(短編集)
恐怖
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ヴィクトリア朝時代の英国ウェールズに産まれた稀代の作家アーサー・マッケン。牧師の子であったがアーサー王伝説の色濃いウェールズで育った故か、神学と同時に隠秘学(オカルト)にも傾倒し、前期はケルト神話やギリシア神話をモチーフとした幻想的な怪奇小説を連続して発表したが、いずれも当時の価値観に合わず「不道徳な■■文学」として批判された。第一次世界大戦を経験した後、後期には主にエッセイや犯罪実録を執筆するようになる。 本書はその怪奇小説家としてのマッケンをリスペクトした傑作集である。以下、なるべくネタバレ無しの各話感想。 ---------------------------------------------------------- 『パンの大神』 医者が真実を求めて行ったある実験。裕福な農家に養子としてもらわれた少女の周囲で起きた奇妙な出来事。ロンドンで続発する変死事件。これらをつなぐミッシングリンクとは。「パンの大神」とはいったい――? (当時の宗教的道徳観により描写自体は曖昧な仄めかしに徹しているが、それでもと言うべきかそれゆえにと言うべきか、インモラルなエロスを感じる作品。余談だが、パンの大神というイメージはやがてシュブ=ニグラスの化身という体でクトゥルフ神話に取り込まれていく。) 『内奥の光』 ロンドンの郊外にある田舎に住む医者の妻が変死する。解剖の結果、彼女の脳髄は人間とも動物とも異なる、悪魔のように異質なものだったという。話を聞いて興味を持ったダイスンは独自に調査を始める。はたして医者の妻に何が起きたのか――。 (マッド・サイエンティストもの。当時の「家庭の天使」という価値観を鑑みれば、道徳を説きながらもそれを承知することになる妻に対して、ただただ憐憫の情しかない。) 『輝く金字塔』 ダイスンの元を旧知のヴォーンが訪ねてくる。ここ最近、家の前にある道に、時々石のかけらで奇妙なシンボルが作られているという。そのかけらが大昔の石のやじりであることに気付いたダイスンは、好奇心からこの奇妙な事件を調査してみることに――。 (作家探偵ダイスンものの一編。クライマックスの描写には独特の猥雑さがあり、そういうものが好きな人には一読の価値はあるだろう。本作を含めてマッケンの作品に時々登場するこのような小さい人々は、やがてヴーア族としてクトゥルフ神話に取り込まれていく。) 『赤い手』 ダイスンと友人のフィリップスは夜の散歩中に他殺体に出くわす。地面には凶器と思しき石斧が、壁には赤いチョークで書かれたハンドサインのようなものが描かれていた。調査を始めたダイスンは犯人を見つけることができるのか――。 (作家探偵ダイスンものの一編。序盤から終盤まで推理小説の体で話が進むので、なぜこれが収録されているのかと思いきや、その結末に、なるほど収録されるわけだ、と首肯。) 『白魔』 緑色の手帳に残された少女の手記。幼少の頃より人ならざる存在を認識していた彼女はある日、迷い込んだ森のなかで「白い人」に魅せられたことを機に、この世ならざる世界に足を踏み入れるようになる――。 (東雅夫曰く「マッケン流妖術小説の極北」。怪奇小説ではあるが、どちらかというと少々恐怖演出のあるファンタジーの体でなんとも幻想的な作品。本作で散見されるアクロ文字などの独特な単語は、やがて形を変えてクトゥルフ神話に取り込まれることになる。) 『生活の欠片』 平凡な銀行員であるダーネル。ある日、妻の叔母から百ポンドの小切手が送られ、妻と使い道について意見を重ねていく。また、空き室を誰に貸すかという問題や女中の交際相手に対する問題、更に叔父の浮気疑惑まで飛び出し、ダーネルの周囲は俄に騒がしくなっていく――。 (最初は平凡な銀行員の周囲で巻き起こる騒ぎを描いているだけと思いきや、所々に非日常的なナニカを飛び出させて、これがそういうものではないことをアピールしてくる。しかし不気味ではあるものの恐怖感は薄く、幻想的な不穏さを漂わせるに留まっている。そこまでの展開や結末を含め、ラヴクラフトを経験している人であれば受け入れやすい内容だろう。) 『恐怖』 第一次世界大戦の最中、ウェールズの西のはずれにある片田舎で変死事件が続発する。はたしてそれは怪物によるものか、殺人鬼によるものか、それとも秘密裏に侵入してきたドイツ兵の新兵器によるものか。その地に満ちる「恐怖」とはいったい――。 (片田舎で続発する変死事件の顛末を描いた群像劇。未知の恐怖に翻弄されながらも手元にある情報を元に推理を繰り広げる地元民たちは、現代で言うなら、新種の流行病という「未知の恐怖」に翻弄される我々でもある。その「恐怖」は時代も場所も情報の過少も関係なく人の心を蝕む。最後の独白は戦争を経験したマッケンならではであろう。) | ||||
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とりあえず、オックスフォードのマッケンの短編集のペーパーバックと読み比べてみた。う~ん、確かに少し古い感じは否めないが、知的で凝った日本語は達意の訳と言えそうだし、プロの翻訳家の凄みを感じさせられる。が、文章の「論理」に限って言えば、何でそうなる?ってところが、あちこちにありますね。それがこの訳者特有の読みにくさに繋がっていると思う。一番感心したのは、ラテン語の部分の訳かな。残念ながらラテン語は読めないので、自動翻訳でいろいろ試したが、今一つしっくり来なかったのが、なるほど対比文だったのかと納得させられた。古典的恐怖に関心のある向きは、もちろん買いの一冊です。 | ||||
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懐かしい作品集。読みたい。でも、字が小さくて読めない。いつまでこんな文字サイズで文庫本を出し続けるつもりなのか? 傑作を台無しにしている。悲しい。 | ||||
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マッケンの作品はほとんど絶版で入手困難なので、この作品でたときは喜びました。 | ||||
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階級の違いによる言葉違いの差異を表現しようと、格調高い表現からべらんめえな表現まで入り混じるのは分かる。 でも、皆劇役者よろしく言い回しが大仰し過ぎてとてもわざとらしい。 「ブドー酒」とか、クリスチャンに「お陀仏」と言わせたりとか、その他諸々、訳者の癖が全面に出過ぎではなかろうか。 ストーリー的に面白みを感じるのに、訳が原因と思わしき違和感が頻出して、物語世界から頻繁に引き戻される。勘弁してほしい。 | ||||
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