(短編集)
白魔
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●「パンの大神」 脳手術に依り、人閒に認知出來ぬ存在を知覚出來る樣に成った美少女メリーは何かを見、その恐怖に耐えかねて人格崩壊を起こす。 時が経ち、身寄りのない少女ヘレンは成長するに従い森の中で人ならざる何かと交流を持つ一方、様々な男たちを己の魅力の虜にして行くが・・・。 海神たるノデンスの大神と云いラヴクラフトに影響を与えた作品。 人と人ならざる者の混血児の恐怖(直接的描写はないが、今日であればベッドシーンも含めてエロティックな場面が有るだろう)を描いたホラーだが、脳手術に依り異次元を覗ける樣にするなどSF的で作者がかなり科学を意識しているのが判る。サイエンスホラーにしてカントリーホラー。 ●「内奥の光」 或る医者の妻が死ぬが、死んだ彼女の脳は人閒の脳ではなくなっていた。 本作も「パンの大神」同樣にサイエンスホラーの一種でマッドサイエンティストものだが、「パンの大神」に見られたカントリーホラーの要素はない。死体の脳をどうやって人と異質な脳と判別出來るのかが不明。 又、医術に依り人ならざる者に変貌させられた元女性が、どの樣な存在に変化していたのかも不明。 ●「輝く金字塔」 神話や伝説に囁かれる「こびと」とは何なのか。今も古代ケルトから続く何かが息づく田舎の恐怖を描いた科学的要素皆無の純然たるカントリーホラー。その一方で蒙昧として実態が明らかでない前の二作と韋って恐怖の実態が姿を見せている。 ちなみに新紀元社から翻訳が出ている「エイボンの書」に収録されているリン・カーターの作品に本作を現代風にしたものが在る。 ●「白魔」 本作もカントリーホラーだが少女を語り手としているせいか、何処か暗いファンタジーめいた印象が有る。こちらは実態が姿を見せまくるが恐怖の対象ではあっても巷に流布している樣な、ファンタジーな情景を伴って描かれており、本作が傑作として読まれている背景には、そうした取っつき易さが有ったのではないだろうか。 ●「生活の欠片」 作者自身の体験が一郶元に成っているのではないかと想わせる程、生活感溢れる一般文藝だが、若干サイコな人物が唐突に話に乱入して來る辺りが、この作者ならでは。 | ||||
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マッケンの作風がよく解る初期の短編が収められている。彼の分身とも読める有閑文士、ダイスンやその友人達が登場し、或いはその名前が散見される作品群(彼の作品にはヴォーンやデイヴィス等と云う名前が時々出て来るが、これらが同一人物を指すのか、或いは何か関連があるのかは私には判らない)が中心で、彼等が巻き込まれ、或いは首を突っ込んだ奇怪な事件の数々を描く。 『パンの大神』や『内奥の光』、『白魔』に共通しているのは、生来の気質か或いは人工的な処置によって、通常の人間の目からは隠された深秘の世界を瞥見することになった女性達が登場すること。彼女達を巡って、堕落と法悦の境地が渦巻く。『輝く金字塔』では、或る娘の失踪事件や謎の暗号に絡んで、古代より生き残った悪しき矮人の伝説が現代に尚息づいてみせる。『生活の欠片』は、或る平凡な男のつまらない日常が、何時の間にか或る古文書を通じて神秘主義と混淆して行く様を描いているのだが、平井はこの主人公を「覚醒せざる文明忌避者」と評し、この作品を自分の好みの埒外だと思うなら、その人はマッケン文学の真の愛好者ではない、と大変な入れ込み様である。何れも自然の摂理の奥深くに潜み棲む妖異の影が、怪しい隙間からガバッと現実に襲い来り、その背後に広大な暗黒の領野を望見させる怪作ばかりである。 平井呈一の訳は仲々の名調子。巻末の解説も訳者によるもの。またこのレビューのタイトルは各巻ボックスの背表紙から。尚『パンの大神』は、創元推理文庫の『怪奇小説傑作集1』で、また『輝く金字塔』は平井訳ではないが国書刊行会の同名書でも読むことが出来る。 | ||||
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