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血の郷愁
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血の郷愁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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イタリアを舞台にしたスリラーと言えば、近年では「カルニヴィア」のシリーズが面白かった。今回は、「血の郷愁("NOSTALGIA DEL SANGUE")」(ダリオ・コッレンティ ハーパーBOOKS)を読む。 19世紀に実際にあった連続殺人事件に<見立てられた>殺人事件が起き、その事件をベテラン記者・マルコと新米記者・イラリアが真相を探るべく、狂熱的に、死に物狂いで追いかけることになります。マルコは、中年の危機の最中にあり、イラリアは衝撃的な痛ましい<過去>とイノセンスを持った女性として描かれ、主に二人のそれぞれの視点から物語が語られていきます。会話は少しあけすけですが、二人のやり取りは懐かしいハリウッド映画にも似て、それは或る種の<郷愁>を誘います。また、イタリア料理やワインも多く登場し、まるでカニバリズムの口直しのように語られますが、つまりはモノを食べるということは、美味しくそして酷薄なことなのだと思います(笑) ミラノ、ベルガモ、シリアル・キラー、カニバリズム、プロファイリング、DNA、現れるコピー・キャット。作者は、世界中の猟奇事件を数多く引用しながら読ませます。わが国の或る事件も取り上げられています。「"攻撃的カニバリズム、および力のカニバリズム"と呼ばれていて、犯罪者のなかでも最も数が多い。そういう人たちは、自分で自分を止めることができない」(Kindleの位置No.3250-3252)。 二人の主人公たちが事件の過去を深く探り出す中、最近読んだグランジェの「死者の国」をも想起させ、現在のヨーロッパが抱える問題の<闇>にも触れています。そして、<闇>の根源には物語の中で繰り返される北イタリアの「慎み深さ」が横たわっているのかもしれません。 いつものようにパズラーですから多くを語ることはできませんが、せっかくの<布石>が輝き過ぎて、多くの読者は「気がついてしまう」ような気がします。また、<ヴィンチェンツォ・ヴェルゼーニ事件>と有名な犯罪学の父の存在は、花火大会の初っ端のような華やかさがあって目を引きますが、ただの彩りに過ぎなかったのかという失望感も残りました。 | ||||
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