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(短編集)
Iの悲劇
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Iの悲劇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 21~40 2/3ページ
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この著者の作品は、正直これまで余り相性が良くなかったです。確か、途中で挫折した作品もあったはず。文体が気取ってるとか、構成が複雑過ぎるとか、理由は些細なことだと思うのですが。 けれど、本作は割と面白い。連作短篇集なのですが、最後の章でこれまでの全ての伏線を回収するという離れ業を見せてくれます。もう、スッキリと完璧なカタルシス。これぞ連作短篇集ならではの醍醐味でしょう。 同じ登場人物たちの続編があれば、是非読んでみたいです。 | ||||
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ミステリーでもあり、社会小説でもあり、ヒューマンドラマでもあり。非常に良く出来ていた。端的に言えば、過疎化で無人になった僻地に住民を移住勧奨する市役所の奮闘記。心が凍るラスト。でも、その通りなんだよね。 | ||||
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簔石という廃村を舞台として「Iターン」をテーマとした軽いミステリ・タッチの作品。「Iターン」支援を担当するのは市の出張所の"甦り課"の万願寺と新人の天真爛漫な遊香と"能ある鷹は爪を隠す"西野課長。本作は長編だが、第一章「軽い雨」、第四章「黒い網」、第三章「重い本」及び第六章「白い仏」は短編として既に雑誌に先行発表しており、残りの約1/3が書き下ろしの由。そう言われなければ分らない自然な流れである。 作者としてはミステリ色が濃くないが、それは"甦り課"と名付けた遊び心からも自然と窺える。むしろ、「Iターン」に潜む危険性や「そんなに現実は甘くないよ」という警鐘を鳴らした感が強い。作者の作風は「満願」が示す様に多彩だが、「Iターン」生活の難しさ・落とし穴(都会人は農業の基本さえ知らない)と軽いミステリ・タッチとを巧みに混淆させた物語構成力を本作でも発揮しており(当事者ではない)私には楽しめた。(名称こそフザけているが)"甦り課"の移住者審査やその後の管理・支援の厳しさもキチンと描かれている点にも好感が持てる。 短編中で、「黒い網」の夫が「(トラブル・メーカーの)妻は他人から渡された物は絶対に飲み食いしない」と明言しているにも関わらず、他人が調理(BBQ風)して大皿に載せた物を"選んで"食べて食虫毒になるという謎はシャープだと思った。そして、書き下ろしの序章と終章との照応が(強引だが)驚愕に値する程壮大だが悲痛な大仕掛けで、滅び行くモノへの哀愁が読む者の心に染み渡る快作である。 | ||||
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改めて米澤穂信さんのミステリ作家としての力量の確かさを知る1冊と出会った気がします。 過疎地のIターン行政を上手く題材に選んだものです。 まさしく過疎地対策の甦りを果たす公務員の活躍ぶりを、ペーソスをもって描き出すと思っていたのですが、最終章までこのような形で引っ張り、見事などんでん返しを見せてくれた短編連作集でした。 「簑石」は日本のどこにでもある過疎地です。題材のIターン支援プロジェクトも全国各地で繰り広げられています。 万願寺邦和の努力はとてもよく描けていました。観山遊香の新人公務員の仕事ぶりも分かりやすい描き方でした。課長の西野秀嗣の存在感を消す展開ぶりには感心しました。 新しい感触のミステリです。こんなストーリーも書けるのだというところに米澤穂信さんの作家としての力が現れていました。脱帽です。 | ||||
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これ、雑誌連載作品なんですね。でも、全体通して読まないと趣旨がわからない。タイトル通り「悲劇」なんですね。現代に問うミステリーでした。この作家、うまい。 | ||||
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Iターン事業にまつわる市役所員の目線から、廃村の復興と悲喜こもごもを描いたミステリ。 各章の謎と解決は秀逸なもの、小粒だがぴりりとしたものまで様々だが、とにかく「静かなるフィニッシュブロー」とでも言うべき幕引きが強烈(帯にも書かれているのでネタバレじゃないだろうと信じつつ)。それもガツンという類のものではなく、じわじわと臓腑に重石を置かれるような塩梅のやるせなさが漂うもので、本作の読後感もまさにそれ。 さわやかとかすっきりとは縁遠いけれど、読んで損はない物語だと思う。 | ||||
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著者の米澤穂信さんの作品が好きで、皆さんの評価の高かった本作にチャレンジしてみました。予想通りというか、良い意味で期待を裏切る読後感でした。短編集がとても良かったのですが、これはこれで大変満足しました。どこが?は読んでのお楽しみです。 | ||||
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最後までぜひお読みになって貰いたい作品。流石米澤先生。すこのすこ。 | ||||
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山間部の自治体における移住支援プロジェクトが題材のミステリー小説。人口6万人の合併市「南はかま市」の職員が、数年前に定住者を失った限界集落「簑石(みのいし)集落」を舞台に、様々な個性を持つIターン移住者たちの支援のため孤軍奮闘する物語である。 自治体の地方定住策を取り上げた小説というのは珍しく、何かの参考になるかと思って読み始めたのだが、ミステリー小説として純粋に面白く、一気に通読してしまった。 物語は、市役所内に設けられたプロジェクトチーム「甦り課」に所属する3人の職員を中心に展開する。真面目な公務員である主人公の万願寺邦和、人当たりは良いが少々おてんばな新人の観山遊香、稀に鋭い指摘はするものの仕事はいつも部下任せの西野秀嗣課長の3人が、様々な移住者たちのトラブルに対処していく。 章ごとに入れ替わり登場する移住者たちは皆個性的で、それぞれのエピソードにもリアリティがある。章ごとにちょっとした謎解きがあって、小気味よく伏線が回収され、ややパターン化されつつもテンポ良く物語が進んでゆく。そして最終章であっと驚く展開を迎える。 また、移住促進策や限界集落対策に頭を悩ませる自治体職員の奮闘記としても面白い。コンプライアンスの観点から、補助金を間接交付する移住者が利害関係者にあたるのか主人公が真剣に悩んでしまう描写には少し笑ってしまった。被合併町村の悲哀、市長交代による政策の混乱も、いかにもありそうな話である。 特に印象に残ったのは、主人公が、東京でシステムエンジニアとして働く弟と電話越しに口論するシーンである。弟は、経済に貢献せず、税金を食い潰すばかりの過疎地域のことを「深い沼」と表現する。都市住民から見ればまさしくそうだろう。一方で、電話越しに語られる弟の生活ぶりは、毎日深夜まで残業し、休みもろくに取れず、故郷に墓参りに帰ることもできず、決して幸せそうには見えない。 果たして豊かさとは何か。地方と都会の関係はどうあるべきか。小説としての面白さに大いに満足する一方で、改めて大きな命題を目の前に突き付けられたような読後感を感じた。 | ||||
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氷菓から、ほぼ全ての作品を読んでいるファンとしては読めるだけで幸せです。 初めてこの作者の本を読むなら、この本はあまりお勧めはしないかな。 切ない物語が好きなら問題ないかも。 内容も地方公務員のせつなさが表現されていて、納得でした。 フィクションではあってもありそうに思わせる筆力はさすがです。 是非とも続編を望みたいですけど、なかなかきびしいかな。 | ||||
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最初は、お得意の人が死なないミステリーだと思って読んでいた。凸凹コンビが軽妙な掛け合いで謎に迫るエンタメ小説を楽しんでるつもりだった。しかし、途中から何やら怪しげな違和感を持ち、ん?何かひっかるなあと気になり始めたが、そのままサクサクと終章まで読み進め、最後にしてやられたあ、ということに。見事な伏線回収と、ちょっぴりの社会風刺が気持ち良くも、独特の後味を残す。そう、いつも通りそんなに簡単に物語が終わるわけがないのである。期待通りの後味。そしてまたこの妙な後味を求めて、またこの筆者の次作にも手を伸ばしてしまうのであろう。 | ||||
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古典部シリーズやラノベ時代のような米澤穂信さんの作品を期待している人には、期待外れかもしれないです。ただ、最後のオチ(というかどんでんがえし)は今までになくシニカルと言えるのではと思います。いつもながら流血しないミステリーとしてはよく考えられていると思います。一番恐ろしいのは人の心でもあるなあ・・・というところでヒヤッとする読後感ではないのでしょうか。 | ||||
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単なるミステリーに止まらず、現代社会に横たわる大きな課題がこの悲劇を産み出したと言えそうです。ネタバレを恐れず言えば、私は課長派です。読んでもらえないとその意味解っていただけないでしょうが。 途中の兄と弟の考え方の違いが、今の日本の縮図でもありこの本で作者が読者に伝えたい対立軸であったと思います。 | ||||
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米澤さんの作品は、何故か鼻につく女性ライターが主人公のシリーズを除いて大好きで、ほぼ全て読んでいます。少し辛口のタッチにも関わらず、根底にやさしさが見える作風が気に入っています。本作品も一挙に読み終える面白さでしたが、結末が結構、気持ちが沈むものでした(人が死ぬわけではないのですが…)。この結末の背景は理解出来るのですが、簡単に言えば「嫌な連中」だなとの読後感が残りました。とは言え、買ったこと、読んだことを全く後悔しておりません。 | ||||
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今は無人となった小さな集落の簑石に、Iターン支援で定住者を募り復活させるプロジェクトに役人が奮闘する連作集。 各話それぞれに謎解きは用意されているけれど、正直、第一章を読めば話のパターンがわかってしまいます。 それでも、筆者なら最後には全話に繋がる仕掛けがあると当然期待してしまう訳ですが、やや強引な鮮やかではあるけれど、何とも切ない幕切れです。 | ||||
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米澤穂信らしくて非常に良かったです。クリスティのそして誰もいなくなったを読んでおくとより良いと思います。 | ||||
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最新作です。2010年以来の掌編の集積です。 読者に、常にとんちと機知とで挑みかかる作者のスタイルがここにもあって、満足しました。 p.8「……長い時間が過ぎ、やがて全ての部品が交換されたとき、それは元の船と同じものだと言えるだろうか。」とありますが、ここで、若き日の岡本太郎氏の南国の島々に関するレポートを思い出しました。大きな嵐があると島民が全滅してしまう。しかし、また住む人々によって島が蘇る。この「再生」に沖縄を中心とした地域の復活の原理とエネルギーの所在を観ていたのです。 | ||||
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場面が色々切り替わり、それぞれで何かがあり、 最後はそこかーって、納得と憤りを感じられる本。 なんとも切ない感じ。 もしかしたら、今もどこかで同じ事が起きてるのかもと 想像してしまう内容。 | ||||
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他のレビュワーの方々が仰っている様に、序盤から結末が簡単に予想できてしまいます。 結末がわかってしまうからこそ、読み進めるごとに心が軋むような構成はとても楽しめました。 続編をいつまでも待ちます。 | ||||
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僕は、その都度購入し読んでいたのですが 1冊にまとまると、忘れていた話もあり、楽しめました。 書き下ろしの新作もあり、そちらももちろん良かったです。 | ||||
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