ロックダウン
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訳者あとがきによれば、本書は2005年に書かれたものだというのだが、それにしてはいわゆる「新型コロナウィルス」のあのパンデミックを思い出させるような、すなわちまるであの騒ぎを予見したかのような内容となっている。そんな中で発見された子供の骨が、どこの誰であるのか、そして犯人は誰なのかを主人公の刑事は捜査する。だがロックダウン下のロンドンで、主人公は思うように動けず――という物語であり、それゆえウィルスの流行(鳥インフルエンザの突然変異)は、物語の「状況」のみに止まるかと思えばそうではなくて、最後には言わば「図」と「地」が結合してゆくかのような関連を生じる。とすれば本書の物語には無駄なものは何もない。ただし解決部分があっさりしている印象はある。 | ||||
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あろうことか我が国の二度目の緊急事態宣言の下、「ロックダウン "Lockdown"」(ピーター・メイ ハーパーBOOKS)を読み終えました。 巻頭の「はじめに」によると本作は2005年に書かれて、お蔵入りしていたものが緊急出版されたようです。理由は、説明するまでもありません。一昨年であれば、近未来・パニック小説の或る種のアナロジーとして読み始めたと思いますが、今回は切実な問題意識を呼び起こす読書体験になったと言わざるを得ません。 舞台は、ロックダウンされたロンドン。<Covid-19>ならぬ<H5N1>鳥インフルエンザが蔓延し、<Covid-19>よりも感染力も致死率も高いパンデミックによって、既に私たちが知っているロックダウン以上の状況(略奪が多発することによる戒厳令を含む)の中、殺害された子供の<骨>が発見されます。捜査を命じられる警部補・マクニール。彼は、愛する息子がウィルスに感染してしまっており、公私ともに恐怖に満ちた絶望的な状況の中、その犯罪の行方を追跡し始めます。そして、マクニールはその骨を法科学研究所のエイミーに渡し、調査を依頼します。 公園では、救急病院の建設が急ピッチで進められていて、英国の首相までがその犠牲になって・・・緊急事態宣言、PCR検査、ウィルスの抗原変異とここで描かれる状況は、程度の差こそあれ、今の世界中の状況と酷似していることが理解できます。そういう意味では、出版された意義は大きいと思いますが、そのような背景の下で描かれたスリラーとして、いかに評価していけばいいのでしょう? 誰がその子供を殺害したのか?という<Who-Done-It>以上になぜそのような状況を作り出してしまったのかという<Why-Done-It>が、そもそものパンデミックという背景を引き起こした原因へと収斂していくプロットは読ませますが、ストーリー展開は期待したよりも平板な印象があります。ある<殺し屋>が登場しますが、その扱いをどう受け止められるかによって、面白さがそれこそ変異していくような気がします。 スリラーですのであまり詳細を語ることができませんが、主人公・マクニールの哀しみとデスペレートな奮闘ぶりよりも本書の主人公はウィルスに冒された「ロンドン」という都市と言うことができるでしょう。それは、デボラ・クロンビーが「警視の謀略」で描いて見せた活力ある美しい都市・ロンドンではなく、暗い絶望の淵に残る廃墟のような場所として記憶されることになりますが、その記憶は既に傍らに存在していることを実感できることでしょう。 「マクニールが行く先々で人が死にゆき」、「日々感染におびえ、他人に憎しみを抱いて暮らす生活」は既にここにあります。ゆえに、今はこれ以上何も言うことができません。 | ||||
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