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そして、海の泡になる
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そして、海の泡になるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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彼の小説はほぼ読む。 まさかバブルの女詐欺師を描くなんて、読まずにはいられない。 私は真ん中だったバブル。20頃に全ての人は、日本人は特別な人種だと海外旅行でも扱いが違った。大阪、ミナミにいた時は全ての人はお金持ちで、狂ってた。今やハワイで日本人は売春婦扱い。 和歌山は閉鎖的。田舎は全て閉鎖的な伝統を持つ。北朝鮮と変わらない。大阪に出て彼女は蝶になり蛾になり、最後は獄中に。逃げ方が玄人でまだ語られてない事も沢山あるだろう。バブルが弾け獄中に入るなんぞプロとしか言いようがない。 彼が書いてくれて読み応えがあった。とても楽しい時間でした さすがです。 | ||||
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実際に大阪で起こった事で、バブル当時の人間模様がよく分かり、非常に面白いと思います | ||||
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見事に最期までかぶき続けた主人公の生きざまは、これはこれで大した玉だと思う。 読み物としてはとても面白かった。 | ||||
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バブル期に誕生した北浜の魔女と呼ばれた女性の生涯。彼女がどうやってそこまで伸し上がったか、そして自滅していったのかが丁寧に書かれています。最初はミステリーかなと思ったのですが、深い人間ドラマでした。バブル期、とくに株に一喜一憂した、それに乗った人、利用しようとした人、ある種の信者・・・そうした人間模様がよくわかります。朝比奈ハルは一つ人生が狂えば、平凡な幸せを味わえた女性だったような気がする。 | ||||
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現在のコロナ禍の経済状況と照らし合わせ、バブル期に故郷の神様である"うみうし様"のお告げに従って投資した結果、莫大な富を築いて<北浜の魔女>の異名を取った朝比奈ハルが、バブル崩壊期に莫大な負債を背負い、関係信用金庫の支店長を自殺に追いやり、もう1人の人物を殺害して無期懲役となって収監の約25年後に獄死するというハルの波乱万丈の人生を主人公が小説化するという体裁の物語。冒頭だけハルに纏わる記事を提示し、残りはハルの関係者へのインタビューという形式となっている。 最初のインタビュー相手は、牢獄でハルと同部屋だった宇佐原で、「メギドの民」というキリスト教ベースの新興宗教(カルトと言っても良く拘束が厳しい)の信者。宇佐原の自由への渇望がハルと重なると同時に、作者がハルの人生だけではなく、バブル期を中心とした戦後史・社会問題をも描く意匠である事が窺える。二番目の相手は、ハルと同郷で幼馴染みだった老人で、戦中戦後の混乱を語ると共に、故郷に"うみうし様"なる神様が存在しなかった事を断言する。三番目の相手も宇佐原で、ハルが幼い頃に父親に凌辱された事、"うみうし様"の由来を語る(勿論、ハルからのまた聞きである)。四番目の相手は、一家心中した生き残りのハルを引き取った親戚の娘だった老女で、長いインタビューだが、大まかにはハルが<北浜の魔女>となる萌芽を東京五輪・学生運動などの時代背景と共に語る。五番目の相手も宇佐原で、老女の話を裏書きすると共に「復讐のためにワガママに生きる。お金こそが人々に自由と平等を与える」というハルの信条を語る。 以下、インタビュー相手は「ハルのスポンサー兼愛人の瀬川の庶子(ハルの息子)→宇佐原→ハルの店の(見習いだった)板前→宇佐原→銀行家→宇佐原→自殺した支店長の息子→宇佐原」と変遷して行き、次第に事件の全貌が明らかになると共に、作者が用意した凝ったトリックも披歴される。<北浜の魔女>の異名を取った女傑の人生を辿りながら、<自由への渇望>をテーマとしてミステリ的趣向を巧みに織り込んだ上にバブル期を中心とした戦後史をも描くという盛り沢山の内容の秀作だと思った。 | ||||
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激動の時代、家庭の逆境、数奇な運命、群がる男たち、欲望と本能――これらの渦に巻き込まれながら、あるいはみずから渦をつくり出しながら、生ききった一人の女の劇的な遍歴を辿る物語。おもしろくないわけがない。きちんとミステリーの仕掛けもあって、物語性を高めています。「幸せだったんですよね?」「そんなこと、訊かんといてよ」――最後のこの記述は実に意味深だし、本作のテーマ性を象徴している。 なお、蛇足ながら、P.189末尾から5行目。「広大じゃって国立なんじゃけどな、旧帝大でもない二期校で」という記述があるが、広大(広島大学)は旧帝大の一期校でしたよ。どうせなら、他の社名などの固有名詞と同様に架空の大学名にすればよかったのに。 | ||||
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バブル時代に,天才相場師と言われていた尾上縫(おのうえぬい)を彷彿させる(というかそのもの)主人公の回りにいた人たちを取材して,小説を書こうとしている…という想定で話が進んでいく。 バブルというのは,ざっくり1985年ころから1990年ころの期間であり,そうすると私が社会人になったのが1984年なわけで,新入社員で東京から福岡に来て,山陰に異動したあたり。バブルだから良い事がいっぱいあったのだろうと思われるかもしれないが,新入社員では,その恩恵を被る事はなかった。ただし,先輩の金というか会社の経費で山ほど飲み食いした事は間違いない(笑)。 本物の尾上縫がどのような生い立ちなのかは知らないが,この本の主人公は太平洋戦争で日本が破れ兄弟も戦死,生き残った親父が壊れてしまい,家庭内暴力・娘(=主人公)への性的虐待…。そして一家心中で家が火事になった中で一人何とか助かり,隣村の親戚に拾われる。そこから大阪に出て水商売の道で男をたぶらかす道を憶え,資金を出してもらって自分の店を出す。そして投資へと突き進むのだが…。 この話の中では,同郷で一緒に大阪に出てきて働いていた女性,刑務所で一緒だった女性,金を出したパトロンの息子,不正を働いた銀行の息子…と色々な登場人物が自分の知っている主人公を語り,だんだんとその生涯がわかってくるようになる。 この人物を語るのにポイントとなるのが「うみうし」というなめくじのような動物を神とあがめ,すべてうみうし様のいうがままに投資をする事でバブル崩壊まではとてつもなく儲かる所。そしてこのウミウシ様にお願いすると,人も殺してくれるのだ。実際に,父親・パトロン・詐欺を一緒に働いた銀行の支店長…という具合。 しかし最後の最後で,想像という形で,ウミウシ様の秘密が暴かれる。 バブルを実体験したような人が読めば,とても懐かしい話になると思うし,私が読んでも当時は多分本当にこんな感じだったのだろうと思わせてくれる小説。何より,インタビュー形式で進むので,一気に読みたくなるような筆力はさすがである。 | ||||
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バブル時代に資産を築き上げた女性が、史上最高額の負債で自己破産し、殺人の罪で服役後獄中死する。 そんな彼女の人生について執筆しようと、関係者を追いかける過程であぶりだされる女性の真実。 バブル経済のノンフィクションをベースに、バブルに踊らされた人々の狂乱と狂気のリアル。 女性自身の人生の根っこの部分からの心理描写も見事。 時代といえばそれだけで片付くものではない、あとで考えればあり得ないことでも翻弄された人々。 最後に求める幸せを、作中でコロナの今の時代との比較も絡ませながら問いかける。 | ||||
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父親、夫、パトロンと男に支配され続ける人生からの脱却を目指して、バブル経済を駆け上がった一人の女性の生き様を描いた物語。 私はバブルの頃は小学生だったので、バブル経済の実感はないが、本書を読んでいてバブル経済がどれだけ羽振りが良くて、株価が上がっていったのか、またいかに株価が暴落し始めたのかよく分かった。 本書では、1990年のバブル崩壊と2020年のコロナを対比させながら、隠された真実が明らかになっていくミステリ仕立てにもなっていて、読み応えがあった。 大阪の真ん中で豪華な料亭を出しながらも、バブル期にの4300億円もの負債を抱えて自己破産し、さらに詐欺と殺人の容疑で逮捕された朝比奈ハル。本書の語り手となる人物が最後に彼女にした質問に、彼女の人生の本質が垣間見えた。 | ||||
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バブル期におきた実際の巨額詐欺事件をベースにしたミステリー。私が、その事件の中心人物だった朝比奈ハルの関係者達に取材をしていくかたちで物語が進んでいく。 ハルの生い立ちや1980年代頃のバブル経済情勢が語られ、単なるノンフィクションのようなものかと思いきや、ラストは作者らしく伏線あるミステリーチックな仕掛けも施されていました。 また、実際の関連性は分かりませんが、バブル史に残るような事件を引き起こした人物の心理状態の描写もエンタメ小説として興味深かったです。 | ||||
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戦後日本の経済環境を丁寧に表現した経済サスペンス小説である。60~70代の年配者にとって、程度の差は別にして、波乱に満ちた戦後の日本を経験しているはずである。この本は、そういった時代背景と現代のコロナ禍を対比したサスペンスであり、とても面白い内容である。ストーリーも通常のサスペンス小説にはない歴史もののような組み立てであり、斬新な感じであった。年配者にとっては、古き良き時代を思い起こせるような本であった。 | ||||
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1989年大学入学世代の私に取って、「バブル」は、「欲に目がくらんだ人たちが、失敗すべくして失敗した」という安直な印象だったし、尾上縫さんの事も、「強欲な女性」などと思っていた。今となっては、よくもそんな愚かな感想を持っていたものだ。自分自身、歳をとって、自ら投資も始めてみて、そこには明らかな悪人や、マヌケな奴らなどいなかったことがよく分かる。バブルによる成功も失敗も、人生の一コマであり、全員がプレイヤーだったのだ。なんとなれば、一度きりの人生、やらない後悔よりもやった後悔の方がよほどマシというものだ。作中で何度か言及される通り、現在のコロナ騒動も、「人類全体で影響度を読み間違った」という意味ではバブルと同様だ。この先の予測は不可能だが、社会の構成員の一人として、傍観者ではない、自らの人生を歩みたいものだと思った。 | ||||
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