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湖の女たち
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湖の女たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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老人介護施設での不可解な入所者の死。その背景に潜む、選民主義的思考。そして平房湖と琵琶湖。時代は遡り、731部隊の人体実験と、そして現代に起こった津久井やまゆり園の凄絶な事件。それらがなんらかのトリガーとなり、見えない糸で繋がった少年少女らの事件との関わり。色のない世界から夕映えと夜明けの湖で繰り広げられる鮮やかな色彩。人間の持つ多面性。何か比較対象するものがあって初めて感覚が生まれるように、この物語は関係と対比の中で進んでいく。 | ||||
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ふわっとしたものも書けるけど こんなにダ-クなものも書ける その芯にあるのは 人間の奥底に潜む深層心理を物語として 読者に提供するプロの小説家魂なのか と思いながら読了 | ||||
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展開が読めない 引き込まれていく きれいな景色と、酷い場面との差が大きくて。時々読み進めにくい、読むのを辞めてみたり、でもやっぱり気になり、読んだのですけど。 なんでなんだろ、、と今も残る伏線?の跡形が、、 でも、もう一度読むのは体力的に無理だ。 | ||||
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琵琶湖のほとりに住むひとたち。 はじまりは健やかな朝だった。 そして、湖に靄がかかり、漂う湖水の匂いが伝わってくる。 芥はしんしんと湖底へと沈んでいくように、不安定な状態が続いていく。 湖面の幻想的な美しさとその奥行きある深さは表裏一体。 淫靡な倒錯。 介護療養施設で発生した事件を基軸に、過去の事件にも迫っていく。 そして、もやもやのままで、解決していない事件があることを力説している。 | ||||
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2019/10月に読んだ「逃亡小説集」以来の吉田修一。堅気になり切れない自滅する「逃亡者」たちを描いた良き短編集でした。しかしながら、今回は「悪人」に始まり、「さよなら渓谷」、「怒り」へと連なる犯罪小説と向き合うことになりそうですので、少し構えながら(暗い気持ちになるのを恐れながら(笑))「湖の女たち」(吉田修一 新潮社)を一気に読み終えました。 琵琶湖近くの介護療養施設「もみじ園」で、百歳の男が低酸素脳症により亡くなります。彼は果たして人工呼吸器の不具合によって、それとも当直の看護師、介護士たちの業務上過失により亡くなったのか?あるいは殺害されたのか?捜査する「西湖署」の刑事たち。就中、等身大の刑事・濱中。「もみじ園」で働く介護士・佳代。そして、その事件を取材することになった雑誌記者・服部の視点から、主にその事件がパラレルに語られていきます。作者が描き続けてきた今までの犯罪小説よりもそのミステリ的興趣が増幅されているように思えますので、今回もまたストーリーを細々と書くことができませんが、この犯罪を通して「この国」の"罪"を描き尽くそうとして選択されたマテリアルとアクチュアルな視点はより鋭利に研ぎ澄まされています。 湖岸の地方都市、介護養護施設、白い軽自動車、YouTubeの映像、どこにでもいそうな男と女。<Covid-19>前であったとしてもその閉塞感は充満し、幸せの感じられないリアリティに打ちのめされ、何も変わらない、変えようとしない日本という国にひと匙ほどの<希望>も見いだせない日々を送る(私を含む)名もなき人々。 旧琵琶湖ホテルの特別展示室に飾られていた一枚の写真が死亡した男の過去を引き寄せ、旧満州のある湖の湖岸へと事件はフラッシュ・バックしていきます。中盤と終盤とでそれぞれ二つの湖を描写する作者の筆致、文章のリズム、メタファーを削ぎ落したその言葉の集合体は限りなく美しく、そのカッティングは映像魔術のようだと思います。 そして、ここで描かれている「恋愛」のようなものは、虚構のようでいて、実は我々の周辺に散らばっていて、誰もが体験していながら表立って語ることができない男と女の或る在り様をシンボライズしているように思えます。作者は(いつものことではありますが)見る勇気が持てないでいる傍らにある絶望的な<リアリティ>を今回は「架空の生き物」をそこに代入することによって救済しています。 ミステリ的興趣については具体的に書くことができませんが、間違いなく背筋を震わす瞬間があります。読後、少しの間目をつぶると、かの地を飛び立った丹頂鶴の群れが琵琶湖に降り立ち、積雪のように真っ白な<イノセンス>を告発するイメージにきっと満たされることでしょう。 <母性>を拒否した、あるいは手離した男たちだけが「湖の女たち」を真から救済することができるのかもしれません。見事な幕切れだと思います。 | ||||
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