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バスク、真夏の死
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バスク、真夏の死の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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寡作ながら、『夢果つる街』(’88年、「このミス!」海外編第1位)、『シブミ』、『ワイオミングの惨劇』(’04年、「このミス!」海外編第3位)など、1作ごとに趣向の異なる名作を生み出した異色の覆面作家トレヴェニアン。本書は’83年発表の恋愛小説仕立てのサイコ・スリラーである。1938年8月、フランス・スペインにまたがるバスク地方の小さな温泉保養地サリーを再び訪れた‘私’ことジャン・マルク・モンジャンは第一次大戦前の1914年の夏の当地での出来事を回想する。当時‘私’は25才で、町の診療所で雇われ医者として働いていた。そこでパリからやってきた若い娘カーチャと恋に落ちる。サリーからさらに2.6キロ離れたエチェベリア荘で彼女は双子の弟ポールと父親ムッシュ・トレビルの3人で住んでいた。頻繁にお茶に訪れるようになった‘私’に対してポールはなぜか冷たく当たる。そして父親は世捨て人のような暮らしをしていた。‘私’はポールから、なぜトレビル一家がパリからひなびた田舎へやってきたか、その理由を教えられるのだった。近郊の村アロスで村をあげて三日間にわたって催される夏祭 “溺れた処女の祝祭”にトレビル家の3人と一緒に出かける‘私’だったが、“祝祭”から帰って、美しい夏が終わる頃悲劇が起こる。本書は大半が、バスクという特異な土地の地方色を濃厚に盛り込んだ‘私’のカーチャに対する恋愛物語であるが、そこはトレヴェニアン、ラストで思いがけない精神分析学的サイコ・スリラーが展開され、哀しい結末を迎える。思えば本書は、‘私’の四半世紀前の回想という形を取り、作品世界はすべて「過去」にのみ存在し、すべて‘私’のなかで既に完結している「事実」であり、だからこそさまざまな伏線が張り巡らされ、恐るべきクライマックスが効果をあげているのではなかろうか。 | ||||
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