説は今時、珍しいのか。社会色の強い「蟹工船」というよりも、「私」小説の復活とでもいうのだろうか。 彼の性格の悪さや救い難いねじ曲がり方というのは、描写はたしかに正直ではあるが、自分と比べてもそんなにヒドイことはないと思う。たしかに父親が性犯罪者で有名とかいうのは異常というか特殊な環境であるとは思う。だが、特殊な環境でそうなってしまったんなら読む方は「それじゃ無理もないな」と感じてしまう。 人間の心理心情は特殊な事情を設定しなくても、もっと真っ黒い注連縄のごとくであり、とてもこんなもんじゃない。むしろ一人で悶々とする明日なき心情に一種のユーモアを感じてしまったくらいだ。それが狙いなのかな。読んでいる最中、こいつは誰か殺して終わるのかと思ったが、そういう華々しさはなかった。 読後感としては、この困った人について特別な感慨はわかなかった。自分が冷淡なのかとも思った。が、これは小説の中だけで生きている主人公だと理解してしまったのかもしれない。恋人のいる親友に対する嫉妬心の描写などは赤裸々なことは認めるが、評判ほど迫真的だとは思わない。苦役列車というタイトルも意味不明だった。ただし、文体は独特であり、この他の作品も読みたい作家ではある。文体の独特な、と言えばあの人、野坂昭如さんはこの作品をどう読むだろうと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一歩踏み外しそうな労働者階級の物語ということで、あっちは漫画ですが銭ゲバ思い出しました ただし私小説という事もあってか? こちらの主人公さんは人を騙してでものし上がろうとする訳でもなしに かといってストイックに内面に入り込んだ世界を構築する訳でもなしに 日本で一歩踏み外したらここだよねっていうラインでした もっと悲惨な情報を知ってしまっていると、ちょっと落ちてる人の日記感覚です 共感できる厭らしい部分もあるのですがズッシリとした重みや深みがないので付き合いきれませんでした 文体がちょっと独特で読めない部分もいくつかありました 後半の一本はコラムみたいで同時収録しなくてもよかったのでは? ところどころ花村萬月氏の作品を読んだいるような感じがした作品だったので もう少し著者の他の作品を読んでみないとわかりませんが 賞受賞作品としては弱いと個人的に感じました | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!