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白が5なら、黒は3
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白が5なら、黒は3の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「白が5なら、黒は3 "Three Fifths"」(ジョン・ヴァーチャー ハヤカワ・ミステリ)を読み終えました。 1995年。ビル・クリントンの時代。舞台は、ピッツバーグ。背景にはLA騒動、「O.J.シンプソン事件」といった人種間の対立が蠢いています。その点、現在の米国と何も変わらないと言ってもいい。クライム・ノヴェルというより普通小説に近い味わいを持っています。 黒人の父親と白人の母親との間に生まれたボビー。彼は、黒人の血を偽っています。親友のアーロンが刑務所から出所し、ボビーが迎えにいきますが、ある酒場で二人はある諍いに巻き込まれ<事件>を引き起こしてしまいます。人種差別、ヘイト・クライム、白人至上主義、アルコール依存、薬物依存が引き起こす機能不全。そして、貧しさ。ボビーとボビーの母親との共依存。そこに<事件>の被害者が担ぎ込まれた病院の医師・ロバートの人生が注ぎ込まれ、物語を暗く、重く彩ります。<事件>がどう露見することになるのか?主要な4人の登場人物たちの行末はどうなるのか?ミステリ的な興味はそこにありますが、登場人物たちは行き着くところ自分の中に流れる「血」によって人生を左右され、苦悩を与えられ、生み出された心の闇の中で繰り返し煩悶していくことになります。既にこの世に産み落とされた時から背負うことになる苦悩と葛藤。それは、とても苦しい。短絡的な言い方になるかもしれませんが、それが建国当時から今でも「米国」に継承される決して回復することがない<病>を表しているのでしょう。2021年になってから読んだ小説の中、「ラスト・トライアル」、「刑事失格」などとも共通する根深い闇の中に米国は囚われたままそこに存在しています。華やかなハリウッド、活力あるスポーツ・シーンという米国の影に入り組んだストリートがあって、そのストリートへの理解なしにリアリティを語ることはできないのだと思います。 網羅的に翻訳ミステリを読み続けていますが、今回はとても苦しい読書になりました。 | ||||
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