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6600万年の革命
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6600万年の革命の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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本書は、既刊の短編集『巨星』に3篇が収録されている《Sunflowers Cycle》シリーズの4篇目にあたる長い中編(約370枚)「6600万年の革命」“The Freeze-Frame Revolution(2018)”と、その関連作として作者のウェブサイトで公開された50枚強の短編“Hitchhiker”の2篇をまとめた作品集です。 「6600万年の革命」は発表順ではシリーズの最新作ですが、シリーズ内の年代順では2作目に当たる作品で、「ホットショット」と「巨星」との間に起こった事件が描かれています。 《Sunflowers Cycle》は、銀河系にワームホール網を構築するためのゲートを敷設する亜光速恒星間宇宙船〈エリオフェラ〉の10億年の旅を描いているシリーズです。 〈エリオフェラ〉は22世紀に地球で建造され、3万人の地球人が乗り込んでいます。彼らは普段は“霊廟”と呼ばれる施設で凍結されており、日常業務は“チンプ”と呼ばれる人工知能が管理しています。そして、生身の人間が必要な時だけ任意の数人が蘇生されることになっているため、各人は、主観時間で数年から数十年、客観時間では数千万年から十数億年を生きています。 シリーズとしての基本的な構造はスタートレックなどと同じ宇宙航海物ですが、作者であるワッツの着眼点は、地球を旅立ってからの長い年月を途切れ途切れに生きる乗組員たちの意識の変化を描くことにあるようです。 本作では、当初設定された使命を頑迷に守り続けようとするAI“チンプ”と、その支配から逃れようとする反逆者グループの対立が描かれます。 船内の至る所に偏在しているのみならず、乗組員個人の五感や体調まで把握するAIに対して、どのような方法で抵抗し、その支配を打ち破るか。100万年単位の知恵比べです。 ワッツの特徴ともいえる細かい説明を省略した専門用語をちりばめたハードな描写は、慣れないと大変ですが、何度か読んで慣れてくると、凄いビジョンが描かれていることが見えてきます。 タイムスケールはまさに天文学的で、描かれている背景も厳密で冷酷な物理法則が支配している恒星間空間ですが、ハードな描写の中、ところどころに壮大としか言いようのない情景が描かれています。 ぜいたくを言えば、『ブラインドサイト』や『エコープラクシア』の難解さに比べると、本作は幾分読み易く、それが逆に、物足りなさにつながっているような気がします。壮大なビジョンを描いた普通のSFという感じ。 評者は、本作を読んでいる時、固定した社会に反逆を試みる若者たちの物語を思い出しました。 ということで、本作は単独でも十分に楽しめますが、シリーズの他作品と併せて読むことによってさらに大きな物語を楽しむことができます。 巻末の解説でも触れられていますが、本作には暗号が仕組まれています。物語の中で描かれている暗号ほど複雑なものではないので、丁寧に拾っていけば解くことができるでしょう。 2つ目の短編「ヒッチハイカー」は、「ホットショット」に一瞬だけ登場した僚船〈アラネウス〉との再会を描いた話ですが、とんでもない結末が待っています。これもクリフハンガーの一種でしょう。 続きは次回のお楽しみ。 | ||||
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