(短編集)
怪奇クラブ(三人の詐欺師)
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物書きのダイスンが夜中の散歩中、出くわした男が投げ捨てた珍奇な金貨を拾ったことが発端だった。その夜を境に、ダイスンと友人のフィリップスの元に男または女が現れては、不気味な話をして去っていく。彼らに不信感を抱くダイスンだったが、居酒屋で拾った手帳から真相を知り、フィリップスを連れて郊外の荒屋敷に赴くのだった。はたして不気味な話をする男女の目的とは――? ラヴクラフトが讚仰し、後にクトゥルフ神話と呼ばれるようになる創作に影響を与えたマッケンの作品集。複数の短編で構成された表題作の他、イギリスはウェールズにある田舎町で起きた奇跡の物語『大いなる来復』を収録。 以下、ちょっとだけネタバレありの各話感想。 --------------------------------------------------------- 『暗黒の谷』 職を求めてロンドンを訪れたウィルキンズは、そこで秘書の求人に応募して採用される。雇い主のスミスは彼を連れてアメリカ西部の田舎町に赴く。はたしてスミス氏の目的は――。 (「うまい話には裏があるぞ」という話。しかしながら「貧すれば鈍する」という言葉があるように、追い詰められている時には気づき難いものでもある。) 『黒い石印』 職を求めてロンドンを訪れたラリーは、そこで幸運にも大学の教授に拾われて秘書に採用される。ある日、雇い主のグレッグ教授は突然にイギリス西部の片田舎に居を移す。そこで新たなお手伝いとして雇われたのは、どこか異質な所がある少年だった――。 (太古から山奥に隠れ棲む妖精族と、その血をひく子に隠された悍ましい真性を描いた怪奇短編。直接的な描写はせず仄めかしに徹しているが、それでも当時の人々からすれば相当なショックを受けたであろう、独特の妖しい仕上がりになっている。恐らくだが、ラヴクラフトの『ダニッチの怪』には本作の影響もあるだろう。) 『装飾的妄想』 反物屋のバートンはその日、最終の汽車に乗りそこねてしまい、真っ暗な通りを歩いていると、顔見知りのメシアスに出くわす。メシアスの温情から彼の家に泊まることになったバートンだったが、彼の家には如何わしいコレクションで溢れていた。そこで目についたのは、青銅でできた見事な裸婦像だった――。 (いわゆる「自業自得」な話。注意書説明書の類はきちんと読みましょう。) 『白い粉薬のはなし』 ライセスターの元に、弟で大学を卒業したばかりのフランシスが帰ってくる。弁護士を目指して勉強に励んでいたがフランシスだが風邪をひいてしまい、医者の処方を近所の薬屋で調合してもらって服用する。しかし、それを期にフランシスの様相が一変してしまう。一体彼の身に何が起きたのか――。 (薬剤師のミスにより出来上がった退廃の薬に耽溺した者の末路を書いた短編。LSDの幻覚作用を彷彿とさせる結末は、映画好きが読めば『吐きだめの悪魔』を思い出すだろう。) <総括> 訳者の平井氏は解説で「(本作でマッケンは)怪奇小説というよりはミステリ小説を書きたかったのでは」と私見を述べているが、私は真逆の私見で、本来は怪奇小説の短編集を構想していたが、前作『パンの大神』への酷評を受けて、本作で語られる物語は詐欺師の作り話であるというミステリ風仕立てに変更したのだろう、と考えている(結局これも非難轟々だったが)。さて、あなたの私見は? 『大いなる来復』 イギリスはウェールズにある田舎町ラントルサント。そこで「いちじるしい出来事」が起きたという記事が新聞に載る。興味を持ったわたしが現地に赴くと、そこで見聞きしたのは住人に起きた奇跡の数々だった――。 (どこにでもあるような田舎町で突然奇跡が起き始め、突然と鎮静していった事態を、第三者視点から描写した中編。これを反転させればまんま同作者の作品『恐怖』になる。何も解決しないまま終わるのがなんとも実話風。) | ||||
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アマゾン発送でほぼ新品、という本を購入しました。 ですが、印字が薄くて薄くて読めるような状態ではありませんでした。 返品し返金してもらいました。 とてもがっかりしたのでお知らせまでに…… | ||||
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ロンドンを舞台に、科学という手法を知識として得た、知性に自信のある御仁達が奇怪な出来事にアプローチしていくと段々怖いことになっていくという皮肉なプロットに、いろいろ新規なアイデアをまとわりつかせたのが、Three Imposters「怪奇クラブ」。 その中で特に、イングランド、ウェールズに古き時代より生き延びてきたものどもの恐怖がそそられる。ラヴクラフトが影響を受けたというのも納得できる。 テーマ設定と織りなす文体は凝りに凝っているのに対し、プロットの構成は断片の無理なツナガリでぎくしゃくしているようにも見えるが、その混乱が全体に妖しげな雰囲気を漂わせ、大都市ロンドンを複雑怪奇さを執拗に強調している。本当に怖いのは妖怪なのか人間なのかも、もはや不確か。 Great Return「大いなる来復」の語りのスタイルは洗練されているが、やや神秘主義臭さいか。 | ||||
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汚穢の作家と評されることもあるマッケンが、世紀末の魔都ロンドンを舞台に、闇の跳梁跋扈する奇怪な世界の絵巻を綴る。眼鏡をかけた若い男を探して、三人の詐欺師が次々と姿を変えて有閑人ダイスンとフィリップスの前に現れ、それぞれに信じられない話を語ると云う形式のもので、マッケン自身が認めている様に、スティーヴンスンの亜流と言える作品。通常は『新アラビア夜話』を模したものだと言われるが、『ダイナマイター』(未邦訳)の方が正しいらしい(因みに本書の邦題はこれもスティーヴンスンの『自殺クラブ』を真似たものだろう)。 現実がどろどろに溶解し、太古の怪異が現在に息づく無気味な話の数々が、息も吐かせず繰り出されて読者を幻惑するが、中でも「黒い石印」「白い粉薬のはなし」が特に有名。 他に奇譚「大いなる来復」を収録。第一次大戦を背景に、海に近い小さな町ラントリサントで起こった善意の充満の奇跡を描く。 尚本書に収録されている2作品は、平井呈一による『アーサー・マッケン作品集成』のそれぞれ2、3巻でも読むことが出来る。 | ||||
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