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(短編集)
デッドエンドの思い出
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デッドエンドの思い出の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全81件 41~60 3/5ページ
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「何と幸せとするか」というのは、ある程度育った家庭環境によって規定されると思います。この事実にさえ気づかず、自らの思い描く「幸せ」が絶対的な「幸せ」だと信じることができるのは、本当に「幸せ」な人なんだろうな。この状態に疑いを持ったのが『幽霊の家』の岩倉くんで、『デッドエンドの思い出』では、本来なら知らずに済んだはずのミミが、婚約破棄によって生じた人生の中の空白のような時間の中で「幸せとは何か」を考える。 よしもとばななの作品は、余裕のある親からの愛情と教育によって得られた「幸せ」を否定することもしないし、自らで「幸せ」を見つける過程を経なければならなかった人のことも、等しく肯定してくれるので好きです。この作品集には、特にその色合いが濃く出てたんじゃないかな。 ちなみに、あとがきに「これまでに書いた自分の作品の中で、いちばん好き」とあるが、私も「あなたがこれまでに書いた作品の中で、いちばん好き」です。 さらに、「これを読み返すと、人生のいちばんつらかった時期がよみがえってくる」とありますが、(具体的にはどんなふうに辛かったのか知らないけど)そういったつらい時期を乗り越えた人だからこそ書ける、いまつらい人たちに「幸せはいつかやってくるよ、あるいはもうすぐ近くにあるよ」と呼びかけるような、優しい優しい物語だと思います。 | ||||
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ばななさんの 小さな幸せのカケラをすくい取る感受性に乾杯! 何も言う事はありません、 しみじみとわき上がる 多幸感にいつまでも満たされていたい。 そう思える作品です。 | ||||
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よしもとばななの短編集。5つの物語が収録されています。 大切な人の死、恋人の裏切りなど、テーマとなっているのはどれも悲しい出来事ばかりです。 よしもとばなな本人も、あとがきで「こんなに暗い物語にお金を払ってもらうのは申し訳ない気もする」みたいなことを書いていました。 でも、辛い物語のはずなのに読後感はとても爽やかです。「終わったことを嘆いて、くよくよするのはよそう」、そんなメッセージを含んだ小説だと思います。 | ||||
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あとがきで彼女が「一番好きな小説」と記してるのと同じに、わたしにとっても「デッドエンドの思い出」は彼女の書くものの中で一番好きな小説になりました。大切な何かを失って、もう身も世もないってくらいボロボロに傷ついて、でも、その経験をも含めてまた自分の人生を愛しいと思えることができる力。それはたぶん特別なものなんかじゃなくて、誰しもが等しく持ってる人間の底力みたいなものなのかもしれません。 | ||||
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しばらく吉本ばななさんの世界から遠ざかっていました。 独特の世界に悲しみと苦味がまざったような感じがあり、触れづらくありました。 デッドエンドの思い出は吉本さん自ら「自分の作品の中でいちばん好き」と書かれています。 著者のこういう言葉には踊らされない方なのですが、この本に関しては同感です。 特に「幽霊の家」、つらく切ない別れを経ても、光あふれる幸せの瞬間が二人に訪れるまでをつづっています。 人の心の中に眠る宝物、それは華やかなものでも大仰なものでもないかもしれないけれど、 ささやかでも暖かく照らす光なのだーーーそんなことを本書の全作品を通して語っているように思えます。 自分自身がつらいとき、切ないとき、読み返すであろう本です。 | ||||
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『これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好き』 表題作について、作者のコメントでこう書かれていました。 表題作は、信じていた婚約者から裏切られた女性の話。 絶望の中で見つけた温かさや、 かけがえのない日常の延長線上にある 素敵なふれ合いや、人間の強さ・やさしさを 感じられる作品だった。 そのほかのお話もどれも温かく感じた。 つらいこと・苦しいことを、 人は乗り越えていけるのだ、ということ、 そして、人は、一人ぼっちのようで 決して一人ではないこと、 大切なものって、きっと身近にいっぱいあるんだろうなぁと 感じて、励まされるような作品だった。 | ||||
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はらりふわりとした感覚を主人公と共有する不思議な世界観が詰まった作品集だと思います。 主人公が少しずつ成長していく姿や登場人物たちの心温まるセリフが、ほのぼのとしていてスーッと心に溶け込んでいくようです。 著者独特の感性に触れたような感触が一文字一文字から伝わってくるようでした。 | ||||
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よしもとばななさんの作品には二冊しか触れた事のない僕です。 彼女の描く世界には、いつも(といっても二冊だけですが)体温を感じる。 日常を描くとかそういう事よりももっと、日常に、自分が「人」だと感じる、 そんななにかを描いているように思う。 この短編集を読んでいる時、自分がなくしてしまって、飢えている、 ある、「ぬくもり」を感じて胸苦しくなったり、いまだにまわりにありつづけてくれている 暖かさを思い出してほっとしたりする。 熱すぎも冷たすぎもしない、ちょうど体温のような温度。 それはなにもないということではない。 人間のちょうどのぬくもりを感じるのである。 日本人独特の感性ではないかと思ってしまう。 普段はちっともよしもとばななさんを思い出さなないのだけれど、久々に読んでみて、 とても良かった短編集でした。ちなみにカバーデザインと作者にとっての「最も好きな作品」 という部分につられて買いました。 忘れていた、ずっとまえに、よしもとばななさんの本を、本当におずおずとすすめてくれた とってもやさしい女の子を思い出しました。 | ||||
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よしもとばななにはあまり興味がありませんでしたが、 「これまで書いた自分の作品の中でいちばん」という帯にひかれて読みました。 カバーの写真も明るいシガーロス的な世界が出ていて興味を持ちました。 非常に面白く読みました。 なかでも、「ともちゃんの幸せ」は傑作だと感じました。 小説としての正しい倫理観のようなものがにじみ出ていて、心地よい読後感でした。 どの短編も広く愛される小説だと思います。 | ||||
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登場人物の微妙な距離感がよかった。 「ともちゃんの幸せ」という話が少し 何を伝えたいのか分からなかったけど、 その他は良い作品でした。 私は特に「幽霊の家」「おかあさーん!」が好きです。 私はこの本読んでると、秋の涼しい夕方とか、 冬の朝の冷たくて澄んだ空気を思い出します。 | ||||
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文庫版が発売になったので、購入しました。 本の帯の、著者曰く「これが書けたので、小説家になってよかった」という1文に惹かれたというのもありますが。 5つの短編からなる作品で。 よしもとばななさんが上記の言葉を残した作品が、表題にもなっている5作目の話。 もともと。 個人的によしもとばななさんの作品群は、登場人物間の距離感みたいなものが心地良くて好きなんですが。 今作はココロにきゅーっとくるような話が多くて。 1話目の「幽霊の家」と 5話目の「デッドエンドの思い出」 特に「デッドエンドの思い出」は・・・ デッドエンド、なんていう状況でのこの上ない幸せ、なんて。 書くと陳腐な表現ですが。 何気ないことが、今後泣きそうになるくらいの幸せ、という輝きを持つ事ってあるよなぁ。。。と。 中盤で急にボロボロ泣けてきました、久し振りに。 なんですが。 その他の話の重さがちょっと重たいなぁ、と思ったのも事実なので 星は4つで。 | ||||
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もうこれは読んで頂くしかないのですが、しみじみと読ませる中・短編小説集です。『幽霊の家』の幽霊?の老夫婦の日常と変わりない仕草とか、複数の作品で言及されているドラえもんとのび太の日常へのあこがれとか、何でもない生活を幸せと意識しない時間の幸せさ。慌ただしい日常の中でハタと一瞬思考を停止させてくれます。登場人物は毒殺されかけたり、無理心中に巻き込まれたり、幸せなばかりではないのですが、幸福ということをしっかりと考えさせてくれる作品集でした。 作者はあとがきで、「これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好き」と書いているが、同感です。 | ||||
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なんともいえない切なさと焦燥感あふれる作品。 いつも気がつくと思い出の中を浮遊してしまう・・・という女性に読んでもらいたい。 周囲の状況や環境に必要以上に自分を合わせようとする過剰適応症。 合わせることが当たり前になってしまって、自分が本当は何に苦しんでいるのか解らなくなってしまう。 モヤモヤとした行き場のない気持ちを抱えつつ、現実はどうもがいても同道巡りな状況だけに、 心の暗黒面を漂い続ける万年疲労者になっている自分にはなかなか気付かない。 いくつかの形で袋小路の状況を見せ付けてくれるこの作品は、 過去の辛い出来事や後悔した言動を、美化せず傷つけず ありのままで風化させることを促してくれる。 ごまかして奥底に押し込めていた傷は、闇を餌にどんどん大きくなって怪獣になる。 でも勇気をもって光にさらせば、意外と簡単に跡形もなく消えてしまうものなんだと気付かされます。 | ||||
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そんな劇的なことは起こらなくても、人は出会い、別れていく。映画やテレビの中の恋愛物語のようなすごいことは起こらない事が多いけれども、なにげない日常の中に宝物のような幸せは潜んでいるものだと思いました。デッドエンドの思い出は確かに一番好きで婚約までした人にいきなり別れをきりだされ、一番不幸かと思いきや、でもそこからの西山君との毎日はなぜか恋愛沙汰はないにもかかわらず、秋から冬に季節が変わっていくそうあのせつなさと優しさが混ざったような幸せな空気があったりして、人の心の奥底には誰でも宝物をもっているんだと思わせてくれるような、素敵なお話でした。 | ||||
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とても静かな印象の短編集だと思います. 静かで美しく,ばななさん特有の,良い意味での育ちの良さ,心の清らかさが全編にわたって染み出ていると感じました. 登場する主人公達は,皆,どこか抜けているようで,ギスギスした感じがなく,穏やかで,優しく,ばななさん同様(?)育ちの良さがにじみ出ています. そんな主人公達が織り成す,不幸せと幸せの物語. 人生の中の,悲しく切ない不幸せに出会ったときの主人公達の心の持ちよう,心象風景,「不幸せの中にある幸福」の描写に引き込まれました. 個人的に最も印象深かったのは「お母さーん!」. 社員食堂のカレーに毒を盛られる,という設定はともかく,その後の主人公のあり方,「愛情に無頓着ではいられない」という感じ方に,非常に共感しました. 不幸せも人生のうち. きちんと向き合って,不幸せの中の幸せを,私も積極的に見つけて生きたいと思える作品.おすすめします. | ||||
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本当にいきなり!最愛の恋人と仕事を一度に失って、袋小路で迷って1ヶ月経とうとしている私に、この本が巡って来た。 初めに表題になっている『デッドエンドの思い出』を読んだ。 なに!?この癒しは?? ‥涙が止まらなかった。悲しいのでは無く、幸せってどういう感じかを思い出したのだ。 次に『幽霊の家』を読んだ。 別れた彼との縁を、無理に戻そうと願うのはやめようと思えた。 どうなるか分からないけれど、自然に、流れに、身をまかせてみようと思えた。 きっと、今の私もどこかへ、誰かへ繋がっているのだ。 私が大切にしている幸せを同じ様に思ってくれる誰かへ。 ばななさん、ありがとうございます。 | ||||
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この本で見せてくれるのは、 「こんなに私は幸せになりました!」とか、 「結局こんなにあわれなことになってしまいました」、 とかいう結末ではなくて、 ひとつひとつの物語にちりばめられている、 小さな小さな、はたから見たらなんでもないような幸せたち。 誰もが人生のなかで、 この物語ほどひどくはなくても、 一度は、 どうしようもないほどの最悪な境遇に見舞われる。 そしてこの本には、その後、のヒントが、 詰まっていると思います。 だからこの短編ひとつひとつには、 ほかのどんな「お涙頂戴」な物語よりももっと沢山の きらきらした未来、とか、希望、みたいなものが溢れていました。 とても美しい短編集だと思います。 | ||||
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正直、こんなに泣かされると思っていなかった。 5つの短編が収められている。いろんなモチーフが出てくる。先住の老夫婦が幽霊になって住んでいる古い家屋だとか、和歌山カレー事件の模倣犯だとか、母に虐待された子どもや「家」に巻き込まれて翻弄される子ども、父を愛人に取られてしまった母子、婚約者に捨てられた女。こうしてあげてみると荒唐無稽でとってつけたような物語の数々を想像してしまいそうだが、読んでみると分かる、「ああこれ、必然があってこうなったんだ」って。 生きていくと色んなことが起きる。災難じみた出来事がふりかかったり、道を誤って迷子になったり。大きな川の流れの中で、人はあまりにも無防備でちっちゃい。ちっちゃくて無力に見えても、誰でもそれに耐えられる強さを備えている。そしてその川は、一人ずつにちゃんと、喜びや幸せも与えてくれるんだーーそんなことを思い起こさせてくれる。 ばななさんの文章は、一見とてもナイーブ(世間を知らない子どものよう)にみえる。パンに困ったり見下されりしたことのない人に特有の「育ちの良さのにおい」みたいなものが鼻につく人もあるかも知れない。けれども、人が自分に必要のないものをそぎ落とし、ポーズをとったり構えたりすることをやめて、人の生活のすったもんだに潜む本質のようなものを真摯に見つめていくと、自然にそういうスタイルに行き着くのかもと思わせる。もちろん、行き着くところは人によってさまざまな見え方になるのだろうが。 | ||||
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ひらがなが多く、ちょっと見は柔らかい印象を受けますが、主人公たちが日常生活の中で、ものごとを深いところまで見つめようとします。自分の考えを突き詰めていく姿勢はまるで哲学者のようで、こんなところは父親の吉本隆明ゆずりなのかなぁ、と感じました。 この短編集に収められている5つの物語は、ぜんぶ若い女性が主人公。 5人とも、それぞれのとてもつらい経験を語ります。 幼くして父を亡くし、精神的に不安定になった母に虐待を受けたこと。毒物混入事件の被害者になって体調をくずしたこと。無理心中の巻き添えになった幼なじみの男の子のこと。お父さんが愛人の元に走り、お母さんに捨てられ、16歳で年上の幼なじみにレイプされた悲しい経験。婚約者を訪ねたら別な人と暮らしていたこと。どれも悲しすぎる物語です。 著者自身、「この短編集は私にとって『どうして自分は今、自分のいちばん苦手でつらいことを書いているのだろう?』と思わせられながら書いたものです」と「あとがき」に書いています。 こんなにつらいのに、5人の主人公は、自分のつらさをひっそりと受け止め、単調に思える日常の生活を繰り返し、流れにまかせて生きていきます。なかには、よりそってくれる男の子や家族に支えられて、幸せな光の玉に囲まれているような一瞬にひたる主人公もいます。 作者が泣きながら書いているつらい物語でも癒せるのですから、ふだんの日常生活で感じる傷なんて大したことではない、と思えるようになりそうです。 出産を控えて、それまでのつらかったことを清算しよう。今しか書けない。と著者が書いた、つらく切ないラブストーリー集です。 著者は「これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました」と臆面もなく自画自賛しています。 あなたにとっても、癒しの物語になりますように。 | ||||
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と感じさせてくれるのが、よしもとばななさんの作品だと思います。 悲しい、つらい、けど日々は淡々と過ぎていくし、そこに執着してはいけない。そして世の中は、人とのめぐり合いはなんだか奇跡的なものでそれはもう私達の届くところにはない。だからこの日々を生きていこうって読み終わった後、決意のように思いました。 この作品集に収められている話は、どれもがすごおく愛おしくて切ない、すごい悲しいわけじゃないけどここ何年か読んだ本の中では一番泣いてしまった本です。今でも一番読み返す本でもあります。 こういう作品はきっと年をとって読み返しても、ずっとずっと宝物のように自分の感受性がきらきら光る作品なんじゃないかと思います。 | ||||
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