(短編集)
七十四秒の旋律と孤独
- SF (392)
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タイトル通りの七十四秒の旋律と孤独を味わえる。 表題作からのマフ・クロニクルという順番もよかった。 螺旋が物語の基盤でありつつ、作品群を俯瞰した時にイメージする形態にもなっていてうまい。 終わりの始まり螺旋系SFが好きなので、とても好みの作品だった。 (最近読んだものでは「こうしてあなたたちは時間戦争に負ける」もその要素があり、やっぱり好みだった) バッドエンドでもハッピーエンドでもないが救いがちゃんと用意されているバランスも好み。 紅葉が夢想する「空間めくりのためのソナタ」を聴いてみたいと思った。 クラシックではなくばりばりのトランスだったりしたら・・と妄想してにやにやしてしまった。 | ||||
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現代の作家を半年ぶりに読んだ。SF作家は小学生の時に読んだ星新一以来だろうか。おそらくレビューを書くには不案内であるから、私が最近読んでいる小説に照らし合わせて考えたい。 『七十四秒の旋律と孤独』は短編が連作となって収録されている。私は中でもマ・フが集団生活している「一万年の午後」というお話が好きだ。午後のおでかけの際、「金属の枝」を見つけたぼくは同じマフであるフィリップとの会話に動揺して、いじっていた「金属の枝」を暴発させてしまう。「金属の枝」の描写からそれが拳銃であることは分かるのだが、マ・フが初めて見るそれを「金属の枝」と名づける感性が、皮肉が効いていていい。フィリップの頭に銃弾が貫通する描写も、どこか美しく、悲惨というだけではない。人間からすればマ・フが壊れただけでなのだが、同じマ・フのぼくからすると飛び散った電子頭脳の匂いまで感じている。このような細やかな描写が成立するには、作者がマ・フと心を通わせているというか共感していることが必要になってくる。大衆小説によくあるように物語に登場する人物と展開をただの記号として認知しているのではなく、作者は登場人物の横に立つということができているのではないだろうか。 どのレビューを読んでいても、やはり結末について書かれたものが多いのだが、手放しにハッピーエンドではなくてもどこか穏やかさを感じるものとなっているのは、書き手が登場人物の苦しみを同時に体験しているからなのではないだろうか。そういう作家は少ない。純文学系だと登場人物の心情をねっちり描くことは可能だが、そうでなければストーリーが先行して完全に描写することは難しいのだと思う。それをわずかな言葉で、物語の速度を失わずに書くことはあまりできるものではない。そこに至るまでの簡潔な文章の流れ、何を書いて何を書かないでいるかの選択こそ、静かで暖かい読後感を与えているのではないだろうか。 | ||||
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これは知性を持つロボット『マ・フ』と人類の物語です。 おそらく第2話以降の『マ・フクロニクル』が本編で、惑星Hでは純朴なマ・フたちが、『聖典』に従い一万年の時間を静かに暮らしています。 マ・フも聖典も遥か昔に人間が作ったものですが、絶滅してしまったのか、この時代に人類はいません。マ・フたちは人間を敬い、聖典を介して、人間の教えを守り続けているわけです。 しかしある日、マ・フたちの前に人間が現れて……お話は大きく動きます。 テーマの一つが『公平』であることは確実で、公平について様々な価値観を持つキャラクターが登場します。 読みながら、「完全に公平な態度というものは可能なのか」と考えさせられました。また、作中で最も独善的な人物に対して、「一貫性を考えれば、この人物こそが公平と言えるかもしれない」……などとも思いました。 登場人物のほぼすべてが悲しい運命に飲み込まれますが、優しい文章と優しいエンディングのおかげで、読後感は爽やかです。繊細な神話に触れたような気分になりました。 SFファンだけでなく、ファンタジーの読者にも読んで貰いたいお話です。 | ||||
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