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残夢の骸 満州国演義 九
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残夢の骸 満州国演義 九の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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結局は膨大な資料の前に、それを消化して物語にすることなく、ただなぞるだけの作品に終わってしまった感です。残念ながら小説にはなっていません。沖縄戦から原爆投下、ソ連参戦、ボッダム宣言受け入れから、満州での混乱と悲劇、シベリア抑留までを描いていますが、著者の筆が追い付いていません。この頃著者が健康を害していたらしいことは差し引いても、厳しい様ですが、小説としてはただ書き綴っているだけの印象です。例によって会話の度に煙草を燐寸でつける、会う度に何か食いながら話す。その登場人物の会話で歴史の推移を語らせる。安易な説明という技法しか使っていません。 ですから第1巻の冒頭で提出された会津戦争での謎のシーンも、P171で当事者間垣から、誠にあっさりと説明されます。なんじゃそんなもんかいな、の感想です。加えて各登場人物の死に方もあっさりとし過ぎです。これは前8巻での次郎の死なせ方もそうでしたが、最も思慮深いと思われた三郎は、何故か無謀な突撃で。長男太郎はシベリアの収容所で首を吊って、そして複雑な怪物ともいえた間垣も、なぜか同じ収容所に入れられ、あっさりと鉄条網に身体をあずけて射殺される。えい、メンドクサイ、大日本帝国の崩壊に合わせて、3人とも片付ければ理由が付くだろうという発想なのでしょうか?実に味気ない。結局、この3人は資料を説明するための登場人物だったのでしょうか?それでは人間描写ではなく、資料の塗り絵です。この3人を生かしておき、戦後苦悩させてこそ物語になると思うのですが・・・。 そして生きるため自分の母と妹を銃で殺害した少年を広島の祖父の所へ、兄弟で唯一人生き残った四郎が連れて行く場面で物語は終わります。これも月並みで、この少年の残酷な行為をしなければならなかった後の心理と、その後を描くことが小説になるはずです。しかし、今は亡き著者にはその気力が残っていなかったのかもしれません。厳しい様ですが、亡き著者の力量が及ばなかったテーマと題材であったのかもしれません。五味川純平氏の「戦争と人間」と同様、歴史資料の力に負けた作品になってしまいました。 | ||||
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間違いでなければ、「不毛地帯」は、有吉佐和子ではなく、山崎豊子ではないですか? | ||||
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