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(短編集)

中野のお父さんは謎を解くか



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中野のお父さんは謎を解くかの評価: 4.00/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(5pt)

大好きな作家さん

北村 薫が好きで
殆ど読んでます
謎をいとも簡単に解決してくれて、読みやすいです
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No.9:
(2pt)

日常ミステリーを求めているならオススメしない。

前作の方は日常的なミステリーのお話もあったのに今作は昔の文豪のお話ばかりで、本当に本が好きな読書家の方は楽しく読めるのかもしれないが、そこまで本を読んでない人間からすると、読むのが苦痛だった。さすがにお名前位は知っているが文豪と文豪の関係なんて話されてもよくわからない。日常ミステリーを求めて購入したのだが、期待が外れた。日常ミステリーをお求めの方にはオススメしない。
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No.8:
(4pt)

小説は非常に面白いが、解説は別の人にすべきだったのでは?

本書に登場する、松本清張の「再春」(『隠花の飾り』第10話)を読んだ時、私の頭に浮かんだのは、1960年頃に起きた、大藪春彦の短編「街が眠る時」をめぐる盗作騒動だった。
この短編がアメリカの作家フランク・ケーンの「特ダネは俺に任せろ」にソックリだと指摘され、「才能の乏しい青年」と酷評されたのだが、大藪春彦本人は「数人の友人と下宿で雑談していて、ある友人からアイディアをもらった」もので、ケーンの小説は全く読んでいなかったと主張し、盗作を否定した。
だが、その後、さらに長編『火制地帯』がロス・マクドナルドの『青いジャングル』にパクリであると批判され、大藪春彦は探偵作家の親睦団体「他殺クラブ」を脱会、日本探偵作家クラブからも除名された。
「他殺クラブ」を脱会する際には、佐野洋から「君一人でしたことではないのだろ?誰に言われてやったのか?」という趣旨の質問をされたが、大藪春彦は「自分で責任を取る」と言ったという。
ここで大藪春彦の熱心なファンなら「そう言えば大藪春彦の妻は元・担当編集者だったよな」と気が付くのだが・・・。

そういう経緯を参考にしたのかと思っていたが、実は松本清張自身にも、同じような盗作疑惑があったのだと、本書収録の短編「水源地はどこか」で知って、驚倒させられた。
他の短編も非常に面白い。シリーズ1冊目とは面目一新の感がある。
しかし・・・
読者のレベルを主人公と同程度、と考えるなら、解説でもう少し説明が必要ではなかろうか?
たとえば「俗情と結託している」という言葉の元ネタは、大西巨人の評論『俗情との結託』であろう。
「怪人対巨人」とは、保篠龍緒の翻訳によるルパン全集の1冊すなわち『ルパン対ホームズ』のこと。
(これが「巨人対怪人」なら、松竹映画『怪人二十面相 第二部 巨人対怪人』のことで、明智小五郎と怪人二十面相の対決をさす)
その他、作品中に出てくる言葉に、解説があっても良いのではなかろうか。
何より、松本清張は小説『深層海流』(1962年刊)について、著作権侵害だとして告訴されたことがあった。その一部が、三田和夫の著書『赤い広場 霞ヶ関、山本ワシントン調書』(1955年)からの無断引用だと指摘されたのだ。
しかし出版界からの圧力で不起訴処分となり、松本清張は全集収録時に『深層海流』の無断引用と指摘された箇所を削除して改訂するとともに単行本は絶版とし、一方的に事態を収拾させたという。
今も『深層海流』は文庫化されず、全集でしか読めない。
この件に、小説の中でも解説でも一切触れていないのは、『深層海流』の単行本が文藝春秋から出版されたからであろう。
その関係からか、徳田秋聲が、いわゆる通俗小説を濫作した時期にゴーストライターを使っていたとされていることにも、まったく触れていない。
徳田秋聲記念館の学芸員に、当たり障りのない解説を書かせたのも、都合の悪いことには触れたくないからか、と言いたくなる。
(なお、『隠花の飾り』を収録した『松本清張全集』第42巻の月報に掲載の「着想ばなし」で、作者自身が盗作と疑われた経緯を解説しているそうだ。また「春の血」は角川文庫版『延命の負債』に収録されている)
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No.7:
(5pt)

謎解きに止まらず、当時の文壇の密やかなバトルも愉しめる、興味深い推理短篇

『中野のお父さんは謎を解くか』(北村薫著、文春文庫)は、大手出版社の編集部員の田川美希が持ち込んだ謎を、東京・中野に住む高校国語教師の父が解くという、安楽椅子探偵小説の連作短篇集です。

さすが北村薫と舌を巻いたのは、松本清張、荒正人、横溝正史、江戸川乱歩らが登場する「水源地はどこか」です。

次の号で企画されている対談「松本清張を語る」には、美希が担当している原島博が登場します。その原島から、美希は気になる依頼を受けます。「『清張先生の<隠花の飾り>に中に<再春>というのが入ってる。目を通しといてくれないか。短いから、すぐ読める。それから、昭和三十三年の<文藝春秋>新年号に載った<春の血>いう作品のコピーがほしい』」。

『再春』は女性作家が主人公となっているが、清張の実体験が描かれていることが分かります。「『思いがけない(荒正人の、その清張作品はトーマス・マン作品の模倣だという厳しい)指摘に、清張先生は衝撃を受けた。二十年の時を経て、ようやく、その時の痛みについて書く気になったわけだ』。・・・『人間というのは、感情を持つ生き物だからね。原作の『春の血』を作中作にしても、ただの回顧談では終わらせない。そういうところまで踏み込み、一瞬、心をひやりとさせる見事な物語に仕上げている。さすがは清張先生だ』」。

「『荒正人は、暮れの雑誌のことを、なぜ、三月になってから書いたか――だ』。『そんなこと、分かるの?』。父は美希に、結び前の文章を示した。荒はいう。清張作品は『スリラー風の探偵小説としては、一応成功しているが、本格探偵小説としては、疑問の余地が残されている』」。

調べが進むうちに、当時の文壇において密やかなバトルが繰り広げられていたことが明らかにされていきます。「『うわああ』。乱歩、横溝、清張。向かい合う剣豪の姿を見るようだ」。

人間清張にも清張作品にも私淑している私にとって、この父親の言葉が救いになりました。「『当時の<宝石>は探偵小説専門誌だったから、本格ファンによる<点と線>否定論は、投書欄にも載っている。――<点と線>の功績は、そんなことなど気にならない人達にまで読者層を広げたことにある。本格ミステリとしては失敗作だが、小説としては優れている。この号の<編集後記>で乱歩は昭和三十三年を振り返り<松本氏の新作風が圧倒的威力を持ち、純探偵作家は色あせて見えたのである>といっている。そういう年だったんだな。・・・いずれにしても、荒正人も松本清張も、この頃すでに若くはない。それでもこうしてみると、まるで青年同士の喧嘩を見るようだ。血気盛ん。――時が経ってみれば、若々しいよさがあるなあ』」。

久々に、読み応えのある推理短篇に出会うことができました。
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No.6:
(4pt)

だらだらしたいときに読みましょう本

脱力で読んでいると、ウィットに富んだお父さんの、おやっと思うような博識を受けたり、
あらあら、と恋ばなが出てきたり、仕事に追われているうちに、爽やかイケメンと遭遇したり、と
行き慣れた洋食屋で、食べ慣れたメニューの中に
キラリとシェフお薦めの新作がサービスで出てきたりと
そんな楽しいひとときをこの一冊でプレゼント!
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No.5:
(2pt)

私には難しかったです。

シリーズの1巻はなんとか読了しましたが、謎解きがあっさりしていて、ちょっと物足りないなと思っていました。
今回の2巻は文豪の話が主なのですが、難しくてちんぷんかんぷんでした。
有名な誰でも名前を知っている作家の人は出てくるけど、何を言いたいのかさっぱりわかりませんでした。
あと文豪が出てこない話も予測通りの結末で終わってしまったりして、途中で読むのをやめてしまいました。
好みの問題もあると思うのですが、ちょっとあまりにも話が単純すぎるか、複雑すぎるかなので、極端ですね。
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No.4:
(5pt)

娘との理想的な距離感!

年頃の娘を持つ父親というのは、娘とどのように距離を置いたらいいのか悩まされる。近づきすぎれば鬱陶しいと思われるのはわかりきっているし、離れればこちらが寂しい。その点、本書の娘・美希とお父さんの距離は近すぎず遠すぎず。ふだんは都心で一人暮らしをする娘。出版社に勤める編集者である。仕事柄、本にまつわる大小様々な謎にぶつかる。特に、謎を持ち込んでくるのが担当する作家である場合、なんとしてでもその謎を解決したいと思うのは当然だ。
 そこで頼るのが中野にある実家に住む父親である。彼は定年間近の高校の国語教師。しかも、古書マニアで実家には大量の本がある。手に負えない謎を持って、娘が帰ってくるのを心待ちにしているようだ。父親にとっては娘が顔を見せるのもうれしいが、わくわくするような謎を持ってきてくれるのもうれしい。見事に解答すると娘が尊敬してくれる。そして、次も父親に頼んでみようと考える。うらやましい限りだ。
 そういえば、同じ子どもでも、息子にはそれほど気を遣わなくてもいいのはなぜだろう。映画『ダイハード』のシリーズの中に、息子と一緒に悪と対決するマクレーン刑事を描いたものがあった。最初は反発されるが、巨大な敵でも勇気を持って挑む父親を、息子はやがて尊敬の目で見るようになる。同じ『ダイハード』でも、マクレーン刑事の娘が登場する作品はやや趣を異にする。最後に娘が、父親と命がけで戦ってくれた少年に心を寄せようとするのを、マクレーン刑事が釘を刺そうとして鬱陶しがられる。現実でも映画でも、父親と娘は難しいものだ。
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No.3:
(3pt)

楽しかった

次から次へと繋がってくのが堪らない感じ
やっぱ北村氏のお話は品がいいなあ
「野菊みたいだ」は、個人的には許せない。例え「大好き」であろうとも、ダメ。
「行かないわけにはいかない」と「ないのを確認しないと気が残る」にとても同意でニヤニヤしてみた
楽しく読みました
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No.2:
(5pt)

久々のヒット!

ずっと、余りにもあっさりした短編集が続いていたので、久々に読み応えのある作品集だった。前回の「中野のお父さん」に比べても、謎の厚み、登場人物のキャラの描き方の深まりがみられた。少し、エッセイとか、頭の体操みたいな作品が続いていたので、この方の小説らしい小説にお目に掛かれてうれしい。
 この中のベストは「水源地はどこか」「パスは通ったのか」特に「パスは~」は伏線の張り方が上手く、実に楽しい物語だと思えた。
 もう作者は七十歳を目前にしている。この作品集には以前の小説のリフレーンというか、変奏曲みたいな部分は見受けられる。だから、駄目という事ではなく、逆にその元ネタを探して、以前の作品を読み返す事も多くなった。
 是非、続編を希望したい!
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No.1:
(5pt)

(2019年―第61冊)巡り合った、あれやこれやの欠点を持った二人が、相手の嫌なところや許せないところに怒り、爪を立て合いながら、ゆっくりと育てていく。……愛とは、そういうものじゃないか(243頁)

田川美希は出版社の文芸部に勤める編集者だ。仕事の過程で出くわした、ミステリアスな未解決事件のことを、東京・中野の実家に帰るたびに父に話して聞かせる。高校の国語教師を解詰める父は美希が「難題を抱えて行くと、鮮やかに解いてくれる≪解決≫の自動販売機のような存在だ」(258頁)。
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 2015年の短編集『中野のお父さん』の続編です。今回収められたのは8つの短編です。
 松本清張「春の血」とトーマス・マン「欺かれた女」との想定外の関係(「水源地はどこか」)。
 太宰治の「春の盗賊」に出てくる「ガスコン兵」とは何を指すのか(「ガスコン兵はどこから来たか」)。
 尾崎紅葉が亡くなった後に弟子の泉鏡花が徳田秋声を殴った事件の真相とは(「火鉢は飛び越えられたのか」)。
 そのほかにも佐野洋子『100万回生きたねこ』の解釈を巡る「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」や、菊池寛の写真を見たある作家のつぶやきの謎を追う「菊池寛はアメリカなのか」といった具合に、文芸作品や作家にまつわる実在ミステリーを安楽椅子探偵のお父さんが解明していく物語が大半です。
 私は俎上に載せられる文芸作品に目を通しているわけではありませんが、ひとつひとつの謎解きには大いに頷かされ、楽しく読むことができました。これだけの文芸史実ミステリーを紡げるのも、名うての読み巧者である北村薫氏であるからこそ。
 そしてこの小説を読みながらジョセフィン・テイ『時の娘』を思い返していたところ、「火鉢は飛び越えられたのか」にその書名が登場するのを目にして、我が意を得たりと感じたのです。

 父と娘の物語の中に、懐かしき子供時代の様子が差し挟まれて、親子の情愛の深さがにじむところもこの物語の魅力です。この書を読む私自身は学生生活を送るために上京したのち、ずっと離れて暮らしたまま父を亡くしたため、主人公親子の何気ない会話がとてもうらやましいものに思えました。

 物語の末尾では主人公の美希に新たな出逢いの予感が描かれます。同じ北村薫氏の≪私と円紫さん≫シリーズでも、主人公に同じような人生の節目が訪れるようすが清々しい筆致で描かれていたことを懐かしく想い出しました。
 この物語、さらなる続編は編まれるのでしょうか。
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 最終編の「菊池寛はアメリカなのか」を読んでいて、おやっと思うことがありました。結末を記すことにならないよう、ぼかして書きますと、<菊池寛のアメリカ>は私が見聞きしていた知識とは少々異なりました。昨2018年に出た安積陽子『NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草』(講談社+α新書)に照らすと、オバマ元大統領は菊池寛とは異なるため、アメリカではなくなってしまうことになります。

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