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(短編集)
図書室の怪
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図書室の怪の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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作者はポーの研究者でフィクションは初めて書いたそうです。(素人?) 研究してるうちに自分でも書けそうだと思ったのでしょう。 ポーはミステリーと怪奇小説を書きますが、両者を混合することはありません。 密室殺人のトリックが黒猫の呪いだったり、人間とは思えない犯人が悪霊の仕業だったら、ミステリーにも怪奇小説にもなりません。 暗号トリックというよりクロスワードパズルです。 他の短編も残念。 | ||||
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ゴシック・ホラーを思わせる現代怪談集。 著者のマイケル・ドズワース・クックはミステリー小説や怪奇小説の研究者でもあるだけに、その構成は実によく精査され、物語展開も巧妙である。 本書に収められているのは、下記の4作である。 「図書室の怪」 表題作でもある長編。 チューダー朝の邸宅の一角にある図書室を舞台に繰り広げられる怪異談で、重厚な建物の描写が雰囲気を一層盛り上げてくれる上に、労働者階級出身の主人公と貴族階級出身の友人が登場する設定もまたイギリス社会をよく反映している。 騎士の幽霊が登場する所が如何にもゴシック・ホラー的ではあるが、謎解きを中心に一つずつ解明していく流れは寧ろミステリー色が強いので、スリルのある作品である。 「六月二十四日」 愛する妻が自らの命を絶った悲しき男性を主人公とした短編。 悲哀に暮れる中、亡き妻からのプレゼントがデスクの中にあるのを見つける所から物語が始まるが、詩集、鉄道をモチーフに展開し、最後に意外な顛末が控えているのが面白い。 特に、妻が男性に贈る詩集を見つけた経緯が秀逸。 「グリーンマン」 グリーンマンと言えば、中世ヨーロッパの教会装飾でお馴染みの”怪物”だが、本作品では、無計画な旅人がふとした拍子に入り込んだゴシック教会、丘、そして廃墟を巡るうちに神秘の世界に惹き込まれて行く。 ミステリー色はなく、より神秘的、且つ精神性の強い作品である。 「ゴルゴダの丘」 「図書室の怪」と同様、古いマナー・ハウスを舞台にした作品。 今では他人の手に渡ってしまった先祖の屋敷を手に入れる為に努力を続けた主人公が遂に念願を叶えた時から悲劇が始まる。 呪いは末代まで続くという典型的な怪談で、短編ながらも迫力があった。 以上、イギリスの古い邸宅や廃墟等を舞台とした物語は若干古めかしいかもしれないが、そんな古典的な雰囲気こそが本書の魅力でもあると思う。 | ||||
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Michael Dodsworth Cookの『The Librarians & other strange stories』(2017年)の翻訳。 著者は、ミステリや怪奇小説の研究者。その成果を活かして、怪奇小説黄金期の作品っぽく仕上げたのが本書となる。 「図書室の怪」「六月二十四日」「グリーンマン」「ゴルゴタの丘」の4話が収められている。 「図書室の怪」は中篇。封印されていた図書室、謎めいた絵を残して死んだ女性、旧家の強欲な主人など、いかにもそれっぽい道具立てが楽しい。怖いというのではないが、雰囲気を味わえる一編だ。 「六月二十四日」「グリーンマン」も、よく計算された構成。 「ゴルゴタの丘」は正統な怖さ。 英国怪奇小説好きなら、読む価値があるだろう。 | ||||
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代々続く貴族の私邸にある図書室での怪事件ということで、石造りの建物に染み込んだ冷気のある闇の雰囲気を存分に堪能できました。多少は書物に関する蘊蓄もご披露いただけるのかなと思っていたのですが、そちら方面はほとんどありませんでした。 岡本綺堂の怪談を愛する私は、長編の怪談というのはどうしても冗長で先が読めてしまうので、表題作よりも『グリーンマン』『ゴルゴダの丘』の2短編がまとまりもよく気に入っています。 | ||||
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図書室の怪/ミステリー色が強く整合性があるが故に怖さの味わいを若干阻害している。また隠し部屋の探索を理解するにはもともとの言語でなければパズルが意味を成さないのは翻訳モノの弱点だろう。貴族(現代の政治家もそうだが)たちの自らを特権階級とする思い上がりが人にレッテルを貼る。そのような人物との友情が不自然で物語の伏線として浮き上がって見えてくるのは致し方ないところだが、かと云って物語の出来を減じる訳ではなく最後の八つ墓村を思わせるオチまで良く出来ている。六月二十四日/不条理な道行き。グリーンマン/マッケン的な…。ゴルゴダの丘/文中にある聖書に曰く《…あなたの神、主であるわたしは妬む神、父親の咎を子に報い、三代、四代にもわたって…》怖い❗ | ||||
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帯に「怪奇小説やポオを研究しつくした著者が贈るクラシックな香り高い英国ゴーストストーリー短編集」とある通り、著者のマイケル・ドズワース・クックは元はミステリー、怪奇小説の研究家で、2011年に『Narratives of Enclosure in Detective Fiction: The Locked Room Mystery』、2014年に『Detective Fiction and the Ghost Story: The Haunted Text』という研究書を出している。3冊目に当たる本作が初の創作集というわけだ。 表題作の『図書室の怪』は、没落した旧家、突然亡くなった若妻、15世紀の騎士の幽霊、図書室に隠されていた修道士の日記と地下室…というゴシック・ロマン的世界で、推理・犯罪小説的要素も盛り込みつつ、基本は怪談である。しかも最末尾には家系にまつわる「アナグノリシス」も用意されている。 他の三篇は小ぶりな短編だが、『六月二十四日』は、夫婦間のジェントル・ゴースト譚に、謎の古書店、臨死体験、さらにイギリスの地方鉄道廃止の歴史までが巧みに織り込まれ、三声の対位法楽曲を聞くような味わいがある。 『グリーンマン』は、他のレビューにも書かれている通り、ブラックウッド的な大自然の怪異。ヨーロッパの人々の中にあるキリスト教以前の自然崇拝の地下水脈を感じることができる。 最後の『ゴルゴタの丘』は、没落した旧家の再興という点で冒頭作と対応している。怪談としては比較的単純だが、最後の数行が画竜点睛となっている。 読む前は、作家としてのデビュー作ゆえに同工異曲なのではとの危惧があったが、上記の通り着想が多彩で、一編ごとの個性がしっかりしている。第二作が世に出れば現代怪奇小説の世界はそれだけ豊かになろう。レファニュ、MRJ、ベンソン、ウェイクフィールドと続く英国正統怪談を愛する人ならば、買って損はない。 | ||||
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随分前に購入したのですが、やっと読了したのでその感想をレビューします。 著者のマイケル・ドズワース・クックは、ミステリーや怪奇小説の研究家のようで、 フィクションとしては本書が第1作目のようです。 収録作品は、タイトルにもなっている中編の 1:図書館の怪 2:六月二十四日 3:グリーマン 4:ゴルゴだの丘 の4作です。 やはり一番の力作は、1という事になるでしょうね! サスペンス、暗号謎解きの要素も多分に魅力的ですが、しかもちゃんと正統な怪奇小説になっています。 グーテンベルク聖書を持ってくるあたりはさすがと言わざるを得ません。 しかし、現在の英国の貴族も結構大変なのですね!! 2は、愛する夫への愛のいざないといった感じでしょうか。美しい慈愛のあふれる怪談です。 3は、比較的珍しい植物怪談ともいえる内容です。 ただし、迫力では「柳」(A・ブラックウッド)のほうが数段上ですが!! 4:これは結構怖いお話です。 お話自体は、過去の因果でその後継者が、永遠に祟られるといったものですが、 そこにキリストの処刑されたゴルゴダの丘を暗喩として用いているのがミソなのかな?! 現代の怪談なのですが、レトロ感たっぷりで、第2作が期待されます!! | ||||
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これはポーやブラックウッドなどの古典ホラーの味を再現しようという狙いの短編集。新人作家の処女作としてはえらくシブいな、と思ったら著者は本来ポーなどの古書の研究者らしい。 最近のホラーは残酷趣味や異常心理ばかりを描き込んで読んでいるとただ嫌気がさすことも多いが、久しぶりに古典怪奇小説の味わいを思い出させてくれた。 出色はやはり半分以上の分量を占める中編「図書館の怪」だろう。 中世の修道院だった古い城館、忌まわしい過去を背負った名家の一族、奇怪な現象に苦しんだあげく謎の死を遂げた当主の妻、図書室の封印されていた一角に現れる騎士の幽霊・・・・あきらかに「アッシャー家の崩壊」だな、と思わせておいて「黄金虫」のような宝探しの暗号解読や過去の殺人事件の真相を探る探偵小説風味を取り入れた、ポーの短編小説のアソートのような作品。 ”ゴーストハンターのカーナッキの体験談””探偵デュパンの捜査ロジック”など、思わずニヤリとさせられる描写もあり、古典ホラーファンにはおすすめの一編。 現代作家らしくイメージが視覚化しやすく、ギレルモ・デル・トロが映画化を目指しているというのも納得できます。 残念なのは他の3つの短編が巻頭作に比べて冴えがないこと。 「六月二十四日」 死んだ妻から送られた誕生日プレゼントは、稀覯本の詩集だった。それを読んだ主人公の大学教授は、奇怪な幻想の世界に迷い込んでいく・・・。 ”必要とされるときだけ” ”必要だとわかっている本を持って” 現れる奇妙な露天商のイメージは優れているのだが、メインストーリーから外れた刺身のツマ的な扱いなのが残念。 もうひとヒネリあれば、と惜しまれる作品。 「グリーンマン」 主人公に個人名がなく「男は」となっていることでもわかるように、フォークロアというか大人のおとぎ話のような世界を目指した作品。 雰囲気は悪くないが、怪奇小説ファンには普通にストーリーの先が読めてしまうのが・・・ 「ゴルゴタの丘」 これも貴族の因縁話とひとことで括れてしまうのが難。ありえないような過去の呪いがひとつひとつ止めようもなく現実化していく、というような迫力に欠けるのは、やはり処女作家の力量の限界か。 全体としては☆三つ、だが処女作ということと今時あえて古典怪奇小説で勝負しようという心意気を買って☆ひとつオマケ。 | ||||
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表題作の200ページ近い中編一本と、短編三本が収録。 原著の刊行も2017年で最近の作品なのですが、20世紀前半の古典怪奇小説だといわれてもあまり違和感がないような雰囲気の本でした。 古い探偵小説や怪奇小説の研究書も出している作者なので、そういった古典作品への愛着から生まれた小説なのだと思います。 表題作には暗号解読ミステリ要素もあり、時代設定のためもありますが、この暗号や謎解き方法もなんとなくクラシック。 訳者あとがきで名前があがっているポオにもそんな作品がありましたが、個人的には『トマス修道院長の宝』が思い出され、作者自身の理想でもあるという古書を愛する主人公像もふくめてM・R・ジェイムズの影響が強いように感じました。 自然の力を扱った『グリーンマン』以外では、重要なアイテムとして必ず書物が出てくるあたりにも、作者の書物愛があふれています。 派手さや驚きの展開はありませんが、ちょっと奇妙な話や古いゴースト・ストーリーが好きな人にはオススメの短編集です。 | ||||
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表題作の中編が特に良かったです。 殺人事件の謎解きあり、ホラー要素あり、暗号解読あり、冒険小説的な展開もありなので、ポーの書いた物語やゴシック小説が好きな方はハマると思います。 残りの三本は短めの短編で、ミステリーというより怪奇小説という感じでした。 | ||||
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